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月野岬

好きなゲーム等の文章中心の二次創作置き場です。現在三国恋戦記中心。

『憩いのとき』(公花)

2014-11-14 23:19:07 | 恋戦記ワンドロ・ワンライ
<前書き>

第十回恋戦記ワンドロ/ワンライ。
お題は【家族/休日】です。
恋戦記版深夜の真剣お絵描き60分一本勝負
ワンライ公花のお話で【15禁】です。
*少し艶やかな場面があるのでご注意ください。
誤字脱字はご容赦くださいませ。






15禁です。





『憩いのとき』(公花)

孫呉で都督の地位にある公瑾は、常に忙しい人物である。
五日ごとに一日の休みと決まりはあっても、正直定められた休みなど忙しくないに等しい。
特に平和ではない世の中で、軍を統括する立場にあるのだからまあ致し方ない面はある。
「花」
今日一日の仕事を終え、書簡を整理していた花は執務机の向こうの公瑾に呼びかけられて、手を止めて向き直った。
「何かありますか?」
言いつけられる仕事があるのかと問えば、公瑾は筆を置いて首を振った。
「仕事のことではありません。あなたは明日お休みですよね?」
「あ、はい」
花は現在公瑾と子敬二人の元で執務見習い中だ。
主な業務を公瑾の元で行い、公瑾が調練や視察などで城を空ける間は子敬の元で補佐の仕事をしている。
花はいまだ補佐であり当然公瑾のような重要な仕事は単独ではないので、五日ごとの公休は他の女官と同じ様にきちんと取ることが定められている。
だからそこそこに休みが回って来るのだが、城全体が休みなんて言うことはないので、同じ仕事場の花と公瑾の休みが一緒にとれることはほとんどない。
けれど花はわざわざ休みを確認してきた公瑾に、思わず期待してしまった。
「もしかして公瑾さんも休みですか?」
「そんなはずないでしょう」
にべなく言い切った公瑾に、花はがっくり肩を落した。
「そうですよね。じゃあ、なぜわざわざ確かめたんですか?」
「一緒に外で夕食でもいかがかと思ったのです。明日が休みならば、たまにはいいでしょう」
「ホントですか?」
嬉しくて花はつい声が大きくなったけれど、花の勢いは急になくなった。
「嫌なのですか?」
訝し気に公瑾が訊いてきて、花は小さく首を振った。
花だって公瑾と一緒にご飯を食べれるのはデートみたいで嬉しい。
いくら同じ場所で仕事をしていても仕事中に完全な私語をしたり、甘い雰囲気になることなんてない。
まして普段から多忙な公瑾は、花と夕ご飯を共にとることすら珍しいのだ。
でもそんな忙しい公瑾だからこそ、花は自分の為に無理して欲しくないと思う。
「公瑾さんとご飯をご一緒するのは嬉しいです。でも私は次の日休みだからいいですけど、公瑾さんは疲れませんか?」
城の外に出るとすれば、いくら急いでも帰りはそれなりに遅くなるだろう。
「構いません」
「本当に?公瑾さん、前の休みも取れてませんよね?身体が辛くないですか?」
「私は武人ですよ。戦に出れば幾日も仮眠で行軍するなど当たり前のことです。城での執務でたかが休みが二、三度とんだところで何ほどもありません」
「でも……」
迷う花に、公瑾は目を眇めて少し不機嫌そうに問う。
「では、あなたは私と共にでかけたくないのですか?」
「そうじゃないです。ただ公瑾さんの身体が心配だっただけで」
「分かってますが、あなたが思うほどに無理はしておりませんよ」
そうして公瑾は、ふわりと珍しく執務室でからかうような微笑を浮かべる。
「で、出かけるのですか?あなたが行かぬなら、私は仕事を続けますが」
すると花は、ぱっと椅子を倒すほどの勢いで立ち上がった。
「行く!行きます!」
「素直におなりなさい」

