V=4/3πr³

詩と物語を紡ぎます

たびだち

2022-12-18 14:00:00 | poem
たびだち



きがつけば
いつのまにやら
ねむりいて
どこにもたまし
とばせずにいた

いつになく
ひどくこころが
ゆれている
ろうそくにほん
ひはきえていた

ろうそくに
ひをつけようと
こころみた
ゆびさきふるえ
ともせなかつた

(ああつ)

あのひとの
たいせつなひと
たびだつた

(そうなのだ)

あのひとの
たいせつなひと
たびだつた

なみだひとつぶ
ひとつぶおちて

あのひとの
たいせつなひと
たびだつた

だれもがいつか
むかえるこのひ

あのひとの
たいせつなひと
たびだつた

からだはつちに
たましはそらに

あのひとの
たいせつなひと
たびだつた

ときはなたれて
ゆかれたのだと

しんじたい
はれやかにえみ
ゆかれたと

しがらみもなく
こうかいもなく

やすらかに
ございますよう
ただいのる

ひたすらいのる
いのるだけ

いのるだけ

わたしのこころ
からつぽになる

わたしのこころ
からつぽになる

からつぽになる

からつぽに

なきませう
かなしみませう

からつぽに
なるまでないて

なきませう
かなしみませう

からつぽに

わかれうしなう
かなしみが

からつぽになる
ことはなくても

なきませう
かなしみませう

なきませう
かなしみませう

あゆみだす
いっぽいっぽと
あゆみだす
おもかげいだき
またあゆみだす

そのひまで

そのひまで
いつぱいないて
あゆみだす

そのひまで
なみだながして
かけてゆく

そしてかなしみ
のりこえてゆく

そのひまで


(ともに、ささぐ)

written
2022/12/17,18

Copyright 2011 - 2022 ©Tsukasa allrights reserved
コメント (2)
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Cold Moon

2022-12-13 13:30:00 | uta
Cold Moon


1.月齢 3.2

ゆらゆらと
こぎいでしふね
みおくりて
うつろひをしる
ゆふぐれのそら

ゆらゆらと
漕ぎ出し舟
見送りて
心移ひを知る
夕暮れの空



2.月齢 15.4

にじむそら
にじむがままの
いただきに
しろくにじみし
ふゆのもちづき

滲む宙
滲むがままの
天頂に
蒼白く滲みし
冬の満月




したたりし
つきのひかりに
ぬれひたり
あやしくうたふ
らくえふのこゑ

滴りし
月の光に
濡れ浸り
妖しく詩ふ
落葉の聲








written
2022/12/01〜13
photographed
2022/11/27,28,12/8,10,11
Copyright 2011 - 2022 ©Tsukasa allrights reserved


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釣瓶落し

2022-10-30 00:30:00 | poem
釣瓶落し


1.小春日和

ベンチで丸まっていた猫が欠伸する。
前に伸びて後ろに伸びて。
日光が散乱する落ち葉を渡ってゆく。

宇《そら》を仰げば。
天球は何処までも澄み渡り。
大気の乱反射するこの星の色。

眼を閉じる。
太陽の熱が瞼を透過して。
血液の流れと同期する。

生きている。
とも。
生かされている。
とも。
感じる。

秋の日の。

不愉快。で。不条理。な。わたし。と。
不思議。で。不可解。な。この星。の。

神秘。




2.釣瓶落し

からからからから
からからからから

とつぷうううん!

からからきいきい
からからきいきい

ざつぱあああん!

陽が翳つたかと思つたら
あつと言う間に陽の沈む

朱く染まつた夕空の叢雲に
暗蒼色の陰が刻刻と広がつて
黄昏の帳《ゔえいる》を一枚
一枚また一枚と重ねる中を
子供の白い脚が走り抜ける

秋の陽は釣瓶落し

「そんなこといつて」
つるべつてなんだか」
「しらないくせに」

「ふつふつふつふつふつ」
「へつへつへつへつへつ」
「あつはつはつはつはつ」

子供たちに囲まれて
「かごめ」「かごめ」
揉まれて蹴られて殴られて
「うしろのしようめん、だあれ?」

今日は二番目の姉さんが
幼い妹の手を引いて
赤子の弟を背に負うて

頬を夕焼け色に染めている

ひやくきゆうじゆうねんさきの、せかいから、きたつて?」
「らいねんに、なると、『てんめいの、だいききん』が、おこるんだつて」
「なにそれ? つるべ、も、しらないくせに」

「あつはつはつはつはつ」

からからからから
からからからから

とつぷうううん!

からからきいきい
からからきいきい

ざつぱあああん!

豆腐小僧、も、嗤笑うだけ
豆腐を、運んで、戯けたら
「あつ、おちた!」

とつぷうううん!





