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晴れた日こそ映画を観る

24歳会社員による映画感想ブログ。出かけたと思ったら映画館というインドア派です。

フィッシュストーリー

2011年08月25日 21時15分03秒 | 映画(未分類)
監督:中村義洋、原作:伊坂幸太郎
出演:伊藤淳史、高良健吾、多部未華子、濱田岳、森山未來、大森南朋、石丸謙二郎

原作を読み終わるや否やビデオ屋に駆け込んでDVDを鑑賞したった。

原作は会社の同期に「短編集じゃなくて明るい本貸してくれ」って言って借りたもので、一見短編集だから最後にすべての話がつながるのかと思ったらてすげえなあと思って読んでいたら割と普通に短編集だったからびっくした(笑)
だけどすごい面白かったのでいいのである。

映画のフィッシュストーリーは、井坂幸太郎の文庫本で言えば「フィッシュストーリー」に収録されている「フィッシュストーリー」という作品を映画化したもの。
売れないバンドマンの曲が巡り巡って世界を救うことになる、とだけ言えば安っぽくなるが、ベタでありながらなかなか面白いあらすじ。

映画と小説の違いは、世界を救う発端となる人間が原作ではバンドマンのところを、映画ではそのバンドが描く曲のもととなる小説の翻訳家に遡らせて、世界を救うことになる物事の発端をより人間のかっこ悪い部分に充てている。

ここでひとつ宣言しておくと、原作も面白かったけど映画の方が内容的に一枚上手だったと思う。
もちろん映画は後出しで小説をもとに作ったものだからそうなっても仕方ない部分もあるのだが、始まりの小ささと世界を救う規模の大きさがやっぱり違う。
文庫本とスクリーンぐらい違う。

やっぱ映画化するときって派手にするんだろうな。
「世界を救うこと」ってたとえばなんだろうって考えた時に、「隕石で地球が破滅するのから救う」ってのは派手だよな。
ただベタすぎるというか、ありがちな感じになるというか、小説だったら野暮に感じてしまうのかもしれない。
逆に「サイバー犯罪からのセキュリティ」みたいな小難しい実感の湧きにくい話で映画化はあまりに地味なのも確か。

映画と小説を比べて思ったのは、やっぱり表現しやすいものが違うんだろうなってこと。
原作ではバンドの最後のレコーディングの時リーダーの繁樹の目線で各メンバーの普段と違う面だとか、気持ちがわかっていいんだけど映画だと全然そうじゃない。
だから小説では「繁樹目線」みたいな場面だったものが、映画ではそこまで繁樹ばっかりというよりもバンドのシーンって感じ。
バントのシーンとはいったもののプロデューサー役の大森南朋はよかったな。
もっと太ってて能天気な感じのキャラかと思ったけど、カッコイイようなどうしようもないような味のあるオヤジだった。

なんてバンドのシーンのことばかり書いてしまったが、この映画はそれ以外にもシージャックのシーンとレコード屋のシーン、そして山中で女性を助けるシーンがある。

原作にはないシーンが多くて忠実じゃないような、ある意味あの世界を映画で表現したような、とにかく話自体に違いがあってもあの小説の醸し出す雰囲気は映画にもあったと感じる。

シージャックのシーンで相手のグルの乗客のチョイ役の役者がが「アヒルと鴨のコインロッカー」で隣人役で出てたチョイ役と同じ人ってのやら、同じやつがでてくるっていうところで妙な井坂っぽさを間違って感じ取ってしまったのはおれだけでないはず。

石丸謙二郎が地球最後の日にレコード屋に入るシーンもよかったな。
映画の一番いい部分としてあげる感じではないし原作にもないけど、映画「フィッシュストーリー」の表現する魅力を強調させている。

原作もよかったけど、そのあとに見るのにちょうどいいような、原作のエッセンスを別の形で表現したような非常にいい映画だった。

うさぎドロップ

2011年08月21日 20時00分43秒 | 映画(未分類)
監督:SABU 脚本:林民夫、SABU 原作:宇仁田ゆみ
出演者 松山ケンイチ、芦田愛菜、香里奈

おじいちゃんの隠し子を引き受けて育てることになるアラサー男子。
カッコつけて引き取ったはいいが仕事もあるしいろいろ苦労して、それでもなんとか頑張りつつ幸せに過ごしていくハートウォーミングストーリー。
キャッチコピーは、「まわりを見渡せば、世界は愛で溢れてる。」

