アルトジェンズ写真に見える事実①:車列の真後ろに集中した反応
このアルトジェンズの写真を筆頭に、写真や映像から確認できる事実は、後の人々の記憶に基づく証言よりも、事件の直接的証拠としてはるかに重要なはずである。「写された真実」は、もはや隠蔽も歪曲も捏造もできないからである。
それだけに、これほど真実がはっきりと刻印されたアルトジェンズ写真が、数多ある暗殺事件の真相解明の試みでほとんど取り上げられていないのは、どうにも不可解でならない。
前回に見た、大統領の被弾の瞬間に起こっていた周囲の人々の「反応」について、それが何を意味するのか、読者にはすでに大まかに推察していただいていることと思う。すぐにその解説に移りたい。
しかしその前に「それらの反応は、たまたま起っただけではないか」、特に沿道の群衆についていえば「大統領が通り過ぎたので、後方に目を向けただけではないか」というようなありがちな反論も予想される。見てのとおり、それらは写真から受ける印象と明らかに異なるが、しかし印象のみならず論証することができなければならない。その点を押さえておきたいと思う。
いうまでもなく、これらの観衆が見ているのはただのパレードではない。彼らが挙って歓声を送っているのは、自国の国家元首、しかも当時ホープとされた若き指導者である。かつ、事件現場のダラスが、伝統的に南部における「民主党の牙城」とされるテキサス州の中心都市だったことも念頭に置く必要がある。
当日、群衆が目の前を通り過ぎる大統領に示した熱烈な関心を、暗殺のすぐ前にパレードの別の場所で写された写真が、端的に物語っている。
*暗殺現場のディーリー・プラザに入る直前の車列。前方の白バイの位置の先に大統領車が位置する。
*映画「JFK」でキーとなった有名なA・ザプルーダーによる8ミリ映像より。リムジンが通り過ぎても、人々の視線はほぼ例外なく大統領に向いている。この場所はちょうど「反応」を示した人々の向かい側に位置する。
特に、このアルトジェンズの写真に登場している観衆の多くが、米国南部において1963年の段階でまだあからさまな人種差別を受けていた黒人であることが注目される。
事件の起こったダラス中心部・ディーリープラザのエルム通りというこの地点は、車列がこのあと乗る高速道路のランプに続く、当日の大統領パレードルートの終端に位置している。そのため人がまばらになったこの場所に、差別待遇を受けていた黒人が自然に集まっていたのだろうと推察される。
(なお、この「人がまばらなパレード終端」という事件現場の位置は、犯人によるキルゾーン設定の上で重要な意味を持っただろうことを、あとで見ていく)
*暗殺現場への最後の曲がり角を過ぎ、ちょうど教科書倉庫ビルの前を通過する大統領車。このうちの4人が、アルトジェンズの写真で「反応」を示している人物であることが確認できる。
公民権運動に理解を示したケネディ大統領に、ここの写っている黒人の人々がとりわけ熱い喝采を送っているのが見て取れるだろう。
その彼らの目の前を、まさに大統領が通り過ぎようとしている――にもかかわらず彼ら黒人の観衆の複数が、アルトジェンズの写真では無表情にあらぬ方向を振り返っている。この状況で、彼らが後方の車列に目を奪われる理由があるとは思われない。
つまり、人々に一斉に起こったこれらの反応は異常であり、何らかの同一の原因に伴う動作であることは明らかである。
なお、この「車列の真後ろ・水平方向」への人々の反応とは、ほんの3・4秒前までは起こっておらず、アルトジェンズの写真が撮影されたその直前に発生していたものであったことも確認できる。
別の写真を見てみよう。アルトジェンズが撮影したすぐ前に、現場に居合わせた観衆のフィリップ・ウィリス(上掲のザプルーダー・フィルムで、沿道にいる人々の一人)が撮った有名な写真である。これは、大統領が最初に被弾する一瞬前、ことによるとその瞬間を写している可能性がある。
*ウィリスによる写真(この写真も非常に重要な意味を持つため、また後で取り上げる)
アルトジェンズの写真の左端にいて、件の「反応」を体ごと振り返って示していた黒っぽいスカート姿の女性、およびヘルメットに作業服の肥満気味の男性の二人が、ここに写された被弾直前の時点では、まだ大統領のほうに目を向けている。
また、シークレットサービスの車両上にあって、同様の反応を示しているエージェント3人もまた、この時点では車列の進行によって視界に開けてきた芝生の法面(通称grassy knoll、陰謀説の最重要のキーワード)に自然に眼を向けているだけで、まだ後方を振り返る動作には入っていないように見受けられる。
すなわちアルトジェンズの写真に記録されたのは、このウィリスの写真の直後に瞬間的に発生した「水平・真後ろ」への反応だったことがわかる。
まとめると、写真に写った多くの人々のうち、大統領車の後方につけたシークレットサービス、および被弾地点に近い路上にいる一群の人々に限って――目の前を「大統領」という最大の「見もの」が通り過ぎているにもかかわらず――ある瞬間に、一斉に同じ「水平方向・車列真後ろ」に眼を向けているということになる。それは、そういう反応をする何らかの理由があったということを意味している。
以上が、この写真から読み取れる事実の第一である。
そして以降見ていくとおり、これは事件の公式見解である「教科書倉庫ビル六階からの銃声」への反応ではまずあり得ない。そうではなく、反応した人々の視線の先は、明らかに車列の真後ろのあるレベルの高さを示しているのである。
