レゴンダンスが終了したのは夜9時頃
ウブドからジンバランまでは、車で1時間半くらいかかるので、夜ご飯はホテルの近くの食堂でテイクアウトすることにして、すぐにウブドを発ちました
■バリヒンドゥーの結婚式・お葬式
車の中では、ガイドのプタラさんに、ヒンドゥー教の教えに則ったバリの人々の生活について、いろいろと話を聞かせていただきました。
実は、私たちがバリに行った時期は、ちょうどイスラム教の断食月であるラマダンがあけた直後でにぎわっていたのですが、イスラム教徒の多いインドネシアにあって、バリ島ではヒンドゥー教が信仰されており、この時期はヒンドゥー教にとっても重要な日だったようで、あちこちで結婚式 が行われていました。
*ちなみに、ヒンドゥー教と言っても、バリではインドとは違う独自の信仰となり、バリヒンドゥーと呼ばれているらしいです。
〈結婚式〉
プタラさんによると、ヒンドゥー教は生活のすべてに密接にかかわっており、結婚もその例外ではないそうです。
・結婚とカースト制度 ーカーストが違う人同士の結婚
特に重要なのは、カースト制度という身分制度。身分階級が同じ人同士の結婚は、特に問題になりませんが、もし階級が違う人同士が結婚しようとしたら大変なことになります。なぜなら、階級が違うということは、住む場所や通う学校、言葉遣い、生活様式など、ありとあらゆるものが異なるからです。
もし、階級の高い女性が、階級の低い男性に嫁ぐとどうなるか?
自分の階級は、旦那さんの方の階級に下がってしまうので、実家に帰ったときに、両親や兄弟に、目上の人に対する言葉遣いをしなければなりません。同じテーブルで食事をしたりといったような、普通の家族づきあいができなくなってしまうそうです。
以前は、いまよりも階級制度が厳しく、同じ階級の人としか結婚をすることはできませんでした。しかし、最近では昔ほど階級制度が厳しくなくなり、その結果として、違う階級の男女が恋愛関係になり、このような問題が増えてきたそうです。
結果として、どうなったと思いますか?
なんと、駆け落ち婚とできちゃった結婚 が増えたんだそうです
駆け落ちをして、子どもができてしまえば、親も許すしかないということのようです。好きな人と結婚をするための、最後の手段なんでしょうね。
・普通の結婚
では普通に結婚する場合はどうなのでしょうか?
実は、これはこれで非常に大変なのです
バリヒンドゥーでは、“村”というのがひとつの重要なキーワードになります。例えば、重要な儀式(お祭り)を行う日などは村によって異なり、ある1日にバリ全土で一斉に何かをするということではないのだそうです。そして、村の儀式は、基本的に全員参加。もちろん、冠婚葬祭も同じです。
ある男女が結婚することになったとします。
新郎の家では、結婚式の10日くらい前から、結納の儀式や結婚式の準備が始まります。それも、朝は日の出から夜中まで。当然ながら、その準備や儀式には、村人全員が参加します。村人たちは、朝6時頃からかわるがわる新郎宅を訪れ、男性は外に大きなテントなどを組み立て、女性たちはひっきりなしに料理を作ります。
そして、大変なのは、新郎とその家族。
村人全員というと、なんと300人 ほどにもなるそうで、お手伝いに来てくれる人たちの、この間の食事はすべて新郎宅が用意するため、新郎宅のお父さんや兄弟は、何十羽もの や何頭もの をさばき続けることになるのです
さて、式当日
朝、何かの儀式が終わると、新郎とその家族、そして村人全員で、お嫁さんの家(別の村の場合はそちらの村まで)にお嫁さんを迎えに行きます。そして、お嫁さんを新郎の家に迎えたら、いよいよ結婚式です。
と言っても、儀式が終わると、村人たちは特にすることもなく、1日中、ただ食べたり飲んだりするだけだそうです。