「あったかい気持ちになる」的な映画ほどうさん臭くてくだらないつまらなそうなものはないけど、これだけは認めてほしい。
こういうジャンルでは今まで見た中で最高傑作だと思う。
どんなジャンルかといえば、ストーリーは簡単で気張らず楽に見れて、映画通に叩かれやすそうなハートウォーミングストーリー邦画。

いま流行の育児男子、略してイクメンが主人公なわけだけれども育児ってやっぱ大変なんだよな。
おねしょの処理したり、遊んであげたり教育したり。
それプラスいつも通り仕事はやらなきゃならない。

フィクションながらなにより感心したのはマツケン演じる大吉のオンオフの切り替えのすごさ。
あんなに大変な想いしてりんを育てながら仕事場ではめちゃくちゃバリバリ働く姿にホレちまった女子も多いはず。
男子であるおれですら惚れた。
ああやって子育てとの両立ができるのは仕事ができて職場の人間関係もいいからこそなわけで、たぶんこれまでもなんでも全力で真剣にこなしてきたような人だからうまく子育てもできるんだよなっていう妙な説得力を映画のあらすじに宿らせてる。
マツケンにしがみつく愛菜ちゃんを見て、それだけアンタを頼りにされてるってことだよ的なことを香里奈に言われて号泣するシーンがあったけどが、懐いたのは死んだじいちゃんに似てるからってだけではもちろんなくて、誰だって心を開きたくなるようなイイ男なんだわ彼は。
残業のない部署を変えてくれってのも優秀だから言えるわけで、無能だったら「イヤならやめろ」で終わりのむなしい社畜人生の結末ですわ。
何はともあれ親になったらお手本にならなきゃいけないわけだから、子供が生まれるまでにしっかりした人間になって万全の態勢でその誕生を待ち受けてあげないとな。とか思わされた。

そういった役のおいしさに加えてこの映画をとんでもなくいいものにさせてる一番の大きな要素は間違いなくマツケンの演技。
芦田愛菜ちゃんの実の母にメールするシーンやら、「ゆりかご保育園遠いよーーーーー!」のシーンなど、育児の辛さを適度な笑いに変えてくれる演技力がないとこの映画は台無しになったんじゃないかと思う。
鋭い突っ込みも下ネタもなくて、ただ安らぎを与えてくれる笑いってなかなか貴重。

演出に関しても、妄想の中で突然香里奈と踊り出すシーンとかああいうの超大好き。
しかも踊りもそこそこハイクオリティで、長時間たっぷり目だったけど飽きるどころかこの映画の世界に引き込まれた。
安易に優雅っぽい感じのセットがまた笑わされる。

それと、ちょっと重めで複雑そうな設定に対してやり過ぎなぐらいの明るさもこの映画の魅力だと思う。
願いを出して異動した新しい部署のイクメン元ヤン兄ちゃんズがめちゃ素敵なんだわな。
そいつらに関しては特に深く掘り下げられることはないもののいろいろ励みになってくれるいいやつらで、「チャラチャラと避妊もせずに彼女を孕ませちゃったけど子供が生まれてから愛ってものに目覚めたんだろうな」なんて裏設定を妄想させられるハートウォーミング。
茶化したような文章しか書けないけど、ほんとに気分の良くなるいい映画だった。
穏やかな日常こそが一番の幸せなんだよね、ほんとうに。

あと見どころとしては衣装。
フラボアが衣装協力してるからおばあちゃんとかまでがさりげなくオシャレで、映画全体の見栄えをよくしているはず。

てか芦田愛菜ちゃんて告白で殺される松たか子の娘だったんだな。

将来子供ができても胸を張れるイイ男になれるように明日から一週間また頑張って会社にいくぞ!
って思える個人的には大好きな映画だった。

ガタカ

2011年08月11日 21時46分52秒 | 映画(未分類)
監督・脚本 アンドリュー・ニコル
出演者 イーサン・ホーク、ユマ・サーマン、ジュード・ロウ

遺伝子操作が普及して、生まれつき優秀な”適正者”とそうでない”非適正者”がいて、非適合者は差別されて就きたい職にも就けない未来っていう割かし現実的なSF映画。

運命は天に任せるべきだっていう親の意向で非適正者として生まれたビンセント。
生まれた時には寿命とかかかりやすい病気がわかるし、体力も知能も適合者より低い。
だめだこりゃってことでビンセントの両親は二人目の子供は遺伝子操作して生むことにした。

