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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

倒産後再び会社を設立する(捨てる神あれば・・・)

2021-08-17 17:00:00 | 廃業、会社清算
会社を倒産させた経営者は社会的信用と人脈を失います。しかし、再起ができないような法的制限があるわけではなく、再び新たな会社を設立してその代表者として活動することも可能です。

なお、新たに設立した会社は倒産した会社とは全く関係がありませんので、倒産した会社の債務(金融機関からの借入金、仕入代金、従業員の給与など)を返済する必要は一切ありません。

◆社名

倒産させた会社と同じ社名にすることも可能ですが、それは避けたほうがいいです。漢字の社名を「カタカナ」「ひらがな」「アルファベット」にするなども避けたほうです。やはり、再スタートなのですから、社名も一新すべきです。

倒産により多くの人に迷惑をかけたのですから、同じ社名での再スタートというのはあまりにも不謹慎です。

◆名目経営者

倒産した会社の代表者名は容易に知ることができます。倒産した会社の「代表者個人」は破産することが通常で、「名前を伏せる」ために名目経営者を立てることがあります。

これも避けたほうがいいです。胡散臭いからです。わかる人にはわかってしまいます。また、「ふざけている(反省していない)」ように思われます。

◆会社を倒産させた過去は自ら知らせるべきか

その必要はないないです。しかし、金融機関には必ずばれます。税理士に決算や申告を依頼する場合には、税理士にも知らせておいたほうがいいと思います。

◆過去の取引先との取引再開

得意先との取引再開は比較的容易です。得意先は倒産した会社の商品やサービスを必要としていたこともあるからです。供給源を失って困惑している場合は復活を喜びます。

問題は仕入先です。仕入先は倒産によって代金を踏み倒されたからです。当然、今後は同じような事態は避けたいです。しかし、仕入先によっては倒産した会社にその売上の多くを依存していたこともあるので、活動再開(販路の復活)を望むこともあります。

取引先は、この先十分な利益を獲得でき、さらに過去の倒産による損失の穴埋めができれば取引を再開してくれます。ビジネスというのはそういうものです。

◆異業種や遠い場所での再スタート

倒産させた会社とは全く異なる業種、あるいは遠い場所で再スタートをする場合には会社を倒産させた過去があまりハンディになりません。しかし、何かの拍子(ネットなどから)に過去を知られた場合には、再スター後に築いた信用や人脈を失うこともあります。

もし知られた場合には、素直に過去を認めて、真摯に事業に取り組んでいれば過去にはこだわらない人も多いです。

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★新会社設立の諸手続(前の会社とまったく同じ、過去は不問)

新会社を設立するための法務局での登記や税務署への届けなどの手続は、倒産させた会社を設立したときとまったく同じです。倒産させた会社に関する情報は一切知らせる必要はありません。会社を倒産させたことがハンディになることは一切ないのです。

以前は自己破産をした者は取締役にはなれませんでしたが、現在はそのような規定はありません。(取締役が自己破産した場合には取締役を辞めなければならないという規定は今もあります。)

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休眠会社のメンテナンス(活動再開、清算に備える)

2021-08-03 17:00:00 | 廃業、会社清算
休眠会社とは、法的には存在するけれども(法務局で登記はされているけれども)活動を停止している会社をいいます。休眠会社といえども法律で定められた税務申告や登記など手続は必要ですので、休眠会社の代表者はこの手続について認識しておく必要があります。

◆株式会社の「みなし解散」(法務局で確認できる)

株式会社には「みなし解散」といって、強制的に会社の活動を制限してしまうルールがあります。みなし解散になるのは、必要とされる登記(取締役の再選など)を一定期間内にしていない場合です。株式会社制度の根底を支える登記の手続をしていない会社を通常どおりに活動させるわけにいかないからです。

みなし解散になっても会社は法的には存在し続けますが、営業活動はできなくなります。営業活動とは、「仕入れて売る」という会社の本源的機能のことです。みなし解散になったことは誰でも法務局で調べることができますので、みなし解散になればどことも取引をしてもらえなくなります。

なお、みなし解散になった場合も、3年以内に「会社継続」の登記をすれば通常の会社に「復活」することができます。単純に登記を失念している会社は、至急この手続をしなければなりません。

◆「みなし解散=会社消滅」ではない(怖いのは役所ではなく・・・)

休眠会社は登記を怠っていることが多く、みなし解散になるケースが後を絶ちません。

みなし解散になったからといって会社が消滅するわけではありません。みなし解散になれば、次は自ら「清算」という手続をしなければいつまでたっても会社は存在し続けます。会社が存在している限りは所定の税務申告もしなければなりません。

会社が存在するということは、次のような事態も考えられます。

「御社のことが契約書に記載されています・・・・」
「以前そちらに勤務しておりました・・・・」

最近、悪いヤツが増えてきました。虎視眈々と狙っているに違いありません。

こんなことがあっても、どの役所(法務局や税務署など)も助けてはくれません!

