YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

3月の読書メーター

2021年04月04日 | Weblog

読んだ本の数:19
読んだページ数:6236

十の輪をくぐる十の輪をくぐる感想
遅刻する、指示を守れない、暴力的である佐藤泰介は企業人として問題である。幼少の頃も泣き叫び、他の子達に暴力をふるい疎ましがられていた。今は認知症を発症している万津子はそんな泰介を抱えて上京した。おぞましい話が続くのかと思ったら・・・。泰介と妻の由佳子はともにバレーボールの選手だった。そして娘の萌子も高校二年生でバレーボールの選手として活躍している。娘にADHDという病気について知らされた結果、怒涛のクライマックスへと読者を引っ張もってくれました。そんなに変われるものなのかと思いながらも感動して読了。
読了日:03月30日 著者:辻堂 ゆめ


きのうのオレンジきのうのオレンジ感想
食品メーカーの経営するイタリアンレストランの店長である33歳の笹本遼賀に胃がんが見つかった。弟、母、祖母、看護師の矢田などが支えてくれるおかげで遼賀は治療にあたれるのだが・・・。AYA世代(15~39歳)のがんがというストーリーが骨子ですが、描かれているのは遼賀の人間性だと感じました。AYAでも30代になるとガンの多くを占めるのが女性の乳がんと子宮頸がんです。特に子宮頸がんはワクチンによって防ぐことが出来るのに、誤った副作用情報によって接種者が減っている。コロナでも同様の事態にならないように祈るばかりだ。
読了日:03月30日 著者:藤岡 陽子


護られなかった者たちへ護られなかった者たちへ感想
生活保護世帯で育った子どもが陥る「貧困の連鎖」。友人も教育支援の形で退職後のボランティアを始めています。そもそも生活保護に予算の枷がかけられているとはねぇ。現代の日本で餓死者は毎年20人ほどいるらしい。コロナの影響で完全失業率が上昇しいる割に、生活保護者数は増加していないという辺りがとても気になります。一方では不正受給があるから難しい問題なのでしょう。本書はそのような「生活保護」に焦点を当てたミステリーでした。このミステリーにはすっかり騙され、びっくりして読了というパターンになりました。
読了日:03月30日 著者:中山 七里


モップの精と二匹のアルマジロ (実業之日本社文庫)モップの精と二匹のアルマジロ (実業之日本社文庫)感想
題名のアルマジロが出てくるのは最後の一つ前のページ。ハリネズミも出てくる。人間同士の気持ちの持ちようを例えて表現しようとした結果、この二種類の動物が出てきたようです。解説に曰く、性(セックス)と性差(ジェンダー)と性愛(セクシュアリティ)をめぐるメロドラマティックでサスペンスフルな探偵劇。うまくまとめたもんだと感心いたしました。
読了日:03月29日 著者:近藤 史恵


モップの魔女は呪文を知ってる (実業之日本社文庫)モップの魔女は呪文を知ってる (実業之日本社文庫)感想
化学屋の一人として違和感を覚えたのは第一話の「水の中の悪意」。金属ナトリウムなどのアルカリ金属は水と激しく反応して爆発します。ですが入浴剤に使われる重曹(炭酸水素ナトリウム)や芒硝(硫酸ナトリウム)が水に溶ける際には肌に感じられるほど発熱しません。「第二病棟の魔女」は二転三転で面白く、「コーヒーを一杯」では家族の心の捉え方がうまいと思いました。
読了日:03月27日 著者:近藤 史恵


天使はモップを持って (文春文庫)天使はモップを持って (文春文庫)感想
シリーズ3冊めでやっと初巻にたどり着きました。あとがきでビル清掃の業務についたことがあるという作者。そして解説は新井素子。どちらも本編同様に読んでいて楽しかった。しかしあっという間の結婚でしたね。介護のための嫁なのか、という辺りは今どきの家族問題として必要な問題提起だと思うのですが、それをあっさり理解して許容する家族も標準以上に物分りが良すぎると感じました。
読了日:03月25日 著者:近藤 史恵