ビンセントは何をやっても適正者の弟に全然かなわないし、将来も暗い。
夢は弟と同じで宇宙飛行士になることだけど、これは遺伝子操作された適正者のなかでも特に優秀な遺伝子をもったエリートだけがなれる職業で、宇宙飛行士になるために体を鍛えることも勉強することも無駄だからやめとけってことになっちまう。

こんな科学の発展がもたらした闇にビンセントが立ち向かっていく。
弟以上の体力と、適正者のなかでもピカイチの知力を努力で身に付けた。
そして超エリート適正者の水泳選手だが事故で脚が動かなくなっちゃったジェロームになりすまして適正者として宇宙飛行士になろうとする!

SFはあまり見ないけど、かなり現実味があって面白かった。

ビンセントは体力も知力も努力で身に付けたんだから差別はやめろよって思う一方で、ビンセントみたいに殴ったり殺したりするような暴力性は生まれつき取り払われてる適正者とはやっぱり違うよなっていうのもわかる。
遺伝子操作できるようになったら間違いなく自分の子供にはするけど、寿命がべらぼうに長くなるようだから少子高齢化がより進んじまうな。

エリートな遺伝子のプレッシャーに耐えられなかったジェロームと、遺伝子のハンデに立ち向かったビンセントの対比。

才能もあって努力もできてプレッシャーの中でも活躍できるメンタルを持ったイチローみたいな人はやっぱりすごいんだろうな。


白雪姫

2011年08月07日 22時56分42秒 | 映画(未分類)
ディズニー映画であり、世界初の長編アニメーション映画らしい。

ハイホー!ハイホー!仕事が好きー!(口笛♪)
愉快じゃ愉快じゃ。非常に愉快。

ところどころひでえ話だなオイっていうグリム童話クオリティと、ハイホーハイホーの愉快さがたまらん不朽の名作。
初めて見たけど。

「おとぼけ」のいじめられっぷりがちょっとかわいそうなようなやっぱり面白いような。
意地悪なおばあさんんが怖いような、面白いような。
白雪姫が優雅でいいような、ちょっとうざいような(笑)

やっぱディズニーっていいんだな。
ストーリーなんて二の次三の次、何も考えずに愉快な気持ちにさせられちゃうね。

WE DIG!DIG!DIG!DIG!DIG!DIG!DIG!◎×△※!
ハイホー!ハイホー!ウェゴーホホマッウィワッ!ピッピッピッピーピッ、ピッピッピーピッピー♪ピッピー♪

打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?

2011年08月04日 23時17分18秒 | 映画(未分類)
監督・原作・脚本:岩井俊二 出演:山崎裕太、奥菜恵

あらすじ (ウィキペディアから抜粋)
小学生の典道と祐介は仲の良い友達だが、実は二人とも同級生のなずなのことが好きだった。しかしなずなの両親が離婚し、彼女が母親に引き取られて二学期から転校することになっているとは、二人には知るよしもなかった。 親に反発したなずなは、プールで競争する典道と祐介を見て、勝った方と駆け落ちしようと密かに賭けをする。 勝ったのは祐介か? 典道か? 勝負のあとから、異なる二つの物語が展開する。

8月末まで無料配信されてる中編映画。
子供だらけの映画の割に意外とハイクオリティだった!
子供の照れみたいなのとかきまぐれがうまく出てたし、子供の演技独特のやりとりの退屈さをあまり感じなかった。

プールの競争でノリミチが負けるバージョンを先にやって、もしもノリミチが勝っていたならばっていうバージョンの2パターンやる。
発想としてはバタフライエフェクトに似てるな。
あれは小さな選択が数年たったあと大きな変化を起こすっていうのをもっと何パターンもやるから、それに比べると今回はもう少しコンパクト。
選択した直後までしかやらないし、2パターンだけだし、何より上映時間が45分の中編映画だから。

話は面白いし、映像もなんか夏っぽくていい感じだし、やりとりの感じも悪くなくてハイクオリティなんだが、「映画」というにはやっぱり響くものがないかな。
単発のドラマとしてはめちゃめちゃ面白いと思うけど、特に心に残るものがないから映画としての要素は何かが足りてない気がする。

