老化研究の栞

最新の老化研究でわかってきたことをわかりやすく解説し、老化を防止するための方法を考えるヒントを与えられるようなブログ

長生きしたければコーヒーを飲もう?!

2017-07-30 16:43:40 | Weblog
 9年ほど前に、このブログで「珈琲を多く飲む人ほど子宮体がんになりにくいとの厚労省研究班報告」という記事を取り上げましたが、最近になって新たに2つの論文が2017年7月11日の米国内科学会誌に報告されました。

 一つ目は、ハワイ大学がんセンターのパク・ソンイ博士らによる論文です。パク博士らは、日系アメリカ人、ラテン系アメリカ人、アフリカ系アメリカ人、ハワイ先住民、白人を対象にした研究により、コーヒーの摂取と、全死因死亡率や特定の疾患による死亡率の関連性を調べました。その結果、1日1杯のコーヒーを飲んだ人は、飲まなかった人に比べて死亡率が12%低くなりました。さらに、1日に2~3杯コーヒーを飲んだ人は死亡率が18%減少しました。またコーヒーの摂取が増えると、心臓病、がん、呼吸器疾患、脳卒中、糖尿病、および腎臓病による死亡率が減りました。
 今回の研究ではメカニズムは不明ですが、研究者らは、コーヒーには酸化防止作用や抗炎症作用のあるフェノール化合物など多くの物質が含まれ、それらががんや慢性疾患などの予防に重要な役割を果たす可能性を考えています。

 二つ目の報告は、インペリアル・カレッジ・ロンドンのマーク・ガンター博士らによる調査です。10カ国(デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシャ、イタリア、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、英国)に住む52万1330人が対象です。その結果、1日にコーヒーを3杯以上飲んだ男性は、コーヒーを飲まない男性と比較して、死亡のリスクが12%低下しました。女性では死亡のリスクが7%低下しました。また、コーヒーを多く飲む参加者は、消化器疾患や循環器疾患で死亡するリスクが低いことが示されました。

 このように、コーヒーには長生きの効果がある可能性が示されましたが、いずれの報告でも、カフェイン入りとカフェイン抜きのどちらも死亡率は低くなりました。カフェインは摂りすぎるとよくないのでコーヒーを多く飲む場合にはカフェイン抜きの方が良いのかもしれません。
 (出典:毎日新聞ニュース 2017/7/30(日) 10:00配信)