管理職も行政も教えてくれない 学校の「今のあたりまえ」 若い教師に伝えたいこと

今当たり前と思っていることも、よくよく考えてみれば、問題だらけ。若い人には、ぜひ読んで、考えてもらいたいものばかり。

「AKB48とブラック企業」坂倉昇平

2020-08-18 21:05:42 | 行政
6年も前の本だが、AKB48の歴史は、現在の労働問題を驚くほど象徴しているかを、秋元康の歌詞を分析する中で解説をしている。
AKB48の生誕から、2013年までの紆余曲折(スキャンダル、総選挙、じゃんけん大会、卒業、恋愛禁止など)を、逆手にとって、それらをいかに「商売」に結びつけていったかの経緯も興味深い。
時代の流れと、その中で生身で生きている人々の感情、感覚を読み取ることにかけては、秋元康は天才的である。さらにAKB48で起こる問題(不満、造反)を掬い上げ、それらを決して労使の問題にせず、それ自体も「売り物」としてしまう経営者としての手腕もなかなかのものだ。
しかし、彼の力はそれ以上のものではない。
むしろ私たち労働するものにとっては、害悪そのものである。
不満については究極のところ「自己責任」であり、辛くても、「それが試練」「努力し続けることが大切」「みんな傷つきながら物語を作っていくのだ」と、本質を語らず、それすら美化し、「商売」に利用する。
握手会も、総選挙も、ファンは「商売のお得意様」でしかないのだろうと思う。(そうではない、彼女らに希望を、生き甲斐をもらっているという人の存在は否定しないが。私から見れば悪徳商法の被害者にしか見えない。申し訳ないが)

AKBも、そのファンも、早く秋元康の歌詞や、商魂を乗り越えてほしいと願う。

「トリニティ」窪 美澄

2020-08-14 12:11:03 | 行政
461ページの長編。
イラストレーター、大橋歩と、フリーライターの三宅菊子をモデルにしたもの。
二人とも私がまだ中学生、高校生のときに、時代の寵児てなして脚光を浴びていたのだが、名前は知ってはいたが、それ以上のものではなかった。小説にも出てくるが、大橋歩は、当時女性だと知り、びっくりした記憶がある。
平凡パンチやプレイボーイなど、若者文化をリードすべく、雑誌が次々と発行された60年。70年代。アンアンも若い女性の流行の指針となるべく出されたものだろう。
その中にあって、若いイラストレーター、フリーライター、そして鈴子という三人の女性の歴史を、時代と交遊とを絡めて語っていく。
三人をかなり詳細に描こうとしているものだけに、このような長編になってしまったのだろう。
私の青春時代とは、少しばかりずれるのだが、一気に読ませるだけの力のある作品であったと思う。
彼女の作品を読むのは、三冊目となった。

理不尽な「愛国心強要」に勧告

2020-08-13 07:48:35 | 行政
ILOとユネスコは昨年春に日本政府に「愛国的な式典に関する規則に関して教員団体と対話する機会を設ける」ことなどを内容とする勧告を出した。卒業式・入学式での「日の丸・君が代」の強制によって教職員の思想・良心の自由が侵されている問題を、「アイム89東京教育労働者組合」が、ILO・ユネスコの合同委員会に申し立てたことを受けてのもの。

 勧告は「起立や斉唱を静かに拒否することは…教員の権利に含まれる」とのべ、教員団体との対話は、起立・斉唱したくない教員にも対応できる合意をつくることや起立・斉唱しなかった教員への懲戒処分を避けることを目的とするよう求めている。
「勧告は、下記の6項目で、日本政府および教育委員会に対して是正を求めている。

(a)愛国的な式典に関する規則に関して教員団体と対話する機会を設ける。その目的はそのような式典に関する教員の義務について合意することであり、規則は国旗掲揚や国歌斉唱に参加したくない教員にも対応できるものとする。
(b)消極的で混乱をもたらさない不服従の行為に対する懲罰を避ける目的で、懲戒のしくみについて教員団体と対話する機会を設ける。
(c)懲戒審査機関に教員の立場にある者をかかわらせることを検討する。
(d)現職教員研修は、教員の専門的発達を目的とし、懲戒や懲罰の道具として利用しないよう、方針や実践を見直し改める。
(e)障がいを持った子どもや教員、および障がいを持った子どもと関わる者のニーズに照らし、愛国的式典に関する要件を見直す。
(f)上記勧告に関する諸努力についてそのつどセアートに通知すること。