3.雨

 きょうは雨が降ります。
 と、朝起きがけに仙人掌がわたしに言った。
 雨?
 外は雲ひとつない快晴で|音声放送受信機《ラジオ》の気象情報でも、お気に入りの予報鶯嬢が爽やかな美しい声で、
 きょうの帝都は一日快晴で気温も上がり絶好のお出かけ日和となるでしょう。
 と伝えている。
 でも、降ると言ったら降るのです、それが、この星の定めですから。
 と仙人掌も引かない。
 出かけるんでしたら、傘を持っていくです。

 わたしはその日、傘を手放す事なく、帝都古書店街を歩き詰めた。その間、〇.一㎜たりとも雨は降らなかった。帰宅すると仙人掌は涼しい顔をして窓の外を眺めている。わたしは疲れていたのでそのまま寝てしまった。
 夜遅く、ふと目が覚める。虫の音がすっかり絶えている。仙人掌が枕元に座っていてそっと
(そっと!)
囁く。

 雨、です。

 わたしは、歌を、詠む。

霜降の
夜の深みに
ふと目覚め
雨の気配に
身を欹てる

そうこうの
よるのふかみに
ふとめざめ
あめのけはいに
みをそばだてる





written by
2022/10/28,29,30
photograghed by
2022/10/11,21,29

Copyright 2022 ©Tsukasa allrights reserved

コメント (4)
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動けないつかささん

2022-07-18 00:00:00 | daily tsukasa
動けないつかささん

(つかさ、前屈みの不自然な姿勢で立ち尽くしている。その顔には苦悩の色が深く脂汗が滲んでいる

yukari:つかささーん!
tsukasa:………………。
yukari:?、つかささーん!
tsukasa:……ゆ、……ゆ、……。
yukari:?、どうした、ですか? その、くのう、を、きざまれた、ひようじようは。
(つかさ、何か言おうとしているが、言葉にならない)
yukari:し、が、かけない、ですか?
tsukasa:……詩も、……詩、も……。
yukari:?しも、しも?、……でんわ、かけたい、ですか?
(つかさの顎から脂汗が滴り落ちる)
yukari:……まあ、こうじゆんど、の、あぶら、が、あふれ、したたつてる。えねるぎーもんだい、かいけつ、ですねえ。
owl︰おや、これは? つかささん、まだ買い物には行かれてないので?
yukari:なん、ですと?
owl:あ、いや、かれこれ一時間ほど前に、買い物に行かれるとかおっしゃっていたかと。
yukari:あつ💡
(さぼてんゆかり、突然閃く!)
yukari:これは、さぼてんと、したことが……!
(ゆかり、全身の棘を逆立てる。棘と棘の間を凄まじい勢いで激しく飛び交う電波と素粒子、量子。周波数4096GIGAHzが開く)
yukari:つかささん!

【つかさ】
【守護霊さぼてんゆかり】
【フクロウ執事オウル】
【の】
【天使チャネリング】
【4096GIGAHz】

yukari:つかささん いつたいなにが あつたのか このちやねりんぐで おしえてたも
tsukasa:ミシッという 嫌な音して 激痛が 腰を駆け抜け 動くに動けず 嗚呼わたしの身体は stop motion
yukari:いたむのは こしの どのあたり
tsukasa:背骨の辺りがきりきりり 腰全体が あいててて
yukari:しばらく おて
yukari:おて❌  まて⭕

