YOUTH

青春とは人生のある期間ではなく 心の持ちかたを言う
by Samuel Ullman

6月の読書メーター 読んだ本の数:35 読んだページ数:11764

2020年07月01日 | Weblog

6月の読書メーター
読んだ本の数:35
読んだページ数:11764


レインレイン・ボウ (集英社文庫)レインレイン・ボウ (集英社文庫)感想
牧知寿子が亡くなった。専業主婦の渡辺(旧姓神林)美久、編集者の小原陽子、保育士の善福佳寿美、看護師の井上緑、パラサイト・シングルな坂田りえ、管理栄養士の三好由美子、メーカー勤務の片桐陶子らは高校時代の弱小ソフトボールチームのメンバーだった。唯一通夜にも来なかったのは長瀬里穂ひとり。7篇の短編ごとに主役が変わりミステリが隠されている上に、全編で長瀬の所在を追うという手の込んだ作りになっていました。不思議な感覚で読み終えました。解説によると「月曜日の水玉模様」が関連作品のようです。改めて探してみましょう。
読了日:06月30日 著者:加納 朋子


あなたの人生、片づけます (双葉文庫)あなたの人生、片づけます (双葉文庫)感想
「片づける」を調べていたら「嫁ける」とも表記するんだとか。娘を嫁入りさせることの表現の一つですが、そのうち禁止用語になるかもしれませんね。一見片付いているようでもいろんな場所の納戸や物置に使わないものがたくさん仕舞ってあったりして。いいものだからと痩せた今は着ることのないブレザーを、とっくに流行遅れのロング丈のコートをワードローブに隠してあるのは内緒です。息子たちも着用するはずがないのでいずれは処分しなくてはならないのです。そんなことに気付かされました。
読了日:06月29日 著者:垣谷 美雨


天晴れアヒルバス天晴れアヒルバス感想
バスガイドの女性陣が企画する数々のツアー、外務省のインバウンド観光促進と足並みをそろえて、いやいやアヒルバスのほうが先ですね。外国人に興味深いものは私にとっても物珍しいものなので、本書を参考に、カメラ片手に色々行ってみたくなりました。浅草今戸神社、築地市場は場外だけだから豊洲市場も、上野恩賜公園、明治神宮、等々力渓谷、府中の大國魂神社、メイドカフェはスルーして、GUNDAM FACTORY YOKOHAMAなどなど。続巻が出る頃はデコちゃん結婚しているかなぁ。
読了日:06月28日 著者:山本幸久


書店ガール 4 パンと就活 (PHP文芸文庫)書店ガール 4 パンと就活 (PHP文芸文庫)感想
7巻まで読み終えたのですがこの巻を飛ばしていました。「シューカツ」と短縮する言葉の多いことにうんざりしているのですが、今年はCOPID-19の影響もあり大変なのでしょうね。フリーペーパについて調べていたら、吉祥寺書店員の会「吉っ読」が出てきてびっくり。リアルな会だったのですねぇ。お仕事に何を選ぶのか、選ばないのかは難しすぎてなんとも言えませんが、「書店員」がだんだん魅力的なお仕事に見えてきました。クレーマーに遭遇して指が震える辺りの表現はとてもリアルでした。
読了日:06月28日 著者:碧野 圭


ある日、アヒルバス (実業之日本社文庫)ある日、アヒルバス (実業之日本社文庫)感想
時々はとバスを利用します。桜の季節に2階建てオープンバス'OSolamio(オーソラミオ)はとても快適です。この作品の主人公はハトならぬアヒルバスのガイド。懐かしいなぁ楠木正成像、中学生の修学旅行で行きました。文庫本には東京名所ぐるり旅コースMAPがついていますので、本文とともに景色が蘇ってきます。リアルデコの巻は文庫の描き下ろしだそうで、語り手が代わっていて一瞬誰かわかりませんでした。戸田カオルくん、子供ながらいい仕事してます。
読了日:06月27日 著者:山本 幸久