勧告は(a)~(c)において「国旗掲揚や国歌斉唱に参加したくない教員」の立場に慮り、「懲罰を避ける」ために教員団体と対話せよと言う。「国旗掲揚、国歌斉唱時における強制はやめよ。平穏な不起立に対する懲戒処分は避けよ。」という主旨である。

(a)は国際人権基準における「市民的不服従」を教育労働者に適用したもので重要だ。教師が市民としての権利とともに、その専門性を十全に発揮できる地位と環境が保障されてこそ、子どもたちの学びと成長が実現して行く。子どもたちもまた生涯にわたって市民的不服従が保障されるべきことは同じだ。

(e)に障がいを持つ子どもや教員のニーズに留意を促した意義も大きい。式典が障がい者にも画一的な強制力を及ぼす弊害を受けとめたものと言えよう。

アイムの渡辺厚子氏のレポートによれば、勧告をふまえて9月にアイムと文科省とで交渉を持ったところ、文科省は以下のように回答したという。
①(勧告を)日本語訳はしない。
②関係の地方自治体にのみ英語のまま勧告を伝える。いつとは言えない。
③セアートは日本の国内法を理解せず勧告を出した。例えば懲戒処分については地方公務員法上教職員団体とは話し合えない。
④地方公共団体へ出すべき勧告を日本政府にむけて出している。地方公共団体で対応してもらいたい。」(雑誌「法と民主主義」より)

まだ文科省は後ろ向きで旧態依然の姿勢を変えてはいないが、たとえこれが針穴ほどの小さなものだとしても、こじ開ける糸口にはなりうるだろう。

東京都も最悪教科書不採択

2020-08-13 06:37:32 | 行政
20年近くにわたり使用し続けてきた「新しい歴史教科書をつくる会」系の教科書は、今年は不採択になった。これまで採択されていた特別支援学校、中高一貫校、すべてで不採択である。
過半数の得票で決定するのだが、その結果には、育鵬社や日本教科書の票もちらほら現れて予断を許さないものだった。
しかし、この採択のための会議が「討議抜きの無記名投票」となっている点は、納得いかないし、危惧すべきだろう。「発言は他の委員の投票に影響を及ぼすから」という理由には呆れてしまう。意見を出し合い、個々の考えをよりよく変えていくことが、「会議」本来のあり方ではないのか。
そんな「教育委員会」が、何の質問もなく開催されていること自体、東京の教育のレベルの低さを象徴しているのだろう。

スリランカからの留学生 無視はできないな

2020-08-10 20:24:18 | 行政
図書館からの帰り、夕方に駅を降りると、「スミマセン!」という声に呼び止められた。
東南アジア系?いやインドからかなと思える若い大学生くらいの女性。
「コロナウィルスで、生活費や授業料のために、今、手作りのお菓子を売ってます。お願いします。」という内容。
赤い羽や、交通事故による孤児支援、災害の募金に、これまでまったく足を止めることがなかった私。
「ごめんね」と通りすぎる。
ロータリーの端に立ち、道行く人に話しかけている(私には真摯に訴えているように感じた)声を後ろに聞きながら、これは本当のことかもしれない。それならば放ってはおけない。
最初の曲がり角で、突如Uターン。彼女のところに向かう。
「放っておけないからね」と、彼女に寄付をする。お菓子を二袋。
「よいことが、ありますように🎵」と可愛い笑みつきのお礼。
彼女と別れて、もう一つの出口の前を通ると、またもやここにも、「スリランカ留学生」が同じように通る人に声をかけている。
はは~ん、こちらと反対側の南口でもやっているなら、三人くらいでやっているのかなと。素直に、頑張ってほしいと思う。

※と、ここまで書いたが、その第二の「留学生」の脇を通りすぎた道の隅で、30代くらいの、やはり東南アジア系の男性がじっと彼女らをまといるのに気がついた。いや、見守っている学友だと思いたい。