owl:もしかして、これは、人間がよく患う『ぎっくり腰』なのでは?
yukari:これは、なんともはや……。
owl:半妖の肉体にはふつう起こらないとされております。
(ゆかり、棘から火花を飛ばしながら思考・計算を何度も繰り返す)
yukari:はんよー、には、『つぼ』はないのですよね。
owl:そうです。当然の事ながら、つかささんにも『ツボ』は存在いたしません。
yukari:では『ひこー』をついてみましよう。
owl:は?『秘孔』ですか?それは余りに危険かと。秘孔は位置が混み合っている上に刺激の加減が難しい。下手すると、生命に関わりますぞ。
yukari:きけんは、がつてんしようちのすけ、やつてみなきや、わかりません。みすたーおうる、ひこーいがい、なにか、いいては、ありますか?
owl:……いいえ、ありません。
yukari:ゆかりが、ひこーを、つきます。ぎつくりごし、に、きく、ひこー、は、……
owl:義栗快復孔、ですね。
yukari:つかささん これからひこー つきますよ ちといたいかも がまんしてたも
tsukasa:お手柔らかに
(ゆかり、棘で義栗快復孔を突く)
yukari:あーたたたたたたた!
tsukasa:いーててててててて!
(つかさ、その場にがっくりと膝を付き、くず折れる)
yukari:つかささん!
owl:つかささん!
(つかさ、ぴくりとも動かない。ゆかりの後ろからあみださんがひょっこり顔を出す
amida:♬マイファニーバレンタイン
yukari:うわつ、あみださん! びつくりしたな、もう。
amida:よお、ゆかりちゃん、ひさしぶりやな。
yukari:なにしに、きたですか?
amida:うん?ご挨拶やなあ。近所にお迎えがあったんでな、そのついでにちょっと寄ってみたんや。つかさ、死んどるんやないか?息してないで。
yukari:いいえ、しんでません。
amida:そうか?秘孔は侮れん。義栗快復孔のすぐとなりの秘孔な、保栗安楽孔いうねん。一発でぽっくり逝っちゃうねんけど、間違えなかったか?
yukari:それは……。
amida:つかさ、な。わしはすっきゃ。たまさか半妖に生まれついたが故に、普通の人間と違う事に気付いてしまって。いつも独りぽっちで悩んで、悩んで。せっかく出来た仙人掌の友達にも先立たれて。
yukari:あみださん、やめてください、つかささんは、しんでなんかいない。
amida:Johdoが池の畔でつかさの様子、一緒に見てたやろ。毎日泣いて泣いて。死にたいって。
yukari:わすれません、しゆごれいめんきよをとつたのは、つかささんのそばに、ずつといるために……えぐつえぐつ。
amida:よしよし、ちゃんと、Johdoまで連れてったる。未来永劫、供養は絶やさへんから。
yukari:だいじよーぶです、しんでませんから。つかささんはしなないです。しぬはずないです。つかささんは、ゆかりといきると、やくそくしたです。だから、かつてにしなないです。ぜつたい、つかささんは、しなないのです!
(あみださん、倒れているつかさの腰を二度三度撫でる。何事もなかったかのように起き上がるつかさ。泣き出すゆかり)
amida:うんうん、あの秘孔は難しいんや。ゆかりちゃん、よう頑張った。最後の一撃だけがほんの0.5mmずれたんやな。泣かんでええ、泣かんでええ。チャレンジがなければ、前に進めへん。わしからつかさへの還暦祝いや。ほなまたなあ。
♬わしのーおちゃめなバレンタイン
(西の空に消えていくあみださん)



 🎶わたしのおちやめなばれんたいん……
朝早くからゆかりちゃんが歌っている。フクロウ執事のオウルがバタバタと朝餉の用意をしている。
 つかささん、あさですよ、おきてるですか? かお、あらうですよ。
 つかささん、おはようございます。今朝の朝餉は、ご飯、浅蜊と和布と豆腐の具沢山味噌汁、梅干、です。それでは自然の恵みに感謝していただきましょう。
 どうしたですか?つかささん、なにか、いいことでも?
 何だかすごい夢をね、見ちゃったんですよ。
 
 今日も、一人の半妖と一体の守護霊と一柱の精霊は街の片隅でひっそりと、でも面白可笑しく暮らしているのです。

 ……そんなわけで、つかさは腰痛に見舞われながらも、本日還暦を迎えました。
 皆さん、ありがとうございます。


writenby 2022/07/18
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戻り梅雨、いない蝉、守宮さん

2022-07-13 23:00:00 | daily tsukasa
戻り梅雨、いない蝉、守宮さん

yukari:つかささん!
tsukasa:ゆかりちゃん!
yukari:ああ、また、あめが、ふつてきたようです。
tsukasa:蒸し暑いですね。
yukari:おてんきおねーさんが、もどりづゆ、て、いつてました。
tsukasa:典型的な戻り梅雨の形ではありますね。
yukari:でも、ふべんですね、もどりづゆつて。『めんつゆ』のほうが、つかいかつてが、いいです。
tsukasa:……そうですね。納豆にも使えますものねえ。



tsukasa:ゆかりちゃん!
yukari:つかささん!
tsukasa:蝉の声を全く聞かないし、姿も見ないんだが。
yukari:さあ。ひしよ、にでも、いつてるんじやあ、ないですか?
tsukasa:なら、いいんだけれど。ただ、抜け殻さえ見ないというのが、気になって、ねえ。
yukari:……うわさ、なんですが、えいがの『シン・ウルトラマン』に、でてた、せいじん、は、みんなほんもので、しゆつえんりよう、がわりに、『せみ・てんぷら・ていしよく』を、たべていた、とか、いない、とか。
tsukasa:……ゾクゾクするねえ。
yukari:つかささんも、いかがです?、『せみ・てん・てい』おひとつ。
tsukasa:……遠慮、して、おきます。
yukari:では、おやすみなさい。
tsukasa:おやすみなさい。
owl:……江ノ電は、速いよう!……zzz
yukari:びつくり、した。  
  
yamori:ああ、今夜も魔窟は、平和だねえ、よしよし。






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