<祝!三国恋戦記PS2版発売!!>
おめでとうございま~す。
カウントダウンは当然する余裕がなく、さてどうしよう。
で、本来ならここで三君主の短めのお話をUPする予定でした。
でもさ、仲謀の話しか間に合いませんでした~(笑)
玄徳さんと孟徳さんは、気が向けば書きます。
なんか遅れると今更という気分になってきた^^;
<前書き>
そしてなぜか間に合った仲謀。
1本だけでもUPできて良かったと本気で思います。
タイトルはまあ、季節的なものもあり、出なかったなんて……いや意外に合ってると思います。(言い切った)
では短めですが、つづきからどうぞ。
『雨、雨、ふれふれ♪』(仲謀×花)仲謀ED後
「だから仲謀がわからずやって言うの」
珍しく花が声を荒げれば、思わず応じる仲謀の声も大きく荒いものになる。
「はあ?俺は常識を言ってるだけだ!」
「別にいいじゃない。これが向こうでは普通だったんだから」
「今はこっちにいるんだから、この衣装でも問題ないだろう」
「わかってるよ。でもこっちの方が動きやすいの。誰に迷惑をかけてるわけでもないんだからいいじゃない」
「迷惑なら掛かってるよ」
「誰に?」
「俺様にだ!」
「意味がわからないよ」
二人が揉めたのは花の着ている制服のことで、新たにこちらの衣装まで持ってきて頭ごなしに着替えさせようとする仲謀と花は喧嘩になったのだ。
そして、花が飛び出して行って半刻ほどになる。
執務室に戻って仕事をしていた仲謀は、思わず大きなため息をついた。
あんな風に切り出すつもりじゃなかったが、つい売り言葉に買い言葉と冷静になれない自分が悔しい。
本来ならさり気なく新しい衣装を贈り、頼むつもりだったのだ。
その時、窓の外に光が走った。
しばらくして音が鳴り、雷は遠かったが激しい雨がざっと勢いよく降りだす。
花は戻っただろうか?
それともまだ外にいるだろうか?
仲謀が迷ったのは一瞬で、控えにいた補佐の文官が止める間もなく筆を置くと走り出していた。
外に出る前にと、一応寄った子敬の執務室近くの花の勉強部屋には当然のように姿はない。
回廊を走る仲謀に、ぎょっとした顔で官吏が道を譲り慌てて拱手を捧げる。
「あいつ、どこだ?」
尚香の所かと思いもしたが、喧嘩の内容を花がわざわざ妹の尚香や大喬小喬の姉妹に告げるような少女でないことは知っている。
そして雨に煙る城の庭を透かして見ると居ても立ってもいられず、回廊の切れ目のない途中から欄干に手をついて乗り越えるとその勢いのままに雨の中を走り出した。
明確なあてがあったわけではなかったが、足は迷いなく南奥の東屋に向かっていた。
忘れられたような南庭の奥の片隅にある東屋には、支柱に茉莉花が蔦を絡ませ、少し前まで甘い香りのする白い花を咲かせていた。
果たして、その東屋に雨が降ってくる空を恨めしげに見上げて憂い顔の花がいた。
「花!」
「仲謀!どうしたの?」
花は息を切らして飛び込んできた仲謀を、思わず驚いて見つめた。
短い金の髪からは滴がしたたり落ち、首筋を伝って服へと浸み込んでいて、走ってきたせいか息遣いが僅かに荒い。
「仲謀?」
問いかけようとしたら、強引に腕を引っ張られてそのたくましい胸に閉じ込められた。
早く力強い仲謀の心臓の音が聞こえ、濡れた体は冷たいかと思っていたけれど、触れた部分は予想に反してすぐに二人の熱で暖かくなった。
ぎゅっと抱きしめられ、やがて頭上でため息が漏れる。
「さっきは悪かった。言い過ぎた」
ぶっきらぼうに、どこか途方に暮れたように謝られ、もとからすっかり喧嘩の怒りはひいていた花は小さく首を振った。
「ううん。こっちこそごめん。いつまでも向こうの服着てるの、嫌だよね」
こちらに、仲謀の傍にいることに後悔は欠片もなかったし、自分では未練とか、そんな風な気はなく、ただ機能的だし、こちらの衣装は着付けが大変というそれだけの理由だった。
