ばあちゃんが入院している病院の最上階に、
見晴らしのいい休憩室があります。
コンビニのおにぎりを持っておじゃますると、
先客が二人、おじいちゃんとおばあちゃん。
二人とも耳が遠いらしく、騒がしさが
ヘビメタのライブ会場みたいなの。
で、あまりにも声が大きいのでイライラしちゃって、
話の内容はほとんど記憶に残らなかったんですが、
要するに病気の自慢合戦。
父ちゃんの診断によれば、二人とも極めて健康。
イライラした人に殺されなければ、あと五十年
生きるでしょう。
で、ちょっと思い出した話なんですが、
父ちゃんは若い頃、トラックに細かな商品を積んで、
スーパーの軒先とかにはったテントの中で商売する
人のお手伝いしてたんですよ。
小雨の降る日で、テントの中で雨宿りしながら
立ち話してるおじいちゃんとおばあちゃんが
いたんですけど、おじいちゃんは耳が悪くて、
おばあちゃんは目が悪いらしいんです。
おばあちゃんが、「あたしゃ目がわりぃから……」
って話始めると、おじいちゃんが「あ?」っつって、
「あたしゃ目がわりぃから……」
「あ??」
「あたしゃねぇ!」
「あぁ、あぁ」
「目がわりいからあ!」
「あぁあぁ」
「犬と孫のくべつがつかねえっ!!!」
「……あーそぉ、たいへんだー」
雨宿り客で大盛況のテント内が爆笑の渦。
お笑い芸人のライブ会場みたいでした。