YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

1月の読書 読んだ本の数:9、読んだページ数:3028

2023年02月05日 | Weblog

筑波山の梅林では蝋梅、紅梅、白梅の順に香りを放ちます。



おらんだ忍者・医師了潤 - 御役目は影働き (中公文庫)おらんだ忍者・医師了潤 - 御役目は影働き (中公文庫)感想
忍者物の主人公が上忍の医師というのは面白い設定だ。そして近代科学を駆使する設定も新しい試みだ。ただ敵の設定がわかりにくく、終わり方もちょっと急ぎ足で残念だった。
読了日:01月29日 著者:浮穴 みみ


児童養護施設という私のおうち――知ることからはじめる子どものためのフェアスタート児童養護施設という私のおうち――知ることからはじめる子どものためのフェアスタート感想
モデルである著者が児童養護施設で幼児期から18歳まで過ごした事例。きっともっと異なる事例も数多くあるのだろう。流石に若い感じのする文体であるが、飾りもてらいもなく淡々とした中に施設の状況を表している。施設からは18歳で自立するというのは(そうなのだろうが)ちょっとショックを受けた。私はまだまだ遊ぶ気満々の年齢であったから。このような事例だけではなく、基本困窮する事が多いのではないだろうか。このようなセーフティーネットがきちんと機能する世の中になってほしい。
読了日:01月29日 著者:田中れいか


奇跡を蒔くひと奇跡を蒔くひと感想
経営に行き詰まった公立病院。今や大学病院だってどうなるのかわからない状況だ。少子高齢化で2050年には人口の半数以上を60歳以上の高齢者が占めることになるという。国民のために国会議員はつまらぬ個人の交友関係を追求するのではなく、未来に向けて真剣に考えてほしい。市民のための病院。そして患者第一というスタンスで、厳しい運営に望む主人公に徐々に賛同者が増えていく様子が嬉しい。対立する敵役が悪し様に語られすぎるのも仕方がないが、医師の仕事は本当に大変だと思うばかりだ。
読了日:01月29日 著者:五十嵐貴久


グッドバイ (朝日文庫 あ 74-1)グッドバイ (朝日文庫 あ 74-1)感想
斎藤美奈子氏の解説が素晴らしい。茶葉が絹糸と同じように日本の輸出産業であったことも知らなければ、炒り茶という製法も知らなかった。この作品でも朝井まかて氏の筆は私を強く引き付け続けた。史実をもとにしているのだろうが、時々の出来事、事件がスピードを持って主人公の大浦慶の周りを通り過ぎていく感じだった。幕末に16歳の女主として商売を取り仕切るのも、藩や幕府の官僚とやり合うのも、だめな父親と弟の面倒を見るのも、情動に左右されずに描き出している。蒸気船のオーナー仲間になって世界雄飛かと思ったのに、駄目でしたか。
読了日:01月24日 著者:朝井 まかて


テーラー伊三郎テーラー伊三郎感想
明日香の方言に完敗。浜通り育ちの私は作者も同じ生まれかと思ったが、どうやら中通りらしい。その割には「んだっぱい?」のような方言がみられないのが謎だ。服飾を始めとして失われつつある古き時代の技術に共感を覚える。写真を趣味にする上で、デジタル化は大きな転機だった。児童虐待問題が提起されているが、ノイジーマイノリティーの危険性をうまく扱っている。我々は貧困ビジネス等と揶揄されるような組織に、しっかりと対応しなければならないのだ。さて、テーラー伊三郎を起点として、この町の商店街の活性化が図れることを祈るばかりだ。
読了日:01月15日 著者:川瀬 七緒


きときと夫婦旅きときと夫婦旅感想
ギスギスした夫婦の物語かと思ったら、「きときと」とは富山の方言だそうだ。出版社勤めの夫と書店勤めの妻。息子が中学校3年生となった頃、我々夫婦の関係はどうだったかと振り返ることとなった。私は家内の名前をちゃん付けで呼んでいるが、その逆はないので作中と同じようなものだ。SNSが当たり前のようにストーリーに出てくる。私もLINE、TWITTER、FACEBOOKを使用しているが、情報を抜かれるという噂のあるTikTokには手を出そうとは思っていない。鉄オタではないが、京急イエローハッピートレインは知っている。
読了日:01月13日 著者:椰月 美智子


オオルリ流星群オオルリ流星群感想
エッジワース-カイパーベルトというワードは初めて目にした。そういえば冥王星が惑星でなくなった理由が何なのかよく理解せずにいた。この本は作者がアマチュア天文家向けの望遠鏡で微小な天体を発見したことに刺激を受けて書いたそうだ。青い鳥「オオルリ」を幾重にも関与させ、若かりし頃の仲間を45歳の現在と絡めて紡いだ珠玉の青春小説だ。松任谷由実「ジャコビニ彗星の日」の絡ませ方も見事というほかはない。東京大学大学院で地球惑星科学を専攻したという作者の他の作品もぜひ読みたいものだ。
読了日:01月12日 著者:伊与原 新


償却済社員、頑張る (講談社文庫)償却済社員、頑張る (講談社文庫)感想
私はマニュアルミッション車からトルコン(torque converter)車に移ったときに左足ブレーキに変え、今に至っている。本作品は人材を設備のように「残存簿価」とか「償却済み資産」とか「除却処分」などとあとがきで煽っているが、まぁ、大概のところでうまい表現だと感心した。何につけ興味を持って物事に取り組むことが老後の重要なミッションだと思う。とある老健施設でサッカーチームの「推し」活動をした結果、殆どの方に笑顔が戻り、会話も弾むようになったとの報道を見た。「好奇心」は死ぬまで大切なものなのだ。
読了日:01月09日 著者:安土 敏


うらんぼんの夜うらんぼんの夜感想
「こだら閉鎖的な村の場所を福島県にしねでもらいて」というのが福島県出身者の私の思いだ。震災によるデマを組み入れるためには仕方がなかったのだろう。猟奇的なホラーとミステリーが入り混じっていて、こわごわと読み進めた。高校生でアルバイト禁止だから他にない農作物を栽培して、それを女子高生という付加価値をつけて直売所で販売する。この強かさは高校生というくくりを飛び越えており、見事な起業家というほかない。それにしても「逆さ吊りの女」はどうなるのだろうか。続くのか?
読了日:01月06日 著者:川瀬七緒

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