少年トッパ

<2013年6月21・22日公開作> 『さよなら渓谷』など

 週末恒例、「名古屋で公開される新作映画の注目作はコレ」のコーナー! ☆・◎・○・無印の順で……以下略。

『さよなら渓谷』(日本)116分
 『悪人』『横道世之介』などで知られる吉田修一の小説の映画化。主演は真木よう子で、監督は『まほろ駅前多田便利軒』『ぼっちゃん』などの大森立嗣。それ以上の情報は持たずに臨みたいと思っております。しかし、内容はかなり重苦しそうな気が……。
※上映館/伏見ミリオン座

『フィギュアなあなた』(日本)112分
 石井隆監督の新作。孤独なオタク青年と美少女フィギュアの奇妙な同居生活を描いたエロチック・ロマンス……らしい。主演は柄本佑と、グラビアアイドルの佐々木心音(実はまったくしりませんが)。
※上映館/センチュリーシネマ

『しわ』(スペイン)?分
 高齢化社会や認知症をテーマにした手描きアニメーション、だそうです。予告編の印象では、かなり見応えありそう。
※上映館/伏見ミリオン座

『アンチヴァイラル』(カナダ/アメリカ)108分
 有名人から採取したウイルスが売買される近未来を舞台に、その密売に関与した注射技師が陰謀に巻き込まれる姿を描いたSFサスペンス……。デヴィッド・クローネンバーグの息子、ブランドン・クローネンバーグの初監督作。
※上映館/名古屋シネマテーク

『アフター・アース』(アメリカ)?分
 人類が放棄して1000年が経過した地球を舞台に、屈強な兵士とその息子による決死のサバイバルを描いたSFアクション……らしい。監督は『シックス・センス』『アンブレイカブル』のM・ナイト・シャマランで、主演はウィル・スミス&ジェイデン・スミス親子。ジェイデン君、いい役者になれる素養があるだけに、あんまり親父とセットで売り出さない方がいいと思うんですが……。
※上映館/109シネマズ名古屋イオンシネマ・ワンダー中川コロナシネマワールドTOHOシネマズ名古屋ベイシティワーナー・マイカル・シネマズ大高

『インターミッション』(日本)?分
 今年3月に惜しまれながら閉館した銀座シネパトスを舞台にした異色ブラック・コメディー……らしい。どんな内容なのか気になってます。
※上映館/シネマスコーレ

『百年の時計』(日本)105分
 美術学芸員の女性と、彼女が憧れる老芸術家の出会いと交流を描いた人間ドラマ……らしい。監督は金子修介で、主演は木南晴夏とミッキー・カーチス。いわゆるご当地映画っぽいですね。
※上映館/名演小劇場

『100回泣くこと』(日本)?分
 記憶の一部を失った青年と病魔に侵された女性との切ない恋愛を描いたラブ・ストーリー……らしい。監督は『きいろいゾウ』『だいじょうぶ3組』の廣木隆一で、主演は関ジャニ∞大倉忠義と、桐谷美玲。廣木監督、今年上半期だけで3本目じゃん。すごい。
※上映館/ミッドランド スクエア シネマイオンシネマ・ワンダーTOHOシネマズ名古屋ベイシティワーナー・マイカル・シネマズ大高

『ソラから来た転校生』』(日本)48分
 地上に降り立った天使が、天界ではタブーである友情や恋という感情に突き動かされていくさまを描いた青春ドラマ……らしい。短編『ネコヤドのハルとアキ』を併映。
※上映館/中川コロナシネマワールド

『ウィ・アンド・アイ』(アメリカ)103分
 一台の下校バスに乗り合わせたティーンエイジャーたちの複雑な心模様や思いがけない本音を描いた青春ドラマ……らしい。監督は『エターナル・サンシャイン』などのミシェル・ゴンドリー。自身の高校生活を基にしたそうです。
※上映館/シネマスコーレ