終わった人終わった人感想
東大法学部卒、大手銀行エリート社員の田代壮介は役員一歩手前で競争に破れ子会社に出向。そのまま転籍して定年を迎えた。団塊の世代の中でこれほどきらびやかな職歴を持ったものはごく少ないはずだ。奥方も手に職をつけて独立精神旺盛であるのに、定年後はやることが見つからないという。図書館、ジムどこへ行ってもジジババばかりなのが気に入らない。・・・まさしく反面教師のような書きっぷり。ささやかな年金で生活している大衆を見下すような行動は許せないとしても、その後若い人の会社で特技を生かした辺りは冒険譚としてワクワクしました。
読了日:06月26日 著者:内館 牧子


今夜も残業エキストラ (PHP文芸文庫)今夜も残業エキストラ (PHP文芸文庫)感想
仕事はパンのためにのみとは思いたくない。元気に入社してきた若者が、やりがいを感じられず落ち込んでいくのが6月だと言われています。今年は更にCOPID-19が猛威を奮っていて更に大変かもしれません。26才の紺野真穂は深夜に及ぶ残業もいとわず、やりがいのある仕事と信じて毎日取り組んでいる。うまくいくこともあればそうでないこともあるし、自社のみでは解決不能な案件もいくつも出てくる。仕事に振り回されながら、僅かな幸せを求めて今日も頑張るのでした。(頑張り過ぎに注意しましょう)
読了日:06月26日 著者:吉野 万理子


無菌病棟より愛をこめて (文春文庫)無菌病棟より愛をこめて (文春文庫)感想
急性骨髄性白血病罹病の告知から、移植後までの凄惨な闘病記。池江璃花子選手が「急性リンパ性白血病」になり復帰したことはオリンピック代表が期待された選手だけに大きな話題となりました。白血病に蝕まれた患者さんがどのような闘病生活を過ごすのか、本書ではユーモアを交えながらも凄まじい副作用との闘いを記録しています。弟さんのドナーとしての記録も大変に参考になりました。科学の力で少しでもこのような患者さんを救えるようになればと祈らずにいられません。 患者さんや患者さんを取り巻く多くの方に読んでほしい一冊です。
読了日:06月26日 著者:加納 朋子


ふたりみち (角川書店単行本)ふたりみち (角川書店単行本)感想
67才、五稜郭近くのスナックをほそぼそと経営しているゆかり。詐欺にあった2百万円を稼ぎ出そうと恥も外聞もなく知り合いのつてを利用し、独りどさ回りを敢行する。青森までの旅費だって、新幹線を使ったことにしてフェリーを使っているくらいだ。ひょんなことから12才の家出娘縁(ゆかり)と一緒に旅することになる。日本各地を移動する間に、縁にはピアノの才能に優れていること、ゆかりにもシャンソンの才能が素晴らしいことが明らかにされる。ブルースを巻き舌でというのはもはや日本語。ブルーライト・ヨコハマを巻き舌で歌う国です。
読了日:06月25日 著者:山本 幸久


スノードロップスノードロップ感想
現政権と官僚の腐敗、その元は日露戦争以来のユダヤ資本牛耳るアメリカへの隷属であるとして、自由が著しく制限された皇室が「詔勅」という形で対抗する。これが世にいう「令和の改新」である。・・・この著者の作品は初めて手にしましたので、説明されてはいるものの「無限カノン」の何たるかも知らずに読み終えました。フィクションとして面白いのですが、根拠の明らかでない政権批判には少なからずイライラしました。これも現政権のいいように操られているから?
読了日:06月24日 著者:島田 雅彦


祝祭と予感祝祭と予感感想
「袈裟と鞦韆」読めませんでした。「蜜蜂と遠雷」を読んでいるといないでは随分印象が変わるかと思います。私には「鈴蘭と階段」がとても印象的でした。最近、ヴィオラの音色に惹かれているんです。6篇の短編集ですが、1頁の文字数が少なく、あっという間に読み終えてしまいました。
読了日:06月23日 著者:恩田 陸


