[2020年2月17日 更新]
私立中や私立難関高の受験日早朝、学校の前で塾の先生らしき人々がずらんと並んでいる光景。
TV等で目にした者もいよう。
今日はアレについて、私の考えを述べたい。
当然だが私個人が思っていることなので、「それは違う」とか「先生方の熱意を踏みにじるのか」とかどうでもいい苦情を言ってこられても困る。法に触れているわけではないのでやりたい者はやればいい。
◆邪魔でしかない
私の結論から言うと「校門前激励」(一般名称がないので、こう呼ぶことにする)は迷惑であり、やめた方がいいと思う。
逆にアレをやる理由、皆さんは何だと思うだろうか。
「受験生のため」と思っているのであれば、それはおめでたいことだ。
一言でいえば塾のPRのためだ。
その証拠に、そういった校門前激励をやる中学・高校はいわゆる上位校ばかり。
新聞やテレビの取材なども集まるような学校だ。
高校なら早慶付属や筑駒、都立日比谷・西など進学指導重点校。
一方、都立商業・工業高校や、単願推薦と併願優遇で9割以上の生徒を確保する中下位私立高校の校門前で、応援している塾を見たことがあるだろうか。
ウソだと思うのなら、2/21の朝8:00以降に見に行くといい。絶対にいないから。
◆迷惑
むしろ普通の受験生にとっては邪魔であり迷惑だ。
おそろいの色のスタジャンを着て、旗やのぼりを立てて握手したり。
その塾の生徒以外にとっては"威圧"と感じるのではあるまいか。
塾に通っていない受験生にとっては、校門前激励の集団はプレッシャーでしかない。
よもや受験生にプレッシャーを与え、自塾以外の生徒を落とそうという狙いは無いとは信じたい。
なお、私の言いたいことのほとんどは、このブログで言ってくれている。
読むことを薦める。
◆生徒、保護者も「いらない」が多数派
先週、ツイッターで以下のアンケートを実施した。
匿名アンケートとは言え、結果は以下の通り。ある程度は予想通り。
入試の日、自分の受ける学校の門の前に自分の塾の先生が並んでたら、どう思いますか?
(保護者の方と、受験生の方にお答えいただきたいです)
「うれしい」人も少なからずいるが、むしろ「いない方がいい」が過半数とは予想外だった。
もっと「何とも思わない」が多いと思っていたよ。
◆学校側にとっても迷惑
受験生を待つ学校側にとって
・一般の歩行者に迷惑がかかる
・受験生や保護者の通行の妨げになる
・受験生や保護者の通行の妨げになる
などデメリットしかない。
5年ほど前、以下の記事が新聞に載っていたので転載する。
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受験生激励大声やめて! 入試会場で塾関係者ら過熱
私立中学などの入学試験で、塾関係者による「応援団」や「決起集会」への対応に学校側が頭を悩ませている。今月、兵庫県内各地で行われた入試でも、のぼりや鉢巻き姿で大声を上げ気合を入れる光景が見られた。ほかの受験生や保護者から「萎縮する」との苦情が上がっており、学校側が自粛を呼び掛ける動きも出ている。(
昨年、志願者が過去最多だった灘中学校(神戸市東灘区)は、今回初めて進学塾に「入学試験当日に関するお願い」と題した文書を配布。当日の来校を受験生と保護者、塾関係者に限定するよう依頼した。
昨年までは、小学5年の塾生や灘中に通うOBが下見や応援に大挙して来校。待機所の体育館近くを通る市道にも人があふれ、交通の妨げになるほどの混雑ぶりだったという。
応援団と受験生との見分けがつかず、入試の進行に支障を及ぼす恐れもあったといい、対策を求める声が上がっていた。同校の大森秀治教頭は「文書の効果は抜群。今年は塾の協力のおかげで状況が改善した」と話す。
神戸大付属中等教育学校(同)は今回、中高一貫体制となって初めての本格的な入試だった。正門周辺は受験生を運ぶバスが頻繁に出入りするため、人がたまるのは危険と判断し、塾関係者にも待機場所として体育館を開放した。
ただし、ほかの受験生が萎縮する事態を避けるため、塾に対し、集団で声を上げての決起集会▽旗やのぼりの使用▽ベンチコートの着用-などをやめるよう、事前に文書で呼び掛けた。
しかし当日、集会をして大声を上げた塾があり、抗議したという。同校の安岡久志副校長は「今後も繰り返されるようであれば、対応を検討せざるを得ない」と話す。
進学塾の日能研関西本部(神戸市)の森永直樹・進学情報室長は「昔はもっと派手に応援していた時代もあった。今は学校の意向に沿うのが原則。受験生の緊張をほぐして気持ちよく入試に臨んでもらうのが大切」と話している。
<出典:2015/01/30 神戸新聞>
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いっそ公道での応援を禁止して、校内に有料でスペースを設けてはどうだろうかね。
1人5,000円くらいで。
◆われわれ塾講師が協力できるのは前日まで
受験生が通う塾、1つの塾に塾長は一人しかいない(教室長や校長でも同じ)
その塾長が、A高校に校門前激励へいったとしよう。
同日に入試のある他高校を受けた受験生が、それを知ったらどう思うだろうか。
わたしが校門前激励をやらない理由の一つは「不公平だから」だ。
たとえ50人の受験生のうち49人がA高校を受けるとしても行かない。
B高校を受ける1人の気持ちを考えたら、とても行けない。
だが、たとえ受験生が1人しかいなくても私は校門前激励には行かないだろう。
中学受験であれ高校受験であれ、試験会場では自分ひとりで戦わなければならない。
われわれが何かできるのは前日まで。
試験当日に外野がとやかく言うことなど何もない。
受験とは、不安だろうが心細かろうが、受験生が一人で乗り越えるべきことだから。
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