〈私〉はどこにいるか?

私たちは宇宙にいる――それこそがほんとうの「リアル」のはずである。この世界には意味も秩序も希望もあるのだ。

会報『サングラハ』第155号(2017年9月)について

2017-10-15 | サングラハ教育・心理研究所関係
 筆者が参加しているサングラハ教育・心理研究所の会報『サングラハ』について、少し遅れたが9月号が発行されたので、研究所ホームページから許可を得て転載したい。
 なお、同誌を編集しているのはこのブログ筆者である。かれこれ10年以上、編集をしていて、時の長さ・早さを感じる。まさに無常迅速の感がある。
 (後掲の「編集後記」も筆者が毎回書いているもの)

 これまでホームページや研究所主幹のブログで広報がされていたので無用かと思ったが、当ブログを再開したのを機会に、今後はこうした広報も行なっていきたいと思う。ご興味・ご関心のある方は、まずは会報のPDF版(あとのリンクのサイトから購入可能)を当たっていただくとよいだろう。
 「サングラハ」とはサンスクリット語からくる言葉で、先の記事で書いたように研究所の基本が大乗仏教・唯識の心理理解にあること、そしてその言葉が示すように「統合的」「総合的」そして「融合的」に人の心を理解し、その変容と社会の変革を目指すというような意味から来ている(あとの表紙画像に紹介文があるので見ていただきたい)。

 ちょうど私が研究所に参加したのは、例のオウム真理教事件がまだ色濃く世間に尾を引いているころで、いまでもこうした用語からいわゆる「スピリチュアル」(この言葉が世間で何と軽く扱われてしまっていることか)や怪しげなカルトとごっちゃに連想されるとすれば、大変残念なことである。

 仏教ということで言えば、とくに岡野守也氏による『如来蔵経』講義は重要だと思われる。
 現代から見ればある種怪しげでもあらざるをえないのが宗教における神話性・呪術性だが、それらをまったく排除したとしても成り立つ、「どんな大悪人だろうと、人間には人間である以上は仏性=如来蔵がもともと備わっており、開発されるのを待っている」という、これらの大乗仏教の広く深い洞察は、そのまま現代世界に生きるものであるのは間違いない。

 しかしこうした結局当ブログのこれらの言葉も「意言分別」にすぎない。ぜひご購読いただければ幸いである。


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 会報『サングラハ』155号の発行についてお知らせします。
 各会員には、近日到着予定です。
 会員以外の一般の方で購読希望の場合は、当HPフォームメールまで号数・冊数を記載しご注文ください。
*単独の号のみのご注文もお受けしています。
*PDF版は次のリンクの販売ページからお求めになれます。
 
【会報『サングラハ』販売ページへ】


サングラハ』第155号

2017年9月25日発行、全48頁、A5判、700円
目 次
 ■ 近況と所感 ……2
 ■『如来蔵経』を読む (2) ……岡野守也… 4
 ■ 唯識と論理療法を融合的に学ぶ (5) ……岡野守也… 21
 ■ 新・ゴータマ・ブッダのことば (7) ……羽矢辰夫… 28
 ■ 渡辺京二と「近代」の超越 (5) ……高世仁…… 30
 ■ 書評『ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎』 ……増田満…… 35
 ■ 書評『徳川時代の宗教』(R・N・ベラー) (4) ……三谷真介… 43
 ■ 講座・研究所案内 …… 46
 ■ 私の名詩選 (54) 『自註鹿鳴集』秋の歌四首 …… 48

(編集後記)
 気候変動、国際問題等々が瀬戸際にある現在、今後こそ本誌のメッセージが重要になると感じます。
 主幹の『如来蔵経』講義二回目は経文の冒頭部分。すでに「如来蔵という一点において、ブッダと衆生はまったく異なることがない」という大乗の主張が、壮大なイメージで全面展開されていて、人類への究極の勇気づけという感じがします。
 同じく主幹の「唯識と論理療法」では、頁数の制約により、逆に論理療法のエッセンスがわかりやすく凝縮されています。不健康な感情が起きたら「あるべき思考」に陥っていないか、自問したいと思いました。羽矢先生のブッダ連載は、引き続き『聖なるものの探求』について。二人の師の境地すら常識的には非常に高く、当然ですがブッダが時代をはるかに超越した人だったことがわかります。
 高世さんの渡辺京二氏の思想を巡る連載が再開となりました。故・森本喜久男氏の鮮烈な生き様は、渡辺氏の問題意識に根本で通じるものがあります。
 増田さんの書評は田沼靖一氏の「利他的遺伝子」論。利己を超えた死と利他が、意味ある一体のものとして有性生殖25億年の歴史を通じ私たちに届いていることは、科学的に感動的です。
 担当のベラー書評は、いったん準備作業として母語と民族性の関係を扱い、後で本来の書評に戻ります。
 (編集担当)

 

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