十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞 (幻冬舎文庫)十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞 (幻冬舎文庫)感想
単行本で既読作品だが、自分の感想を読み返してみてもあまり思い出せませんでした。だが今回は面白かった。4年の歳月をかけて表した源氏物語異聞。弘徽殿女御(こきでんのにょうご)に目をつけたのは高校生の時というのだから驚きです。高校生がそこまで源氏物語を読み込んだということですよね。ご自身を主役の「雷」に投影して一人の職業人としての女御を見つめています。キャリアウーマンを表現した「プラダを着た悪魔」から題名を採ったのだとか。なかなかあの時代の文字は読めませんが、25年在住の証ですかね。
読了日:06月23日 著者:内館 牧子


翼がなくても (双葉文庫)翼がなくても (双葉文庫)感想
ミステリとしてよりも、アスリート小説として読んでしまいました。練習は結果として現れる上に、科学の力が加われば更に上を目指すことができる。面白いですねぇ。解説の大矢博子氏が「突然障害を持ってしまった人は、ショック→否認→混乱→努力→受容という道筋をたどる」と書いています。障害に限らず、がんなどの重病が発覚したときにも同じことが言えます。つくば市出身の兎沢朋美選手は義足T62でパラ出場に選出されています。頑張ってほしい。
読了日:06月22日 著者:中山 七里


夫の墓には入りません (中公文庫)夫の墓には入りません (中公文庫)感想
「嫁をやめる日」は既読なのに、文庫版で題名が変わっていたので再読となりました。長崎を舞台に名家の嫁だった歌葉子が、夫の死を機会に生活を考える作品。読者をその気にさせといて後から真実を明かすやり方はミステリーのようです。舞台となっている長崎市を調べようと思ってサイトを見たら、肝心の情報はみんなPDFなんですね。不親切だなぁ。人口およそ43万人の都市で、誰と会っているか分かっちゃうってホントかな。サラリと読めて、嫌な気持ちを残さない、その最後のエピソードが素敵でした。
読了日:06月22日 著者:垣谷 美雨


農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)農ガール、農ライフ (祥伝社文庫)感想
親をはじめ頼れる親戚が一切ない30歳過ぎの女性。アパートを借りるだけでそんなに大変なんて知りませんでした。バイトで食べていくのも大変ですよね。一方、優雅に見える生活を送るアフィリエイトで頑張っている元新聞記者の先輩の姿や、DVの連れ合いと離婚し子供を持つ女性など、女性ならではの視点でその困窮ぶりが描かれる。そんな中でも元気に明日に向かって農業を頑張る主役をアシストするのが、二人の強力なおばあさんだ。世の女性陣よ、団結して男性の搾取から立ち上がれ、という風ではありませんが、女性パワーにはタジタジとします。
読了日:06月21日 著者:垣谷美雨


大奥秘聞 綱吉おとし胤 (集英社文庫)大奥秘聞 綱吉おとし胤 (集英社文庫)感想
桂昌院玉の実像に迫ることができた?歴史上の真実はいかにあれど、当時の女として、正妻としての立場を強引に捨て去ったような現実が、不協和音として伝わってきました。犬将軍事綱吉の生母の物語でした。
読了日:06月21日 著者:植松 三十里


歌舞伎座の怪紳士 (文芸書)歌舞伎座の怪紳士 (文芸書)感想
題名から「オペラ座の怪人」もじりかと思いました。作中にも登場して、近藤さんいろいろ隠し玉を下さっています。歌舞伎は前の建物のときに一度楽しんだ程度ですが、オペラは何度か足を運びました。「新解釈」の振り付けってすごいのがあります。先日SNSで知ったのはスター・ウォーズ版の魔笛でした。冬の女王がダースベーダですよ。閑話休題。女性三人の家族。それぞれの性格を実に見事に表現しています。「怪紳士」とお祖母様との邂逅もほっこりとする幕締めでした。
読了日:06月20日 著者:近藤史恵


ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー感想
日本人の子が海外で成長する情景は岩城けい著「Masato」「Matt」を思い出させます。こちらはアイルランドと日本との混血児。しかも住んでいるのは階級の意識が色濃く残るGBイングランド。住んでいる地区で両親がホワイトカラーか否かがわかる。差別は肌の色だけではなく粗両親の出身地にまで遡る。ジェフリー・アーチャーは上流階級から見た社会しか描いていないのが本書によってよく理解できた。中学生で女性器切除の授業があるというのにも驚きました。twitterで話題になった赤ちゃん人形のお世話と同様、日本は遅れている。
読了日:06月20日 著者:ブレイディ みかこ


書店ガール 7 旅立ち (PHP文芸文庫)書店ガール 7 旅立ち (PHP文芸文庫)感想
組織が大きくなればなるほど社員の階層も深くなり企業方針の実現にも難しさが出てきますね。ペガサス書房吉祥寺店から始まり福岡資本の大型書店「新興堂書店」吉祥寺店へ。やがて新興堂書店は大手印刷会社の子会社として組み入れられ、この印刷会社参加の他の書店チェーンや取次会社が合併して新会社になる。大きな会社は効率一辺倒になりやすい。99年の歴史を誇る仙台市定禅寺通の櫂文堂書店は100年の節目を迎えられるのか? 一方、ビブリオバトルってそういうふうにするものだと初めて知りました。新発見のたくさんあるシリーズでした。
読了日:06月19日 著者:碧野 圭


書店ガール 6 遅れて来た客 (PHP文芸文庫)書店ガール 6 遅れて来た客 (PHP文芸文庫)感想
いながらにして書店のお仕事、出版・編集のお仕事などがわかって楽しいのがこのシリーズの良いところです。5巻ではラノベ、BLを検索にかけましたが、この作品ではメディアミックスのなんたるかが示されて面白く読み進めました。芸大生は大学生協で値引きされた本を購入するというのも、学生時代を振り返りそうだそうだと納得しました。本屋さんの方もブックカフェなる複数業態の営業が普通に話題に上がるほど一般的になったのでしょうか。彩加さん奮闘記はこれでお開きでしょうかね。次がまた楽しみです。
読了日:06月17日 著者:碧野 圭


書店ガール 5 ラノベとブンガク (PHP文芸文庫)書店ガール 5 ラノベとブンガク (PHP文芸文庫)感想
今回崖っぷちから這い上がるのは取手店の店長に就任した宮崎彩加。何をどんなふうにと言うのは本書をお読みいただくとして、「読書メーター」まで登場してしまいましたね。さて常磐線沿線、取手市から利根川を越え南に位置するのが我孫子市ですが、明治末期には北の鎌倉と称され白樺派の志賀直哉、柔道家の嘉納治五郎、バーナード・リーチ、日本歯科の礎を築いた血脇守之助などが住んでいた頃を力説しておきたい。取手市は東京まで快速で45分程度なので、この地に人が遊びに来るというよりは、東京のベッドタウンと行った趣の町です。
読了日:06月17日 著者:碧野 圭


ワーキング・ホリデー (文春文庫)ワーキング・ホリデー (文春文庫)感想
読んだのは文春ウェブ文庫版、電子図書館からの貸し出しです。今年のCovid-19で外出自粛している間にも宅配便の皆様には通販の品物などを運んでいただき感謝しています。私のすむ地方都市ではあまり目にしませんが、都内では何度か見かけたリヤカーを使った配達。そんな内情を知ることができるのも細かい下調べがあったからでしょうね。ヤンキー出身のホストに子供がいたという驚きの幕開けから始まる本作品。「スーツ」というドラマと対局にあるような主人公、そして夏休みの子供が連想させる母親。楽しい作品でした。
読了日:06月15日 著者:坂木 司