『殺しのナンバー』(イギリス)89分
 巨大な陰謀に巻き込まれていくCIAエージェントの姿を描いたサスペンス・アクション……らしい。主演はジョン・キューザック。
※上映館/109シネマズ名古屋

『ガラスの仮面ですが THE MOVIE 女スパイの恋! 紫のバラは危険な香り!?』(日本)55分
 あの『ガラスの仮面』のパロディ。ユナイテッド・シネマ系(稲沢・阿久比・豊橋)のみでの公開なので、残念ながら名古屋市内じゃ上映されません。

『風切羽』(日本)88分
 家族からの虐待によって心に深い傷を負った女子高生が、ある出会いによって変わっていく姿を描いた人間ドラマ……らしい。
※上映館/中川コロナシネマワールド

『探偵ヨンゴン 義手の銃を持つ男』(韓国)95分
 『エイリアン・ビキニの侵略』のオ・ヨンドゥ監督と主演のホン・ヨングンのコンビが再び手を組んだ奇想天外なSFアクション、だそうです。
※上映館/シネマスコーレ

『パパの木』(フランス/オーストラリア)100分
 夫を亡くした女性と3人の子供たちの愛と再生を描いたヒューマン・ドラマ……らしい。主演はシャルロット・ゲンズブール。
※上映館/名演小劇場

『ドリフト』(オーストラリア)114分
 1970年代のオーストラリアを舞台に、サーフビジネスを立ち上げる夢を追い続けた兄弟の姿を描いた青春ドラマ……らしい。
※上映館/名演小劇場

『カレ・ブラン』(フランス/ルクセンブルグ/スイス/ベルギー/ロシア)80分
 人類が社畜と家畜に分類された未来を舞台に、不条理な世界で生きる人々の姿を描いたSF……らしい。かなり残酷な描写があるみたい。
※上映館/名古屋シネマテーク

『夢の向こう側~ROAD LESS TRAVELED~』(台湾)90分
 成功を夢見るロックバンドのメンバーたちの光と影を描いた青春ドラマ……らしい。台湾の音楽事情が反映された作品だそうです。
※上映館/シネマスコーレ

『10人の泥棒たち』(韓国)138分
 韓国人と中国人からなる窃盗団が世界に一つしかない幻のダイヤモンド奪取に挑むさまを描いた犯罪アクション……らしい。
※上映館/TOHOシネマズ名古屋ベイシティ

『劇場版BUCK-TICK バクチク現象Ⅱ』(日本)91分
 BUCK-TICKのデビュー25周年ドキュメンタリーの第2弾、だそうです。
※上映館/109シネマズ名古屋

『三波春夫「歌藝(うたげい)~終り無きわが歌の道」』(日本)121分
 昭和を代表する歌手、三波春夫のステージをデジタルリマスターによって臨場感たっぷりによみがえらせて映像化、だそうです。
※上映館/ピカデリー

『ザ・チャイルド』(メキシコ)87分
 子どもたちが大人たちを襲って惨殺する、という衝撃的な内容だそうです。くわばらくわばら。
※上映館/ピカデリー

『やさいのようせいクイズげきじょう』(日本)?分
 すんません、このシリーズに関してはまったく何も知りません。人気あるの?
※上映館/ワーナー・マイカル・シネマズ大高

『攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain』(日本)59分
 新シリーズだそうです。全4部作の第1部だって。
※上映館/TOHOシネマズ名古屋ベイシティ

 109シネマズ名古屋ではチャットモンチーのドキュメンタリー『ふたりじゃない』の上映会がありますが、とっくにチケットは売り切れてるそうです。

 7/1、福山雅治がミッドランドスクエアとTOHOシネマズ名古屋ベイシティで舞台挨拶を行うそうです。
https://ssl.toho-movie.com/senden/shonichi/manatsu_4city/pc.html

