『ガチ☆ボーイ』の感想を少しだけ。

　学生プロレスの話だから、クライマックスはもちろん試合のシーン。これがとにかく迫力ある。主人公は徹底的に痛めつけられるが、それでも何度も立ち上がって果敢に相手を倒そうとするのだ。まさに不屈の精神。もう泣ける泣ける。佐藤隆太のことは今までさほど好きではなかったけど、今回はまさにハマリ役だろう。「眠ったら前日のことは忘れてしまう」という記憶障害を持つ青年、という困難な役柄を違和感なく演じていた。お見事。
　ちょっと興醒めに感じられるのは、ところどころで見られる過剰な演出だ。主人公が片想いの相手の手紙を読みながら涙を流すと、その直後に雨が降ってきて瞬く間に土砂降りになる、なんてのはいくらなんでもやりすぎでしょ。あと、随所に織り込まれるギャグも少々気恥ずかしい。小泉徳宏監督、前作『タイヨウのうた』では抑制の利いた演出で最後まで気持ち良く感動させてくれたけど、今回はいささか勇み足に思える部分が多かった。
　とはいえ、試合の場面はホントにオススメ。声を出して応援したくなるほどだった。