徒然日記

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[情報] Google Cloud Next 2018 Day1 2018/9/19 基調講演の当日メモより

2018-09-25 12:25:10 | イベント情報
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[情報] Google Cloud Next 2018 Day1 2018/9/19 基調講演の当日メモより
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[1]基調講演
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阿部 伸一氏
Google Cloud 日本代表 

Google Cloud は10億人のユーザを支えるプライベートクラウドプラットフォームを提供し、基盤技術の開発を行っている。
日本におけるGoogle Cloud はエンタープライズの需要が増えた。
  ・ファミリーマートによる需要予測のための活用
  ・キューピーによる画像認識による品質管理
「デジタル変革」がキーワードになっている。 バックエンドサーバ以外の需要も増えてきた。

Google Cloud Next の参加人数は去年に比べ2倍程度に増えた。
 2017年 13,000人
 2018年 24,000人
今年は、2つの会場で講演と展示を行っている。
ビジネス・コミュニケーション向けの展示はプリンスホテル側、IoT・AIはプリンスパークタワー側で展示を行っている。



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ダイアン・グリーン氏
Google Cloud CEO
「クラウド」は現在ITで進みつつある前例のない進化である。グーグルはその技術を Goole Cloud を通じてみなさんに提供してゆくつもりだ。
今年はAPACで7番目のリージョンとなる大阪リージョンを日本で提供する。 東京と大阪の2リージョン体制を取れるようになることは日本で関心の高いことだった。
データウェアハウスである Bigquery はオンプレミスでは数時間~数日を要する解析を数十分~数時間に短縮することができる。

※知り合いの経営者として以下の言葉を引用した。
  「変化するか、死に耐えるしかない時代」

現在はデータからインテリジェンスを引き出してビジネスを変革する時代である。 社員もまたより多くの情報を共有すべき時代である。

Google Cloud について
汎用プロセッサはムーアの法則の限界に達しつつある。 そこでGoogle Cloud では「Titan」や「TPU」のようなセキュリティやAIといった特定用途に特化したプロセッサの導入を進めることでパフォーマンスの向上を図っている。 Titanはセキュリティに特化したプロセッサであり、Google Cloudは今年、30以上のセキュリティ機能を新たに提供した。

GSuite は毎年右肩上がりで成長。 Chrome Book は前年比で175%の増加である。 また、AI技術をオープンML(MachineLearning)として提供している。

規制対応も進めている。 FISCやNISCに加え厚労省が策定するクラウドセキュリティ基準も満たす。 Google Cloud の主たる市場は
  ・ヘルスケア
  ・金融・ファイナンス
  ・ショッピング
  ・ゲーム・メディア
である。

※ヘルスケア分野の事例として
移動式CT車とクラウドベースの画像共有により、遠隔から画像診断を可能にする事で画像診断技師の不足による医療格差を是正するという取り組みを紹介。

ゲームやメディア分野も成長している。大きなエピソードは「Unity」が Google Cloud で移行してきたことだ。 日本ではバンダイ・ナムコにも利用していただいている。

SAP社との提携によって「SAP」を Google Cloud 上で稼働させ、サービスとして提供(SAP Cloud)することができるようになった。
Google Cloud のトレーニング、ドキュメントも日本語で提供できるようになっている。


ファーストリテーリング 柳井社長との対談
(グ)柳井氏はユニクロブランドを展開するファーストリテーリングの創業社長であり、私は、以前柳井氏に会った時に名刺に書いてあった社是「常識を変えて世界を変える」に共感を覚えた。

(柳)今、やっとインターネットとAIがビジネスをリアルタイムに変えられる時代が来たと考えている。

(グ)なぜそのような発想を持つようになったのか? どのような経歴をお持ちなのか?話してほしい。

(柳)初めは広島県宇部市の背広を扱う洋品店だった。 そのうちにカジュアルウェアが売れるようになったのに合わせ、カジュアルを売る店を作った。 それをだんだん増やしていって今がある。

(グ)拡大戦略はリスクを伴うが?

(柳)父は私が新しい店を出す度に「そんなに出して大丈夫か?」と心配した。 しかし、わかったことは親父のいう事を聞いているばかりでは成功しない。という事だ。 時代が違うからである。 時代に合わせた新しい考え方をする必要がある。

(グ)このたびなぜGoogleをパートナーに選んだのか?

