goo blog サービス終了のお知らせ 

【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

税務署が確定申告書の修正(税額の増額)を求める場合

2018-02-01 17:00:00 | 所得税の確定申告
「提出した確定申告書、間違っていないかな?」、やっと確定申告書の提出が済んだと思ったら、次に襲ってくる不安です。

税務署から確定申告書の修正(税額の増額)を求められた場合には、まずは、修正しなければならない「理由を聞く」ことです。懇切丁寧に説明をしてくれます。もし、その説明が理解できない場合には、速やかに税理士に相談してください。わずかな報酬で解決する場合も多いです。ネット上をさまようのは時間の無駄です。

=======================

税務署が確定申告書を受け付けたからといっても、それは確定申告書に記載された税額が正しいことを認めたわけではありません。税務署は申告書を受け付ける際に、必要な申告書用紙と添付書類が揃っていること、記載が必要不可欠な事項が漏れていないかなどの「形式」を確認しているかにすぎません。申告書の中身、計算の正しさは後日の税務署内での検討によって確認されるのです。

≪要注意≫事前相談で税額は確定しない!
確定申告の時期に税務署その他で行われる事前相談は納税者にとって大変ありがたいものです。しかし、事前相談は税額を確定するものではありません。あくまでも申告手続がスムーズに進むための手助けにすぎません。

◆提出直後の電話連絡

申告書を提出した直後に税務署から電話連絡があり、確定申告書の記載事項の訂正や添付書類の追加提出が求められる場合があります。この場合には、速やかに指示に従うことです。特に、この電話連絡が申告期限内(3月15日まで)であれば、加算税や延滞税といった「ペナルティ」が一切ありませんので、直ちに動くべきです。

◆呼び出し

確定申告書を提出して数か月ほど経過してから、税務署から指定の日に必要書類を持参のうえ来署してほしいとの書面が送られてくる場合があります。申告漏れ(不動産の譲渡、副業収入、保険金の受取りなど)、配偶者控除や扶養控除の誤りなど、修正事項が比較的単純な場合に行われる方法です。

◆税務調査

主に事業所得(個人事業者)や不動産所得(不動産賃貸業)の場合に行われます。税務調査が行われるのは確定申告書を提出して数か月経過してからです。電話による事前通知の後、納税者の自宅や事業所で、数日かけて申告数値の基となる帳簿やその関連資料を調べられます。税務調査の結論(税額が増加するかどうか)が出るまでに数か月ほど要する場合もあります。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。

税務調査と質問検査権の法知識Q&A (第三版)
クリエーター情報なし
清文社


仮想通貨の確定申告(納税資金を確保しておくことの大切さ)

2018-02-01 13:00:00 | 所得税の確定申告
年によって確定申告に関する話題は変わりますが、今年は何といっても仮想通貨(ビットコインやリップルなど)で、すでに「億り人」が多数出ているようです。国税庁は昨年12月に仮想通貨の確定申告に関して下記のFAQを公表しています。

仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)

仮想通貨の取引は多変複雑で、FAQで想定されていない取引も生じていると思います。仮想通貨の課税方法が明らかになるのはまだまだこれからです。

仮想通貨の課税の恐ろしさは、日本円を得ていなくても課税されることです。FAQにもあるように「仮想通貨で商品を購入した場合」、「仮想通貨と仮想通貨を交換した場合」も課税がされます。

納税は仮想通貨ではできず、日本円でしなければなりません。仮想通貨で利益を得たならば、納税に備えて仮想通貨を売却して日本円を用意しておかなければならないのです。この売却で利益が出た場合はさらにその分の納税が必要です。利益が出た翌年に損をして売却しても、それは翌年の利益からの差引きになります。

これに似ているのが遺産の大部分が土地の場合の相続税ですが、相続税には基礎控除や小規模宅地等の特例など、納税者(遺族)の生活保障に配慮して税額を軽減する措置があります。また、土地で納税する物納、分割しての納税である延納が認められます。しかし、仮想通貨にはそんな扱いはないので、今後は納税に苦しむ「仮想通貨長者」が出てくることが予想されます。

★常日頃から納税資金を確保しておく

所得税は年間の所得に課税されます。この所得というのは、資産(財産)とは違って、所得相当額が残っているわけではありません。多くの納税者は所得の大部分を生活費などとして消費していることでしょうから、所得を得た翌年の申告時点に納税のための資金が残っているとは限りません。

自由に使えるお金は、税金を差し引いた残りであるということです。このことを常に意識しておかなければなりません。確定申告が済むまで、自由に使えるお金は確定しないということです。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。

