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晴れた日こそ映画を観る

24歳会社員による映画感想ブログ。出かけたと思ったら映画館というインドア派です。

名画座で「エイリアン」観てきました。

2012年10月07日 17時35分02秒 | 映画(再上映作品)
ロッテントマトで100%というたいそうな高評価をつけられているジェームズキャメロン監督の「エイリアン2」が気になっていたのですが、前作にあたる「エイリアン」がちょうど劇場で観れるということだったため名画座で観てきました。

自分が生まれる10年近くも前に作られた映画ということで、歴史的名作に劇場で初めましてできたこと自体になんかワクワクした。
でも正直言うと素直に楽しめるっていう感じではなかったかな。

序盤は宇宙船のベッドやら部屋やら廊下やら食べ物なんかをこれでもかってぐらい見せ付けて、宇宙船内のディテールを強調してくるんだがこれが非常に「2001年宇宙の旅」っぽい。
ああいう舞台装置は確かにすごいけど、舞台を作り込む目的は映画の世界観に観客をスムーズに引き込むことであって、「どうですスゴイでしょう!?宇宙船ってこんなんじゃないですか?!ねえ?どう?どう?」みたいにゴリ押しされるとちょっと引く。
「ブレードランナー」でもそうだったけど、リドリー・スコットは美術とか映像美とかによる世界観の表現力が魅力であると同時にやたらとそれを押し付けられるのがちょっと面倒くさい感じがするなあ。
ただそれは30年過ぎた今観るからであって、CGとか3D技術でいくらでも画を作れる今とは違って当時から考えれば実現不可能と思われたSF世界のルックをあれほどまでに表現した映像を「じっくり見たい!」という需要がかなりあったのでしょうな。

今見ると安っぽく見えるという話でもう一つ思うのは赤ちゃんエイリアンの形。
寄生した隊員の腹を突き破って出ててくるエイリアンと、明らかに糸で引っ張られてるっぽいの移動の仕方は結構安っぽい。

また、全体のテンポは結構ゆっくりしててエイリアンを捜してるはずが途中からなぜか飼い猫のジョーンズを探すことになり「出ておいでー?ニャーオー??」とかやってる時はもうおれ寝ちゃいそうだった。

とはいえ話の大筋は面白くて、エイリアンにやられた隊員を船に入れて看病したり、エイリアンの生体について一見頑張って調べてたアッシュが実はロボットで、乗組員がいくら死んでもいいからエイリアンを地球に持ち帰るようにプログラムされて送り込まれていたことが明らかになった展開は燃えました!
(だったら最初からロボットだけ送っとけばいいじゃねえか!とも思うけど。)

ちなみに宇宙船の描き方について似ている「2001年宇宙の旅は」はエイリアンよりもさらに10年前の作品ということで、当時革新的な画だったというよりはオマージュ的な感じなのかな?
ということで、時代の違いやちょっと期待しすぎていたせいもあり個人的には乗れない作品でした。

その流れで「エイリアン2」観たけど、これまた期待し過ぎ&時代違い過ぎであまり楽しめなかった。。。
こっちの場合はジェームズキャメロンの好きな「強い女像」がなんとなく不快に感じたというのもある。
男だらけの軍隊に混じり一番しゃしゃってる女って「強い女」として魅力的でしょうか?
女軍人のバスケスのキャラが好きかどうかで好みが分かれる部分はあるでしょうな。

ジェームズキャメロン監督ということ以外情報を入れずに観たためエイリアンから逃げながら愛を育むターミネーター的な展開を勝手に期待しており、案外真面目な「エイリアン」の続編をだったことにガッカリしちゃいました。(勝手すぎるのはわかってるけどさ)

というわけで超楽しみにしていた「エイリアン」と「エイリアン2」ですが、不朽の名作とはいえ今初めて観た人が「おもしれー!!」ってなる感じではないんじゃないかなと思った。

