老化研究の栞

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活性酸素って何?

2009-02-11 12:11:37 | Weblog
活性酸素って何?

前回、『脳の老化を遅らせるには、脳の中で発生する活性酸素の量をできるだけ少なくすることが重要である』と書きましたが、今回は、『そもそも活性酸素とは何か』、『どうしたら活性酸素の量を減らすことができるのか』、『どのくらい減らしたら老化は防げるのか』といったことについて触れてみたいと思います。

酸素は私たちが生きていく上でなくてはならない物質ですが、『活性』酸素になると、どうして病気や老化を引き起こす原因物質になってしまうのでしょうか。

以前このブログ(2007年5月)でも書きましたが、そもそも酸素は、私たちの体の中でブドウ糖などを水と二酸化炭素に『酸化』する過程で『ATPという生体エネルギー』を生み出しており、その酸化作用こそが酸素の働きなのですが、さらに『活性化』された形に変化すると、体にとって大事なタンパク質や遺伝子まで酸化する性質を持ってしまい、細胞に『ダメージ』を与えてしまいます。(それような変化が積もりつもって病気や老化が引き起こされてくるのです)

ちょっと専門的な話しになりますが、『酸化とは酸素と結びつく化学反応』であると共に、実は『分子から電子を奪う反応』でもあるのです。
上の図は、通常の酸素分子(O2)と代表的な活性酸素の一つである『スーパーオキシドラジカル』の化学構造を示しています。
実は『活性酸素』は一種類の物質ではなく、同じような性質を持った一群の仲間(活性酸素種)のことをいいますが、その共通の性質とは、『他の分子から電子を奪う性質が強い』ことです。
上の図を見ておわかりのように、酸素分子の場合には、それぞれの酸素原子は8個(2個X4対)の電子に囲まれていて『安定化』されています(安定化とは、分子にとって落ち着きがいい状態になること)。
これに対しスーパーオキシドラジカルには1個電子が足りませんので、常にまわりの分子から電子を奪い取ってやろうと狙っています。これが『活性』酸素が悪者たるゆえんであり、細胞に『ダメージ』を与える原因になっているのです。

実は、活性酸素は、都合の悪いことばかりでなく、我々が生きて行く上で重要な役割も果たしてくれているのですが、話しが長くなりますので、続きはまたあらためて・・・・。
(活性酸素やフリーラジカルについてもっと詳しいことを知りたい方は、老人研News No.212をご覧下さい。)


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