マンガでわかるビットコインと仮想通貨
クリエーター情報なし
池田書店


不動産賃貸業の税金問題(不動産所得以外)

2018-01-19 15:05:00 | 所得税の確定申告
確定申告が始まりました(還付申告は1月4日から受け付けています)。会計事務所に依頼する場合には、できるだけ早くしてください。多くの会計事務所は申告期限(3月15日)のギリギリになっての依頼は引き受けません。申告内容によっては「年内で受付けを締め切る」というケースもあります。

正確で有利な申告をするには、顧客との十分なコミュニケーションが必要です。後から気がついても遅いのです。そんなことは許されないのです。

========================

不動産所得の計算は購入時の取得価額(以後の減価償却)、大規模な修繕、入居者の出入り(敷金と保証金)さえ正確に処理しておけば、そのほかは非常に簡単です。なによりもお金の出入りの件数が少ないです。しかし、不動産所得のある人にはそれ以外に次のような税金に関する重大な問題が付きまといますので、正確な情報収集と適切な判断がしばしば求められることになります。

◆不動産を取得した資金の出所(源泉)

賃貸用不動産を購入するには高額な資金が必要です。税務署が把握している、不動産購入者の過去の所得と財産形成の状況からして不自然さがある場合には、税務署は所得や相続・贈与の申告漏れについて密かに調査を開始します。例えば、購入した不動産の名義人が専業主婦や未成年者である場合です。

◆消費税の申告と納税

不動産賃貸業の場合も、基準期間(2年前)における課税売上高が1000万円を超える場合には消費税の課税事業者となり、消費税の申告と納税が必要となります。なお、賃貸物件が「住宅のみ」の場合には収入が1000万円を超えたとしても消費税の課税事業者にはなりません。

納税する消費税は入居者から受け取った消費税から、諸経費を支払った際に上乗せして支払った消費税を差し引いた金額です。通常は受け取った金額のほうが圧倒的に多いでしょうが、賃貸物件を取得した年は支払った消費税のほうがはるかに多くなります。購入した建物の代金には多額の消費税が含まれているからです。

消費税の計算においては支払った消費税の計算をみなし計算することができる「簡易課税」が認められています。これが有利ならば選択すべきです。

◆固定資産税

当然のように課税されます。

◆事業税

不動産賃貸業も地方税においては事業に該当し、都道府県に事業税を納税しなければなりません。

◆譲渡所得

売却の際に課税される譲渡所得は、「何時売るか?」、「誰に売るか?」、「売却して得た資金を何に使うか?」によって大きく変わってくることがあります。

譲渡所得の計算は「売却収入-取得価額-譲渡費用」です。建物の取得価額は不動産所得の確定申告を続けていれば一目瞭然ですが、土地の取得価額については契約書か購入時の領収書しか手がかりがありません。売買契約書は大切に残しておいてください。

◆今後の相続(贈与)問題

不動産は相続税が課税される対象となる財産です。不動産の状況や貸付先によって相続税額は異なってきます。残された遺族が、相続税の納税に苦慮し挙句の果てには大切な不動産を「叩き売り」しなくて済むように生前に対策を講じておく必要があります。生前贈与は税負担が大きいといわれていますが、方法によっては(相続時精算課税など)負担が少なくて済む場合もあります。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。

不動産会社が書けない 「有名大家」の裏話
クリエーター情報なし
幻冬舎


不動産を買えば節税になる?

2018-01-19 15:00:00 | 所得税の確定申告
不動産投資で一番気をつけなければならないのは、業者のセールストークを鵜呑みにするということです。中立的な立場の意見、会計事務所にはそれが期待できます。

========================

とにかく不動産を買い、それを賃貸すれば節税になるという考えは根強く、賃貸の採算や借入金の返済負担をあまり考えずに不動産に投資をする人がいます。

◆不動産所得の赤字は他の種類の所得と損益通算することができる

不動産所得が赤字(損失)となる場合がありますが、その赤字を他の所得(給与所得や事業所得など)と損益通算(差し引き)することを不動産投資の節税メリットと説明されていることがあります。

不動産所得が一時期は赤字となることがあります。投資の初期、大規模修繕を行った年などです。賃貸不動産業というのは必要経費が特定の年度に集中し赤字になる傾向にありますが、その赤字は以後の年度で回収しなければなりません。もし、長期間、赤字が続くのでしたら財産が擦り減っているということです。

◆相続税・贈与税の節税対策と混同している

相続税・贈与税において現金(預貯金)は額面どおりに課税されますが、不動産は取引価格(時価)より低く課税されることがほとんどです。土地は一般的には国税庁が算定する路線価で評価して課税されますが、この路線価は実際の取引価格よりも低く設定されています。建物は固定資産税評価額で評価されますが、これも現実の取引価格よりも低いことが普通です。

ですから、現金を不動産に変えて贈与する、あるいは相続を迎えるほうが税負担は軽くなります。これを所得税の節税と混同している人がいます。不動産を買えば現金は減りますが直ちに所得税の節税にはつながらないのです。

さらに、不動産を借入金で購入することを相続税の節税と説明していることがあります。借入金という「負の遺産」が相続財産を減らすからです。いうまでもなく借入金は返済しなければなりません。遺産と遺産(相続で取得した不動産)からの収益でもって借入金が返済できない場合は大変なことになります。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★不動産賃貸業はサービス業です!

