ミュー自然美術館３ 母の絵

今回の個展には母の絵も２点だけ展示させて戴きました。
これにはちょっとした理由が有ります。

母が他界してから２０年になります。

有る日突然或る方からお電話を頂き、その方はある医院で母の絵に出合い、心を打たれ、そのオーナーの方にお聞きしたら、その作家は愛知県出身の作家で、それを頼りに私の住む街の市役所に問い合わせてこられました。直接お電話で、「是非お母様の絵を直接見たい。」との事でしたので、今回の機会を利用させて戴きました。

私はこれまで、自分が作家として歩んで来て「尾崎チエさんの御子息ですか？」とか「立派なお母様をお持ちで・・・」とかこういった事を言われる事がいやで仕方ありませんでした。存在が大きければサラブレット的な事を言われてしまいます。
母はそこまで有名でも有りませんが、やはりこれに頼って生きてゆく事に抵抗が有ったのだと思います。
親子で作家をする事はとても難しく、親の存在が大きければ大きい程大変だと思います。

数々の作家で大家を親に持っている作家を知っていますが、その子息と思われる事で最初は期待をされますが、最終的にはその作家が確立して行かなければなりません。

私は母以上でも母以下でもなく、私自身で有りたいと思います。
それぞれの築く山は高さも懐の広さも大きさも違います。
今回の個展で私にはこんなバックボーンが有った事を伝えるにはいい機会だったと思います。

このような機械を与えて下さって有り難うございました。



尾崎チエ　「イムヂチ」


尾崎チエ　「白い椿」