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地震の事とか書いてきましたが、退職したので一寸変わった内容に。
 



勤務先も加盟している関西地震観測研究協議会が、10月1日の緊急地震速報の一般提供に合わせて,E-mailによる緊急地震速報の試験配信を開始しました。昨日、今日と北海道の地震速報が届いています。
この速報についてP波を使っているぐらいしか知らなかったのでネットで一寸調べてみました。
気象庁地震火山部による緊急地震速報の概要や処理手法に関する技術的参考資料というのが見つかりました。ざっと紹介しますと、
P波の検知が1,2の観測点の場合は、 B-Δ法といってP波の立ち上がりの格好(震源が近いほどシャープ)のパラメータBと震央距離の関係から震源距離を初動の粒子軌跡から波動の到達方向を推定して震源位置を決め、3から5点で得られた場合は理論走時と観測時刻との比較からグリッドサーチで震源位置を決めるそうです。
震源が決まれば、振幅からマグニチュードを推定できますが、この場合P波による式とS波も含めた式の適用範囲が問題で、マグニチュード算定に用いる記録長さで扱いを変えているそうです。緊急速報ですから全て自動でやる必要があるのと、時間の掛かる処理はしていられないので、ザパザパっと決めていっている感じです。もちろん、膨大な実証を経てのことでしょう。
震源深さについてはグリッドサーチが出来ないうちは10kmに決めうちだそうです。昨日配信された情報では、深さが40kmとなっていました。3点以上の観測点の情報を使った模様です。本日18:57:39発表のものは深さが10kmとなっており、比較的少ない観測点の記録に基づいているのかと推察されます。
震源が決まればあとは、距離減衰式に載せて各地の震度を求めます。この場合は、「基準基盤」というVs=600m/sのところで速度振幅をもとめ、国土数値情報にある地盤増幅度を乗じて計算される地表の最大速度から震度に換算します。
主要動到達予測時刻は、”深さごとに簡略化して作成した走時表”というのを用いるそうです。

ちなみに、緊急地震速報といえばJRのユレダスですが、鉄道総研が特許申請している情報がありました。


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京都大学防災研究所公開講座 (第18回) "防災研究の新たな地平"-新任教授が熱く語る-
というのがあったので行って来ました。案内はこちら

紹介記事的なものを作ろうと思って書き始めましたが、一般向けとは言え、話題は最先端なので、理解しまとめるにはいま少し時間が必要なようなので、資料集の章立だけ紹介しておきます。
以下は私のメモ書きみたいなものです。

内陸大地震の発生予測
地震・火山研究グループ 地震予知研究センター  教 授 飯尾 能久
 1.はじめに
 2.内陸大地震の長期的な予測の現状
 3.新たな予測手法の開発と課題
 4.内陸大地震の発生過程の理解
 5.おわりに

 内陸地震の発生過程について、従来は無視されてきた下部地殻を考慮し、広域の応力は断層の下部地殻への延長部にも加わっているとする仮説を紹介して、これによって内陸地震の発生間隔がプレート境界地震の発生間隔に比べて非常に長いことなどが説明されることなど。地殻上部は脆性的に下部は粘弾性的に振舞う。
 陸域震源断層の深部すべり http://cais.gsi.go.jp/KAIHOU/kaihou70/11-01.pdf 
 

埋もれた都の地盤災害
地盤研究グループ 斜面災害研究センター  教 授 釜井 俊孝
 1.はじめに
 2.有馬高槻構造線と六甲断層帯
 3.今城塚古墳
 4.西求女塚古墳
 5.防災上の意義
 6.おわりに

 1596年慶長伏見の地震による古墳の地すべりとして、安威断層上の今城塚古墳と神戸市の西求女塚古墳の地すべりの分析結果。
今城塚古墳では、震動による盛土のブロック化からすべり面の形成、基盤粘土の流動化というプロセスが、西求女塚古墳では基盤砂層の液状化が要因であったことなど。

気象災害研究のこれから
大気・水研究グループ 気象・水象災害研究部門  教 授 石川 裕彦
 1.はじめに
 2.新しい観測とデータ同化
 3.気象予報と災害の予測評価
 4.地球温暖化と気象災害予測
 5.おわりに

 最近の気象観測と数値予測の話題および研究事例の紹介。地球温暖化と気象災害研究について。
風雲2号 http://j.peopledaily.com.cn/2007/01/13/jp20070113_66874.html
AIRS   http://aqua.nasa.gov/about/instrument_airs.php
 4次元データ同化
 スーパー台風

海からの脅威に備えて
大気・水研究グループ 気象・水象災害研究部門 教 授 間瀬 肇
 1.はじめに
 2.高潮・波浪予測の研究
 3.津波予測の研究
 4.海岸施設の信頼性設計
 5.おわりに

 高潮・波浪予測および津波予測の研究の紹介。津波予測については沖合における津波観測データを活用して沿岸に襲来する津波の時系列変動をリアルタイムで予測することを目指す。波形情報は無視し水位の上昇・低下のみをすばやくするニューラルネットワークを援用した予測方法の検討。
 GFS アメリカ環境予報局(NCEP)による全球気象予報モデル 
 WRF アメリカ大気研究局(NCAR)による局地気象予測モデル 

ソフトとハードの連携で洪水に備える― 水害時の情報伝達・避難行動シミュレーション ―
大気・水研究グループ 水資源環境研究センター 教 授 堀 智晴
 1.はじめに
 2.水害時の避難行動に関するシミュレーションアプローチ
 3.水害避難行動を規定する要因とそのモデリング
 4.水害避難ミクロモデルの全体構成
 5.避難シミュレーションの例
 6.水害避難ミクロモデルの同定
 7.デジタル街路情報を用いた避難行動場モデルの構築
 8.水害時の情報伝達過程のモデリング
 9.おわりに


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