不動産賃貸業で成功するには優良な入居者(安定収入がありマナーもよい)の確保が必要不可欠です。そのためには、賃貸物件の立地条件や構造が良好であるだけでなく、入居者に快適な環境を提供するという「サービス精神」と「サービス提供のノウハウ」が何よりも大切です。

節税のためだけに不動産を購入しても財産を擦り減らすだけです。やる気のない業者が儲かるはずがないからです。「私は家主だ、大家だ、オーナーだ。キミに貸してやっているんだ!」という態度では消費者の要求が日増しに高まる昨今では優良な入居者は絶対に集まりません。不動産賃貸業はホテルと同じで、年中無休の24時間営業という大変厳しいサービス業なのです。

「関連業者や金融機関が儲けさせてくれる」、「税理士がうまく節税してくれる」は甘いです!

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。

村田式ロケット戦略 家賃収入が1億円になる不動産投資の神ワザ
クリエーター情報なし
宝島社


不動産所得の計算

2018-01-18 22:00:00 | 所得税の確定申告
賃貸アパート経営、競争が激しくなってきました。

収支を正確に把握する、あらゆる事業の基本です。収支を把握するのは確定申告のときだけで、ただ、税額に愕然とする。それではだめです。

========================

不動産所得とは、不動産の貸付けによる所得です。不動産所得の金額は、事業所得同様に「収入-経費」として計算します。

不動産所得の計算は事業所得と比べて収入や必要経費の件数が少ないことから簡単で、記帳も1年分をまとめてできるかもしれません。しかし、個々の収入や必要経費の金額が大きいことがあり、処理に当っての判断次第で税額が大きく変わります。ですから、不動産所得のある人は常日頃から多額な入出金の税務上の扱いついて注意しておく必要があります。また、ミスが重大な計算誤りにつながることもありますので、余裕を持って処理をして、何度も見直すことが必要です。

◆入居者別の収入(管理会社の報告書を利用)

収入を集計するに当たっては、管理用に作成している入居者別の家賃の入金記録から集計します。管理会社に集金を任せている場合には、管理会社から送られてくる報告書を集計します。収入の大部分は家賃ですが、保証金や敷金などが不定期に入金されることがあります。これらについても入居者別に把握しておきます。

よほど賃貸物件も入居者も多い場合は別として、物件も数件で入居者も数十人の場合には収入の集計はそんなに難しくないと思います。

◆賃貸物件の取得価額(判断によって必要経費の額が大きく変わる)

賃貸物件の取得価額の決定は大変重要です。なぜならば、以後の大変長期にわたる減価償却の計算に大きな影響を与えるからです。不動産所得の必要経費の大部分が減価償却費ですので取得価額の決定は慎重にしなければなりません。

○土地と建物を一括して取得した場合
取得価額を土地と建物に区分しなければなりません。契約書にそれぞれの価格が明記されている場合にはそれに従いますが、明記されていない場合には時価などを手がかりにして自ら計算しなければなりません。当然、建物の取得価額が多いほど減価償却費が多くなるので有利になります。

○入居中の物件を取得した場合
売買価格は敷金や保証金を差し引いた金額となりますが、取得価額の計算ではこれらを加えた金額となります。資産(土地と建物)と負債(敷金や保証金)を同時に取引きすることから売買価格は差引計算となりますが、税務計算上は資産と負債を別々に計算します。

○付随費用の扱い
不動産業者の仲介手数料は取得価額に含めなければなりませんが、不動産取得税や登録免許税は取得価額に含めずに購入した年度の必要経費にすることができます。

○相続や贈与で取得した場合
被相続人や贈与者の取得価額を引き継ぎます。相続税や贈与税の計算で用いた時価ではありません。

○自宅を賃貸に転用した場合
取得価額から賃貸用に転用するまでの期間の減価償却相当額を差し引いた金額が取得価額となります。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。

不動産投資でハッピーリタイアした元サラリーマンたちのリアルな話
クリエーター情報なし
青月社