書店ガール 3 託された一冊 (PHP文芸文庫)書店ガール 3 託された一冊 (PHP文芸文庫)感想
東日本大震災のときに書店を訪れていた人々は「避難するように」の声が上がる中足を踏み出せずにいた。それは床に落ちた書籍を踏みつけなくてはならないから。そこまで本に思い入れがあるのは素晴らしいと感じました。
読了日:06月14日 著者:碧野 圭


書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)書店ガール 2 最強のふたり (PHP文芸文庫)感想
大型商業施設マルシェ吉祥寺に入っている新興堂書店の店長理子はペガサス書店閉店前に辞表を出していました。その理子がわざわざ吉祥寺の個人書店で購入した石川達三著「僕たちの失敗」、みうらじゅん「見ぐるしいほど愛されたい」はどちらも読んだことがありません。その理子に王子様登場か?そして一緒に転職した亜希の妊娠が発覚。夫や義母の子育てに関する感覚の違いに動揺するが、夫の編集するマンガ誌が回収の憂き目に。ちびくろサンボを含め現在では表現していけない問題にも言及しています。「風と共に去りぬ」ももう読めないのかなぁ。
読了日:06月13日 著者:碧野 圭


書店ガール (PHP文芸文庫)書店ガール (PHP文芸文庫)感想
私の住んでいる地区では個人経営の書店は消え、駅ビルやショッピングセンターに開いているチェーン店ばかりです。しかも購入するのはもっぱらネットであり、地域経済に貢献していないことを思い出しました。さて、書店に勤める数少ない女子正社員の先輩後輩。若い方の社員亜希の結婚式でドロドロのバトルが勃発。そんな話嫌だなと思っていたらなんと同志?経営上の問題から次々と姿を消す書店。ペガサス書房吉祥寺店の店長となった理子の戦いが始まった。
読了日:06月13日 著者:碧野 圭


セカンドウィンド 3 (小学館文庫)セカンドウィンド 3 (小学館文庫)感想
高校自転車部、ロードとトラックの双方に対応している。巻頭に1と2が「これまでの話」として載せられている。朝ドラの月曜版みたいで面白い。いよいよセカンドウインドの世界が展開される。デッドポイントでリミッターを外したときに呼吸が楽になるというセカンドウインド。そして洋はキャプテンとして、チャンピオンとして高校生最後のレースに挑む。そしてその先にあるのはヨーロッパで走る明日の自分なのだ。
読了日:06月12日 著者:川西蘭


展覧会いまだ準備中展覧会いまだ準備中感想
「ユーモアあふれる筆致」作者紹介文の一節ですが、他に表現のしようもありません。公設美術館のありかた、館長と議員とのやり取り、学芸員と事務員などある種のお仕事本としても見ることができそうです。コロナ禍でリモートワークが一般的になってきましたが、2012年時点で美術館に呼べない外国の作家をリモート登場させる辺りは大したものではありませんか。この時代だとSkypeですかねぇ。そうそう「あたしの拳が吠えるんだ」の登場人物、あなただったのね。
読了日:06月11日 著者:山本 幸久


生きるぼくら (徳間文庫)生きるぼくら (徳間文庫)感想
中学、高校といじめにあい引きこもりとなった主人公、その名も「人生」が10ヶ月の田舎生活を体験して人間を取り戻す。マハ氏らしくカバー画は東山魁夷の「緑響く」。その静謐な御射鹿池の印象も相まって、人間として生き返る様子を生き生きと感じられる。解説の桂南光氏は「土は耕さないほうが柔らかくなる。」と記載していますが、これは耕さないからではなく、雑草などを肥料として使っているからではないかと私は思うのです。田起こしした後の一面のレンゲソウなんて光景、最近は目にしません。
読了日:06月10日 著者:原田マハ


ゴールデンスランバー (新潮文庫)ゴールデンスランバー (新潮文庫)感想
高評価作品なので手にしたのはいいけれど、前半はページが進まず大いに苦労しました。おかげで「セカンドウィンド」が進みましたw。しかしいろいろな決め事が決まっていざ逃げ始める段になると、ご都合の良い点が色々出てきてはいるものの、一気呵成に読み進められました。謀略と監視社会をうまくエンターテインメントとして処理してありました。
読了日:06月10日 著者:伊坂 幸太郎


