私達の旅行スタイルは、ホテルでゆっくり朝食を終え、昼頃から活動を始めるから
ニースを経ってミラノに着いたのは夕刻だった。
ホテルで夕食を取ってると、日本人女性が話しかけて来て、明日の予定を聞いた。
親子でイタリアに個人旅行で来てるそうだ。
格別予定は立ててない旨伝えると
一緒に観光を提案された。
ところが、その提案は
朝6時から朝食で、10時までナントカの名所を巡って
物凄く詳しく下調べしたレストランでランチを取って
その後何時から何時までどっかのアウトレットに行って
何時何分のバスで戻り、ホテル近くの教会を見学……💦
……ウチらは2〜3日に1箇所位しか周れないんだよお〜!
体調が良くないから、と誤魔化したけど
ホントにそんなに周ったら身体壊しそう…。
ミラノで昼頃からホテル近くのドオーモに行った。
教会の中に入ってみると、中だけでも絶対一日じゃ見れないと思う程
イタリアの酔を集めた彫刻や建築物、絵画の数々に圧倒される。
教会の外側の人物の彫刻の数をとっても
ウチらの出身地の教会全部足しても、ここ一個の足元にも及ばない事を知る。
それは致し方ない事だが。
翌日もこの近辺をプラプラ散歩してたら
スカラ座の前で何やら長い行列が出来ていた。
ヒマだし、地元人に混ざって並んでると
何かのチケットを渡された。
2時からバレエの公演があるらしく、どうやら無料っぽい様子。
スカラ座の中を見学したかったので
この偶然の幸運に感謝して
荘厳なスカラ座の3時間程のバレエ公演を楽しむ事が出来た。
カフェでダベって過ごしたり
ミラノの休日を堪能し、コモに電車で向かった。
コモ湖を中心に、お金持ちの集うリゾート地コモは
街全体が高級感があって、歴史を感じさせる瀟酒な建物に
高級ブランド店が軒を連ねていた。
街全体はこじんまりしていて
日本と違い貧富の差が大きいと聞くこの国の
途方もないクラスの水上飛行機を格納する貴族の城や
所々に見られる豪華で美しい別荘と言うかお屋敷と言うか、
散歩しながら見て回るのも興味深く楽しかった。
のんびりと静かに、東洋のウチらが
イタリアの特別な空間の空気と時間を
堪能させてもらえて感じ入る事は多かった。
コモからはジュネーブで少し過ごして
(ジュネーブはモナコと同じ感じでキレイだったけど
場違い感がハンパなかったから割愛)
パリに戻る国際列車に乗り換えた。
ところが、出発して2時間ほど経った頃
突然列車が止まった。
何があったかわからないまま列車を降りるよう指示された。
トラブルで4時まで動かないと。
今日帰国する人、顔面蒼白だよね、
などと呆れながら町に出た。
どこの国の何という町か知らない場所だが
ヨーロッパはホントに、どこをとっても絵になる。
アルプスに囲まれた、可愛らしい町並みや
石畳の道、脇の花々。
思いがけず降り立った素晴らしい景観の小さな町で
4時間程時間があったので
プラプラ2人で道を歩き、町の中心の川にかかる石橋に座り
透明な川の麓で、長い時間水の音を聞きながら、たわいもない話を
あれやこれや話して過ごした。
私達はこんな愛しい時間を大好きで旅をしているんだろうな、と感じた。
時間がたっぷりあるのは財産だ。
こんなふうにたまに立ち止まって
景色や自然、人や空間にゆっくり向かい合う時間って
ビュンビュンひたすら早く走り去る人生では
目に止まる事もないんだろうから。