ちなみに、ヒンドゥーの宗教儀礼はさまざまなものがありますが、ポトンギギという犬歯を削って平らにする儀式を、結婚式と一緒に行うこともあります。これは、親が子どもにしてあげる最後の儀式だそうで、つまりは成人式のようなものだそうです(犬歯を削って初めて人間になるんだとか)が、宗教儀礼はとてもお金がかかるので、必ずしも、日本のように20歳で行うとは決まっておらず、できるときにやるんだそうです。例えば誰かの結婚式や、誰かがポトンギギをやるときに便乗できれば、その分、準備にかかるお金も少なくてすむので、たとえ結婚するのが30歳であったとしても、そのときにポトンギギを行ったりします。
そうそう、プタラさんが言うには、バリの男性は30歳頃に結婚する人が多いのだそうです。なぜなら、お金がないから。大人になって、一生懸命お金を貯めないと、結婚できないって言っていました。だって、鶏何十羽に豚何頭ですからね・・・。ついでに言うと、女性の適齢期は24~25歳とのことでした。
〈お葬式〉
さてさて、次はお葬式。ご想像通り、これまた大変です。
バリヒンドゥーでは、人間は火と水と何かと灰でできていると言われているそうです。そのため、バリのお葬式は日本と同じ火葬。火で清めないと、仏教で言う成仏ができないんだそうです。そして、火葬されれば灰になるから、これで人間を構成する要素のすべてが完結して、めでたしめでたしとなるわけなんですね。バリヒンドゥーでは輪廻転生が信じられているので、この考え方は何となく納得できます。
そして、輪廻転生という考え方からすると、死というのは繰り返される人生の一つの通過点のようなものなので、お葬式は決してツライ悲しいものではありません。だから儀式も、結婚式のようにお祭り騒ぎになるそうです。そのため当然、お葬式を行うにはお金がかかります。
でも、多くの村人には、簡単にお葬式を行えるほどの財産はないとのこと。
では、どうするか?
プタラさんの村では、15人死んだところで 合同葬儀をするそうです。
15人死んだら?? じゃあその間、死体はどうなるの???
プタラさんいわく、「1回埋める」( )とのこと。
そして、15人そろったところで、埋めてある遺体を掘り起こし、改めて火葬にするそうです
ちなみに、所属する村の村人のお葬式には、たとえ外国にいても、帰ってきて参加しないといけないそうです。そうでないと、自分のお葬式をしてもらえず、大変なことになるとか。
宗教や習俗が違うとこうまですべてが違うものなんですね・・・。
本当に勉強になりました。
■ついでですが、この日の夜ご飯
プタラさんに上記のようなお話を聞きながら、私たちの車は順調にジンバランへと向かっていました。ホテル近くに着いたのは、夜11時過ぎ。お腹が空いたので、近くのローカルの食堂「JAYA SEMPURNA」(ジャヤスィンプルナ)で、ミーゴレンと野菜炒めをテイクアウトしました。
残念ながら料理の写真は取り忘れました
この食堂は、いわゆる本当のローカルの食堂で、机もなんだかベタベタしています・・・。ですが、夜遅いにもかかわらず、お客さんがひっきりなしに訪れ、とっても繁盛していました。ごはんは、1品120~140円程度。日本から比べると1人前の量が多いので、本当に激安です。
そして、ホテルに戻って食べてみると、ミーゴレンが激ウマ
夢中になって食べちゃいました。ジンバランのインターコンチネンタルから車で数分なので、とってもオススメです。名前を言えば、タクシーの運転手さんもまず知っているはずです。
■プタラさんとはお別れ
さて、プタラさんとはここでお別れ
本当は翌日も夕方から予約をしていたのですが、プタラさんのお友達の結婚式だそうで、参加しなければならないということでした。そこで、翌日は、プタラさんの従兄弟のアシタワさんに案内をしてもらうことになりました。
それにしても、本当は1日チャーターだと8~10時間ということだったのですが、なんと12時間以上も付き合わせてしまいました。しかも、料金は1日分の5000円でいいとのこと。でも、それではこちらの気持ちが収まらないので、8000円お支払いさせていただきました。金額が多いと驚かれていましたが、それでも、旅行会社の車チャーターの相場から比べたら、安すぎるくらいなのです。
なんとも良心的なガイドさんでした。