(柳)日本の企業はコンサバに過ぎる。 新しいことは99%は失敗するが1%は成功する。 早めに失敗して軌道修正するべきである。 そのためには判断が早くないといけない。 経営者やマネージャーが何をしたいのかはっきりと発言しなければ従業員は誰もついてきてくれないだろう。 今後はAIとロボティクスにより多くの作業が機械化できる。 だから、情報のビジネスにおける勝者であるGoogleを選んだ。



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ラジェン シェス氏
Google Cloud プロダクト管理部門ディレクター 

AIを「simple、fast、useful」に提供するのが目標だ。

Apache Spark や Apache Hadoop のクラスターを容易に素早く作ることができて素早く解析ができる。 BigQuery は 5PB、28兆行のデータを処理できる。 BigQuery をより簡単に使ってもらえるように皆が知っている SQL文でリクエストを書けるようにした。 ツイッターでは300PBの Hadoop ストレージを運営している。
※ Apache Spark: http://spark.apache.org/
※ Apache Hadoop: https://hadoop.apache.org/
※ Google BigQuery: https://cloud.google.com/bigquery/?hl=ja

現在情報のうち80%は非構造化データ(ファイルサーバに格納されたオフィス文書などでDBのようなメタ情報によるタグ付けがされていない)であるといわれている。 これを解析するには AI が必要になる。 Googleは AIプラットフォーム、AIソリューションをGCPで提供する。 AIプラットフォームに特化したプロセッサであるTPU(テンソルプロセッシングユニット)を提供している。
※  TPU: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%BB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%88

Kubeflow (Kubernetesのための機械学習ツール)はオンプレミスのデータも合せて解析するAIプラットフォームであり、OSS化した。
Cloud Auto ML(machine learning) はコーディングレスの機械学習環境を提供するものだ。3つのサービスを提供している。
  Auto ML Vision⇒画像解析
  Auto ML Natural Language⇒自然言語解析
  Auto ML Translation⇒自然言語解析

ここで、Auto ML Vision を実施。
Vision を使えば教育用画像をAIにGUIで与え学習させることで、コーディングレスで機械学習ができ、ある分野に特化した画像解析AIを容易に学習させられることを示した。 デモでは900枚の画像を与えることで98%精度の学習をさせられることを実演。

Translation でも同様に教材ドキュメントをGUI与え学習させることができることを実演。 Translation の良さは業界用語を必要とするAI翻訳をオリジナル教材で教育させることが簡単になることである。 事例として日経新聞が日本語記事の英字化に利用していることが紹介され、今後小売、金融、製造などの各業種に展開したいとのことであった。

AI は 1994年ごろのインターネットと同じころに相当する。 これからの10年間でITの新しい基盤となるだろう。



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プラバッカー ラガバン氏
Google Cloud Apps部門バイスプレジデント

GSuite ではメール、オフィススィート、ビデオ会議、チャットを提供している。 GSuite ではセキュリティ強化のために物理トークンを加えた二段階認証ができる。 SaaSなので利用者側でセキュリティパッチ適用やバージョンアップのための作業をする必要がない。

GSuiteにおけるセキュリティインシデントを調査したりレポートするための管理者向けツール「セキュリティセンター」を提供する。この機能は本日から利用可能である。

GSuiteのスマート性として、Google アシスタントの活用がある。 
その他にも以下のような特色がある事を紹介していた。
 ・Google スプレッドシート
  スプレッドシートのデータはGoogleによって自動で解析
  されており、スプレッドシートから結果を参照できる。
 ・GMail
  GMailはGoogleによって自動解析されており、望ましい
  リプライ案を三択で提案する。
 ・機械翻訳
  文章の翻訳も行える
 ・Google Docs
  文法チェックを普通とは異なるアプローチで行っている。
  文法チェックは Google 翻訳を用いて行われている。
 ・カレンダー
  参加者のスケジュールと場所から有望な会議室を提案する
  ことができる。
 ・Jamボード
  クラウド上で繋がっており、共同編集ができるホワイトボ
  ードである。

※所感※※所感※※所感※※所感※※所感※※所感※※所感※
GSuite と Office 365 の色の違いを考えると、Gsuite の効果は協働作業でスパイラルアプローチ的に発想と推敲を繰り返しながらアプトプットを生成していくワークスタイルに向いているといえる。

創造的活動を個人単位で行い、他人と意見交換するのが苦手な日本のスタイルにおいてはそのまま持ち込んでも向かない可能性がある。
GSuiteを真に活用するなら、成果の出し方を発想⇒議論⇒最適化のアプローチに変えると同時に、皆で忌憚なく議論できる風土を作る必要があるだろう。 いわゆるワイワイガヤガヤ型の仕事をオンライン化するというアプローチである。

人間同士のコミュニケーションがなく(もしくは本音の意見交換がなく)、提携作業を手順書・規則書通りに行う事を求める職場では単なるオンラインオフィススィートで終わってしまう。
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ポール フェランド氏
Google Cloud グローバルカスタマーオペレーション部門プレジデント