グッドバイグッドバイ感想
幕末に長崎で活躍した大浦慶の波乱の生涯を描いています。同じテーマで書かれた白石一郎著「天翔ける女」もあるそうですが未読です。女だてらに対外貿易の先駆者として取り組んだことが素晴らしく、幕末の志士への見返りのない投資もあったに違いないと思わせます。途方も無い量の茶葉を用意する過程が書かれていますが、史実はともかく、とても大変なことだったに違いありません。それを成し遂げた人が、タバコ詐欺に巻き込まれたのはなんとも残念なことでした。楽しい歴史小説に浸ることのできた一日でした。
読了日:06月07日 著者:朝井 まかて


あたしの拳が吼えるんだあたしの拳が吼えるんだ感想
題名からして少女が戦うんだなとわかります。男性の姿はいずれも勇猛ではありませんが、最後にはきちんと釣り合いを取っています。フーカのママも、理解あるベテランの縫製士だにして新人の部下にはこわ~い存在。それが・・・。みくちゃんとそのママにはある種の潔さがあり、好感が持てます。そんな女性陣の描き方が素晴らしいこともあり、あっという間に読み終えてしまいました。フーカがジムを破門になった理由、素晴らしいと感じました。格闘技にあってはこれぐらいの覚悟が必要ですよね。
読了日:06月06日 著者:山本幸久


ロマンシエ (小学館文庫)ロマンシエ (小学館文庫)感想
フィクションとノンフィクションの作品。この文庫版では東京ステーションギャラリー館長の冨田章氏の特別寄稿が掲載されている。これを読んだ末に現実と虚構の入り乱れる新しい分野の作品であったのだと知らされました。そしてリトグラフ、また新しい知識が増えました。文庫版の表紙絵もRaymond Savignac の「Paris a 2000 ans」という作品のようです。なお東京ステーションギャラリーのサイトには「君が叫んだその場所こそがほんとの世界の真ん中なのだ。」のページが残されていました。


読了日:06月05日 著者:原田マハ


奇跡の人 The Miracle Worker奇跡の人 The Miracle Worker感想
映画「奇跡の人」でヘレンがアンの汲み出す水に触れて「WATER」と綴った場面が思い出されます。気がついてみればヘレン・ケラーが介良れん、アニー・サリヴァンが去場安だということ。知ったような話だけど・・・と思いながら涙を流し、気づいてみればヘレン・ケラー物語の日本版だったということでした。舞台や時代設定がうまくなされているのでノンフィクションかと思っていました。目が見えない、耳が聞こえないだけで相当のハンディキャップですが、更に話せないという三重苦の少女に贈れるものは何だったのだろうか。
読了日:06月03日 著者:原田 マハ


ともしびマーケット (講談社文庫)ともしびマーケット (講談社文庫)感想
独特のトーンで語られる9篇の短編。いずれもともしびマーケットがキーになっている。北海道の地理に疎いのでそこに埋められた意味があるとしても理解はできていません。一度読み終えましたが、全体の流れがぼんやりしているので、もう一度読まなければならないと感じています。
読了日:06月02日 著者:朝倉 かすみ


夕陽の道を北へゆけ夕陽の道を北へゆけ感想
アカプルコ。世界的な観光地であるとともにカルテルが支配する町。新聞記者の夫が書いた記事が気に入らないと姪の誕生パーティーが襲われて、バスルームに隠れた母息子以外の16人が殺された。息苦しくなるような始まりからアメリカ国境越境の行進まで息をつかせない状況が描かれる。翻訳された日本語へのスペイン語ルビがまた緊迫感を与えています。mijoとmamiの関係が力強く描かれているからこその感動だと感じました。18人のお墓に癒やされます。原題は American Dirt。
読了日:06月01日 著者:ジャニーン・カミンズ



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