最強のふたり

2012年10月03日 22時36分25秒 | 新作映画(劇場で鑑賞)
全身麻痺で首から下が全く動かない金持ちじいさんを不良っぽい黒人の若者が介護して仲良くなる実話に基づいたフランス映画の「最強のふたり」(英題:「Untouchable」)。
邦題が安っぽいし障害者モノは苦手なのでスルーするつもりだったのだけど、「アメリ」を抜きフランス語映画では世界歴代1位の観客動員数を記録したということと、映画の日で1000円だったこともあり会社の同僚に誘われるがままに観てきました。
予想してたのと違ってなかなか愉快な作品だった。

予告編では富豪じいさんが使用人のくせに無礼者の黒人のことを「彼は私に気を遣わない。そこが好きなんだ。」と話すシーンがあり、てっきり「金持ちだけど孤独な老人と、本当は心優しい黒人の若者が心を通わすハートウォーミングストーリーか何かでしょ」なんて予想していたのだが実はコメディ映画で、ギャグ盛りだくさんのブラックユーモラスな作風だった。
じいさんの障害をイジりまくる無邪気なドリスと、もっとイラついていいのでは!?ってほど何をされても楽しんでしまう心の広いドエムじいさんフィリップの絡みがとにかく笑えて満席の劇場でかなりウケてた。

特に黒人のドリスの方はセリフの言い方やら仕草がほんとに面白くて、フランス語で何言ってるのかはさっぱりわからないのに不思議なほど笑わされてしまった。
ひょっとしてコメディアン出身のひとなのかな。
ドリスが豪華な部屋で乱暴に絵を描いてたら飾ってあった高価そうな絵に絵具が飛んでしまったり、パラグライダーやらタイツを履かせる仕事やら「そんなことオレは絶対やらないからな!」→やってる。みたいな演出だったり、木の恰好をして本格的に歌い上げる本場のミュージカルを小馬鹿にしてみたり、下ネタなんかも満載でとにかくあの手この手で笑わされた。
また、オーケストラ演奏に飽きたドリスがアイポッドで曲を流して踊り始めるとそのダンスが妙にうまくて、スタイルも良いから普通にカッコイイってシーンにもなんか笑っちまった。
だから観てて本当に楽しかったし面白い作品であることに間違いはないんだけど、それにしては良い映画を観たっていう満足感がそれほどないような気もする。
どちらかと言えば面白いコントを観た時みたいな気持ちに近いような。

「ハングオーバー!」みたいにその状況自体が面白くてストーリーにも引き付けれらるタイプのコメディ映画ではなく、ドリスとフィリップのキャラクターにひたすら引き付けられる映画なのでその意味では「最強のふたり」って邦題もあながち間違いではないのかも。
とはいえストーリーとしては予告編以上のことは何も起きないから、その場ではめっちゃ笑えたけど結局印象に残るシーンは意外と少ない。

そもそも「ドリスって確かに面白くて良い奴だけど、四六時中一緒に居て世話されるにはさすがにうざくね??」という根本に乗れなかった感もある。
フィリップだからこそ仲良くなれた話なんだから当然なのか、それともアメリカンジョーク大好きな欧米人は全然ドリスを受け入れちゃってるのか、はたまた日本でも普通に受け入れられているのかは気になる。

というわけでお話はシンプルだけど、ドリス&フィリップのナイスガイに出会えるユーモラスな作品だった。

カラフル(原恵一特集)

2012年10月02日 00時00分00秒 | 映画(特集)
「おおかみこどもの雨と雪」を観てアニメ映画も面白い!!!と気付き他の傑作を探ってみたところ、細田守作品とディズニーピクサー関連を除いたアニメの名作として唯一大好きだった「オトナ帝国の逆襲」と「戦国アッパレ」等のクレしん映画を監督した原恵一監督の作品が見つかったので、原監督の映画をちょいと観てみようと思う。
(ちなみにアニメの名作ながらジブリ作品はあまり好きじゃない。)

そこでまず観てみたのがこの「カラフル」。
お話としては、主人公は重罪を犯して死んだ魂なんだが運よくチャンスをもらい、自殺した中学生男子の魂と入れ替わりにもう一度生きられるというもの。
ネクラ過ぎる中学生に乗り移ったのに普通の振る舞いをしちまったために、普通にしてるだけなのに周りに驚かれ「どんなやつだったんだよ、コイツは!」ってなるのは名シーン。

