老化研究の栞

最新の老化研究でわかってきたことをわかりやすく解説し、老化を防止するための方法を考えるヒントを与えられるようなブログ

ビタミンCの取り方にはご注意下さい。

2008-08-27 22:32:51 | Weblog
 東京都老人総合研究所・老化ゲノムバイオマーカー研究チームの石神昭人研究員(現・東邦大学准教授)の研究によって、少なくとも実験動物(マウス)ではビタミンCが不足すると老化が促進されることがわかりました。
 まだ実証はなされていませんが、ヒトでもビタミンCが不足すると老化が促進される可能性があります。

 このため、一部のマスコミや健康食品関係のホームページでは、ビタミンCを大量に摂取することで老化を予防できるかのような誤解を与える記事や宣伝がなされたりしていますが、実はビタミンCは鉄イオンに触れると活性酸素を発生させる性質を持っていますので、大量に摂取すると逆に老化を促進させてしまう恐れがあります。(両刃の剣)

 ヒトの場合、老化防止に必要な1日当たりの摂取量は 100 mg 程度であると考えられていますので、緑茶や果物などの食品から摂取される量で十分であることがわかります。
 1000 mg を越えるような大量のビタミンCを含むサプリメントを過剰に取りますと、上で述べたように体内で活性酸素を発生させてしまいますので、ご注意下さい。
 特に貧血の治療などで鉄剤を服用されておられる方は、ビタミンCを多く含むサプリメントを同時に取ることは避けて下さい。

 ただし、喫煙をしているヒトでは、体内でどんどんビタミンCが消費されてしまうこともわかっていますので、喫煙者は多少多めに摂取してもよいと思います。(それでも200~300 mg程度を上限にして下さい)

 詳しくは、東京都老人総合研究所のホームページの『トピックス』(http://www2.tmig.or.jp/nagaiki/topics/topics_01.html)をご覧下さい。

タンパク質の働きの恩恵と弊害―タンパク質の異常が老化や病気を引き起こしている?

2008-08-27 01:42:16 | Weblog
 今回は、「タンパク質の働きと老化のしくみの関係」についてもう少し詳しい話をしてみたいと思います。

 ご存知の方も多いと思いますが、ヒトのすべてのゲノムが解読され、私たちの体は約2万3千個の遺伝子によって支配されていることがわかりました。

 そもそも遺伝子は親から子へと受け継がれる「体を作り上げるための設計図」として大変重要なものですが、その一方で遺伝子はあくまでも「情報」に過ぎず、実際には遺伝子の情報に基づいて作られた多種多様なタンパク質の正常な働きによって、私たちの体が健康な状態に保たれているということもわかってきました。

 生まれつき遺伝子に異常があると、様々な遺伝病が起きますが、最初は正常であった遺伝子も、活性酸素や紫外線、放射線などに長年曝されていると変異を起こすことがあり、それが原因になって癌や老化が引き起こされることがあります。
 また、活性酸素や紫外線、放射線などは、タンパク質の酸化を引き起こしており、老化した細胞には酸化されたタンパク質が蓄積されていることも分かってきました。

 したがって老化を防止するためには、活性酸素や紫外線、放射線などによって起きる遺伝子の変異やタンパク質の酸化を防止することが重要になってきます。