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[感想] vForum2018 セッション聴講より… Windows10でより金食い虫になるVDI

2018-11-16 07:19:33 | イベント情報
[感想] vForum2018 セッション聴講より… Windows10でより金食い虫になるVDI


このブログでは「リモートデスクトップ」のあり方について何回か記事にしています。
  どうして仮想デスクトップにそんなにお金をかけて仮想PCやRDSでやろうとする?
  https://blog.goo.ne.jp/tonton_ponpon/e/e4ec9d25637b343a67ea171299a5ea86




VDIはリモートデスクトップ実現策の「ひとつの選択肢」なんですが唯一無二の選択肢ではありません。 ここのところを「勘違いしている方がとても多い」のは正直驚きです。

VDIは高いですよね。 vForum2018 のセッションを聴講したところ、Windows10+Office365の組み合わせでさらに金食い虫になりそうな感じです。 セッションがGPUメーカーのNVidiaのものだったので煽ってる感も無きにしもあらずですが、Windows7時代よりさらに「デブになる」事は間違いなさそうです。




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なんでVDIがWin10導入でより高くなるのか?
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まずここのところを説明します。

上記のセッションではこの問題の解決のために「NVidia社のGPU M10 を投入しましょう!」という話になるのですが… 

その前に、セッションによれば、
  ・Windows7のVDIのサイジング
     仮想PC1台に割当する資源
       2仮想CPU、4GBメモリ
     このサイジングで物理サーバ1台あたり 100VM 程度がホスト可能
これがWindows10になると…
  ・Windows10のVDIサイジング(M10を使わない場合)
     仮想PC1台に割当する資源
       8仮想CPU、8GBメモリ
     このサイジングで物理サーバ1台あたり 50VM 程度しかホストできなくなる…


メモリはともかく、CPUの割当てが 2vCPU⇒8vCPU まで大きくなるのはなぜか?
これは、以下の2つ要素によるそうです。
セッションによれば
     Windows7⇒Windows10化 30% 程GPUを使う処理が増える
     アプリケーションの表示のリッチ化に伴い 200%程GPUを使う処理が増える
ということでした。


これは主として、Windows10で(見た目は地味だが)Aeroが標準になり、Aero無効は不可能なため、よりGPU資源を使うということと、Office365等最新のデスクトップアプリはOA用のものでも画面表示がリッチになり、GPUの処理に負荷をかけるというものです。 特にOSよりも、アプリによるGPU処理負荷増大のほうが危険要素が高いでしょう。


このような背景で、
  ・仮想PCの集約度が下がり(100VM⇒50VM)
  ・割当て資源増加からサーバスペック増加
によるコスト増加が起きるということです。





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じゃあ、どうするの?
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vForum2018のセッションでは、「NVidiaのGPU "M10"」を使う。 という話になる訳です。
セッションによれば、M10 を投入することで
  ・Windows10のVDIサイジング(M10を使う)
     仮想PC1台に割当する資源
       2仮想CPU、8GBメモリ
     このサイジングで物理サーバ1台あたり 64VM 程度にホスト密度が向上する

割り当てるvCPUが8⇒2へと戻すことができ、ホスト可能なVM密度も50⇒64程度まで回復できるため、サーバノードの数が減り、コストが削減できるというシナリオです。

上記シナリオではおそらく、サーバに2枚のM10を積み、各VMに1GBのVRAMを割り当てするという前提と思われます。

これはこれで、ひとつの解決ですが、GPUのハードコストに加えて仮想化GPUのためのライセンスコストも追加でかかるため、ただでさえ金食い虫のVDIがGPU搭載でさらに金食い虫になるのは否めません。




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物理PCへのリモートデスクトップという解
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このため、以前何度かご紹介した
  「物理PCに対するリモートデスクトップがいいよ!」
ということになる訳ですが、

まず、「Win10でGPU負荷が高いなら、物理PCにもGPUを乗せないと駄目?」という疑問が生じるでしょう。 結論を先に言えば、物理PCへのリモートデスクトップの場合GPUを別途乗せる必要はありません。


なぜか?


物理PCにはCPU(Core)チップセット内蔵のGPUが搭載されているためです。 この内蔵GPUの性能が向上したため、別途GPUチップを搭載しなくても、Windows10やOffice365が要求するGPU性能をCPUと内蔵GPUで提供できるというわけです。


じゃあ、VDIで「サーバのCPU内蔵GPUは使えないの?」という疑問も出るかもしれません。結論から言えば、これはできません。
  ・そもそもサーバのCPU(Xeon)には高性能内蔵GPUはついていません
  ・仮についていたとしても、GPUはひとつ限り。 サーバ上の多数の
   仮想PCが共用することもできません。

ゆえに、VDIでは
  「物理PCだとCPU内蔵GPUがやる処理までも、サーバのCPUで処理しないといけない」
ということになり、結果的にCPUが非常に忙しくなるのです。


話を戻して、物理PCへのリモートデスクトップの場合は
  「CPU内蔵GPUが描画を担当してくれるので、CPUに負荷がかからない」
わけです。




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Windows10 PCへ マイクロソフトRDPでリモートデスクトップすれば幸せ?
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幸せではありません。 なぜなら…
前節で、
  物理PCへのリモートデスクトップの場合は
  CPU内蔵GPUが描画を担当してくれるので、CPUに負荷がかからない
と言いましたが、


