goo blog サービス終了のお知らせ 

晴れた日こそ映画を観る

24歳会社員による映画感想ブログ。出かけたと思ったら映画館というインドア派です。

ゴー・ゴア・ゴーン(IFFJ特集)

2013年11月23日 00時00分00秒 | インド映画


続きまして、「インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン」略してIFFJの映画から、インドのゾンビ映画「ゴ・ゴア・ゴーン」についてちょっとだけ。

マフィア主催の怪しくて楽しそうなパーティにいったところ、新開発のドラッグのせいでパーティの参加者がゾンビ化してしまうという作品。
雰囲気で既に面白いし、マフィアのボスと綺麗なねーちゃんとボンクラ達がチームになってゾンビと戦いながら逃げるのは楽しかったんだけど、欲を言えばインド映画ならではのぶっ飛んだ発想が欲しかった。
もっと普通じゃないゾンビを期待してたし、ゾンビが踊るシーンの一つや二つあってもいいと思うんだけどな。

ただインドの映画が平均的にもつ馬鹿馬鹿しく楽しい雰囲気がゾンビの要素とマッチしてたし、そんな設定のなかでボンクラ達がワーワーやる映画として普通に楽しかったです。

茶番野郎(IFFJ特集)

2013年11月21日 20時06分36秒 | インド映画


引き続き「インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン」略してIFFJの映画について。

茶番野郎というタイトルなので売れない俳優がバカバカしいことをする映画だと勝手に思い込んでいたけど、主人公は成功してる俳優兼監督。
その主人公が極度に他人に親切にしたがる癖がある人で、首吊りしようとしてたおっさんを助けて自分の家に住まわせ始めてから、仕事も恋人も投げ打ってその自殺未遂のおっさんに尽くすという話。

おっさんを優先して恋人との時間を一切作らず、記念日なんかもちろん忘れてぞんざいに扱うのを見てると、おっさんは関係なく普通にそれほど好きじゃないからじゃないの?って思えてくるし、仕事だって他の頑張ってる役者やらスタッフをさしおいてオッサンを主役に抜擢って、人助けの域を大幅に飛び越え過ぎててもう良くわからんです。笑

タイトルから逆算して考えると、いろんな人にいい顔をしようとし過ぎて結局良い人を演じきれず、心のこもってない大根演技のような生き方をしている『茶番野郎』を描いた作品ということでしょうか。
とはいえ都合良くいい人を演じようとしてしまうってのは誰しもありますよね。
観終わってから振り返ってみると、小馬鹿にしながら見ていた茶番野郎的な部分が自分にもあるなあと気付いて残念な気持ちになります。

劇中劇はラーマーヤナという叙事詩に倣っていて登場人物の名前も一緒なんで、Wikipediaでさらっとよんでおくとわかりやすかったです。
ひょっとするとこのわけわからんストーリーもラーマーヤナを知ってると何か意味があるのかも。

ハウスフル2(IFFJ特集)

2013年11月02日 00時37分33秒 | インド映画


「インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン」
略してIFFJというインド映画を浴びるように楽しむことのできる祭典に行ってきました!
フェスティバルは既にオーヴァーしちまいましたが、祭りを盛り上げた珠玉の名作について書いときます。

第一発目は「HOUSEFULL2」

“2”ってことなんで、前作を見なくても大丈夫なのかと心配でしたが問題なしでした。
ウィキペディアをぱっと観たところ前作はアクシャイ・クマールと監督が同じだけどキャストは全然違っており、オーム・シャンティ・オームのシャンティ役でおなじみのディーピカー・パドゥコーンなんかが出てるようです。
だったらそっちのほうが観たいわ!って感じですが、この“2”がなかなか良い映画でした。

