まあ、そんなことはともかく、『人が人を愛することのどうしようもなさ』の感想を。先に言っておくと、これは映画館で観る価値アリです。
* * * * *
いやぁ、喜多嶋舞が凄い! これに尽きるでしょ。大胆なヌードを披露している、という程度の予備知識しか持っていなかったので、ここまでやったのかと驚きました。そりゃもちろん石井隆監督の映画だから凄絶なシーンがあるだろうとは思ってましたが。
しかも、惜しみなく裸身を晒したから凄いというわけでなく、なんちゅうか、いわば「内面までさらけ出した」って感じなんですわ。ご覧になった方ならお分かりでしょうが、役柄と喜多嶋舞本人とが思いっきりダブってますもんね。もちろん「女優として伸び悩んでおり、私生活でも悩みを抱えている」というのは世の女優さんたちの大半に当てはまるんでしょうが、それをここまで生々しく体現した喜多嶋舞は誠にお見事。「ないがしろにされる悲しみ」が痛いほど伝わってきました。アッパレです。
凝った構成ではあるものの、ストーリー自体は単純です。というか、この手の18禁モノにありがちな「現実と妄想が交錯する」という展開であり、特にラストに関しては「ああ、やっぱり」と思うばかり。しかし、それでも充分に見応えがあるのは、やはり尋常じゃない熱気がスクリーンの中に立ちこめているからでしょう。喜多嶋舞と石井隆監督のガチンコ勝負を見せられた気がします。
無粋とは思いつつ『花と蛇』(あんまり楽しめなかったので2作目は未見)と比較してみると、杉本彩は体育会系の熱演、喜多嶋舞は文化会系の熱演、という印象を持ちました。まあ、それはドラマの内容に起因するものかもしれませんが。
なので、喜多嶋舞が画面に登場していない時は、一気に面白味がなくなります。津田寛治は主演作『Watch with Me 卒業写真』の時よりも遙かに好演しているんですが、それでも終盤で変態男の妻と対峙するところなどは、重要な場面である割には少々退屈でした。実際、この辺りで席を立った客が多かった気がします。というか、前半から中盤までで強烈なシーンが幾つも出てくる(電車の中で思いっきり股をおっぴろげたり、変態男にセーラームーンみたいな恰好をさせられたり、フリルだらけの衣装で踊ったりなど)ので、さすがにエロ目的の爺さんたちも疲れちゃったのかもしれないっすね。
それにしても津田寛治、てっきり変態を演じるかと思ってたら、すげー誠実な役柄。『ラブデス』の時とは大違いじゃん。しかし本人は変態役の方が楽しいんじゃないかな? あと、竹中直人が久々におふざけナシだったのには一安心。やればできるじゃん。
当然ながら客の大半は中高年の男でした。平日の昼間だったので7割程度の入り。それでも、同じ映画館のいつもの時間帯と比べれば、かなり混んでいる方です。
上映開始直前になって自分の隣に女性が座った時は少々ビビりました。まだ他に空いてる席があるのに、なんでそこに座る? もしかして痴女? そうだったらどうしよう。20年ぐらい前に何度か同性の痴漢からあらぬところへ手を伸ばされたことはありますが、異性からは未経験。こりゃ話の種になるかな……と思ってましたが、その女性はアイスクリームを食べたりジュースを飲んだりしながら映画を観て、終了20分ぐらい前にお帰りあそばされました。明るくなってから僕が席を立つと、空箱やらストローやらが置きっぱなし。こらっ、てめえで出したゴミはてめえで捨ててこいっ。
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トッパ
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