このアルトジェンズの写真を筆頭に、写真や映像から確認できる事実は、後の人々の記憶に基づく証言よりも、事件の直接的証拠としてはるかに重要なはずである。「写された真実」は、もはや隠蔽も歪曲も捏造もできないからである。
それだけに、これほど真実がはっきりと刻印されたアルトジェンズ写真が、数多ある暗殺事件の真相解明の試みでほとんど取り上げられていないのは、どうにも不可解でならない。
前回に見た、大統領の被弾の瞬間に起こっていた周囲の人々の「反応」について、それが何を意味するのか、読者にはすでに大まかに推察していただいていることと思う。すぐにその解説に移りたい。
しかしその前に「それらの反応は、たまたま起っただけではないか」、特に沿道の群衆についていえば「大統領が通り過ぎたので、後方に目を向けただけではないか」というようなありがちな反論も予想される。見てのとおり、それらは写真から受ける印象と明らかに異なるが、しかし印象のみならず論証することができなければならない。その点を押さえておきたいと思う。
いうまでもなく、これらの観衆が見ているのはただのパレードではない。彼らが挙って歓声を送っているのは、自国の国家元首、しかも当時ホープとされた若き指導者である。かつ、事件現場のダラスが、伝統的に南部における「民主党の牙城」とされるテキサス州の中心都市だったことも念頭に置く必要がある。
当日、群衆が目の前を通り過ぎる大統領に示した熱烈な関心を、暗殺のすぐ前にパレードの別の場所で写された写真が、端的に物語っている。
*暗殺現場のディーリー・プラザに入る直前の車列。前方の白バイの位置の先に大統領車が位置する。
*映画「JFK」でキーとなった有名なA・ザプルーダーによる8ミリ映像より。リムジンが通り過ぎても、人々の視線はほぼ例外なく大統領に向いている。この場所はちょうど「反応」を示した人々の向かい側に位置する。
特に、このアルトジェンズの写真に登場している観衆の多くが、米国南部において1963年の段階でまだあからさまな人種差別を受けていた黒人であることが注目される。
事件の起こったダラス中心部・ディーリープラザのエルム通りというこの地点は、車列がこのあと乗る高速道路のランプに続く、当日の大統領パレードルートの終端に位置している。そのため人がまばらになったこの場所に、差別待遇を受けていた黒人が自然に集まっていたのだろうと推察される。
(なお、この「人がまばらなパレード終端」という事件現場の位置は、犯人によるキルゾーン設定の上で重要な意味を持っただろうことを、あとで見ていく)
*暗殺現場への最後の曲がり角を過ぎ、ちょうど教科書倉庫ビルの前を通過する大統領車。このうちの4人が、アルトジェンズの写真で「反応」を示している人物であることが確認できる。
公民権運動に理解を示したケネディ大統領に、ここの写っている黒人の人々がとりわけ熱い喝采を送っているのが見て取れるだろう。
その彼らの目の前を、まさに大統領が通り過ぎようとしている――にもかかわらず彼ら黒人の観衆の複数が、アルトジェンズの写真では無表情にあらぬ方向を振り返っている。この状況で、彼らが後方の車列に目を奪われる理由があるとは思われない。
つまり、人々に一斉に起こったこれらの反応は異常であり、何らかの同一の原因に伴う動作であることは明らかである。
なお、この「車列の真後ろ・水平方向」への人々の反応とは、ほんの3・4秒前までは起こっておらず、アルトジェンズの写真が撮影されたその直前に発生していたものであったことも確認できる。
別の写真を見てみよう。アルトジェンズが撮影したすぐ前に、現場に居合わせた観衆のフィリップ・ウィリス(上掲のザプルーダー・フィルムで、沿道にいる人々の一人)が撮った有名な写真である。これは、大統領が最初に被弾する一瞬前、ことによるとその瞬間を写している可能性がある。
*ウィリスによる写真(この写真も非常に重要な意味を持つため、また後で取り上げる)
アルトジェンズの写真の左端にいて、件の「反応」を体ごと振り返って示していた黒っぽいスカート姿の女性、およびヘルメットに作業服の肥満気味の男性の二人が、ここに写された被弾直前の時点では、まだ大統領のほうに目を向けている。
また、シークレットサービスの車両上にあって、同様の反応を示しているエージェント3人もまた、この時点では車列の進行によって視界に開けてきた芝生の法面(通称grassy knoll、陰謀説の最重要のキーワード)に自然に眼を向けているだけで、まだ後方を振り返る動作には入っていないように見受けられる。
すなわちアルトジェンズの写真に記録されたのは、このウィリスの写真の直後に瞬間的に発生した「水平・真後ろ」への反応だったことがわかる。
まとめると、写真に写った多くの人々のうち、大統領車の後方につけたシークレットサービス、および被弾地点に近い路上にいる一群の人々に限って――目の前を「大統領」という最大の「見もの」が通り過ぎているにもかかわらず――ある瞬間に、一斉に同じ「水平方向・車列真後ろ」に眼を向けているということになる。それは、そういう反応をする何らかの理由があったということを意味している。
以上が、この写真から読み取れる事実の第一である。
そして以降見ていくとおり、これは事件の公式見解である「教科書倉庫ビル六階からの銃声」への反応ではまずあり得ない。そうではなく、反応した人々の視線の先は、明らかに車列の真後ろのあるレベルの高さを示しているのである。
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