「貴方が必要な手続をしていない(会社を完全に消滅させていない)からですよ」といわれるだけです。

◆店舗やオフィスを引き払った

休眠を機に、登記されている会社所在地の店舗やオフィスを引き払えば、取引先や役所との連絡が途絶え「これで会社は消滅した」と思うかもしれませんが、会社は存在したままです(法務局で登記されたままです)。

なお、役所は代表者の住所を容易に知ることができますので、自宅に郵便物を送付してくることもあります。

◆最後に税務申告をしたのは何時か

休眠会社も税務申告は必要です。法人税、消費税とも税額はゼロになりますが、税額ゼロでも申告書は提出しなければなりません。

活動を停止した事業年度を最後に、それ以降の事業年度の申告をしていない場合には、無申告になっている事業年度の申告をする必要があります。

◆税務署などに休眠(休業)の届けを提出しているか

休眠会社は、活動中の会社とは異なる扱いになることもあるので休眠(休業)したという届けを提出しておく必要があります。提出先は「税務署」「都道府県税事務所」「市役所あるいは町村役場」です。

休眠会社には均等割も課税されません。均等割とは、都道府県と市町村が課税する利益の額とは無関係の定額の税金です。この均等割が課税されないようにするには休眠したという届けを提出しなければなりません。

◆活動を再開する

活動を再開する場合には、「税務署」「都道府県税事務所」「市役所あるいは町村役場」にその届けを提出しなければなりません。「みなし解散」になっていない場合を除いて法務局での手続は不要です。

◆事業年度

休眠(休業)しても事業年度は変わりませんので、休業する事業年度も活動を再開する事業年度も一事業年度分(通常は1年間)の決算と申告をしなければなりません。

なお、活動期間のみ課税される「均等割」は月割りで課税されます(均等割は年額で税額が決まっています)。

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★活動していたころの資料を廃棄してしまった
活動中に税理士に依頼していた場合にはその税理士に聞いてみることです。それができない場合には、別の税理士に相談すれば代替策を提案してくれます。なお、税務署は過去の申告状況をそう簡単には教えてくれません。

★気力体力のあるうちに決断する
休眠会社のメンテナンスは、放置している期間が長くなるにつれておっくうになり手間や費用もかかります。活動再開か清算かについてはできるだけ早く決断することをおすすめします。

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会社清算後の単発的な仕事の依頼(倒産からの再起)

2021-07-21 17:00:00 | 廃業、会社清算
会社を廃業し清算登記もした後に、会社が活動していたころの得意先から単発的に仕事の依頼を受けることがあります。例えば、次のようなケースです。

住宅の簡単な補修
ソフトウェアの簡単な手直し
製品の点検

いずれも、会社が活動していたころであれば「アフターサービス」として無償で行っていたような仕事の依頼です。懇意にしていた得意先で会社清算後も個人的に付き合いのある場合には断わることもできません。また、得意先によっては「薄謝」をくれることもあります。

◆金額によっては雑所得としての確定申告が必要

清算するような会社の経営者は、その大部分が清算後は年金生活者かサラリーマンです。そんなに多く稼ぐ必要もないことから、いわゆる「20万円以下は確定申告不要」というルールに当てはまると思います。

小さな仕事が積もり積もって20万円を超えた場合には「雑所得」として確定申告が必要となります。なお、雑所得には必要経費も認められますのでこれについての記録(領収書やレシート)は残しておく必要があります。

◆収入が相応な額になる場合は個人事業者として活動する

このような収入が相応の額になり、生計の足しになったのであれば個人事業者として活動していることになります。確定申告も雑所得から事業所得になります。事業所得ですので、あらかじめ開業届も提出しておく必要があります。

◆会社を廃業する時点からこのような事態が想定される場合

会社を廃業する時点から、会社消滅後もこのようなアフターサービスの依頼があることがわかっている場合には、得意先との間で取り決めをしておく必要があります。そこで大切なことは、「会社は消滅するので会社名義は使わない(使えない)」ということです。得意先によっては、会社が消滅したことを認識できず、いつまでたっても自身の帳簿に消滅した会社名を記載してしまうからです。

◆会社を休業にしている場合

会社の清算登記をしないで活動を停止する「休業」の場合には、このようなアフターサービスは「活動再開」になります。

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★倒産からの再起
倒産した会社の経営者は社会的信用と人脈を失います。しかし、会社を経営していたころの関係者の中には、「もう一度、ゼロから出直してみろよ!」といって声をかけてくれる人もいます。その際はこのような方法で少しずつ再起して信用を取り戻すことです。もう、身軽なのですから(借金の返済に追われることはない)あせる必要はありません。いずれは、再び新しい会社を設立することもできます。

