tw-now
地震の事とか書いてきましたが、退職したので一寸変わった内容に。
 



去年(2021)の秋にダニエル・デフォー「ロビンソン・クルーソー」を読みました。2019年刊新潮文庫・鈴木恵 訳です。(①)
その中に、住んでいた洞窟が崩れかかって、ロビンソンが引っ越さざるを得なかった、地震の記述があります。
何か面白い記事があるかと、Robinson Crusoe earthquake とかで検索すると、被害の模様が出てきます。(②)
写真の光景はチリ領ロビンソン・クルーソー島で、2,010年の地震による津波被害を伝えるものです。
このロビンソン・クルーソー島というのは、その島で一人暮らしたセルカークという人がロビンソン・クルーソーのモデルではないか、ということから命名されたそうです。
 ②BBCの記事より
一方、「ロビンソン・クルーソー」本文にはブラジル・サルヴァドールを出港してから無人島に漂着するまでの詳しい記述があり、これから推定した漂着地の地図が新潮文庫には掲載されています。両者を比較するのに地図を作成してみました(③)。地震についても考えられるよう、USGSに当たって関連する地域の過去の地震を検索し、これらの地震の震央位置を灰色のドットで示しました。

↑各画像ともリンクがあります。カーソルを合わせてみてください。③、④の作図にはGMTを用いました。

③の漂着地は中央アメリカから西インド諸島を経て南米大陸の北端に達するカリブプレートの境界に沿って震源の分布が密な地域に近接しているので、ロビンソン・クルーソーが体験したような地震が起こっても不思議はないと納得できます。
一方、ロビンソン・クルーソー島の方は南米大陸西岸の地震多発帯からは遠く離れているので、もし、この島で大きな揺れを感じるとしたら、プレート境界の大地震で、その場合は津波を伴って②のようなことになり、せっかく捕らえた山羊もろとも流されてしまうので、ロビンソン・クルーソー島は漂着地としては、考えづらい、と結論づけようと思いました。
がしかし、③をようく見るとロビンソン・クルーソー島の付近にも震源のプロットがあるので、拡大してみました(④)。ロビンソン・クルーソー島から最も近い1981/6/4の震源は震央距離で約62㎞と計算されます。この距離と震源深さ10kmを仮定して、松崎, 久田, 福島の関係式で震度を推定してみますと、観測されたM=5.1ではロビンソン・クルーソー島で震度2、M=7台なら4、M=8を仮定しても震度5弱となりました。
思い切って結論付けると、セルカークはロビンソン・クルーソーが経験したような揺れは経験しにくかったのではないか、と思います。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« GMT projectの...   
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。