だから思わず仲謀の言い方に頭に来て言い合いになったけれど、東屋で風に吹かれていれば気持ちも落ち着いてちょっと冷静になれた。
「違う。そんな理由じゃあない。ただお前の足を、他の奴らが目にするのがやだったんだ」
「……仲謀」
「知らないだろ?お前のその姿、よく若い奴が目で追ってるんだ。お前が悪いわけじゃないけど、俺はそれを見るとイライラしてたまらないんだ」
花が仲謀の顔が見たくて胸でもぞもぞ頭を動かせば、尚更強く頭を押し付けられた。
「俺、今すげぇかっこ悪いから見んな」
そう告げられて、花は動くのを止める。
自分から嫉妬したなど普段は絶対言わない誇り高い少年の気持ちが、本当に痛いほどわかったから、そのまましばらくじっとしていた。
黙って仲謀の腕の中でただ耳に響く雨音を聞いていたけれど、それは嫌じゃなく、奇妙に落ち着ける時間だった。
やがてぽたりと滴が花の首筋に落ちてきて、思わずその冷たさに身体をぴくりと震わせた。
「そろそろ行こう。冷たくない?」
花が小さく声をかければ、仲謀はゆっくりと花を抱く腕の力を緩めた。
「ごめん。お前は濡れてなかったのに、俺のせいで濡れたな」
見上げれば、金の髪からまた滴がきらりと零れ、真っ青な瞳が花を柔らかく見つめていた。
確かに花は東屋にいたから濡れてなかったけれど、そんなことは気にならなかった。
ただこのぶっきらぼうで素直でない少年が、愛しいと言う気持ちが湧き上がる。
花はふわりと笑うと、そっと手巾を胸元の帯の下から取り出して、仲謀の髪から滴り落ちそうになっていた雨の滴を拭った。
「いいよ。だって迎えに来てくれたのが嬉しかったから」
正直に言えば、とたんに仲謀は真っ赤になる。
喧嘩をしていたはずなのに、そんな顔でそんな素直な言葉を言うのは反則だと苦く思って狼狽える。
ここで気の利いた言葉を言えればカッコいいと思うが、生憎言葉は気持ちを上滑りして出てこない。
仲謀が焦っている間に、花は見上げたまま小さく首を傾げてくすりと笑んだ。
「前にもこんなことあったね」
それが何を指しているか、詳しく言われなくてもわかった。
「ああ、そうだな」
「あの時は背中合わせだったけど、今は向かい合わせだね」
それだけ二人の距離が縮まり、関係が変わったことを示しているようで、仲謀は本気で堪らなくなる。
「なあ、花。お前、何だってそう俺を煽るようなこと言うんだよ」
「えっと、煽ってる気はないんだけど」
が、花の続けようとした言葉は、仲謀の軽く触れるだけの口付けにびっくりして消えてしまった。
「ちゅ、仲謀!昼間だよ」
「こんな雨の中出歩いてるような馬鹿は俺たちくらいだ」
「信じられない」
言いながら、花は真っ赤な顔で不意打ちに仲謀の腕からするりと抜け出ると、東屋から出て走り出した。
「おい!花」
怒らせたのかと焦る仲謀に、花は笑顔で振り返る。
「どうせ傘も持ってきてないんでしょ。走って戻ろう」
確かに見上げた空の雲は厚く、今降っている激しい雨もとてもやみそうにはない。
けれど仲謀の表情は、これ以上はないほど明るかった。
過去の旅ではおぼろげだったものは、今はこんな曇りの空でも切り裂くように真っ直ぐに一条の光となって自分の目の前にある。
仲謀は雨の中、先に行く花に追いつくと自分の上着を頭からかぶせて、手を繋いで走り出した。
今の二人には、激しい雨さえも柔らかな慈雨に感じられる穏やかな日常だった。
<後書き>
本来なら、あと2本あったんだよね(我ながら無謀)
珍しく仲謀だったんですが、普段あまり書かないキャラのわりにやはり彼は書きやすいです。
と言っても、白梅でいつも書いてるせいか違和感がない。
ただ花ちゃんとのCPが少ないんだよね。
若者らしく爽やかな雰囲気になってればいいな(笑)
