だが、よし子はめげず、夢を実現させようと躍起になる。その夢とは、歌手になること。ギターでもピアノでもなく、なんとリコーダーで歌を作り、それで世に出ようと思っているのだ。しかし、オーディションを受けようとしても、いつも書類審査で落とされる始末。とまあ、こんなヘンテコな少女が巻き起こす騒動を描いた作品である。
よし子の言動には唖然とさせられるが、その口調や態度にはどこか懐かしいものが感じられる。何故かと言えば、小学校の頃、この手の同級生が僕には何人かいたからだ。というか、子どもってのは、基本的にそういうものじゃないだろうか。相手のことを考えずにズケズケと物を言い、気に入らないことがあるとすぐに悪態をつく。そういう生き物なのである。年齢を重ねるに連れ次第に人との接し方を学び、波風を立てないようになっていくのだ。
だが、よし子の場合は、小3レベルの思考回路のまま。だから、小学生たちからは妙に慕われる。猿山のボス猿のように、よし子は小学生たちを従わせ、君臨する。小学生たちだけでなく、かつて同級生だった美少女も、ドイツ人の青年も、糞尿処理のオジサンも、よし子には親しみを持って接する。きっと、自分が持ち得ないような破天荒さに惹かれているのだろう。
そんなわけで「KY」の極致のような少女を主人公にしたことには唸らされたが、映画全体の出来はいまひとつ。終盤の展開も好きになれなかった。
ところで、客席には20歳前後のこざっぱりした女の子が妙に多かったんだけど、なんでだろ。シネマテークではあまり見かけない客層のような気がした。
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