少年トッパ

<本の感想> 『下妻物語・完』 ※ネタバレあり



※画像は映画『下妻物語』のサントラ盤、前売券+オマケのネイルシール、パンフ、そして『下妻物語・完』。『下妻物語』の文庫本も持ってるんだけど、なぜか見つかりません。誰かに貸したかな?

●『下妻物語・完 ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件』嶽本野ばら (小学館)
http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solrenew_detail?isbn=4093861536

 ご存じ『下妻物語』の続編であり、完結編である……らしい。でも、読み終えた印象では、別に完結編だと謳う必要はないような気がする。むしろ、その後の桃子の立身出世ストーリーを読みたいと思わせる終わり方なのである。まあ、そうなるとイチゴの出番が少なくなるだろうから、それも淋しいのだが。あ、でもイチゴはモデル業界に入って波乱を起こす、という展開にすればいいんじゃない? どうでしょ。
 サブタイトルに「殺人事件」という言葉が入っていることからも分かる通り、基本的にはミステリー仕立てである。だが、「誰が犯人なのか」「どういうトリックを使ったのか」ということには、おそらく読者はさほど興味を持たないだろう。それよりも、桃子の醒めた語り口調を楽しみ、イチゴやヤンキー連中の愛すべき天然っぷりを楽しむうちに、下妻ワールドにどっぷりハマっていることに気付かされるのだ。で、ついつい日常生活でも「ボコるぞ、おら」などという言葉を使ってしまい、ヒンシュクを買うのである。

 さて、気になるのは、これが映画化されるかどうかという問題だ。されるのならば、キャストは前回と同じであるべきだろう。だって、あれほど完璧なキャスティング、滅多にないもんね。深田恭子も土屋アンナも、もうホンっトに素晴らしかった。土屋アンナの決め台詞「負ける気がしねえ」を、テレビでドラゴンズの試合を見ながら何度口にしたことか。そのおかげで去年のドラゴンズは優勝できたんである。すんません、それは違いますね。選手たちの鍛錬と落合監督の采配の賜物でした。
 話を戻さなきゃ。えっと、映画を続編が作られるとしたら、それはそれで楽しみではあるんだけど、不安も大きいのよ。まあ、昔と違って「続編にハズレが多い」という定説は今や通用しないんだけど、なんせあれほど面白かった『下妻物語』の続編だからねぇ。しかも、前作には世間も大きな期待を寄せていなかった。というか、公開直前まで、あまり話題になっていなかった。試写会で観た関係者や公開直後に観た映画好きたちの間で大評判になり、それが口コミで広がってシネコンでも上映されるようになり、大ヒットに至ったのだ(『ピンポン』『ジョゼと虎と魚たち』も同じようなパターン)。ところが今度は制作発表の段階から「あの大ヒット作の続編!」というノリになるだろう。観る側の期待値が高いから、それを越えるのが大変だろうなぁ。などと心配してしまうのである。
 正直に言っちゃうと、前作があまりに素晴らしかったので続編は作ってほしくない。これが僕の気持ちである。いや、もちろん作られたら観に行くけどね。ったりめーよ。
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