ただこれが17年も前の映画だと思うとすごいけどな。
バタフライエフェクトの10年前なんだから。
「小さな分かれ道でもし別の方に進んでいたらどうなっていたんだろう」ってやっぱり面白いテーマだと思うし、45分に収まってるってのもすごい。

ただやっぱり結局花火って横から見たら平べったいんじゃないだろうか??
あと奥菜恵が大人っぽ過ぎたり、クラスメイトの身長がバラバラでちょっと同級生には見えなかったな。
意外とほんとに同じくらいなのかもしれんけど。

このくらい短くて面白い作品をもっと見てみたい。

ブタがいた教室

2011年08月02日 23時13分41秒 | 映画(未分類)
監督:前田哲 出演:妻夫木聡

小学校のクラスでブタを飼って、大きくなったら食べましょう。っていうノンフィクション映画。
タイトルからして気軽でコメディタッチな感じかと思ったけど、結構まじめに食育とか教育について考えさせられる内容だった。

普段見て見ぬふりをしている「命の大切さ」と「食べていくこと」の矛盾。
「尊い命を頂いて人は生きてるんだよ」なんて説教じみたことはよくいうけれど、そんなこと気にしないでいた方が楽なことに間違いはない。

ブタを飼わないと食育はできないのか?ほかの先生はそうしなくても教えられているじゃないか?
「教科書で教えるだけの教育だから頂きますも言えない子供が増えているんでしょう!」
っていう妻夫木の反論も一理あるようで、もう世の中的に仕方ないことなのかなって気もしてしまう。

「金は命よりも重いんだ!」っていうカイジの言葉を借りるわけでもないけど、資本主義の世の中安くておいしくないものを残してもだれも損しないわけだ。
生物の尊い命を奪って食卓に運ばれてきたものであるにもかかわらず。
まあお行儀悪いし、なんだか残すのは嫌だなって自分で思えるのが当然だとも思うけどな。

とりあえず自分に子供できたら絶対食べ残しだけはさせないようにしたい。
それも「百姓さんに目をつぶされるぞ」なんていう古典的な説教ではなくて、どちらかというと今回の妻夫木的な方法で、まさに「いただきます」を理解できるようにしてあげたい。

なんて半分気まぐれで言ってみたものの命の問題って本当に難しい。
100g100円で売られるような命にたいした価値はないけど家族のようにかわいがってるペットには金をかけるからめちゃくちゃ価値がある、そんな金に操られた世の中。
そこんとこの矛盾がこの映画の肝。別に金がどうこうとは言われてなかったけどさ。
同じような例でいうとカブトムシはわざわざ夏休みに探しに行ってスイカをやるのに、ゴキブリは問答無用で殺す。
ゴキブリとかはきもいし、蚊とかハエは有害だからなって思うけど、同じくきもくて有害な引きこもりのカスニートには生活保護を与えて生き延びさせるし、何十人も殺したような重罪人も国の法律によっては刑務所で大切に生き延びさせる。

かといって罪人を死刑にするようだったら結局やってることは思想犯の殺人鬼と同じ。
殺すのが正しいかどうかは、多数派がそう思うかどうかの差でしかない。

なんていうふうにいろいろと屁理屈を考えさせられる映画だった。

食と命の話は置いといて映画の話に戻ると、さんざん勝手な持論を展開しといてなんだが、あそこまで愛情持って育てちゃうとやっぱり食べるのは違うのかなって気もしちゃう。
でも、あそこまで大きくなったブタを下級生に引き継ぐなんて無責任なことができないってのはもっと正論。
小さい頃から育ててればまだ愛着もあるだろうが、自分の体より大きくなっちゃってるわけだし、次の代の子たちにはとても飼えないっていうのは小学生らしからぬ正論。
それに、引き継ぐってことは殺して食肉にするタイミングを先延ばしにして、問題を人に押し付ける形になってるっていうのもその通り。

実際にはあそこまで子供たちがしっかり討議できてたとは思えないけど、間違いなくそれぞれが真剣に考えてある程度自分の意見を持って、それを言葉にして伝えるっていう経験をこの子たちはできたと思う。

おれみたいな塾通いゆとり教育世代は、「自分の意見を持つ」ことも「意見を主張する」ことも、「真剣に何かを考える」ってことすら苦手な人が本当に多いんじゃないかと思う。
そんなことこれまで生きてきて経験したことないから。

