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[情報] 日立のLumadaはIoT(Internet of Things)じゃあないよ
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日立製作所が Lumada をIoT と表記しているのですが、このIoTというのは世の中一般的に知られているIoT(Internet of Things)ではありません。 なぜIoTと紛らわしい言い方をするのか? その真意は今一つわかりませんが、少なくとも、Lumada は Internet of Things とは関係はないだろうと思います。
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実は、IoTではなくiOTだと思う
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以下のサイトをまず見てください。
日立製作所 Lumada のWebサイト
http://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/about/index.html
ここには、
Lumadaで支える価値創出
顧客協創による新たな価値創出を、データを核とした
IoTプラットフォーム Lumadaで支える。
と書かれており、Lumada=IoTであると書かれています。
ん?やっぱりIoT?
しかし、もう少し下を見ると…
OTとITの実績を凝縮
OTとITをワンストップでつなぐ。それが、Lumadaのポテンシャル。
IoTプラットフォーム Lumadaには、長年にわたり日立が培って
きた現場を動かす信頼のOTと時代をリードする先進のITが凝
縮されています。
例えば、現場の設備の制御データと基幹システムのビジネス
データを統合し、人工知能やアナリティクスにより設備の適
切な制御を行うなど、OTとITをエンドツーエンドでつない
だデジタルソリューションをワンストップで提供できます。
と書かれています。
つまり、Lumadaで言うIoTは OT+ITであり、決して(人ではなく)モノがインターネットにつながることでも、インターネットに接続されたモノ(デバイス)でもありません。 じゃあ、何か?というと?
BI(ビジネスインテリジェンス)の工場版と思えばまあ、あたりであり。Iはインターネットではないと思うわけです。
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OT って何? OTのインテリ化って何?
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でも、OTってなに?
OT= Operational Technologyとはその文字の通り「操作技術」です。
何の操作?と言えば、工場のライン制御用のシステムだったり、プラントの自動運転用制御システムだったり…
では、そういったものの操作をインテリジェント化する効果はどこにあるのでしょう?
スマホやクラウドやその上でのビッグデータやら、インターネットネイティブのIT屋が考えるITから見ると「工場のライン制御用システム」はまさに前世紀のモノです。 インターネットコネクションすらないし、システム間連携のための共通的なプロトコルすらおぼつかない。 インターネットを使わないから、TCP/IPもあたりまえでなかったりする。 各種のテレメトリシステムが収集する情報をもとに、制御システムを動かしてラインやプラントが制御されるわけですが、入力情報に応じて制御システムを動かす操作は人間に依存していたりします。
インターネットネイティブのIT屋からすれば、テレメトリ情報をコンピュータが判断して、制御システムに指示を出せばいいと思うのですが、その両者を取り持つネットワークがないのだからどうしようもない。
実は大型船の運航も似たようなイメージです。 大型船はブリッジ(船橋)で船長や航海士が出す指示で直接エンジンや舵が制御されるわけではありません。 ブリッジからの指示は、エンジンルームや操舵室の表示盤に指示として表示され、それに従ってエンジンや舵のオペレータが機器を操作することで動いています。
つまり、完全なオンラインではなく、人間を介して指示・操作が伝達されてゆくわけです。 これは、工場や船がIT化に怠慢だと言う話ではなく、設備のライフサイクルがITの10倍以上もあるため、今稼働している機器は大昔に作られたものであるのが当たり前だからです。 そういった古いものを前提にしないといけないから、インターネットネイティブになるはずがない。
日立、“総合システム工場”の大みか事業所を公開 IoTを利用した先端の取り組みを実施
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/special/1093064.html
という記事があります。
見ると、なる程と思うかもしれません。
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OT+IT = iOTって何が良いの?
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OTをITでインテリジェント化しようというのがiOTであり、そのブランドが Lumada なのでしょうが、何が良いのでしょう?
それはたぶん…
あの時、ああすればよかった、かもしれない?
ということへのベストプラクティス探しではないかと思っています。
オペレーション技術というのはある状況に対する人間の動作や判断なので、それが結果的に良かったり悪かったりするわけです。 それを色々なケースについて統計的に分析してみて、「結局、こうしたら良かったんだよね。」ということを導き出す。
データ収集は既にテレメトリシステムがやっているので、その後のアクションと結果を集めて、統計解析する。 そこにITを使うと効率的になる。ということではないかなと思います。 これはOR(オペレーションズリサーチ)と言われる手段です。 オペレーションズリサーチというのは太平洋戦争の末期、アメリカ海軍が日本の神風特別攻撃隊の体当たり攻撃に直面して、攻撃を受けたとき、「どう行動すれば被害を一番少なくできるのか?」「どの武器がいちばん効果的なのか?」という問題へのベストプラクティスを探す為に取り入れた手法です。
ORそのものは統計解析なのでコンピュータがなくともできますが、コンピュータがあればより効率的に行えるのは間違いありません。 ビジネスの世界でBIと呼ばれているのも同じことだと思います。
ということで…
Lumada で言う IoT は Internet of Things ではなく、iOT すなわち intelligent Operational Technology であり、言い換えると CAOT (Computer assisted OT)であり、FA(Factory Automation)におけるOR (Operations Research)ともいえるものではないかなと感じます。
[情報] 日立のLumadaはIoT(Internet of Things)じゃあないよ
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日立製作所が Lumada をIoT と表記しているのですが、このIoTというのは世の中一般的に知られているIoT(Internet of Things)ではありません。 なぜIoTと紛らわしい言い方をするのか? その真意は今一つわかりませんが、少なくとも、Lumada は Internet of Things とは関係はないだろうと思います。
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実は、IoTではなくiOTだと思う
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以下のサイトをまず見てください。
日立製作所 Lumada のWebサイト
http://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/about/index.html
ここには、
Lumadaで支える価値創出
顧客協創による新たな価値創出を、データを核とした
IoTプラットフォーム Lumadaで支える。
と書かれており、Lumada=IoTであると書かれています。
ん?やっぱりIoT?
