東葛人的視点

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個人情報保護が理由とはいえ、IT会社までノートパソコンの携帯を禁止してどうする!

2005-05-02 13:21:50 | ITビジネス
 この前、あるITサービス会社の営業の方と酒を飲む機会があったが、その方は終始、自分の鞄を膝の上で抱えたまま酒を飲んでいた。理由は簡単。その鞄の中にはノートパソコンが入っていたからだ。そのパソコンにどんな情報が入っているかは聞かなかったが、ご時世柄、容易に想像はつく。とても酔える雰囲気ではない。ひょっとしたら、ノートパソコンを持ったまま酒の席に行くのは禁止といった社内規則があるのかもしれない。しかし営業なら、そんなことを言ってはいられない場合もあるだろう。

 個人情報保護法の完全施行に伴い、ITベンダー、ユーザー企業を問わず、こうしたパソコン紛失恐怖症とでもいうべき“症状”が蔓延している。無理もない。ある弁護士によると「5000人の個人情報の入ったパソコンを持ち歩くのは、5000万円の現金を持ち歩くのと同じ」だそうだ。宇治市の個人情報漏洩での慰謝料が1人1万円だったことからのレトリックだが、個人情報漏洩で被る経済的・社会的リスクへの不安をうまく表現している。そこで、ノートパソコンの携帯を禁止する企業も増えているという。ITサービス会社の営業ですら、ノートパソコンの持ち歩かない人を結構見かけるようになった。

 しかしITサービス会社の場合、これでは格好がつかない。これまで、「ノートパソコンを社員に持たせることで、情報を戦略的に活用できるようにしましょう」「SFAの導入で営業の生産性向上を図りましょう」などと提案してきたのである。そして自らも、そうした戦略活用を実践してきたはずである。ところが、個人情報漏洩怖さに、というか、漏洩事件を引き起こした企業として報道されるのが怖くて、便利なITツールを取り上げるようでは、「今までの提案はなんだったの」と言われかねない。

 こんなシニカルな物言いをせずに言えば、個人情報保護法がホワイトカラーの生産性向上や“増力化”への取り組みにとって、大変な“逆風”となっているのは確かだ。個人情報が保護されなければいけないのはもちろんだが、モバイル・ワーカーなどが非IT化を迫られるようだったら、それこそ本末転倒だと思う。

 いまコンピュータ・メーカー各社は、個人情報などをローカル・ディスクに残さないセキュア・パソコンなどの製品化しており、ユーザー企業化からの引き合いも強いという。ITサービス会社もそろそろ、個人情報保護ならぬ個人情報“活用”ソリューションを提案してほしい。そうしないと、ユーザー企業のトップが恐ろしいことを言い出すかもしれない。「なんだ、パソコンを1人1台持たさなくても、業務になんら支障はでないな」。実際、「パソコンなど2人に1台で十分」と言い出した経営者に、私は会ったことがある。

1 コメント

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