そういう難しいことのできる強い人間に育てられる教育法だとは思うけど、多くの学校ではあまりにも難しいというか、やりきれるような環境じゃないと思うな。
保護者はモンスターペアレントだし、学校だって事なかれ主義で、いくら児童にとっていい経験でも問題が多すぎる。
生徒だって個性を尊重するからいくらブタがかわいくたって一丸となって飼育にのめりこんでくれるほど素直じゃないだろうし、アレルギーとかもあるし、中学受験のために勉強に時間を割かなきゃならない子が多かったら放課後とか夏休みに輪番制の飼育をするわけにはいかないだろうし。
そもそも学校っていろんな種類のひとがおんなじ教室に押し込められて同じように一律の教育を受けて、一緒に遊んでっていうのが当たり前だけど、それ自体すごいことだよね。
別に会社に入ろうが何しようがある程度そういう面はあるけど、無作為に集められた割に強制的な連帯感がすごい。

ただまあそんな中で生き残れるようなやつが大人になっても生き残るんだろうから、教師はなるべく全員が生き延びられるような人間になれるように育ててやらなければならないわけで。
荷が重過ぎてできなくて当たり前な感じもするし、でも親としてはそこをなんとかやって欲しくてモンペっぽくなっちゃってる人も多いんだろうな。
もちろん真性のモンペは別として。

学校の教育とは別に、子供にどんな人間になって欲しいのかを親がちゃんと考えてあげることと、子供にもそれをある程度わからせることが重要なんだろうな。

なんていろいろと考えてしまったが、この映画の妻夫木が久々にイケメンすぎた。
結構いろんな特徴持った役をやる手前ただの男前ではいれないことが多い妻夫木だけど、今回に関しては不自然なほどのイケメン教師だった。
熱血で、おしゃれで、イケメン。

それと、先週血と骨でブタを殺して捌いて食うグロシーンをみたんだが、今回ブタのいた教室を見てる最中にあのシーンを何度も思い出して食うのは勘弁してやれって気分に流されちまった部分もあった。
血と骨の後を引くインパクトはすごい。
オススメはしないが。

なんて感じで最近で最も熱くさせられる面白い映画だったんだが、これを撮った監督の過去の監督作品でおれが見たことあるのは二つ。
「ドルフィン・ブルー~もう一度宙へ~」と「パローレ」
これはどっちもひどかった笑

静かに熱くなれる良い映画だった。

血と骨

2011年07月26日 21時46分46秒 | 映画(未分類)
監督 崔洋一、脚本 鄭義信・崔洋一
出演者 ビートたけし・田畑智子・新井浩文・オダギリジョー・鈴木京香・寺島進・國村隼・濱田マリ

在日朝鮮人で超暴力的なクソオヤジの話。

久々にオダギリジョーが見たくてDVD借りてきたっていうのところもあったのにまさかのチョイ役で、序盤であっという間に死んだときに絶望したわ。

時代背景とかわかるひとにはまたそれも魅力なのかもわからないけど、おれはこういう映画嫌いだな。
なら見んなってよって感じなんだろうが正直楽しみどころがわからん。

全員ひどく不幸すぎて、見てて楽しくないんだもん。
半分実話だから当時世の中こんなことがあったんだよっていう刺激を味わうだとか、ひどい状況にいる人たちを見てハラハラするとか、いろいろあるんだろうが、やっぱり登場人物に魅力を感じなかったな。

ただ印象に残るシーンは結構あって、一番強烈だったのは豚を殺して頭やら手足やらを切り刻むシーンと、時間がたってその肉にウジ虫が湧いてるシーン、そしてそれをフーフーしてウジ虫を払って生で食べるシーン。
この一連のマジキチ。
次の日何回も会社で思い出してオエーってなってたわ。
今度ブタがいた教室見ようと思ってたのにもう無理。