そうしてすっかり夜の帳が下りた頃、公瑾は私室で腕の中に少女を抱きしめていた。
「花」
甘く名前を呼ばれ、唇を合せられて花は恥ずかし気に顔を伏せる。
公瑾は逃れようとする花を許さず、小さな頤に指をかけると少し濡れた唇に先程より強く唇を合せた。
啄むような口付けから、柔らかく下唇を食まれ、くちゅりと小さく濡れた音が花の羞恥を煽る。
徐々に深くなる口付けに、今この時刻に公瑾の私室にいる意味が分からないほど花は鈍くはない。
慣れてはいないけれど、初めてというわけでもない。
それでも少しだけの怯えと恥ずかしさと、そうして遠慮がある。
流されてしまわないのはどこまでも相手のこと思いやることを忘れない花の心根ゆえだ。
「公瑾……さん」
ぎゅっと花が公瑾の襟元を掴めば、公瑾は涼しげな目元を和らげて腕の中の少女を覗き見た。
「どうなさいましたか?」
「だって……明日公瑾さんはお仕事あるのに」
「忘れたのですか?私は大丈夫だと言ったでしょう」
「公瑾さんがあんまり休みを取らないから、本当に心配なんです」
「いいのですよ。今の私にはそんなに休みは重要なことではありません」
「そうなんですか?」
「ええ、一人の休みに特別やりたいことはありませんし、短い時間で休む術も心得ております」
言いながらも不埒な公瑾の手は、花の身体を手触りの良い衣の上からゆっくりとなぞる。
大きな手が触れる安心感とそれがもたらす熱を知っている花は、小さく息を詰めた。
「んっ……公瑾さん」
「花、いい子ですからもう黙ってください」
「やっ」
「聞き分けがないと後悔するのはあなたですよ。意地悪されたいですか?」
言い終わると同時に、項に唇が押し当てられて熱く吸い上げられる肌に甘く身体を震わせた。
「んんっ……、いじわるは……やぁです」
「ならば」
私に溺れていなさいという言葉に代えて、公瑾は花の襟元を開き胸元深くに唇を寄せる。
花はもう辿る指先に、唇に、甘く息を漏らして目を閉じるしかなかった。
公瑾は少女の肌を少しずつ暴きながら、頭の隅で公瑾を心配する少女に微苦笑を漏らす。
本当に花に言ったように、自身の休みなどどうでもいいのだ。
以前は一人の休みも趣味人な公瑾はそれなりに楽しむことができた。
けれど今の公瑾には自分の休みより楽しみなことは花の休日だ。
いや、正確に言えば花の休日の前日の夜だ。
普段から公瑾は花に触れたいと、同じ褥で夜を明かしたいと思っている。
青臭く盛るような無粋な真似をする気はないが、愛しい少女を得た男としては当然の欲求だ。
だが少女と武人の公瑾では体格差も、体力の違いも、そして何より経験の違いもある。
故に公瑾は、実のところ結構な自制を強いられていた。
矜持の高い公瑾は、優雅な物腰と余裕ある態度で花に悟らせはしないが、それを解き放つ日を花の休みの前日と密かに自分に課していた。
だから花の休日前の夜こそ、今の公瑾にとっては一番大切で最も楽しみな日と言える。
それに休みの前夜、こうして花に情熱のありったけを示せば、公瑾が仕事をしている間も花は一人寝台の住人となるしかないのだ。

夜明け前、心地よい眠りから目覚めた公瑾はすっかり疲れ果て寝入っている花に、艶やかに笑みを浮かべてその乱れた髪を掬い上げる。
眠る少女の姿には昨夜男の腕の中で艶やかに、匂い立つように乱れた面影はない。
ただどこかあどけなく無垢な寝顔と深く健やかな寝息が漏れていた。
「花、あなたが腕の中にいればこそ私の憩いとなるのです」
男は気だるげな風情の中に慈しみを込めた仕草で、少女の胸元に咲く赤い花に指先を触れさせた。

<後書き>
さすがに18禁はおけないのでこんな感じです。
15禁にもなってなかったらすいません。






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