伯耆大山 (1月11日)
私の所属する山岳会は毎年1月の月例山行はここ伯耆大山。(ほうきだいせん)
私が住む南の国(山口県)で本格的な雪山をチャレンジできる山。
(南光河原駐車場)

かっこエエ~!

我が山岳会の双璧!
今回のメンバー、じ~さん二人と私の三名。(じ~さんですが山のスペシャリスト!頼もしいです!)
前日入り(10日午後)し、南光河原駐車場(ほぼ満車)に車を停め、冬季閉鎖中の下山駐車場にベースキャンプを張り大山寺方面へ偵察へ。
アイゼンを装着して近くの斜面で滑落停止訓練を少し。
薄暗くなってきたのでテントへもぐりこむ。
早々に、ディナーの準備&酒盛り開始。
今回私は食料担当。メニューをあれこれ悩んだ末に鶏豚すき焼きに決定。米も炊きます。
先にきゅうりの和え物、砂ズリ(砂肝)と長ネギの塩炒めを肴にしながらすき焼きができるのを待ちます。
飲んで食べて語って大満足。明日へ備えて早めに就寝。
明日の天気は午後から荒れる予報。う~ん どうなる?甘くはないぞ!(前回(二年前)も大荒れだったぞ)
4:30起床。きれいな月が出ていた。
昨夜のディナーの残りをおじやにして食べ、出発の準備をする。(テントは張ったまま)
キャンプ地とトイレが少し離れていて準備に手間取るが、6:40夏山登山道へ、アイゼンは着けずにクライムオン!
天気はまずまず、標高が上がるにつれて雪が濃くなってゆく。
五合目手前でアイゼン装着。
途中、ソロ2名とスライド。どちらも六合目で引き返してきたよう。

(六合目避難小屋)

(雪の北壁、迫力あります)
ゆっくり上って行き、六合目避難小屋へ到着。(9:00)
まあここまでは樹林帯の中なので多少の悪天候でも上がれます。
問題はここから。
六合目までの静寂から一変、大自然が牙をむいて襲いかかってきます。本当です、大げさではありません。
装備をそれようにセットし直し(ゴーグル、フェイスゲイター、オーバーグローブ装着)、いざアタック!
一歩一歩上がるにつれて風は強くなり視界も悪くなっていく。
時折、耐風姿勢をとりながら確実に進んでいき山頂避難小屋が見えてきてようやく山頂へ登頂。(11:00)
写真を撮って小屋の中へ。
小屋の中は真っ暗。
先客が4~5名。私たちの後からも7~8名入ってこられた。
カップ麺を食べ、しばし休息。
態勢を整え、さあ下山開始。

(ここがあの山頂避難小屋の入り口ですよ、雪でほぼ埋まっています。)
(ここから写真がありません。
気温が低すぎるためiPhoneの電源が落ちてしまい下山後まで電源が戻らなかった。
以前にも同じ出来事があり、今後は対処が必要。)
外へ出てみると猛吹雪です。という事はホワイトアウト。
4~5mの視界しかありません。しかも目の前は真っ白なので上下感覚が変です。
一瞬でも気を抜くとどうなるかわかりません。(事実この日(11日)の午後、山頂付近で二名の滑落事故があった。(その後無事救助された))
道しるべのポールとトレースを頼りに慎重に下って行きます。
約40分で六合目まで下りて来ました。一安心。しかし気はまだ抜けません。
本日の予定コースは元谷経由の下山なのです。「こんな荒天で元谷へ下りて大丈夫か?」と不安になりながら会長がゴーを出したので行者谷別れを元谷方面へ下って行きます。
行者谷は森の中の細尾根を時折尻セードを交えながら下って行きます。今回の山行中唯一ホッとした一瞬でした。
っが、しかし、元谷へ出た途端、今まで聞いたことのないような雷のような轟音と共に今までに経験したことのない猛烈な地吹雪が襲ってきた。(ここでなんとかスノーシュー、ワカンに履き替える)
歩くことができないほどの暴風と雪。元谷避難小屋を過ぎ元谷を越えるまでが核心でした。
天候が荒れていなければなんてことはない場所なのですが、この日は違った。
この恐怖は忘れることはないだろう。
その後は登山道沿いに下って行き、大神山神社、大山寺と通過してベースの下山駐車場へ到着。(15:30)
テントをたたんで荷物を車へ積んで無事下山完了。
駐車場を後にする頃には辺りは薄暗くなっていた。
帰路は松江道の道の駅にて夕食をとり帰宅。
自宅へ到着したのは22:00だった。
長々と書いてしまったが、今回改めて気付いたことがある。
それは「雪の山が好き」ということ。
山頂直下のあの危うい場面を手探りで降り、立っていられないほどの地吹雪、そしてその轟音。
その恐怖よりも、全てを凍てつかせた真っ白な世界。強靭な意志、体力、技術がなければ見ることのできない世界への魅力が確実にまさっていた。
大変なことである。
妻と育ち盛りの子供三人がいる身であります。自身だけの欲求の追及はできない。
今後は限りある範囲、状況の中で最大限チャレンジしていきたい。そして今はそれができる状況だと思う。
そのために山岳会の門をたたき、四季を通じて山へ行き、山のこと技術のことを学んでいる。
山登りをする者として冬山、雪山へ魅力を感じる人は多いと思う。
西の国、南の国に住むものとして冬の伯耆大山へ登ってみたいと思う。
数年前では考えられなかったが今こうして厳冬期の伯耆大山の頂に立つことができた。
感謝しかない。
山岳会の皆様へ
「ありがとうございます」
そして家族へ
「ありがとう」