マイクロソフトRDP(mstsc.exe)は接続先PCの物理GPUを利用しないからです。


RDPの場合、画面の描画はRDPの仕組みの中で提供される仮想GPUを使って、実際にはCPUを使って描画を行います。 このため、物理PCにあるCPU内蔵GPUは使わないし、仮にGForceなどの高性能GPUを搭載したPCへ接続する場合でもGPUを使わないのです。


試せる環境がある方は、Windows10 Professional 以上のPCにリモートデスクトップ接続して、リモート接続先でデバイスマネージャーを開き、GPUの機種を確認すると納得いただけると思います。


この問題は「マイクロソフトRDP」というリモートデスクトップソフトウェアがGPUを使わないという仕様に起因するので、GPUを使って行がを行うリモートデスクトップソフトウェアを使えばいいということになります。



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接続先物理PCのGPUを活かせるリモートデスクトップソフト
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リモートデスクトップソフト又はソリューションはいろいろありますが、内部的にRDPを使うものは全部上記の理由から「×」です。
たとえば、以前紹介した
  お勧めなリモートデスクトップシステムは? と聞かれたら… Magic Connectかな…
  https://blog.goo.ne.jp/tonton_ponpon/e/e4ec9d25637b343a67ea171299a5ea86
は、使っていた当時は通信はRDPでした


接続先のリモートPCのGPUの描画出力(いわゆるコンソール出力)をネットワーク経由で送信できるタイプのソフトを選ぶ必要があります。 メーカーやソリューションベンダーに「接続先のGPUを使えるか?」という確認をすればわかるでしょう。


自分が知っている限り、以下のソフトはGPUによる描画をリモートへ転送できるようです。
  ・Ultra VNC
  ・Google Chrome Remote Desktop
  ・hp RGS(Remote Graphics Software)
  ・Nice DCV
  ・Teradici PCoIP(PC over IP)

各ソフトの性格の違いを主観的ですが纏めると
・Ultra VNC
  GPU描画はできるが性能的にはあまり高性能ではなく、
  ネットワークにかなりのデータを流すため帯域確保が
  重要になる

・Google Chrome Remote Desktop
  VNC よりも軽く高性能な描画ができる。
  ユーザ認証にGoogleアカウントを使う必要がある

・hp RGS(Remote Graphics Software)
  hpのワークステーション(Zシリーズ)には標準添付
  普通のPCで使うために単品売りもある
  WAN経由の利用を前提にデータ圧縮機能がある

・Nice DCV
  Windowsに加えてLinux環境用のソフトもある
  高機能だが付加機能が多く高価。ただリモートデスク
  トップしたいだけの用途にはコスパ悪い

・Teradici PCoIP(PC over IP)
  VMware View で使われるプロトコルなのでVMware製と
  思われがちだが、カナダのテラディシ社の製品。
  単体販売もある。
  デルのワークステーション(Precisionシリーズ)に標準添付




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忘れてはいけないネットワーク最適化機能
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前節でもちょっと触れていますが、リモートデスクトップでリッチ描画を行う時に忘れやすいのがこの部分です。

いくらリモート側のGPUが高性能で、それを活かしたリッチ描画ができても、接続元~接続先までのネットワークの帯域と遅延により全くダメダメな描画(紙芝居)になってしまいます。

リモートデスクトップでは帯域よりも遅延が重要な要素です。 100ミリ秒を超える遅延が出るとリモートデスクトップソフト側で何らかの機能(データ圧縮やデータの間引きなど)が必要になります。

このWANに対する最適化機能を持っているかどうか?
はリモートデスクトップソフトを選ぶときに重要な要確認事項です。


まとめると、以下のようになります。












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物理PCへのリモートデスクトップも良い解かもしれませんよ
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VDIがいけないとは言わないのですが、あまりにコストが高いことと、仮想化技術(ハイパーバイザやGPU仮想化)が必要なためSIerに設計構築を依頼しなければいけないコスト、運用後のトラブルシュートの難しさ… などを考えると、
  「働き方改革でテレワークしよう! じゃあVDIだ!」
というノリでの導入にはコスパが悪すぎる気がします。


物理PCへのリモートデスクトップは普通のPCのままであるため、サーバハードも仮想化技術も不要です。 SIerにサイジングをしてもらわないといけないものでもありません。 運用後のトラブルシュートも相対的にやりやすいでしょう。


あれやこれや考えてみると、VDIよりも良い選択肢だと思えるわけです。




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データレス化PCという解
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話がずれますが、テレワークするならリモートデスクトップというものではありません。

テレワークする為に必要なことは
  ・場所に囚われずに業務ができる
  ・モバイルするためにいちいちデータをデバイスに複写しなくていい
この2点です。


リモートデスクトップ以外にもこれを実現する方法が、実はあるのです。
それは
  ローカルDISKへの書き込みをネットワーク上に転送するように
  細工されたPCで、結果的に本体のDISKにデータが全く残らない
というものです。

興味ある方は、以下の過去記事をご覧になってください。
  VDI/RDS/HDIよりもモバイルPC​+セキュリティの方が良い解かもね
  https://blog.goo.ne.jp/tonton_ponpon/e/d7c73fd91f89397b64573405df55e53b

  VDI比コスト3~10分の一を謳うハイブリッド型シンクラ(データレス型PC) EUGRID True Office
  https://blog.goo.ne.jp/tonton_ponpon/e/9059b4dc1f79b1802cbe39a54f36025a

  あれ、こんなものがあるぞ…横河レンタ・リース Flex Work Place
  https://blog.goo.ne.jp/tonton_ponpon/e/dc83b5959ed2f2034785b0fccb3c84d6
    
  


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