老化研究の栞

最新の老化研究でわかってきたことをわかりやすく解説し、老化を防止するための方法を考えるヒントを与えられるようなブログ

ブドウ糖の酸化によって生まれるエネルギー

2007-05-06 13:43:55 | Weblog
次回の続きで、老化と酸化の関係について話しをしていきたいと思います。

詳しいことは後ほどじっくり述べたいと思いますが、最近の研究で得られた成果は「生体物質の酸化が老化の根本原因である」ことを強く示唆しています。
平易な言い方をすれば、「老化とは体の部品(生体物質)が錆びつく(酸化する)ことで起こる」と言ってほぼ間違いありません。
したがって老化を防ぐためには、酸化を防ぐか錆びついたものを取り除き新しいものと取り変える(組織や機能性細胞を再生する)ことです。

このような話しをすると「酸化」が全て悪いことの様に思われるかも知れませんが、実は「酸化がなけれなば私たちは生きていけない」ということも認識をしておかなければなりません。
すなわち、私たちが活きていくためのエネルギーは物質(特に血糖の主成分であるブドウ糖)の酸化によって得ているのです。
この時の酸素は呼吸によって肺から取り入れ、血中のヘモグロビンという赤色のタンパク質によって全身に運ばれてブドウ糖の酸化に使われているのですが、呼吸が停止すると生きていられなくなる最大の理由は「酸素不足」でエネルギーが作れなくなるからです。
なのに、他の重要な部品が酸化によって錆びつくと老化するというのは、皮肉な話しですね。

続きはまた。


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3 コメント

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Unknown (la dolce)
2008-01-23 10:39:14
各臓器によって、老化現象の現れ方(表現系?)は違うと思うのですが、根本は「酸化」ということですよね?
それぞれの臓器での「酸化」がどのような過程で現象として表れてくるのでしょう??

例えば、皮膚では加齢とともに繊維芽細胞のコラーゲン産生が減少してくると言われていますが、繊維芽細胞の「酸化」とコラーゲン産生の減少はどのようにつながるのでしょう?
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皮膚の老化と酸化ストレスの関係 (グランドキーパー)
2008-08-20 01:55:58
皮膚は体表にあるため、紫外線の影響を直接受けますが、紫外線の傷害も活性酸素の産生による酸化ストレスが原因であると考えられています。
皮膚には「光老化」という現象が知られていますが、強い紫外線を浴び続けるとコラーゲンの架橋や酸化が起きて真皮層が固くなり、深いしわができてきます。
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追加情報(日本臨床免疫学会会誌) (グランドキーパー)
2008-08-20 02:00:52
このURLに、長崎大学大学院の小川先生らが日本臨床免疫学会会誌に報告された論文の概要が出ています。
タイトルは、「酸化ストレスと皮膚─光老化から全身性強皮症まで」
以下、概要の引用です。
=====
概要
我々の皮膚は常に外界からの様々な刺激にさらされている.その刺激の代表的なものとして太陽光線中の紫外線があげられる.紫外線は皮膚癌の発生の誘因となる他に,紫外線の曝露により皮膚には光老化と称される変化が生じてくる.光老化の特徴的な変化として皮膚表面のびまん性の色素沈着と深い皺があげられるが,その変化を特徴づけるものとして皮膚真皮におけるsolar elastosisと称される膠原線維・弾性線維の変化がある.この皮膚光老化には紫外線による酸化ストレスが深く関与していると考えられている.一方,酸化ストレスが関与する全身疾患の一つとしてとして全身性強皮症(systemic sclerosis ; SSc)があげられる.SScは全身の皮膚硬化を主徴とする膠原病であるが,レイノー症状をはじめとする血管障害も病態形成に深く関与していると考えられている.本稿では,酸化ストレスが皮膚に与える影響を光老化とSScに関して我々の研究結果とこれまでの研究知見を中心に概説する.
Key words: Photoaging; Oxidative stress; Systemic sclerosis; methionine sulfoxide reductase (MsrA); 8-isoprostane
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