おめでとうございま~す。
カウントダウンは当然する余裕がなく、さてどうしよう。
で、本来ならここで三君主の短めのお話をUPする予定でした。
でもさ、仲謀の話しか間に合いませんでした~(笑)
玄徳さんと孟徳さんは、気が向けば書きます。
なんか遅れると今更という気分になってきた^^;
<前書き>
そしてなぜか間に合った仲謀。
1本だけでもUPできて良かったと本気で思います。
タイトルはまあ、季節的なものもあり、出なかったなんて……いや意外に合ってると思います。(言い切った)
では短めですが、つづきからどうぞ。
『雨、雨、ふれふれ♪』(仲謀×花)仲謀ED後
「だから仲謀がわからずやって言うの」
珍しく花が声を荒げれば、思わず応じる仲謀の声も大きく荒いものになる。
「はあ?俺は常識を言ってるだけだ!」
「別にいいじゃない。これが向こうでは普通だったんだから」
「今はこっちにいるんだから、この衣装でも問題ないだろう」
「わかってるよ。でもこっちの方が動きやすいの。誰に迷惑をかけてるわけでもないんだからいいじゃない」
「迷惑なら掛かってるよ」
「誰に?」
「俺様にだ!」
「意味がわからないよ」
二人が揉めたのは花の着ている制服のことで、新たにこちらの衣装まで持ってきて頭ごなしに着替えさせようとする仲謀と花は喧嘩になったのだ。
そして、花が飛び出して行って半刻ほどになる。
執務室に戻って仕事をしていた仲謀は、思わず大きなため息をついた。
あんな風に切り出すつもりじゃなかったが、つい売り言葉に買い言葉と冷静になれない自分が悔しい。
本来ならさり気なく新しい衣装を贈り、頼むつもりだったのだ。
その時、窓の外に光が走った。
しばらくして音が鳴り、雷は遠かったが激しい雨がざっと勢いよく降りだす。
花は戻っただろうか?
それともまだ外にいるだろうか?
仲謀が迷ったのは一瞬で、控えにいた補佐の文官が止める間もなく筆を置くと走り出していた。
外に出る前にと、一応寄った子敬の執務室近くの花の勉強部屋には当然のように姿はない。
回廊を走る仲謀に、ぎょっとした顔で官吏が道を譲り慌てて拱手を捧げる。
「あいつ、どこだ?」
尚香の所かと思いもしたが、喧嘩の内容を花がわざわざ妹の尚香や大喬小喬の姉妹に告げるような少女でないことは知っている。
そして雨に煙る城の庭を透かして見ると居ても立ってもいられず、回廊の切れ目のない途中から欄干に手をついて乗り越えるとその勢いのままに雨の中を走り出した。
明確なあてがあったわけではなかったが、足は迷いなく南奥の東屋に向かっていた。
忘れられたような南庭の奥の片隅にある東屋には、支柱に茉莉花が蔦を絡ませ、少し前まで甘い香りのする白い花を咲かせていた。
果たして、その東屋に雨が降ってくる空を恨めしげに見上げて憂い顔の花がいた。
「花!」
「仲謀!どうしたの?」
花は息を切らして飛び込んできた仲謀を、思わず驚いて見つめた。
短い金の髪からは滴がしたたり落ち、首筋を伝って服へと浸み込んでいて、走ってきたせいか息遣いが僅かに荒い。
「仲謀?」
問いかけようとしたら、強引に腕を引っ張られてそのたくましい胸に閉じ込められた。
早く力強い仲謀の心臓の音が聞こえ、濡れた体は冷たいかと思っていたけれど、触れた部分は予想に反してすぐに二人の熱で暖かくなった。
ぎゅっと抱きしめられ、やがて頭上でため息が漏れる。
「さっきは悪かった。言い過ぎた」
ぶっきらぼうに、どこか途方に暮れたように謝られ、もとからすっかり喧嘩の怒りはひいていた花は小さく首を振った。
「ううん。こっちこそごめん。いつまでも向こうの服着てるの、嫌だよね」
こちらに、仲謀の傍にいることに後悔は欠片もなかったし、自分では未練とか、そんな風な気はなく、ただ機能的だし、こちらの衣装は着付けが大変というそれだけの理由だった。