他にも蒲鉾工場の従業員の顔に焼石押し当ててやけどさせたり、階段から突き落とされて歯が二本抜けたり、バイオレンス系のシーンはトラウマ級。

あと田畑智子が自殺して新井浩文がウワーってなるとこは好きだったな。
「もう最悪だな・・・」って感じがやばかった。

監督の崔洋一って、クイールっていうかわいい犬映画の人だと思うんだけども違い過ぎ。
なんでもいける口かよ。
ちなみにおれの大先輩。

てか絶対に許せないのは濱田マリの濡れ場!まじでやめろや誰得すぎんだろ食事中だったわ。

それなりに楽しめる部分もあったもののちょっと重すぎて、DVDなんて見ずにテレビでさんま御殿からのコレってアリですかを楽しめばよかったわーなんて思いながら一応最後まで見た。
そのあとコレってアリですかを半分以上過ぎたところから見てみると、今日はゆとり新人社員特集をやっていた。

実はおれ、いまちょうどゆとり新人社員なんですわ。
ゆとり新入社員のあるあるネタは、若林演じるタツヤほどではないもののまあなきにしもあらず・・・
これを見ながらうちの上司たちが「そうそうゆとりってこうだよねーwww」とか言ってると思うともうね。。。笑

てか、別にどの世代の新人だってそうだろ?そうだったんだろ?!なぁ、なぁ?!
なんていう感じでちょっと素直に楽しめませんでしたな。

まぁでもおれの場合ゆとりっていったって円周率は3.14だったし、台形の公式知ってるし、土曜日学校行ってたし。(ドヤ顔)

てか石川亮だってゆとりだぞ?!
老害どもはハニカミ王子をバカにできる要素あんのか!ハニカめんのか?!!

なんて感じでどうも楽しみきれない一日であった。

アヒルと鴨のコインロッカー

2011年07月24日 21時16分16秒 | 映画(未分類)
監督・脚本:中村義洋 原作:伊坂幸太郎 脚本:鈴木謙一
出演:濱田岳 瑛太 関めぐみ 松田龍平

この映画は大きなどんでん返しがあってそこのびっくり感が大きな魅力なんだが、ここではその辺を気にせずに書くので、これから見るというひとはご了承ください。

さっそく物語の核心に触れることを言うと、この映画は瑛太が正体を明かすまでと、明かしてからの大きく二つに分けられる。

前半では瑛太は河崎と名乗る男で、アパートの隣の隣の部屋に住むブータン人のトルジを元気づけるために広辞苑を盗みに行こうとかなんとか言ってとにかく意味不明の変人。

あとから考えれば後半どんでん返しをするための準備の時間でもあるんだが、そんなこと知らずに素直に見てれば瑛太はただの変な奴で、コメディとしてめちゃくちゃ面白い。
濱田岳と瑛太のやりとりの普通だったら気軽に見過ごすいいシーンが、あとになって新しい意味を持つ複線になってるところがこの映画のすごいところ。

こういうどんでん返しものって前半はあからさまに後半のオチための準備でしかないようなのもあるけど、これに関しては後半とは違った種類の面白さがすごくて、前半を見ただけでこの映画は面白い!って思えるほどだと思う。

物語は濱田岳目線で進むんだが、瑛太は意味わかんないし、よくわからんことに巻き込まれるし、めちゃめちゃすぎてどうにもならないような状況から、瑛太は河崎ではなくて実はブータン人のドルジだったと明かされる。
そこから、ここまでのおかしすぎて目をつぶっていたところが全部複線として回収される神展開が始まる。

広辞苑一冊盗むためにわざわざ強盗をしなくちゃいけなかった理由、椎名の本が盗まれた理由、ペットショップの店長を信じてはいけない理由。
ボブディランの話も、ずぶ濡れの猫を拾ってくる話まで全部回収するんだからこれは気持ちいい。

笑いと複線回収以外だと、「神様を隠す」っていう言い回しが素敵だった。
悪いことをしちゃったときには、神様を隠してなかったことにしてもらおうっていうカップルの悪ふざけ。
彼女が死んじゃうと、そういう会話の思い出が切ないんだわな。

前半は意味のわからん隣人に振り回されるコメディ映画で、ミスタービーンより笑える。
後半は、そのお気楽で笑えるミスタービーンの裏で、友情愛情と憎しみのサスペンス劇場が繰り広げられていたことが明かされる二段構造。
虫も殺さぬブータン人が復讐の鬼と化す!