*     *     *     *     *

 この1週間に観た映画は3本。久々に全部外国映画でした。

●ローマでアモーレ

 とことん愉快な映画。ここ数年のウディ・アレン作品では、白人ブルジョアジーの無知蒙昧さや無神経さ、俗物ぶりを徹底的に皮肉ることが多いわけですが、今回はウディ・アレン本人が出演し、典型的な俗物を演じています。これが絶妙。見事な小心者っぷりでした。
 「冴えない中年男が、ある日突然セレブ扱いされるようになる」というエピソードも面白かったです。このネタだけで一本の映画を作れそう。でも、そうしないところが最近のウディ・アレンの好調ぶりを象徴している気がします。思いついたことはパッパッと形にしちゃおう、という感じで。
 しかしまあ、せっかくロベルト・ベニーニを出すのなら、ちょっとぐらいウディ・アレンと絡んでほしかったなぁ。道ですれ違うだけでもいいから。
 それにしても、素晴らしいのはペネロペ・クルス。品位に欠ける娼婦を演じているんですが、これがもう最高。立ち振る舞いのゴージャスさ、下世話さ、あけすけさ。完璧です。

●きっと、うまくいく

 インド映画の大ヒット作。日本でも評判になっていて、名古屋じゃ最初はシネマスコーレのみでの公開だったのが、今やシネコンなど3館ぐらいで上映されています。僕はイオンシネマ・ワンダーで観たんですが、明日からは名演小劇場でも上映されるみたい。
 どんな内容かっていうと、基本的にはコメディー。大学で仲良くなった3人の男が、卒業から十年後に再会するさまが描かれます。笑える箇所も多いものの、「学歴偏重」「貧困」など今のインド社会を取り巻く問題も描かれます。楽しい場面が続くかと思ったら、いきなり同級生が自殺している姿が描かれたりして、ちょっとビビりました。
 ギャグのセンスが少々古めかしく感じられたり、悪役の滑稽さがベタすぎたりなどツッコミどころもあるんですが、2時間50分しっかり楽しませてくれます。インド映画なので当然ミュージカルの場面もあったりして、とことんサービス精神旺盛。重いテーマでも陽気に賑々しく描いてしまうのが、インド映画の魅力なのかもしれませんね。

●華麗なるギャツビー

 一人の男の純情さを描いた作品、という解釈でいいんだよね? ロバート・レッドフォード版を観た時には正直言って「何を描きたいのか、よく分からん」と思ったのですが、今回は主人公のギャツビーが抱える恋心や焦燥感がよく伝わってきて、虚しく切ない気持ちになりました。ディカプリオの表情が真に迫っていたからかな。
 ギャツビーが恋する女を演じたのはキャリー・マリガン。ものすごく美人というわけでもないのに、この人の顔は僕を猛烈に引き付けます。どんな時にも表情に憂いがある、というか(まあ、男の錯覚ってヤツでしょうが)。それが時に際立っていたのは『わたしを離さないで』と『シェイム』でしたが、今回もなかなかのものでした。
 というか、冷静に考えるとキャリー・マリガンが演じた女性は大して魅力的なわけじゃありません。見た目がいいだけ。ただ、本人自身もそのことを自覚しているわけで、それが「知性」を感じさせるのでしょう。もっとも、演じてるのがキャリー・マリガンでなければ「つまんねー女」と思ったかも。
 そんなわけで、やたら絢爛豪華なパーティーの様子も楽しめる映画なんですが、最大の見どころはディカプリオとキャリー・マリガンの表情。それに尽きるのではないでしょうか。分かってほしい相手に分かってもらえない切なさ。愛している相手からの愛を独占できない悲しさ。そういった感情が、この二人の表情から溢れ出ていたように感じました。

 読んだ本は2冊。うち1冊は再読です。

●スワ氏文集(もんじゅう)/諏訪哲史

 名古屋在住の芥川賞作家、諏訪哲史による抱腹絶倒のコラム集。名古屋ネタ満載で大いに楽しませてくれます。オススメ。
 とはいえ、時に容赦ない筆致で苦言を呈したりもします。対象となるのは原発や「花粉病」など。