モップの精は深夜に現れる (文春文庫)モップの精は深夜に現れる (文春文庫)感想
モップの精シリーズ2冊めですが、順番がメチャメチャです。解説の辻村深月氏は日曜の夜に読んで月曜日に元気で通勤できると書いていますが、これを一晩で読んだら睡眠時間はかなり短くなって月曜日のお仕事は辛いものになりそうです。
読了日:03月24日 著者:近藤 史恵


モップの精は旅に出る (実業之日本社文庫)モップの精は旅に出る (実業之日本社文庫)感想
読み終えて「あとがき」に目を通してびっくり。シリーズの最終巻だったのですね。「サクリファイス」から読み始めた近藤史恵。この作品では別の作家のものと勘違いしながらページを繰っていました。引き出し多いですね。掃除婦とは思えないようなスタイルのキリコちゃん、あらためてシリーズを最初から読んでみようと思います。
読了日:03月23日 著者:近藤 史恵


天女湯おれん天女湯おれん感想
読んだ順番はともかくシリーズ3作品読破いたしました。本作品では色ごとの描き方が異常に多い気がしました。そこまで書かなくても大意は通じるのにと。好き者に向けた作品のようでもあり、一方では辻斬りにはじまるミステリーもあり、裏ごとでの危険な駆け引きなどいろいろな出来事が盛り込まれた作品でした。
読了日:03月22日 著者:諸田 玲子


そして、星の輝く夜がくる (講談社文庫)そして、星の輝く夜がくる (講談社文庫)感想
あれから十年。幸い私の身近で命をおとしたものはいませんでしたが、友人の家族など多数が犠牲になりました。フクシマの放射脳を思い出されます。不必要な避難生活や風評被害を広げたのは「放射脳」をもったマスコミではなかったでしょうか。今「コロナ」でそれが再現されています。私達はもっとしっかりと科学に裏付けされた事実によって行動すべきだと改めて感じさせられました。毎年この時期に読みたい一冊です。
読了日:03月19日 著者:真山 仁


BOSS (実業之日本社文庫)BOSS (実業之日本社文庫)感想
フリーのスポーツライター戸塚啓氏は「組織を束ねるリーダーの在り方を問いかける一冊」とまとめている。さすがだ。本書では試合の場面はかんたんに表現しており、ハイライトを見ているようでスピード感があり退屈しなかった。さて、組織を束ねるリーダーに要求される資質とは何なのだろうか。自分の思いとはまた異なる思いが部下や上司にあるわけで、なかなか思うように動かないのが組織ですね。思いの半分でも実現できれば大成功なのではないでしょうか。
読了日:03月17日 著者:堂場 瞬一


天女湯おれん 春色恋ぐるい (講談社文庫)天女湯おれん 春色恋ぐるい (講談社文庫)感想
朝の風景描写で振り売りの声が使われていますが、気になったのが鋳掛け屋。江戸時代の鍋釜は鋳鉄製だったようで、脆くてヒビが入ったり欠けたりしたんでしょうね。ふいごを駆使して鉄を融かすその技がすごいと思います。私の子供の頃にも見たような気がするのですが、その時代は銅製に錫鍍金でその補修だったのかと思います。さすがにアルミニウム製になってからは消えた職業の様です。色恋沙汰があまりに大胆奔放な表現でありました。(^^)
読了日:03月16日 著者:諸田 玲子


天女湯おれん これがはじまり (講談社文庫)天女湯おれん これがはじまり (講談社文庫)感想
文政12年(1829年)松平定信が死去した年に発生した江戸の大火。八丁堀に構えた湯屋も消失し、20歳になる娘のおれんが残された。このおれんが湯屋を再築し、いろいろな問題に首を突っ込んで活躍する風景が描かれます。さすが諸田さん、江戸の下町風景を存分に楽しませていただきました。下衆にも思える男と女の関係についても、明け透けにからりと表現して嫌味を感じない。噂のたまり場である湯屋の二階が別料金だったと解説されていて「へ~ぇ」となりました。「秘すれば現れる」の諺どおり、いつまで秘されたカラクリは保たれるのか。
読了日:03月14日 著者:諸田 玲子


