徒然日記

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[感想]クラウドコンピューティングEXPO 2019 秋より 新事業チーム・人材の姿はどうあるべきか?

2019-10-28 11:16:32 | イベント情報

 

クラウドコンピューティングEXPO2019の講演を聞いて思うこと。

2019年10月23日に開催されたJapan IT Week の以下の講演を聞いてみた。 そして感じたこと。

  デジタル時代の人材・組織戦略 
  人材ニーズをどう定義し、どのような獲得・育成戦略を策定すべきか?
         アクセンチュア株式会社 戦略コンサルティング本部 植野氏


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所感
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概ね、このような事が語られている
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  ・新規事業をしようと考える組織はそもそも自組織で新事業が創れない

  ・そんな組織が新事業を興す場合、外部から人材を獲得、新しい組織を作って
   事に当たる必要がある

  ・しかし、そもそも新事業を興せない組織が外部から適切な人材を獲得しうるか?

  ・獲得できたとして、新事業を興せる「組織を育成」しうるか?

  ・育成しえたとして、それが生んだ苗を既存の人材は育てられるか?
  これらが問題である。
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印象的なのは、新規事業を興すにあたり、自社人材で興すという考えを見捨てていて、自社で育てるのは人材ではなく、外部から獲得した人材(新人種)が腕を振るえる場所(新組織)を作り、新規事業チームを育成するということ。 そして、それに共感できる人材をなんとかして自組織の中から探し出す。ということを重要と説いていることである。

たしかに、自社人材で新規事業を興せなら、新事業の興し方に悩まない。Google、Amazonはよい例だ。
多くの組織は「自社の人材で新規事業を興す」ことや「時代の流れで遊休化した自社人材を活用する」ことを目指してしまうためにそもそも、新規事業など興りえないと言える。 また、そんな組織だから、外部から逸材を得たとしても、自社の水の中で逸材が窒息死してしまう可能性が高い。 つまり、自組織とは別の水を用意して逸材を受入れ、徐々に自組織の水を入れ替えてゆく必要がある。

自社人材に見切りをつけられたとしても、その先にこれだけ問題があるよ!
というのが今回の講演の趣旨であると感じた。


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講演の概要
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・新規事業を興すにあたり多くの企業で問題となること
   「自組織には、それを実施する人材がいない」

・新規事業を興すのに必要な「3種類」の人材
   ① デジタル人材   デジタル技術を活用し新規事業・サービスを「創る」
   ② 変革エージェント ①を「活用」して事業を「改革」する
   ③ 変革適応人材   ①、②の成果を使いこなせるように「変われる」人材
 ポイントは①は自組織にはいないので、外部から獲得するということ
 ②は自組織の中から選抜する必要があるということ
 ③は自組織の普通の人たちだが、これが変われないと新事業は日の目を見ない

・新規事業立上げ成功モデルの例
 コア組織       エッジ組織  
 【本業】⇒⇒投資⇒⇒【新事業チーム】
     ←←還元←←  ※本業と別組織として作る

・組織を育成するプロセス(3年計画で)
 1年目  エッジ組織の育成
 2年目  コアから変革エージェントを選抜しエッジに配転
 3年目  エッジで育った変革エージェントを布教者としてコアへ再配転

・人材をどう獲得すべきか?
   ① デジタル人材   (A)尖った人材をどうやって探すか?
   ② 変革エージェント (B)既存組織からどうやって探し、育成するか?
   ③ 変革適応人材   (C)リテラシー教育をどう進めるか?

・デジタル人材獲得の困難さ(募集する場合)
   (A)尖った人材をどうやって探すか?
自組織にいないのだから外部に求める必要がある。されど、如何にして?
   人材募集の例として挙げられた言葉
   「7人の天才と50人の逸材を求む」
これぐらい難しいということだが、難しさの中身として以下の点が挙げられていた
   ・そもそも、デジタル人材って何か? わかってる? 募集する側が。
   
   ・誰に頼めば紹介してもらえるか、わかってる?
   