人を変え、文化を変えなければ、クラウドによる変革を享受することはできない。

 カスタマー事例を紹介
  ・SanSan株式会社(名刺管理のための画像解析)
  ・丸紅情報システム株式会社(コールセンター通話記録のText化)
  ・株式会社プレイド(Webサイト訪問ユーザのリアルタイム行動分析)

・SanSan株式会社 CTO朝倉成太氏
SanSan は法人向け名刺管理の SanSan と個人向け名刺管理の Eight を提供している。 名刺を OCR する技術として GCP上で Auto ML Vision APIを利用しており、正解率99%程度で認識できる。

・丸紅情報システム株式会社 代表取締役社長 渡辺亮一氏
コールセンターの通話記録のテキスト化のために Voice to Text API を利用している。 コールセンターで録音された情報はビジネスのために2次利用できると考えていたが当時の音声認識には限界があった。 また、コールセンターではオペレータが問合せ後にレポート作成など手間がかかっていた。これを自動でText化してくれたらと思っていた。 オンプレミスで録音。後で音声データの解析をクラウド上で行うという仕組みにした。 Voice to Text は多言語対応しているので、他言語にも翻訳して FAQ を作れたら、と思っている。

※所感※※所感※※所感※※所感※※所感※※所感※※所感※
渡辺氏は以前コンタクトセンター運営部門にいた経験から「こうしたい」という明確なビジョンを持っていたようである。
SanSanにせよ丸紅にせよ、こうしたいという明確ば課題があり、そこにタイミングよくそれを解決できる技術が登場したために採用したという流れ である。 現状を打破するための課題を持ち、たとえ現技術で解決できなくても可能性を模索し続けることが重要である。
たいていの人は、解決できないと課題も忘れる。
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・株式会社プレイド CEO 倉橋健太氏
Webサイトにおける訪問ユーザの行動分析をリアルタイムに実施するための基盤として BigQuery を使用して毎秒 22000イベントを分析できるスケーラブルなインフラを実現している。 これだけの規模の基盤をオンプレミスには実現できないし、グローバル展開にもクラウドは有用である。

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メガクラウドを活用する最大の利点はその
  無限大のスケール性
  グローバルリーチ性
であるというのは以前から言われていることであるがこの事例はまさにその王道的な活用事例である。
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最後にGoogle Cloud 日本代表の阿部伸一氏がパートナーの取り組みを紹介しましたが、その中でソフトバンク配下となった iDC フロンティアが GCP のフルマネージドサービス提供を開始するという話がありました。





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全体を通して
私は、今回 Google Cloud Next 2018 に参加するまでは GCP は比較的視野の外で詳しく知りませんでした。 関心を持つようになったのは去年の Interop で GCP 事例の講演を聞いた時です。

その時に、GCPは AWSや Azure とは顕著に方向性が異なる。 その違いはユーザ情報のGCP上への集約とそこから得られる機械学習の知見によりAI技術を進化させ、それをサービスとして提供するというモデルを持っているということを感じました。 その感覚は今回のイベント参加でより明確に確信することができました。

GCPとは単なる IaaS/PaaS/SaaS ではなく、機械学習機能付きのクラウドであり、そのAIはGCP利用者達自身が Google に与える教材によってさらに強化されてゆくものである。 ということです。 GCPを活用するのであれば、世界中から集まる情報に支えられた強力なAI機能を活かすという目的をもって活用するほうがより効果的にその力を引き出せるということだと思います。

特にAuto ML などの機械学習の訓練負荷低減のための枠組みを作ってきた点は非常に感銘をうけます。 この枠組みがあって初めてビジネスユーザが機械学習を活用する気になるわけです。 技術者はオタクの悲しさでディープかつマニアックな(=誰も使いこなせない)技術の深堀りにはまる傾向がありますが、本来はこのような「ビジネスで使えるIT」をつくらなければいけないのです。
2000年頃、私は「スーパーコンピュータは金融分野の投資予測などにも使えるはずだが、ビジネス界はどうして関心を持たないか?」とある方に尋ねたことがあります。その時の回答は「オタクしか使えないから」というものでした。

また、この1年間で大幅にセキュリティ機能が強化された点も重要でしょう。 従来 GCPのイメージは先進的ユーザ(アーリーアダプター)のためのクラウドという印象がありましたが、これからはエンタープライズの利用が進むしGoogle自身も期待しているものと感じます。 これはiDCフロンティアがGCPフルマネージドサービスを提供することになったことや、翌日(20日)の基調講演に含まれていた日本電気とGoogleの提携などにも表れていると思います。
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