この映画を象徴する手法は、対照的な2つを並べるというものです。

登場人物の多い作品なのですが、冒頭の登場人物紹介でこの手法をさっそく役立てるのが面白くて、最初は動物愛護の女性職員二人が大ゲンカしているのを観た第三者が
「あれがいとこ同士?そしたらその母親はどうなるんだ?」
すると今度はその母親同士が病院でケンカしているシーンになり、それを見た第三者が
「あれが義理の姉妹?そしたらその夫はどうなるんだ?」
となって今度はその夫同士(最初のいとこ達のお父さん同士)のケンカシーンとなり、家族ぐるみでいがみあっているやつらが主人公の話だということすんなり理解できる上に、がっつりコメディな雰囲気に入り込むことができるというスグレモノな冒頭なのであります。
軽快な登場人物紹介は素晴らしかったですな。

その家族を結婚詐欺にはめようとするやつらの紹介もその手法を使っていて、映画全体から何ともおかしな雰囲気が出ているのがたまらなく面白かったです。
「あいつは危険すぎるだろ、マックスは!(マックス!)」
「あいつは危険すぎるだろ、サニーは!(サニー!)」
とっても馬鹿馬鹿しい雰囲気なのですが思い出すだけで楽しいです。

『こんな風に対になるキャラクターをセットで紹介されればわかりやすくていいよねー』なんて思ったものの、中盤になると「本当に付き合っている人とは別の人と婚約しているフリをしている」という複雑な男女4組になり、人物と関係を正確にとらえるのはもはや無理になります。笑
ただ詳細を理解して見ないと楽しめないような複雑な話ではなく、むしろそのカオス感を楽しむ映画なのでもう笑いが止まらないです。

映像に関しても、何度も出てくる左右対象の画がとっても面白い。
隣同士に住んでる家族の玄関も左右対称だったり、大富豪の広い広い家が不自然に左右対象だったりと、その世界がとっても愉快。
くだらないコメディなんだけど、作品を象徴するフォーマットを確立して、それを繰り返すことで面白さが出てくるという作り込まれた作品でした。
どちらの娘が大金持ちと結婚するかということが大問題となる映画でしたが、恋愛結婚が認められるようになってきているとはいえやはりインドでは結婚は家族の問題であり家族のステータスに関わることだからこそ、こそこういう映画が出てくるんでしょうね。

日本ですら微妙な人には微妙なのに、さぞかしデリケートな問題をよくぞこれほど気持ちよくコメディに仕上げることができました。
ザ・コメディ映画って感じと言えばチープですが、徹底した【型】が楽しい上質なコメディでした。
今回のIFFJの中でも特に面白い方だったぜ。

マッキー【したまちコメディ映画祭in台東】

2013年09月20日 22時58分25秒 | インド映画


来月公開されるインド映画の『マッキー』をしたまちコメディ映画祭で一足先に観てきました!

上野公園で開催なのだが、映画館じゃなくて音楽堂っていうオープンな舞台での上映でした。
名前から察するに普段はコンサートとかやるところなのだろうか。
屋根はあるものの、横はオープンだから街中に爆音を響かせまくりだし、逆に静かなシーンでは外から車の音が聞こえてくるような感じで、映画を観る環境としてはかなり特殊でした。
だけど開演前には綺麗なオレンジ色の夕焼けに包まれて、すっかり夜になると秋を感じさせる良い風が吹いて、思っていた以上に気持ちのいいシアターになっていました。
息を吹き込んで膨らませるビニールのクッションが配られるという優しさも嬉しかったです。



ビニールのクッションともうひとつ、クラッカーも配布されました。
インド映画を上映する方式としてにマサラ上映というものがありまして、静かに鑑賞するのではなく、歌って踊る陽気なインド映画に合わせて観客も一緒に盛り上がろうというものなんですが、実際には映画に合わせて踊れるほど日本人は陽気な民族ではないわけです。
とはいえインド映画の上映中は内なる盛り上がりは最高潮に達するわけで、紐を引っ張るだけで大きなサウンドと陽気な雰囲気を出すことのできるクラッカーは日本のマサラ上映に必要不可欠なものなのです。
オームシャンティオームが渋谷のアップリンクでマサラ上映されたときもクラッカーが配られましたが、やはりマサラ上映にクラッカーは必需品です。
今作「マッキー」はオームシャンティオームほどダンス&ミュージックにウエイトを置いたお祭り感があるタイプの作品ではないので上映中に立ち上がって一緒に踊るようなことは困難なのですが、クラッカーを鳴らすことぐらいならできる!ということでせっかくのマサラ上映を楽しむのに非常に重宝しました。
(今回は「ライブアクション上映」という名前で呼んでました)

ということで気が付くと映画の内容の話に入る前に長々と書いてしまっているわけですが、とにかく面白いコメディ映画でした!