・・・つづく。
ウブドからジンバランまでは、車で1時間半くらいかかるので、夜ご飯はホテルの近くの食堂でテイクアウトすることにして、すぐにウブドを発ちました
■バリヒンドゥーの結婚式・お葬式
車の中では、ガイドのプタラさんに、ヒンドゥー教の教えに則ったバリの人々の生活について、いろいろと話を聞かせていただきました。
実は、私たちがバリに行った時期は、ちょうどイスラム教の断食月であるラマダンがあけた直後でにぎわっていたのですが、イスラム教徒の多いインドネシアにあって、バリ島ではヒンドゥー教が信仰されており、この時期はヒンドゥー教にとっても重要な日だったようで、あちこちで結婚式 が行われていました。
*ちなみに、ヒンドゥー教と言っても、バリではインドとは違う独自の信仰となり、バリヒンドゥーと呼ばれているらしいです。
〈結婚式〉
プタラさんによると、ヒンドゥー教は生活のすべてに密接にかかわっており、結婚もその例外ではないそうです。
・結婚とカースト制度 ーカーストが違う人同士の結婚
特に重要なのは、カースト制度という身分制度。身分階級が同じ人同士の結婚は、特に問題になりませんが、もし階級が違う人同士が結婚しようとしたら大変なことになります。なぜなら、階級が違うということは、住む場所や通う学校、言葉遣い、生活様式など、ありとあらゆるものが異なるからです。
もし、階級の高い女性が、階級の低い男性に嫁ぐとどうなるか?
自分の階級は、旦那さんの方の階級に下がってしまうので、実家に帰ったときに、両親や兄弟に、目上の人に対する言葉遣いをしなければなりません。同じテーブルで食事をしたりといったような、普通の家族づきあいができなくなってしまうそうです。
以前は、いまよりも階級制度が厳しく、同じ階級の人としか結婚をすることはできませんでした。しかし、最近では昔ほど階級制度が厳しくなくなり、その結果として、違う階級の男女が恋愛関係になり、このような問題が増えてきたそうです。
結果として、どうなったと思いますか?
なんと、駆け落ち婚とできちゃった結婚 が増えたんだそうです
駆け落ちをして、子どもができてしまえば、親も許すしかないということのようです。好きな人と結婚をするための、最後の手段なんでしょうね。
・普通の結婚
では普通に結婚する場合はどうなのでしょうか?
実は、これはこれで非常に大変なのです
バリヒンドゥーでは、“村”というのがひとつの重要なキーワードになります。例えば、重要な儀式(お祭り)を行う日などは村によって異なり、ある1日にバリ全土で一斉に何かをするということではないのだそうです。そして、村の儀式は、基本的に全員参加。もちろん、冠婚葬祭も同じです。
ある男女が結婚することになったとします。
新郎の家では、結婚式の10日くらい前から、結納の儀式や結婚式の準備が始まります。それも、朝は日の出から夜中まで。当然ながら、その準備や儀式には、村人全員が参加します。村人たちは、朝6時頃からかわるがわる新郎宅を訪れ、男性は外に大きなテントなどを組み立て、女性たちはひっきりなしに料理を作ります。
そして、大変なのは、新郎とその家族。
村人全員というと、なんと300人 ほどにもなるそうで、お手伝いに来てくれる人たちの、この間の食事はすべて新郎宅が用意するため、新郎宅のお父さんや兄弟は、何十羽もの や何頭もの をさばき続けることになるのです
さて、式当日
朝、何かの儀式が終わると、新郎とその家族、そして村人全員で、お嫁さんの家(別の村の場合はそちらの村まで)にお嫁さんを迎えに行きます。そして、お嫁さんを新郎の家に迎えたら、いよいよ結婚式です。
と言っても、儀式が終わると、村人たちは特にすることもなく、1日中、ただ食べたり飲んだりするだけだそうです。
