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モリゾー・ゴンドラの発着場に着いたら、なんと「30分待ち」という表示。う~ん、午前中にチェックした時は待ち時間ゼロだったのになぁ。仕方ないので並んで待つ。ただ、この行列は割と早く進むので、さほど苦にならない。
ゴンドラに乗る少し前に、一枚の看板が目に入った。「近隣住民のプライバシー保護のため、途中で2分間ほど窓ガラスが曇ります」というような注意事項が書いてある。なるほど、ゴンドラから見える範囲内に民家があるわけだ。そういえば前にニュース番組で話題になっていたような気がするなぁ。
いざ乗車。定員8名いっぱいにして運行するので、3組での相席だ。カタカタカタ。ジェットコースターが坂を上っていくような感じでゴンドラが斜め上方へと進む。と思ったら、急に速度が上がり、ホントにジェットコースターみたいな感じになる。「ひゃあ!」「けっこう速いじゃん」と盛り上がるゴンドラ内。外を見ると、地面は遙か下の方だ。これ、高所恐怖症の方ならビビるだろうなぁ。正直言って僕も怖いもん。しかも、ワイヤーロープを中継する鉄塔に着くたびに、ゴンドラが衝撃でドシンと揺れる。この瞬間が怖い怖い。かなりのスリルですわ。とはいえ、眺めは良い。リニモも見える。鉄塔での衝撃に慣れてしまえば、なかなか快適だ。
そうこうしているうちに、乗ってから5分近くが過ぎた。2分間ぐらい窓が曇るってヤツ、まだかな? そう思っていたら、十何回目のドシンという衝撃と同時に、窓ガラスが一瞬で曇った。そりゃもう見事なまでに、瞬時に曇りガラスになったのである。どういう仕組みか知らないけど、アッパレな技術だ。感心しましたわ。だって何の前触れもなく急に曇るんだもん。
ゴンドラ内はザワザワし、「どういう仕掛けなんだろ」なんて当然の疑問を口に出して盛り上がる。しかし、その状況が30秒ぐらい続くと、徐々に手持ち無沙汰になり、さらには不安になってくる。「曇った」という驚きが30秒ほどで醒め、「外が見えなくて面白くねぇ」という気分になり、それが「外が見えないから怖い」という精神状態へと変化していくのだ。さっきまでは高所恐怖症の人がビビっていたが、今度は閉所恐怖症の人がビビる番だ。
僕も内心、かなりビビっていた。なにしろ外が見えないから、どこへ向かっているのか全然わからないのである。いや、もちろん行き先は瀬戸会場だ。瀬戸会場であるはずだ。間違いない。しかし、もしかしたら、これはどこかの秘密組織の陰謀ではないのか? 罠じゃないのか? 我々はこのままガス室にでも送られるのではないか? というか、ガラスが曇っているのではなく、すでに外は猛毒ガスに包まれているのでは? 急にゴンドラが止まり、我々は外へ放り出されるのだろう。そして、すぐに意識を失い、どこかへ運ばれるのだ。誰によって? 何の目的で? もしかしたら改造人間にされるのか? 悪の秘密結社め、そうはさせるか! お前らの好きなようにされてたまるか! オレは戦うぞ!
そう決意した瞬間、曇りガラスが普通のガラスになり、外の景色が見えるようになった。な~んだ、やっぱり単なるプライバシー保護のためだったんだ。しばらくして瀬戸会場に到着。結局、僕の決意は無駄になったわけである。残念無念。
しょーもないノリで書いたけど、このモリゾー・ゴンドラは乗る価値アリよ。しかもタダだもん。これから行かれる方は、ぜひ!
<つづく>