   ・デジタル人材は今までの会社の魅力(安定性とか、福利厚生とか…)に無関心
   
   ・デジタル人材の能力評価を会社側はできる能力があるのか?

要するに、従来の普通の求人手法では有望な人が人材エージェントの人材プールに見つからないし、見つかっても従来の会社の魅力をもって誘引できないし、来た人を評価する能力が自分にない(異世界のひとだから)ということである。

事例としてKDDIとアクセンチュアがJV(ジョイントベンチャー)を立ち上げた際、アクセンチュアから候補者をJVに出向させ、能力を見極めつつ進めた。という例が紹介されていた。

【感想】自組織にいないから募集しようと気付けるだけでもいいのだが、気づいたところで容易には応募者がいない。いても評価が難しい。のが現状というなかなか厳しい状況と言えそうだ。 JVの例は万人向けとは言えないかもしれない。

・デジタル人材獲得の困難さ(自組織から探す場合)
そもそも、自組織にいるくらいなら、新規事業ができているだろ! という話は元々あるが、自組織にも「眠っている」人材がいる可能性があり、それを発掘できれば可能性はある。が、どうやって探す?
という観点で以下のように述べられていた。
   ・従来業務で成績の良い人(エリート社員)を新事業リーダーにしてもうまくいかない
    これは「資質」の問題
    新規事業では、0⇒1を創れるか? が重要だが既存業務の成績を上げるのにこの能力は求められない。

   ・メインストリームにいない人に資質が隠れている可能性
    アクセンチュアでの調査事例として1:1の比率
    (つまり、新事業候補者の半分はメインストリームに乗っていなかった)という紹介あり
    (どのような調査なのか具体的には不明)

・組織育成のコツ
   ・既存(コア)事業と並行(兼務)でやるのはダメ
    いままでのやり方から切り離してやらせることが重要

・新事業立上げ組織と人材に関する基本的指針
   ・アジャイル方式で進めること
    ウォーターフォール方式からアジャイルへ方式論の転換
   ・コラボレーティブな組織であること
    ピラミッドコミュニケーションからの脱却
    (分業する専門家同士のフラットコミュニケーションという意味)
    軍隊式の上意下達方式でなく、研究者同士の共同研究プロジェクトチームのようなスタイル
   ・クリエイティブ
    (0⇒1を創る創造性)
   ・アダプティブ
    (適応性が高い)

・ポイントまとめ
   ・「まず採用」に走っていないか?
   ・「兼務」で新規事業は生まれない
   ・「組織の最適化」が人材確保の後に必要
というようなことが最後に述べられていた。



【感想】新事業チームのメンバーは「研究活動で協働研究をやったことがある」「企業同士の共同事業を行ったことがある」など、フラットコミュニケーションとは何たるか?を肌で知っている人を選抜することがひとつの重要なポイントであるといえそうだ。 多くの会社が上司の「指示」に従え。という考え方を持っているので会社人間では新規事業が興せない可能性が高い。

【感想】アジャイルというとここ数年の流行りで古い人は無理と思われがちだが、アジャイルと同義語でスパイラスアプローチがある。 これは昔からの手法なのでスパイラルアプローチが得意な人は候補者である。

【感想】クリエイティブを0⇒1と定義するのは正しいが、ではどんな条件を付ければ0⇒1な人が集まるのか? という具体例がない。これがないと結局クリエイティブ人材が集まらない。 個人的には、「芸術家的」であることだろうと思う。 芸術家的技術者でも芸術家的営業でも芸術家的政治家でもとにかく芸術家そのものでなくてもいいのだが、芸術家的であるということが大切だ。 なぜなら、「芸術家的」と言える人は夢想し、あるべき姿を定義し、それを形にデザインする基本能力を持つからだ。

【感想】アダプティブというがこれも具体的にどんな人?というイメージがわきにくいのでは? これは端的に言えば過去の栄光にすがらないことだろう。 どんなに成功しても、時代が流れれば古くなる。 昔の栄光を「恥ずかしい(=なぜなら今はもっと自分も進化してるから)」と思える人が適応力のある人だろう。



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