「マッキー」というのはあっちの言葉で「ハエ」という意味で、映画の主人公はなんとハエです。
プライドの高いマフィア(?)が惚れた女の子と仲良くしていたために嫉妬されて殺された男がハエに生まれ変わって、そのマフィア風の悪者にコミカルかつ徹底的に復讐する映画です。

まず面白いのが、ハエの復讐の基本は耳元でブンブンやるだけということです。
最初は「くだらねぇww」って感じなのですが、眠ろうとしてもブンブン、仕事中もブンブン、いつでもどこでもブンブンやられて徐々に徐々にやつれてくるマフィアを見ていると、そのくだらなさに爆笑しつつ「これは辛いだろうな…」と観ている方までダメージを食らいます。
インドも日本も自殺大国なわけですが、こういうストレス系の復讐に効き目のある文化に共通点があるのかも。

サウナマシンに入って両手足をロックされ、ブンブンし放題の無防備な状態になるシーンでは、実際にブンブンする前から会場中からクスクス笑いが起きました。
実際ブンブンされてサウナマシンを飛出し全裸で怒り狂うシーンでのモザイクの感じだったりと、序盤は特に本当に笑わせてもらいました。

後半はそういうジャブを浴び続けて精神的におかしくなったマフィア男が徹底的にハエと戦うのですが、事情を知っている観客としては一見合理的な対策が、映画内の他の登場人物から見ればハエに対する嫌悪感が異常なおかしな行動ばかりで、そういう客観性を取り入れてくるのも面白い。
バトルもどんどんエスカレートしてくから、ハラハラドキドキ的な部分もエキサイティングでした。

もうひとつ面白いのが、ハエに感情移入させられて、ハエが人間に度を越したイタズラをしたり、人殺しを企んだりするのを応援してしまうというところ。
今回はマサラ上映(ライブアクション上映)なので観客の反応が大きく、盛り上がる点は全体で雰囲気を共有しているわけですが、結構な人数がハエの復讐を応援している空間の非日常な感じが楽しかったです。
「オレたちはなぜハエの人殺しを応援しているのだろうか」という一歩引いた視点の自分もいるのですが、そいつはそいつでハエを応援する自分を観て笑っているという多重構造が起きるもの醍醐味でした。

あとは、インド映画としては短い2時間5分という上映時間もいいですな。
やってる復讐はだんだん結構エグいものになっていくわけですがあくまでコメディなわけで、軽めに楽しめるボリュームであることというのは大切なことです。

ちなみにこの前やっていた「きっとうまくいく」はヒンディー語映画で歴代ナンバーワンのヒット作とのことでしたが、「ロボット」はタミル語でナンバーワン、そしてこの「マッキー」はテルグ語映画でNo.1だそうです。
同じ国の言葉のわけですが、ガッツリ違う言語なんですかね。

「きっとうまくいく」「ロボット」は1位っぽい雰囲気があるけど、「マッキー」の不謹慎な感じのコメディが1位というのもこれまた興味深いですな。
日本はなんとなくコメディがバカにされてるフシがあるので、そこまでメガヒットになるような邦画ってなかなかないと思う。
ただ洋画だと「テッド」がレンタル開始からの初動が「アバター」を超えて記録更新したらしいとかあるから、コメディが今来てるのかもしれないなー。

ということで10月26日から本格公開になりますが、心からイチオシの作品でした。

きっとうまくいく

2013年06月13日 22時53分38秒 | インド映画
傑作ぞろいのボリウッド映画の中でインドでの興行収入歴代第1位の「きっとうまくいく」を観てきた。

インド人ってどちらかというとスローライフなイメージだったのですが、実はとっても過酷な競争社会。
カーストに関わらず一流の工科大を出ればエンジニアとして金持ちになることはできるのですが、その大学に入るのがまずめちゃくちゃ困難で、インドでトップの大学の合格難度はなんとマサチューセッツ工科大よりも上。
その受験地獄になんとか勝ち抜いても、就職は成績順に決まるため卒業まで学校の中での競争もとっても熾烈。
「優秀な成績をとって家族を養わないと!」という本人の意気込みもさることながら、一流エンジニアを育てて一家の稼ぎ柱にするために家計の多くをその子の教育費につぎ込む家庭もあり、家族からのプレッシャーもあったりして、とっても圧力のかかる環境であるため実はインドは世界一の自殺大国なんだそうです。

