50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

例の、『宇礼岬の会』はあの夏子が、幸男とともに・・・

2015-09-26 18:04:18 | 小説
例の、『宇礼岬の会』はあの夏子が、幸男とともに道江も入会すべきよとか言っていた。宇礼市内の話題の一つだが、幸男の考えでは風景が美しくなることに対する、ともすれば反対のための反対といった意味を含むと言うことだ。それはさておき、理恵が嘘を吐いたか、利用されているという疑いに、幸男は悩み始めていた。

(つづく)

楽な生活は小心にするかとすねてみても、・・・

2015-09-24 19:55:53 | 小説
楽な生活は小心にするかとすねてみても、『中山理恵が応援にくるだって?』とせめて一言言ってみたいのだった。けれども住む世界が今はまるで離れた星の下に暮らす、理恵さんだから、それは当然かも知れないな・・・・・・ぼくなんかが口だしすることもない。

(つづき)

噂話にしろ、気になる話ではないか。

2015-09-23 17:24:41 | 小説
噂話にしろ、気になる話ではないか。幸男はそう思うと、すぐ理恵に尋ねてみたい衝動にかられた。だが、ふり向こうととした首が凍てついている。岬ホテルの偉容のように気圧されていると、坂の上に向けて弁明を放ったのだ。

(つづく)

彼が続いて、・・・

2015-09-22 23:19:29 | 小説
彼が続いて、
「ほら例の、言っときますが私は虫好かないですがね、『宇礼岬の会』だったですか、あそこが近く中山理恵を呼ぶようですよ」
急坂にさしかかると運転手の口がそこで、的を得た矢のようにぴたりと止まっていた。

(つづく)

「宇礼市の出身では、今何といっても・・・

2015-09-20 11:11:45 | 小説
「宇礼市の出身では、今何といっても中山理恵をおいてない、一番の売れっこですから。若い衆に人気がありますから。宇礼の若い衆は最近シケてしまって、活を入れなきゃダメでしょう。そうそう、今回」
と運転手ののべつ繰りだされた話声を、幸男は切れぎれに耳に入れた。

(つづく)