しかし、もう少し下を見ると…
OTとITの実績を凝縮
OTとITをワンストップでつなぐ。それが、Lumadaのポテンシャル。
IoTプラットフォーム Lumadaには、長年にわたり日立が培って
きた現場を動かす信頼のOTと時代をリードする先進のITが凝
縮されています。
例えば、現場の設備の制御データと基幹システムのビジネス
データを統合し、人工知能やアナリティクスにより設備の適
切な制御を行うなど、OTとITをエンドツーエンドでつない
だデジタルソリューションをワンストップで提供できます。
と書かれています。
つまり、Lumadaで言うIoTは OT+ITであり、決して(人ではなく)モノがインターネットにつながることでも、インターネットに接続されたモノ(デバイス)でもありません。 じゃあ、何か?というと?
BI(ビジネスインテリジェンス)の工場版と思えばまあ、あたりであり。Iはインターネットではないと思うわけです。
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OT って何? OTのインテリ化って何?
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でも、OTってなに?
OT= Operational Technologyとはその文字の通り「操作技術」です。
何の操作?と言えば、工場のライン制御用のシステムだったり、プラントの自動運転用制御システムだったり…
では、そういったものの操作をインテリジェント化する効果はどこにあるのでしょう?
スマホやクラウドやその上でのビッグデータやら、インターネットネイティブのIT屋が考えるITから見ると「工場のライン制御用システム」はまさに前世紀のモノです。 インターネットコネクションすらないし、システム間連携のための共通的なプロトコルすらおぼつかない。 インターネットを使わないから、TCP/IPもあたりまえでなかったりする。 各種のテレメトリシステムが収集する情報をもとに、制御システムを動かしてラインやプラントが制御されるわけですが、入力情報に応じて制御システムを動かす操作は人間に依存していたりします。
インターネットネイティブのIT屋からすれば、テレメトリ情報をコンピュータが判断して、制御システムに指示を出せばいいと思うのですが、その両者を取り持つネットワークがないのだからどうしようもない。
実は大型船の運航も似たようなイメージです。 大型船はブリッジ(船橋)で船長や航海士が出す指示で直接エンジンや舵が制御されるわけではありません。 ブリッジからの指示は、エンジンルームや操舵室の表示盤に指示として表示され、それに従ってエンジンや舵のオペレータが機器を操作することで動いています。
つまり、完全なオンラインではなく、人間を介して指示・操作が伝達されてゆくわけです。 これは、工場や船がIT化に怠慢だと言う話ではなく、設備のライフサイクルがITの10倍以上もあるため、今稼働している機器は大昔に作られたものであるのが当たり前だからです。 そういった古いものを前提にしないといけないから、インターネットネイティブになるはずがない。
日立、“総合システム工場”の大みか事業所を公開 IoTを利用した先端の取り組みを実施
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/special/1093064.html
という記事があります。
見ると、なる程と思うかもしれません。
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OT+IT = iOTって何が良いの?
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OTをITでインテリジェント化しようというのがiOTであり、そのブランドが Lumada なのでしょうが、何が良いのでしょう?
それはたぶん…
あの時、ああすればよかった、かもしれない?
ということへのベストプラクティス探しではないかと思っています。
オペレーション技術というのはある状況に対する人間の動作や判断なので、それが結果的に良かったり悪かったりするわけです。 それを色々なケースについて統計的に分析してみて、「結局、こうしたら良かったんだよね。」ということを導き出す。
データ収集は既にテレメトリシステムがやっているので、その後のアクションと結果を集めて、統計解析する。 そこにITを使うと効率的になる。ということではないかなと思います。 これはOR(オペレーションズリサーチ)と言われる手段です。 オペレーションズリサーチというのは太平洋戦争の末期、アメリカ海軍が日本の神風特別攻撃隊の体当たり攻撃に直面して、攻撃を受けたとき、「どう行動すれば被害を一番少なくできるのか?」「どの武器がいちばん効果的なのか?」という問題へのベストプラクティスを探す為に取り入れた手法です。
ORそのものは統計解析なのでコンピュータがなくともできますが、コンピュータがあればより効率的に行えるのは間違いありません。 ビジネスの世界でBIと呼ばれているのも同じことだと思います。
ということで…
Lumada で言う IoT は Internet of Things ではなく、iOT すなわち intelligent Operational Technology であり、言い換えると CAOT (Computer assisted OT)であり、FA(Factory Automation)におけるOR (Operations Research)ともいえるものではないかなと感じます。