ちなみに、ヒンドゥーの宗教儀礼はさまざまなものがありますが、ポトンギギという犬歯を削って平らにする儀式を、結婚式と一緒に行うこともあります。これは、親が子どもにしてあげる最後の儀式だそうで、つまりは成人式のようなものだそうです(犬歯を削って初めて人間になるんだとか)が、宗教儀礼はとてもお金がかかるので、必ずしも、日本のように20歳で行うとは決まっておらず、できるときにやるんだそうです。例えば誰かの結婚式や、誰かがポトンギギをやるときに便乗できれば、その分、準備にかかるお金も少なくてすむので、たとえ結婚するのが30歳であったとしても、そのときにポトンギギを行ったりします。
そうそう、プタラさんが言うには、バリの男性は30歳頃に結婚する人が多いのだそうです。なぜなら、お金がないから。大人になって、一生懸命お金を貯めないと、結婚できないって言っていました。だって、鶏何十羽に豚何頭ですからね・・・。ついでに言うと、女性の適齢期は24~25歳とのことでした。
〈お葬式〉
さてさて、次はお葬式。ご想像通り、これまた大変です。
バリヒンドゥーでは、人間は火と水と何かと灰でできていると言われているそうです。そのため、バリのお葬式は日本と同じ火葬。火で清めないと、仏教で言う成仏ができないんだそうです。そして、火葬されれば灰になるから、これで人間を構成する要素のすべてが完結して、めでたしめでたしとなるわけなんですね。バリヒンドゥーでは輪廻転生が信じられているので、この考え方は何となく納得できます。
そして、輪廻転生という考え方からすると、死というのは繰り返される人生の一つの通過点のようなものなので、お葬式は決してツライ悲しいものではありません。だから儀式も、結婚式のようにお祭り騒ぎになるそうです。そのため当然、お葬式を行うにはお金がかかります。
でも、多くの村人には、簡単にお葬式を行えるほどの財産はないとのこと。
では、どうするか?
プタラさんの村では、15人死んだところで 合同葬儀をするそうです。
15人死んだら?? じゃあその間、死体はどうなるの???
プタラさんいわく、「1回埋める」( )とのこと。
そして、15人そろったところで、埋めてある遺体を掘り起こし、改めて火葬にするそうです
ちなみに、所属する村の村人のお葬式には、たとえ外国にいても、帰ってきて参加しないといけないそうです。そうでないと、自分のお葬式をしてもらえず、大変なことになるとか。
宗教や習俗が違うとこうまですべてが違うものなんですね・・・。
本当に勉強になりました。
■ついでですが、この日の夜ご飯
プタラさんに上記のようなお話を聞きながら、私たちの車は順調にジンバランへと向かっていました。ホテル近くに着いたのは、夜11時過ぎ。お腹が空いたので、近くのローカルの食堂「JAYA SEMPURNA」(ジャヤスィンプルナ)で、ミーゴレンと野菜炒めをテイクアウトしました。
残念ながら料理の写真は取り忘れました
この食堂は、いわゆる本当のローカルの食堂で、机もなんだかベタベタしています・・・。ですが、夜遅いにもかかわらず、お客さんがひっきりなしに訪れ、とっても繁盛していました。ごはんは、1品120~140円程度。日本から比べると1人前の量が多いので、本当に激安です。
そして、ホテルに戻って食べてみると、ミーゴレンが激ウマ
夢中になって食べちゃいました。ジンバランのインターコンチネンタルから車で数分なので、とってもオススメです。名前を言えば、タクシーの運転手さんもまず知っているはずです。
■プタラさんとはお別れ
さて、プタラさんとはここでお別れ
本当は翌日も夕方から予約をしていたのですが、プタラさんのお友達の結婚式だそうで、参加しなければならないということでした。そこで、翌日は、プタラさんの従兄弟のアシタワさんに案内をしてもらうことになりました。
それにしても、本当は1日チャーターだと8~10時間ということだったのですが、なんと12時間以上も付き合わせてしまいました。しかも、料金は1日分の5000円でいいとのこと。でも、それではこちらの気持ちが収まらないので、8000円お支払いさせていただきました。金額が多いと驚かれていましたが、それでも、旅行会社の車チャーターの相場から比べたら、安すぎるくらいなのです。
なんとも良心的なガイドさんでした。
・・・つづく。