goo blog サービス終了のお知らせ 

晴れた日こそ映画を観る

24歳会社員による映画感想ブログ。出かけたと思ったら映画館というインドア派です。

パッチギ!

2012年02月08日 23時11分37秒 | 映画(DVDで鑑賞)
監督 井筒和幸  脚本 井筒和幸 羽原大介
製作 シネカノン ハピネット・ピクチャーズ 衛星劇場 メモリーテック S・D・P(スターダストプロモーション)
製作総指揮 李鳳宇
出演者 塩谷瞬 沢尻エリカ 高岡蒼佑 小出恵介 波岡一喜 尾上寛之 オダギリジョー ケンドーコバヤシ
音楽 加藤和彦 撮影 山本英夫
編集 冨田伸子 配給 シネカノン
公開 2005年1月22日 上映時間 119分


イケメンの童貞がフォークミュージックに目覚め、在日朝鮮人の美少女といい感じになるヤンキー映画。

主演の塩谷瞬はあまり知らなかったけど小出恵介と醸し出す童貞感やら、沢尻エリカとのロマンスやら、オダギリジョーと変な雰囲気でギター練習する感じやらなかなか良かった!

モテようとしてビートルズの髪型を真似たりギターを始めたり、ポルノ映画観たり、仲良し童貞コンビの感じが出てた。
まあ童貞にしては大事なところでめちゃめちゃ積極的だしコミュ力高いしギターの上達がすごいし、そもそも顔がイケメン過ぎるって矛盾はあったけども。
それと途中から小出恵介の出番がぱったり消えたのには残念!

甘酸っぱい恋愛描写は、朝鮮語を練習して電話でコンサートに誘うとこやら、在日朝鮮人の宴会に突入して一緒に演奏するとこやら、徐々に距離が近づいていく感じがわかりやすくて楽しめた。
ラストの車のシーンもさわやかで素敵。

オダギリジョーに習って覚えるギターっていう要素に関しても沢尻エリカと仲良くなるためだけの使い捨てではなくて、朝鮮半島の南北断裂を話題に出すきっかけにしたり(かなりの説明口調だったが)、童貞が自己実現する良さやら、当時の流行を感じさせる演出にもなるし、なによりオダギリジョーのフリーダムな感じが魅力的なキャラクター。

ということで、“朝鮮学校の子を好きになった童貞だけど、音楽をきっかけに仲良くなれた”みたいな映画としては面白かったです。
が、好き嫌いの問題だけど、この映画のヤンキー要素がおれにとってはむちゃくちゃ邪魔だった。
街を歩けばいちいちケンコバ率いる空手流のチンピラとケンカになり割と長めにバイオレンスなシーンが始まるんだが、ああいうヤンキーのケンカシーンて何が面白いのか少しも理解できん。
ごくせんとかクローズが流行るぐらいだから需要はあるんだろうが。

高岡蒼甫の演じた役がひどくて、国に戻ってサッカー選手としてワールドカップを目指すとか意味わからんし、セフレを妊娠させたくだりもしつこくてイライラしてたら最終的になぜか感動的な話にしようとしてて無茶苦茶。
高岡蒼甫は「さんかく」の百瀬みたいなダメDQN役をやらせれば最高の男なのにもったいない。
おれの嗜好に反してこのパッチギでの役が結構評価されてるらしいのだが。

ヤンキーノリの文句でもう一つ言えば、ケンカで逃げてた尾上寛之がトラックから落ちてきた鉄の棒で頭打って死に、お葬式が開かれるまでのくだりはなんだったんだろうか。
葬式で塩谷瞬が日本の若者を代表して在日朝鮮人軍団にお説教されるのなんて場の趣旨とまったく関係のない唐突な展開で、在日朝鮮人が秘める日本人への嫌悪感を無理にでもどこかで描いときたいっていう作る側の意図が露骨でさめる。

ヤンキーエピソードを全部なくして小出恵介の童貞エピソードやらオダギリジョーのフリーダムな世界観を深く掘り下げて欲しかったな。
残すとしても最初のバスをひっくり返すとこだけでいいや。
逆に言えば、ヤンキー映画なのにヤンキー要素を抜いても楽しめるって思う人がいるぐらい(おれだけか?)いろいろと楽しみ所の多い作品。
ワルの要素嫌いだから「ディパーテッド」から一切のマフィアをカットしろ!っていう人はいないだろうからね。

ところで沢尻エリカが意地悪じゃないのと高岡蒼甫がダメ男じゃないのが意外だったけど、考えてみれば別に当時二人ともそんなイメージなかったもんな。

てなわけで、好きなところも嫌いなところもいっぱいある映画だった。
ヤンキーものが大丈夫ならすごくハマるんだろうと思う。
この年のキネマ旬報ベストテンで第1位の作品。

最新の画像もっと見る