 あまりにも鋭くて見事な提言があったので、ちょっと引用させていただきます。この人、まさしく才人です。


 日本にある杉や檜の多くは売買目的に過剰植林された栽培植物である。原生していた日本古来種の杉を伐採し、代わりに成長がはやく花粉も多いアメリカ杉を全国に植えたのである。決して環境や温暖化対策ではない。花粉病とは、自然が春めいてきたことに人間の方が対応できないのではなく、かつて水俣・神通川・阿賀野川で工場が私欲のために流した毒物を摂取、蓄積、発病に至った事例と全く同型の公害だ。
<中略>
 花粉病は天災でなく人災だ。喪った春を、国は返還せよ。

 国は公害を「花粉症」などと呼んで、さも発症した側の体質に原因ありと責任を回避する。だが花粉病は、列島全体を蝕む大気汚染がもたらした人災だ。
                                  p.69~71より

 大震災の直後から西日本を中心に蔓延したのが「無被災者罪悪感増大症候群」、通称「無被災者病」という症例である。
 名古屋人は震災の記憶について、関東人より切実には語る資格がなく、関東人は東北人より切実には語る資格がないという病的な後ろめたさである。
「津波で家族を失ってもいない者が、前を向いて勇気勇気と、お前に何が解るというのか」。僕らは、被災者にそう言われるのを何よりも怖れているのだ。
 病はまず、セレブによる寄附金額の公表合戦、善意競争ブームを引き起こした。<後略>

「無被災者病」は一面、「空気の読みすぎ病」だ。これを克服するのは日本人には相当難しい。もしあなたが「本日の勝利投手」で、お立ち台で狡猾なインタビュアーに、「東北の多くの避難民の方々も願っていた勝利だと思います。皆さんへ一言、メッセージをお願いします」とマイクを向けられたら、今の日本の空気を読んで、あなたが口にできる言葉は限りなく狭まってくる。「今日の勝利で被災地へ元気を届けられたらと思います」という類いのコメントしか言えないだろう。沢尻エリカでも「別に」とは言えないのではないか。
 日本という国は平常時でも常に空気を読まされる国だ。震災後の「空気」は殊更にとがっていて、被災者も無被災者も病的なほど敏感になっている。<後略>
                                 p.195~198より


 ところで名古屋ネタの話題。恥ずかしながら僕、「ビタミン牛乳」ってのは全然知りません。まあ、僕の場合、今は名古屋市内に住んでいるものの、出生地は尾張の端っこですからね。しょせんエセ名古屋人ですわ。

●俺俺/星野智幸 ※再読

 こんなに陰惨な展開だったっけ、というのが終盤を読んでいた時の感想。さほど大昔に読んだわけでもないのに、すっかり忘れていました。オレのバカ。
 しかしまあ、さすがに……あ、ここから少し映画と原作、両方のネタバレです。えっと、さすがに「人肉食い」は映画じゃ描かれなかったわけですが、それが「それじゃ企画が通らない」といった大人の事情によるものなのかどうか、ちょっと気になります。陰惨すぎる場面ですが、映画でも描いてほしかった気がします。

 そんでもって今は山田詠美の話題作『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』を読んでおります。これは読み応えあり!





<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&nou=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=k196141-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=4062181096" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&nou=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=k196141-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=4101164525" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
<iframe src="http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?lt1=_blank&bc1=000000&IS2=1&nou=1&bg1=FFFFFF&fc1=000000&lc1=0000FF&t=k196141-22&o=9&p=8&l=as4&m=amazon&f=ifr&ref=ss_til&asins=4344023374" style="width:120px;height:240px;" scrolling="no" marginwidth="0" marginheight="0" frameborder="0"></iframe>
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「 新作映画公開情報@名古屋」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事