「誠くん」がどんなやつだったかも知らないまま誠くんの姿で援交女子の邪魔をしたり髪型を変えたりするまでは本当に面白くって、アニメ映画ってあんまり知らなかったけど本当に面白いんだななんて思った。
それなのに後半がほんとにひどくて、前半からのギャップがここまでひどいのは初めてなぐらい残念だった。

一番引いたのは家族ぐるみで絵だけは上手な誠に美術専攻のある学校を進めるシーン。
母「お兄ちゃんは以前は真のことなんて気にしてなかったのにこの学校を見つけてくれたのよ」
父「母さんだって、前はスーパーの惣菜ばかりだったのに料理するようになったじゃないか」
兄「父さんも前よりよくなったよ!」
みたいな気持ち悪い持ち上げ合いの説明ゼリフで家族が急にうまくいき始めたことを互いにたたえ合う感じに悪寒が走った。
また「自主自立」、「考」など生徒の自主性を尊重するワードが散りばめられた学校案内が気持ち悪くて、自殺未遂するような子がそんなとこに入ったら自分という存在のくだらなさに悩まされて絶対また自殺を図ると思うよ。
(おれの卒業した高校も「自主自立」的なことを謳った自由な校風だったのである)

だからそういう間違った意味の「自由」を批判する方向に持っていくのかなと思ったらそれはそれで普通に良いものとする感じだし、誠君も全然違う方で反論するからどんどんわけわからなくなる。
誠「ボクは最近仲良くなった友達がいて、その子と同じ高校に行きたいんだ!」
こんな許すまじゆとり発言と、それに言いくるめられる家族一同に心底ガッカリした。
「高校に入って価値観が変わったらどうせ仲良しのままじゃなくなるし、いい友達なら高校が変わっても仲良くできるぞ!」って将来子供ができたときにに強く教えられる気がするのは中高一貫でない学校に通ってた者のささやかなアドバンテージなのだろうか。

そもそも生徒の自主性を重んじる学校を「進路とかどうでもいい」っていってる子供に勧める時点で危ない。
何も決められない人間に決断を迫る高校生活を押し付けるんだぞ?
子どもなんだから自分で決断できない子が多いのは普通だし、変な規則のある学校は別としてもある程度教育しようという姿勢を見せる学校にいったほうが絶対いいと思うなあ。

というわけで、自分の価値観から決して認められない作品でした。
前半までは本当に面白かっただけにめっちゃくちゃ残念でならない。
「クレしんなんかで泣いちまったぜ!」ってさせられた監督とは思えない後半で、前半がめちゃ面白かったこともあり非常に残念だった。
「前半面白かったのに後半ひどいアワード」があったら各賞を総なめにするはず。

おおかみこどもの雨と雪

2012年10月01日 00時00分00秒 | 新作映画(劇場で鑑賞)
もう上映を終了してしまった映画館も多いけど、もしまだ観てないのなら絶対に超オススメの傑作映画「おおかみこどもの雨と雪」。
同じく細田監督の「サマーウォーズ」や「時をかける少女」に比べてもスバ抜けて素晴らしかった。

サマーウォーズも本当に素晴らしくて、アニメ映画ってこんなに面白いことがあるのか!って驚いたくらいだったんだけど今作は方向的にちょっと違くて、サマーウォーズが「楽しい作品」だったのに対して今作は「人生の一本」になってしまいそうなほどの意味を感じる映画だった。

「母」の教科書的な作品というか。
これほど人間離れした偉い親になれるひとはなかなかいないとも思うけどやっぱり素敵ね。

自分に子供ができたらまた観てみたい作品。
自分の立場やら状況によって感じ方が違いそうな、これぞ子供から大人まで楽しめる作品。
それから焼き鳥が食べたくなる作品でもある。

キャストに関しては、宮崎あおいの声優としての資質のすごさにびびる。
俳優で出ると「ハイハイ宮崎あおいねハイかわいいねハイハイ」と過小評価されがちだけど、今回ばかりはアンチも批判の仕方に困るのでは。

めっちゃ良い映画でした。