法人成りする(個人事業者が会社を設立する)場合、商品・製品・原材料などの棚卸資産は当然として、個人事業時代に事業用に使用していた車両、機械、備品なども会社に引き継ぎます。この引継ぎは個人から会社への「売却」ですので(収入と利益が生じるので)、これに関して様々な課税関係が生じます。
★所得税の課税
次のように個人事業から会社に引き継ぐ資産によって、所得の区分(所得の計算方法、税負担)が異なってきます。
○商品・製品・原材料(棚卸資産)→事業所得
法人成りした年度(個人事業者としての最後の年度)の収入(売上)に売却(引継)価額を加算します。売却価額は通常の販売価額によるべきですが、税務上は通常の販売価額の70%程度までの「値引き販売」は認めています。
○車両・什器備品・建物内装など「土地建物以外の」有形固定資産→譲渡所得(総合課税)
事業所得、つまり事業の損益計算には含めないで総合課税の譲渡所得として別に計算します。売却価額は第三者間で決定される価格によります(中古品価格など)。
○売掛金→課税関係なし
損得を発生させずに会社に引き継ぐので課税関係は生じません。
★消費税(法人成りの年度に消費税の課税事業者である場合)
「資産の譲渡」であるので消費税の課税対象となります。個人事業者として最後の年度に行う消費税の申告において、この資産の譲渡に関する消費税額(税込譲渡価額の5÷105)を含めなければなりません。
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◆時価での売却(引継ぎ)が基本!
詳しい説明は省略しますが、個人事業から会社への引継ぎは時価で行うのが基本です。そうでない場合(時価より高い・安い、無償の場合)には、思いもよらない(素人では理解できない、受け入れがたい)課税関係となってしまいます。
「これくらいの値段のほうが都合よい!」は御法度なのです。
◆売らずに「貸す」という選択も
中小零細企業の場合、廃業する個人事業と設立する会社は実質的には同一です。資産の引継ぎは単なる名義の変更にすぎません(引継ぎの前後で実質は何も変わらない)。にもかかわらず、思いのほか多くの税負担が生じてしまう場合もあります。また、引き継ぐ資産によっては名義変更手続に手間と費用がかかる場合もあります。
そこで、資産を会社に売るのではなく、貸すという方法もあります。特に、個人事業で使用していた自己保有の土地建物は、売却によって思いのほか税負担が生じるとともに登記という多額な費用がかかる手続も必要となることから、名義は個人のままで、会社に貸すという選択をすることも多いです(売却よりもはるかに多いかもしれません)。
ただし、貸した場合には、会社から個人に支払われる賃料が個人の収入となりますので、その収入から諸経費を差し引いた額(所得額)によっては、所得税の確定申告が必要となる場合があります。また、消費税も課税されてしまう場合もあります。
◆消費税に注意!
消費税の課税事業者が法人成りをする場合には、この問題を避けて通ることができません。特に、在庫(商品、製品、材料などの棚卸資産)は会社に引き継ぐしかありませんので、在庫の多い業種の場合には要注意です。個人事業者としての最終年度には、思いのほか消費税を多く納めなければならないこともあるのです。
★所得税の課税
次のように個人事業から会社に引き継ぐ資産によって、所得の区分(所得の計算方法、税負担)が異なってきます。
○商品・製品・原材料(棚卸資産)→事業所得
法人成りした年度(個人事業者としての最後の年度)の収入(売上)に売却(引継)価額を加算します。売却価額は通常の販売価額によるべきですが、税務上は通常の販売価額の70%程度までの「値引き販売」は認めています。
○車両・什器備品・建物内装など「土地建物以外の」有形固定資産→譲渡所得(総合課税)
事業所得、つまり事業の損益計算には含めないで総合課税の譲渡所得として別に計算します。売却価額は第三者間で決定される価格によります(中古品価格など)。
○売掛金→課税関係なし
損得を発生させずに会社に引き継ぐので課税関係は生じません。
★消費税(法人成りの年度に消費税の課税事業者である場合)
「資産の譲渡」であるので消費税の課税対象となります。個人事業者として最後の年度に行う消費税の申告において、この資産の譲渡に関する消費税額(税込譲渡価額の5÷105)を含めなければなりません。
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◆時価での売却(引継ぎ)が基本!
詳しい説明は省略しますが、個人事業から会社への引継ぎは時価で行うのが基本です。そうでない場合(時価より高い・安い、無償の場合)には、思いもよらない(素人では理解できない、受け入れがたい)課税関係となってしまいます。
「これくらいの値段のほうが都合よい!」は御法度なのです。
◆売らずに「貸す」という選択も
中小零細企業の場合、廃業する個人事業と設立する会社は実質的には同一です。資産の引継ぎは単なる名義の変更にすぎません(引継ぎの前後で実質は何も変わらない)。にもかかわらず、思いのほか多くの税負担が生じてしまう場合もあります。また、引き継ぐ資産によっては名義変更手続に手間と費用がかかる場合もあります。
そこで、資産を会社に売るのではなく、貸すという方法もあります。特に、個人事業で使用していた自己保有の土地建物は、売却によって思いのほか税負担が生じるとともに登記という多額な費用がかかる手続も必要となることから、名義は個人のままで、会社に貸すという選択をすることも多いです(売却よりもはるかに多いかもしれません)。
ただし、貸した場合には、会社から個人に支払われる賃料が個人の収入となりますので、その収入から諸経費を差し引いた額(所得額)によっては、所得税の確定申告が必要となる場合があります。また、消費税も課税されてしまう場合もあります。
◆消費税に注意!
消費税の課税事業者が法人成りをする場合には、この問題を避けて通ることができません。特に、在庫(商品、製品、材料などの棚卸資産)は会社に引き継ぐしかありませんので、在庫の多い業種の場合には要注意です。個人事業者としての最終年度には、思いのほか消費税を多く納めなければならないこともあるのです。