つばさ

平和な日々が楽しい

生活季節観測

2013年03月17日 | Weblog
春秋
2013/3/17
 春のあらしに吹かれ、黄砂や煙霧に驚いているうちに桜の季節がめぐってきた。あちこちで去年よりかなり早くつぼみがほころび、きのうは東京のソメイヨシノにも開花宣言が出た。まもなくこの花はいつもの風景をあでやかに染め変えて、人を酔わせて散るのだろう。
▼急ぎ足は桜ばかりではない。気象庁の「生物季節観測」では、今年はウグイスのホーホケキョを初めて聞く「初鳴日(しょめいび)」が横浜で平年より10日も早く、モンシロチョウの「初見日(しょけんび)」も下関で12日、静岡で6日早かった。職員が実際に見たり聞いたりする昔ながらのやり方が、季節の進行をさぐるのにはあんがい効果的らしい。
▼生物観測の対象はほかにも梅やツバキやヒバリなどさまざまだ。気象台によっても違いがある。ただし近年は都市化の影響でとんと見かけなくなった生きものもいて、東京などではトノサマガエルやホタルの観測をやめた。生物の居場所をどんどん減らし、暮らしのまわりの小さきものを見失っていくわれら日本人である。
▼気象庁はかつて、火鉢や蚊帳を使う時期を調べる「生活季節観測」も手がけていた。こちらは短期間で廃止されたが、いまなら花粉マスクの使い始め、使い終わりなど陽春の移ろいの目安になるかもしれない。ハ、ハ、ハックションと止まらないくしゃみを恨みつつ、こればかりはいつの世にも変わらぬ桜を見上げてみる。