ひとしきり大西洋の激しさを堪能し、海の門に向かっていこうとすると、向こうの方にオレンジジュース屋台が3軒並んでいるのが見えました。値段はどこも同じようですが、一番手前のところにだけ人が集中しています。私たちがそちらの方向に向かって歩いていくと、真ん中の屋台のおにーちゃんが、一生懸命大声を張り上げて、私たちを手招きしていました。
あれだけ一生懸命だしね、と思ってその屋台に行くと、おにーちゃんはとっても嬉しそうな様子。
一生懸命笑顔を振りまきながら、オレンジを搾ってくれました。
あまりにも良い笑顔だったので、写真を撮らせて欲しいとお願いしました。
すると、おにーちゃん、「ちょっと待ってて」と言って、オレンジを手に持ちハイ、ポーズ。

そして、そのオレンジに切り込みを入れて食べやすくした上で、
「ありがとう」と言いながら、私たちにプレゼントしてくれたのです。
えっ、写真を撮らせてもらって、御礼を言うのはこっちの方なのに。
でも、きっと彼は、「うちのお店に来てくれてありがとう」という気持ちを伝えようとしてくれたんでしょうね。
私もすっごく嬉しくなり、チェキで写真を撮ってプレゼントしました。
こういうとき、チェキって本当に便利 

ちょっと大きくてかさばるけど、持って行く価値はあると思います。
さて、海の門のすぐ脇には、本来なら魚市場があるはず。
そして、門を抜けた向こうには、魚料理の屋台群があるはずです。
そう、当然のことながら、エッサウィラは新鮮な魚がたくさんとれるので、
お昼はぜひとも屋台で食べたいと思っていました。

ところがですよ、あれれれれ、魚市場がやっている気配はまったくない 
それに、魚料理の屋台群なんて、影も形もないじゃん。
あるのは、なにかカバーがかけられた屋台らしきものだけ。
実は、この日は日曜日(それに前日はメーデー)。どうも、そのせいで屋台がお休みだったみたいなのです。
そんなぁ~
仕方ないので、地球の歩き方に載っているレストラン、「シェ・サム」に向かいました。
■シェ・サムでの出会い
シェ・サムは、港の一番先端のところにあり、炭火焼の魚料理がおいしいんだそう。お店は古い木造で船の中のようにいろんな結び方をしたロープや操舵輪などが飾られており、ちょっとした映画のセットのようです。メニューを見ると、ランチ(夜も?)のコースとして85dhと200dhの2種類があり、内容を見たら85dhの方で十分な量だったので、85dhのコースとミントティを注文しました。

ミントティは、こうやって高いところから泡が立つように入れます。


コースでは、この魚のスープかサラダが選べます。
このスープがまた、やたらとでかいボウルに入ってきて、すごい量。
それに、骨がざらざらとたくさん残っていて、イマイチ飲みづらい。

鰯の、たぶん炭火焼。鱗がたくさん残っていて、やや食べづらいのですが、これはおいしかったです。
っていうか、3人前でこの量って。。。なんかもう、お腹いっぱい。

鱸かな? と思われる白身魚のフライ。魚の身がほっこりして、美味しかったです。
なんせ、メニューがフランス語なので、何の魚かはっきりわからないんですよね~ 

最後にチョコレートプリン。
う~ん、これは。。。
見た目に反してなめらかさがなく、プリンというより寒天寄せみたいなボリボリ気味の食感。
たぶん、ミルクや生クリームなどをほとんど使ってないんでしょうね。
私が手作りした方が確実においしいです。
と、まあ、デザートとスープはイマイチだったのですが、ここで素晴らしい出会いがありました。
向こうの方に、日本人と思われる女性が一人で座って食事をしていたので、声を掛けてみると、
なんと東京の文京区から来ているというではないですか。
偶然にも、インナービジョンのご近所さんです。

左がSさんです。
Sさんは、たまたま2日前に、同じスプラトゥールのバスチケット販売所で私たちの姿を見かけていたとのことでした。そして、せっかく旅先で知り合ったのだし、一人旅の方は自分の写真がなかなか撮れないだろうと思い、写真を撮ってあげたり、一緒に写真を撮ったりしながら、少しおしゃべりしていました。すると、Sさん、こんなことを言うではないですか。
Sさん「昨日(5/1)からモロカン時間(サマータイム)になってたのって、ご存じでしたか?」
私「えっ! 知らないです。私の地球の歩き方には、6月1日からって書いてありましたけど」
Sさん「実は私も知らなくて、今朝、リヤドで朝食を食べていたら、ホテルの人に何時のバス? って聞かれて、そのときがすでに、バスの出発時間ギリギリだったんです。ビックリして、慌ててタクシーでスプラトゥールに向かって、なんとか間に合ったので、よかったですけど・・・」
私「じゃあ、私たちはバス停に30分前に着いて、その直後にバスが出発したから、時間よりも前にバスが出ることもあるんだぁ、なんてのんきに思ってたけど、実は30分も遅れてたんですね
」
・・・そうなのです。モロッコ編35で書いた「ある重大な事実」、それは、5月1日からサマータイムが始まって、時間が1時間早まっていた
ということだったのです。おそろしや~ 
実は、マラケシュの街や私が泊まったホテルのロビー、ホテルの部屋には、時計がないのです。だから、自分の時計以外で時間を目にすることはまったくなくて、それで、サマータイムになっていることに気付かなかったのです。
ってことはですよ、逆に言えば、バスはよくぞ待っていてくれたってことですよ。
それに、もしここでSさんに出会わなかったら、私たち、確実に予約していたバスに乗り遅れて、マラケシュに帰れず、途方に暮れていたはずです。そう考えると、この偶然の出会いは、まさに奇跡のようなものではないですか。
これは、私たちについていてくれた旅の神様に感謝
ですね(もちろん、貴重な情報をくださったSさんにも大感謝です)。
本当にラッキーでした 
ちなみに、Sさんとは行きのバスでは会わず、なんでだろうと思っていたら、スプラトゥールのエッサウィラ行きのバスは何本かあるそうで、私たちが乗ったバスは豪華版、Sさんが乗ったバスは普通のバスだったそうです。私たちはガイドさんにチケット購入をお任せしたので、そういう違いがあるのをまったく知りませんでした。ガイドさんが気を利かせてくれたんですね。豪華版のバスは、1日に1往復のみの運行だそうです(普通のバスはどうだったか、忘れてしまいました)。
・・・つづく。