この映画の舞台はそんなインドの一流工科大学で、その背負ってるもの大きさや過酷さがよくわかる。
だけどそういう教育問題に警鐘を鳴らす社会派映画とかそういうのではなくて、ベタな笑いやちょっとした謎解き要素に包まれた超楽しい青春映画。
だから気楽に笑いながら見られるし、サスペンス的な要素もあるようなエンターテイメント性の高い映画なのだが、その一方で号泣必至の感動的な映画でもあるのがこの映画の素晴らしいポイント。

苦悩しながら成長する登場人物を観ていると大粒の涙をせき止めることができなかった!
ファルハーンが写真家になりたいと父に打ち明けるところ、ランチョーが宇宙ペンを授かるところ、まさかインド映画でこれほど号泣するハメになるとは思いませんでしたよ。
出産シーンも良かったし。
将来自分の子ができたらやりたいことをやらせてあげたいというか、やりたいことを見つけられるように手伝ってあげたいものですな。
「きっとうまくいく」ってキーワードでも素敵だった。

あとは小ネタ一個一個がくだらなくも面白くて、ションベンを感電させる攻撃とか、ソースで高価なものを汚す攻撃などの同じネタを何回もやるといギャグに味が出てくるものだね。
めっちゃ序盤に出てきた007のモノマネみたいなのも面白かった。

インド映画としてはクセが少なくて、割と誰が見ても絶賛しそうなボリウッド映画の大本命なんじゃないだろうか。
インド映画恒例の歌と踊りに関しては良くも悪くも控えめで、「ラ・ワン」にも出てたカリーナー・カプール演じるピアとランチョーがラブラブになる曲(「 Zoobi Doobi 」)は最高だったけど、ロボットとかオームシャンティオームほど音楽に重きは置いていない感じ。
今回は町山智弘と日本で働くインド人の方によるトークショーも見れてお得でした。

それにしても大学生のランチョーを演じたアーミル・カーンは40代とは思えないし、これの一個前の作品はガチムチの肉体で出てたというとんでもない俳優だそうな。

スラムドッグ$ミリオネア

2013年05月20日 10時12分03秒 | インド映画
最近インド映画にハマっているので観てみました。
といってもこの『スラムドッグ$ミリオネア』は製作国はイギリスで、監督はトレインスポッティングのダニーボイルなのでインド人ではないのだけど、話の舞台がインドでキャストやスタッフにインド人を多用してることから「インドキター!」ってのを当時全世界に知らしめた作品だったんじゃないかと思います。(知らんけど)
いずれにしても“インド映画”とは呼べないんでしょうが、第81回アカデミー賞では作品賞を含む8部門を受賞という大成功した作品です。

クイズミリオネアで全問正解の一歩手前まで行った若者がイカサマの疑いで逮捕されちゃって、取り調べを受ける中でスラム育ちの彼の人生が語られるというもの。
幼少の頃からの忘れられない出来事の中で知った事柄が運命的にも次々に出題されるといううらやましいお話です。

エンドロール以外で歌&踊りのシーンはなくインド要素は少ないものの、生き別れた幼馴染を想い続けるピュアな感じと、スラムの苦い経験から運命を引き寄せる感じが良かったり、始まり方と終わり方の繋がりが良かったです。
キスシーンのストップモーション&冒頭で出た問題の回答を出すっていう終わり方が好きで、「良い映画だったな」とホクホクさせられました。