だから思わず仲謀の言い方に頭に来て言い合いになったけれど、東屋で風に吹かれていれば気持ちも落ち着いてちょっと冷静になれた。
「違う。そんな理由じゃあない。ただお前の足を、他の奴らが目にするのがやだったんだ」
「……仲謀」
「知らないだろ?お前のその姿、よく若い奴が目で追ってるんだ。お前が悪いわけじゃないけど、俺はそれを見るとイライラしてたまらないんだ」
花が仲謀の顔が見たくて胸でもぞもぞ頭を動かせば、尚更強く頭を押し付けられた。
「俺、今すげぇかっこ悪いから見んな」
そう告げられて、花は動くのを止める。
自分から嫉妬したなど普段は絶対言わない誇り高い少年の気持ちが、本当に痛いほどわかったから、そのまましばらくじっとしていた。
黙って仲謀の腕の中でただ耳に響く雨音を聞いていたけれど、それは嫌じゃなく、奇妙に落ち着ける時間だった。
やがてぽたりと滴が花の首筋に落ちてきて、思わずその冷たさに身体をぴくりと震わせた。
「そろそろ行こう。冷たくない?」
花が小さく声をかければ、仲謀はゆっくりと花を抱く腕の力を緩めた。
「ごめん。お前は濡れてなかったのに、俺のせいで濡れたな」
見上げれば、金の髪からまた滴がきらりと零れ、真っ青な瞳が花を柔らかく見つめていた。
確かに花は東屋にいたから濡れてなかったけれど、そんなことは気にならなかった。
ただこのぶっきらぼうで素直でない少年が、愛しいと言う気持ちが湧き上がる。
花はふわりと笑うと、そっと手巾を胸元の帯の下から取り出して、仲謀の髪から滴り落ちそうになっていた雨の滴を拭った。
「いいよ。だって迎えに来てくれたのが嬉しかったから」
正直に言えば、とたんに仲謀は真っ赤になる。
喧嘩をしていたはずなのに、そんな顔でそんな素直な言葉を言うのは反則だと苦く思って狼狽える。
ここで気の利いた言葉を言えればカッコいいと思うが、生憎言葉は気持ちを上滑りして出てこない。
仲謀が焦っている間に、花は見上げたまま小さく首を傾げてくすりと笑んだ。
「前にもこんなことあったね」
それが何を指しているか、詳しく言われなくてもわかった。
「ああ、そうだな」
「あの時は背中合わせだったけど、今は向かい合わせだね」
それだけ二人の距離が縮まり、関係が変わったことを示しているようで、仲謀は本気で堪らなくなる。
「なあ、花。お前、何だってそう俺を煽るようなこと言うんだよ」
「えっと、煽ってる気はないんだけど」
が、花の続けようとした言葉は、仲謀の軽く触れるだけの口付けにびっくりして消えてしまった。
「ちゅ、仲謀!昼間だよ」
「こんな雨の中出歩いてるような馬鹿は俺たちくらいだ」
「信じられない」
言いながら、花は真っ赤な顔で不意打ちに仲謀の腕からするりと抜け出ると、東屋から出て走り出した。
「おい!花」
怒らせたのかと焦る仲謀に、花は笑顔で振り返る。
「どうせ傘も持ってきてないんでしょ。走って戻ろう」
確かに見上げた空の雲は厚く、今降っている激しい雨もとてもやみそうにはない。
けれど仲謀の表情は、これ以上はないほど明るかった。
過去の旅ではおぼろげだったものは、今はこんな曇りの空でも切り裂くように真っ直ぐに一条の光となって自分の目の前にある。
仲謀は雨の中、先に行く花に追いつくと自分の上着を頭からかぶせて、手を繋いで走り出した。
今の二人には、激しい雨さえも柔らかな慈雨に感じられる穏やかな日常だった。
<後書き>
本来なら、あと2本あったんだよね(我ながら無謀)
珍しく仲謀だったんですが、普段あまり書かないキャラのわりにやはり彼は書きやすいです。
と言っても、白梅でいつも書いてるせいか違和感がない。
ただ花ちゃんとのCPが少ないんだよね。
若者らしく爽やかな雰囲気になってればいいな(笑)