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設立直後の活動停止(会社なんて設立しなければよかった)

2021-07-20 18:05:00 | 廃業、会社清算
会社を設立して直ぐに活動を停止するケースがあります。好奇心や期待感(節税や社会的信用など)からなんとなく会社を設立したけれども、会社としてのメリットがまったく感じられず、それよりも税務や社会保険の事務手続が思いのほか複雑で負担となることに耐えきれず投げ出してしまうのです。

設立後、まったく活動をしていなくても、活動する見込みがなくても会社は会社です。まずは、設立後の会社としての義務を果たさなければなりません。

◆設立届を提出する

会社は設立したならば、直ちに設立届を「税務署」「都道府県税事務所」「市役所あるいは町村役場」に提出しなければなりません。会社はこれらの役所に会社に関する一定の情報を知らせなければならないのです。

◆税務申告は必須

会社は税額がゼロでも税務申告(法人税、事業税、都道府県民税、市町村民税)をしなければなりません。この税務申告は活動を停止している場合も必要です。

税務申告は事業年度ごとに行います。事業年度が4月1日から翌年3月31日の1年間の会社が、4月1日に設立して5月31日に活動を停止した場合でも、税務申告は4月1日から翌年3月31日という事業年度単位で行います。

◆休業届を提出する

会社の活動を停止すると、活動中の会社とは異なる扱いになることもあるので休業届を提出しておく必要があります。この休業届は活動を停止したならば速やかに提出しなければなりません。提出先は設立届と同じ「税務署」「都道府県税事務所」「市役所あるいは町村役場」です。

◆休業するまでの均等割を月割で納付

休業している会社には均等割が課税されません。均等割とは、都道府県と市町村が課税する利益の額とは無関係の定額の税金です。この均等割が課税されないようにするには休業届を提出しなければなりません。

事業年度途中から活動を停止した場合には、活動していた期間の均等割を月割で納付することになります(均等割は年額で税額が決まっています)。

◆解散に清算(登記と税務申告が必要)

なんとも奇異なことですが、設立後直ちに活動を停止した会社であっても、会社を消滅させるには解散に清算という手続をしなければなりません。解散と清算は登記事項であるため、法務局で登記が必要でそれについての費用もかかります。また、解散と清算についてはそれ独自の税務申告や諸届が必要となります。

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★会社に残る現金
活動を停止している期間は一切の入出金をストップさせなければなりません。そうでなければ利益は生じていなくても均等割が課税されてしまいます。なお、「それならば活動を停止する前に現金は全額会社から引き出しておく」としたならば、引き出した額が代表者の給与として課税されますので注意が必要です。

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休眠会社の清算(残したままの会社が気になる)

2021-05-28 15:05:00 | 廃業、会社清算
「登記手続をしないまま会社を廃業したけれども、最近、残したままの会社のことが気になって仕方がない。」

会社は法務局で清算結了の登記手続をしなければ消滅しません。そうしておかなければ、たとえ、活動を停止した「休眠会社」になっていたとしても、法律上会社は存在したままです。

◆休眠会社は誰かに悪用される恐れがある

昨今、休眠会社が悪用されることが増えています。「休眠会社に外注を依頼したように装って経費を水増しする」こと(脱税)などはその一例です。実体のない休眠会社は、目立たないことから悪用の温床となりやすいのです。

以前の取引先が請求漏れを発見して請求をしてくることがあります。税務署などの役所からいつまでたっても郵便物が届くこともあります。

◆休眠会社の清算手続(登記と税務申告)は簡単

休眠会社の清算は非常に簡単です。すでに、資産(預貯金や設備など)や負債(仕入代金の未払や金融機関からの借入金など)がないことが通常ですので、資産の換金をして負債を返すという作業は不要で、書面だけの手続で済みます。

休眠会社であっても形式的な税務申告はしなければなりませんが、ほとんどの休眠会社は活動を停止して以降の申告をしていません。休眠会社を清算する場合には、無申告となっていた期間分の申告はしなければなりません(最長5年分)。ただし、休眠会社は課税されることはありません。法人税、消費税は当然として、住民税の均等割も事業所が存在しませんので課税はされません。

◆休眠会社を清算して人生を終えたい(家族が清算を促す場合も)

残したままの休眠会社のことを気にするのは、どちらかといえば年配の人が多いです。「終活」の一環として休眠会社の清算を考えるのです。また、家族が清算を促すことがあります。休眠会社が残された家族に及ぼす影響を危惧してのことです。

認知症になって突然、以前経営をしていた休眠会社のことを語るようになり、心配した家族が清算したという例もあります。

いつまでも、休眠会社という「わだかまり」を抱えているのは精神衛生上よくはありません。速やかに清算をすることをお勧めします。

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