ということで普通に良い映画だったのですがなんとなくモヤモヤするところもあり、ライムスター宇多丸のシネマハスラーでこの映画が解説された回を聞いてみるとこれがとってもスッキリさせられる!
普通に良い作品であるというところも示しつつ、
・脇役のキャラが全然立ってない!
・「問題が出る→それを知ったエピソードが回想される」の繰り返しがしつこくて飽きる!
・しかもそれだったら司会者の嘘を見破るのにもスラム育ちの経験が生きてたってしろよ!
・テレフォンで彼女と話せちゃったんだから後はミリオネアやる意味ないじゃん!
など、あと一歩もの足りなさが残るポイントを指摘してました。
それにしてもいま聞いてみると最近の宇多丸よりもずっと辛口でした。

そんなわけで、「アカデミー賞で作品賞を含む8部門を受賞!」なんていう高いハードルで観ると気になる点があるにせよ普通に良い映画でした。
参考までに世界的映画評価サイトロッテントマトを観てみてもトマトメーターがなんと94という好評でした。
ちなみに、その他のインド映画をトマトメーターで確認すると、

       批評家の評価  観客の評価
ムトゥ 踊るマハラジャ  なし      84
ロボット         67      78
オームシャンティオーム    86      78
ラ・ワン          79      49
命ある限り       100      68
きっとうまくいく    100      92

というわけで「命ある限り」がめちゃくちゃ高評価なのと、ラ・ワンの低評価ぶりにビックリ。
ロボットもオームシャンティオームもさほど高くないところを観ると個人的にはあまり信頼できない採点で、日本ではいま公開中のきっとうまくいくがめちゃくちゃ高評価なのも楽しみととるべきか怪しいと感じるべきなのか微妙なところ。

というわけでインド映画の話が逸れましたが、当時アカデミー賞をはじめとした各映画賞総なめにした有名映画でした。

ラ・ワン

2013年04月20日 17時25分28秒 | インド映画
「恋する輪廻 オームシャンティオーム」が最高だったので、同じくシャールクカーン主演のインド映画「ラ・ワン」をDVDで観て観ました。
ちなみにインドではオームシャンティオームよりも後に公開された作品です。
ロボットとオームシャンティオームは生涯ベスト級に面白かったけど、いくらなんでもそんなに最高な映画ばっかじゃないだろうなーと冷めた予防線を張りつつ本当はめちゃくちゃ期待してドキドキしながら鑑賞。
信じられないことに、その2作並に面白かったです。

話としては、「ヒーローよりも悪役の方がカッコイイ!」という小2病の息子のために、ゲーム会社に務めるシャールクカーンはヒーローよりも強いキャラクター「ラ・ワン」を作る。
するとそのラ・ワンがゲームから現実の世界に飛び出して、シャールクの息子を殺しにきてしまう!
そこでヒーローであるG・ワンというキャラもゲームから飛び出して守ってくれるんですが、いかんせんヒーローよりも強い悪役として作られたラ・ワンに果たして勝てるであろうか!!
といった感じですね。

得体のしれない超強い敵が男の子を殺そうとしてくるのに対して、性能が低いバージョンが守るという構図は完全にターミネーター2でした。
また、IT世界の悪がグラサンかけて黒い長いコート着ているという画はマトリックスっぽくて、上体を後ろに逸らして攻撃を避けるというのもさりげなく出てきましたな。

そして何よりも「ロボット」のオマージュが楽しい。
大勢のチンピラ達の武器が磁力で取り上げられるという露骨に「ロボット」と同じ手法が出てきたと思えば、武器を取り上げたのはG・ワンでもラ・ワンでもなく、「ロボット」のチッティなんですな。笑
そしてそのチッティが女性にキャーキャー言われるという超展開は最高でした。
また別の場面では「ロボット」の名シーンのようにシャールク演じるG・ワンが電車の側面を走るシーンもあり、「ロボット」がいかにインド本国でも愛されているのかがよく伝わりました。