ちぎり屋ちぎり屋感想
国際貿易都市であり北のウオール街でもあった小樽を舞台にした明治~大正時代のお話。そんな北の歴史、今回はじめて知りました。日本銀行小樽支店と向かいに建てられた北海道銀行。建築家辰野金吾と長野宇平治の作品のひとつなのですね。そんな小樽の片隅で居酒屋を営むおもんを中心に、懐古したり日常に身を任せたりする日々が描かれていました。平和って何か考えさせられました。寿司屋とオルゴール館しか知らなかった私の不明を恥じるばかりです。
読了日:03月13日 著者:蜂谷 涼


ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ (講談社現代新書)ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ (講談社現代新書)感想
私には本書に出てくる楽譜の数々を読むことができません。ヘ音記号の行にト音記号が出てくるなんてもうお手上げです。しかし演奏者がよく言う「楽譜を読み込む」ということがどういうことなのか、その片鱗に触れた気が致します。バッハのゴールドベルグ変奏曲、初めて全曲通しで聴きました。それぞれの変奏についての解説が短く適切でよくわかったような気にさせてもらいました。ピアノ曲をこんなに集中して聴いたのは初めてです。それにしてもロシア生まれのピアノ演奏家が、日本語でこの様な本を著したということに驚きを禁じえません。
読了日:03月08日 著者:イリーナ・メジューエワ


とんちき :耕書堂青春譜とんちき :耕書堂青春譜感想
耕書堂は江戸時代の「トキワ荘」との表現を眼にしましたが、まったくそうであったに違いないと思わせる内容でした。史実はともかく、同時代に現れた東洲斎写楽、滝沢馬琴、葛飾北斎、十返舎一九が一堂に会するのだからたまりません。今でも史跡として日本橋に残る蔦屋重三郎の地本問屋「耕書堂」。蔦屋の人を見抜く目があったればこその繁栄であったのでしょう。大変楽しく読み終えました。
読了日:03月08日 著者:矢野 隆


えにし屋春秋えにし屋春秋感想
人と人との縁をつないだり切ったりするお仕事、という設定ですが、第一章の終わりにはお初の正体が明らかになり、第二章を読み終えると店主とお初の出自が明らかになります。ただのお仕事小説ではなく、あの弥勒シリーズの調べが通奏低音で流れています。どこかで遠野屋主人・清之助が出てくるのではないかと思うくらいでした。菊乃の最後はあまりにあっけなくて残念でしたが、全体が凝った作りで堪能致しました。
読了日:03月06日 著者:あさのあつこ


復讐の協奏曲復讐の協奏曲感想
御子柴の懲戒請求を煽動するブログ。情報開示請求によりたどり着く開設者とその背後で手綱を取る人物。ビジネスの世界の周りで起こる加害者と被害者、ちょっと古い枕営業の形をとって描く安っぽい男の実態。事務所の事務員洋子が殺人の被疑者として罠に落とされようとした。弁護人はもちろん御子柴。今回も御子柴の過去がその影を落としていました。読み始めたら止まらなくて一晩で読み終えてしまいました。
読了日:03月04日 著者:中山 七里


罪の声 (講談社文庫)罪の声 (講談社文庫)感想
グリコ・森永事件はあまり記憶にありません。1984年といえば総合品質管理が大いに叫ばれ、デミング賞受賞のための業務に邁進していた時期だったからだと思います。なまじ事件名だけ知っているような状態でしたので、前半部分のストーリーには大いに苦労しました。この作品が読メのタイムラインに流れていたのは、映画が2020年10月に公開されたからなんですね。歳のせいか、複雑なプロットにはなかなかついて行き難くなってきました。
読了日:03月03日 著者:塩田 武士

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