日本語もまったくしゃべれずひとりぼっちだったドルジに琴美と河崎が現れて、けどふたりともいなくなっちゃって、さみしい話だよ。
全編に渡って退屈することのないすっごい面白い映画だった。




腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

2011年07月22日 22時35分54秒 | 映画(未分類)
監督・脚本:吉田大八 原作:本谷有希子
出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、永瀬正敏、永作博美

ウィキペディアによるとブラックコメディらしいが、個人的には特に笑わせようとしてる感じには見えなかったな。

ワガママ女のサトエリに親戚一同振り回される話。

最後に妹の逆襲はあったが、永作博美が生まれて死ぬまで不幸みたいな役でちょっと救われな過ぎる気がした。
こんなに不幸なのに能天気でおめでたい人、みたいにしてるけど絶対実在したら陰で悩みまくって鬱ってるタイプだよあれは。

ほんとに誰もサトエリに逆らえなくて、兄はサトエリの言いなりで、永作にだけはやたらと強くて、やられっぱなしの妹は耐えててっていう構図がしつこすぎて退屈だった。

いろんな賞を受賞して評価されてるみたいだから面白い部分はおそらくいろいろあるはずで、たぶんサトエリのうざさとか、兄貴の気持ち悪さとかを一歩引いて面白がって楽しむべきなんだろうが、おれにはあんまり合わなかったな。

ただ、マンガ家の妹が悪意あるサトエリの絵を描くシーンはちょっとよかった。
左利きなのがいびつな感じをより増してたように思う。
あれ役者の子が左利きなんじゃなくて演出で左手で書くようにしてたんだったら面白いと思う。

個人的には、せっかく田舎が舞台なんだからきれいな景色がとかがもっと欲しかった。

ショーシャンクの空に

2011年07月20日 21時58分45秒 | 映画(未分類)
監督・脚本:フランク・ダラボン 原作:スティーヴン・キング
出演:ティム・ロビンス、モーガン・フリーマン

冤罪で終身刑になった銀行員が、塀の中の不条理な環境で生き抜く話。

塀の中で起きることは、看守に囚人が殺されたり、それが事故だったことにされたり、半殺しにされたり、ホモにレイプされたり、とにかくひどい。
それでなくとももともとエリート銀行員だったアンディにとってはプライド的にきついだろうな。

もっと言えば、妻が殺されたってだけで相当きついのにそれを自分が殺したことにされて、19年間も牢屋でそれこそ地獄みたいな生活するはめになってるんだからいったい何重苦なんだよ。

どう考えても死んだ方がまし。

ましてや塀の中に数十年もいると、たとえ釈放になったとしても外での生活なんてできなくなくなっちゃう。
世の中全然変わっちゃってるし、何十年も服役してた罪人なんてだれも信用してくれなくて孤独だろうし。
そしたら今度は、地獄のようだったはずの刑務所の中で培われたある種の地位とか、人間関係が恋しくなってきて、刑務所の生活のほうがましのように思えてくる。
刑務所から出てきたあとの娑婆は、ひとによっては刑務所よりもきついんだわな。

”終身刑は陰湿な方法で人を廃人にする罰”
よくわかった。

この映画の主人公は、そんな恐ろしいところでとにかく希望を持ち続ける強靭な男。

それが牢獄で知り合った親友のレッドの目線で描かれる。
レッドが思い出すように語るっていう手法のおかげで、悲惨な状況なのに結構穏やかな気持ちで見れる映画。

牢獄とはほど遠いところで普通に暮らしてても誰にだって嫌なことはいくらでもあって、憂鬱になったりしちゃうけど、この映画を見るとそういうのが情けなく思えてくる。
絶対死んだ方がいいような状況で希望を持てひともいるのに、おれはここまで恵まれた状況ですらダメなわけ?!
そんなわけあるか。

「人の心は石ころとは違って、何かが入ってる。希望が。」
そんなようなことを言っていたが、希望をなくしたら石ころとおんなじなんだよね。

そういう塀の中の描写が丁寧にがあるからなんだけど、刑務所を出てからのシーンが本当に気持ちいい。
特に一番最後に海で再会するシーンは最高!
まさに解放感。自由であることの気持ち良さ。
快晴で、日光が波に乗ってキラキラしてる美しすぎる浜辺で、おっさん2人が再会する。

「生きてりゃいいことあるよ」
って、こういう瞬間のことなんじゃないかな。

テーマは堅苦しそうに感じるけど意外と気軽に見られるし、刑務所の中でアンディのやる仕事は面白いし、レッドのいいやつ加減が好感持てるし、ラストシーンは心が晴れ渡る快感を味わえる。
ものすごくいい映画だった。