「僕が死ぬ映画はヒットするんだ」とオームシャンティオームのときにシャールクカーンは言っていたけど、この映画でも父としてのシャールクカーンはすぐにラ・ワンに殺されちまいます。
そして、死んだ父そっくりのヒーローキャラであるG・ワンを演じることになるのですが、オームシャンティオーム同様に二役を演じるシャールクカーンがやっぱり最高でした。
踊ってるときの表情が実に楽しそうでこっちまで楽しくなってくるんですな。
それと、僕は基本的に八重歯フェチなんですがシャールクは満面の笑みで踊ったときに見える八重歯が良いですね。
今回印象に残ったシャールクの動きはなんといってもパワーヨガの動きです。
話の中で出てきたパワーヨガの動きがその後のダンスの振りにもなるのが良かった。
酔っぱらって見てたのもあってTVに向かって一緒にやっちゃいました。

ダンスシーンで言えば、母(または妻)のソニアが最初は「あらあら何急に踊ってんのよー」的な冷めたスタンスを取っていたのに突然みんなと一緒に踊っているというところがあったのだが、その瞬間の「おぉーwww」って感覚がたまらんかった。
そんなことが当たり前になってる雰囲気が大好き。
オームシャンティオームは音楽が最高でサントラも買ってしまったほどですが、今作の音楽も実は同じ人がやっているとか。
「ロボット」も「オームシャンティオーム」も今作も音楽と踊りが素晴らしくって、ダンスシーンのない普通の映画が物足りなく感じるようになりそうで怖いです。
それなのに、もう一回楽しもうと「ロボット」のDVDを借りてきたら完全版じゃなくて肝心のダンスシーンがバッサリカットされていたのには絶望しました。
ちなみにパワーヨガの振り付けも観られる「Chammak Challo(チャンマクチャロー)」などのダンスシーンはユーチューブに上がってて観れます。(→http://www.youtube.com/watch?v=c92dwpeNqyU)

エンドロールで流れるメイキング映像でアクションシーンの撮影が見られるんですが、とんでもない想いで撮っているんだなぁということがよくわかりました。
基本コメディだと思って観てたけど、考えてみれば生身のアクションシーンもすごかった。。。
ロボットみたいな奇想天外なCGアクションとはちょっと違うけど、カーアクションやら吹っ飛ばされアクション、あとはソニアの体を器用に操って大勢のチンピラと戦うとことかが楽しかったな。

さてさて「ロボット」「オームシャンティオーム」に続いて「ラ・ワン」もとんでもなく面白かったというわけで、少なくとも日本で公開されるほどあっちで人気が出たボリウッド映画の水準はちょっとした邦画・洋画のヒット作を大きく上回っていると言って間違いないんじゃないでしょうか。
ボリウッド作品は今後ますます要チェックですな。

恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム

2013年03月20日 01時44分41秒 | インド映画


現地インドで大ヒットだったという「恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム」を先ほどシネマライズで観てきました。
昨年の「ロボット」でボリウッドがいま信じられないほど勢いがあることを知っていたため今作は過剰過ぎるほどの期待にドキをムネムネさせて鑑賞に臨んだのですが、そのハードルすら低すぎるほどめっちゃくちゃ面白かったです!

序盤は、過剰な演技や豪華なセットと衣装、くだらない会話、そしてボリウッドならではの歌と踊りが理屈抜きに楽しいのですが、この無意味に見えた全てが「輪廻」することにより後半は非常に味わい深い独特な映画となります。
やっていることは「あの野郎、生まれ変わったらボッコボコにしてやる!」という幼稚な発想なのですが、それが半端ないクオリティと噛み合うことで最高のエンターテイメントとして完成していました。
また、「強く願えば叶わないことはない」「ハッピーエンドじゃないと終わらない」なんていうセリフが、酔っぱらいの戯言から非常に胸を打つセリフに生まれ変わっていくところも素敵でした。
登場人物が生まれ変わって「輪廻」にするだけじゃなくて、細かな場面やセリフを別の状況で繰り返すことにより「輪廻」させる手法がとっても楽しかったです。

たったの2時間50分画面を眺めているだけでこんなに楽しい気持ちにさせてもらえるだなんてありえない!
このブログは普段は自分の好きなタイミングに好きなことを勝手に書いて、特に人に勧めるなんてことを考えているものではないのだけど、今回この映画だけは1人でも多くの人にオススメしたいです。
もしまだ未見であれば、騙されたと思って観てきてほしい作品です。