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Azure AWS GCP "メガ"クラウドと呼ばれる大手クラウドサービスプロバイダの比較
==========================================================================以前(2018)から抱いているざっくりした印象はこんなものだったのだが、
AWS :モダンサービス重視、スタートアップ中小向け、全方位カバーのサービス、OSS系技術
Azure:オンプレIT基盤技術重視、レガシー大企業向け、オンプレリフトアップ、Windows技術
GCP :AI,データ解析等狭い範囲に尖った技術重視、サービス事業者向け、オンプレ無視、自社開発OSS系技術
時間も経っているし、実際はどんなものであろうかという事で調べてみた。
以下の情報から見ると色分けはこんな感じであろうか。
GCP 短期利用を重視し完全従量課金
大容量通信の事業者(SaaS等)をターゲット
AI/ML系充実の印象だが現在はAWS, Azureも十分充実
IoT系は注力せず
Google SaaS(GApps, Mapなど)系との連携
クレカ支払い
Azure レガシ企業の長期利用を重視し3年拘束契約で値引きあり
オンプレと接続したハイブリッド構成想定。レガシ企業のクラウド化向け
オンプレ連携(AD)、Windows連携機能多い
IoT系に注力しサービス多い
MS SaaS(O365)系との連携
請求書支払い可能
AWS レガシ企業の長期利用も考慮し3年拘束契約で値引きあり
スタートアップ、モダンサービス活用のクラウドネイティブ向け
オンプレ連携はさほど重視せず
IoT系に注力しサービス多い
自社SaaSはないがそれに近いサービスをPaaSとして提供
クレカ支払い
◆総論的(事業方針やコンセプト)比較
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「世界3大クラウドサービス」を比較!その違いをチェック (株グローバルネットコア)2021.08.30
https://www.nplus-net.jp/knowledge/2021/20210830105727.html
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総論的比較だが、料金体系、支払方式において3社の違いがあることがわかる。
AWS, GCP は請求書払いができないのに対し、Azureは可能(要審査)であり、企業向けに建てつけていることが
顕著にわかる。 AWS, GCP の場合請求書払いする為には支払い代行サービスを行うパートナー経由で契約す
す必要がある。
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3大クラウドAWS・Azure・GCPの特徴と使い分け ネットワールド 2021年6月25日
https://frontier.networld.co.jp/3101/
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総論的比較だが、企業における利用という観点で3メガの性格、得意不得意を比較している。
AWS: 3メガ中最も歴史が古く15年ほどの歴史がある
元がAmazonが展開すサービス基盤の経験値を活かしているためその分野(EC)が強い
長い歴史に立脚して事例が多いため、類似例を見つけやすい
AWS関連パートナ、技術者の数が多いため開発体制の確保が容易
Azure:企業で圧倒的シェアのWindows Server OS, Desktop OS と親和性が最良
→Windows利用企業にとってハードル低い
オンプレの知見・技術者を活かしやすい
企業で導入が多いO365との連携が容易
オンプレADとの連携が可能なため、オンプレ、Azure、O365をAD認証でまとめられる
GCP: 同社のGApps, GMail, Map, YouTubeなどの基盤をクラウドとして提供。
この性格上、一般企業のユースケースとは少し異なり、サービスプロバイダの基盤としての
色合いが強い(きわめて高いスケール性、広帯域ネットワークなど)
その他、検索、構文解析、画像解析などの自社技術で利用される機械学習/AI系のサービス多い
(ただし、ML/AIサービスは他の2社も同じくらい多い)
◆サービス数、内容、ジャンルの総当り的比較
3メガクラウド共に総数100を越えるサービスを提供している。 このサービスをジャンル単位で横並び比較している。 比較手法にも依存するが、サービスの方向性の違いがある程度見えてくる。
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3大クラウドサービスをわかりやすく比較【AWS・Azure・GCP】(Cloud Ace)
https://cloud-ace.jp/column/detail295/
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各社のサービスを同じ切り口で列挙している。サービスの種類と数の比較サイト。
これを見る限りは、3メガのサービスでどこが何に強いという感覚は受けないが、
比較ジャンルがインフラ系(どこでも必須なサービス)である点で当然とも言える。
他のサイトでの比較をあわせてみると、やはり方向性に違いがあることが見えてくる。
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AWS/Azure/GCPサービス比較 2022.04 (Qiita 記事著者はセゾン情報システムズ)
https://qiita.com/hayao_k/items/906ac1fba9e239e08ae8
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AWSから見た各社のサービス
サイト内に注記されているが、AWSのサービスを元に他社を比較しているため、AWSに
偏っている懸念がある。
各社のサービスを同じ切り口で列挙している。サービスの種類と数の比較サイト。
上記に比べると、上位レイヤのサービスまで比較しており、業界特化型ソリューション
での3社の色分けがわかる。
特定分野特化型ソリューション
Azure, AWSが強く GCP が弱い傾向が読み取れる。
AWSとAzureで強い方向性が異なるのも読み取れる。
AWSが強い Customer Engagement(コンタクトセンタ)
Internet of Things
Machine Learning
Media Services
Azureが強い Blockchain
全般的にはGCPのサービスが他社よりも少なめである点がわかる
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AWS や Azure サービスと Google Cloud を比較する Google 2022 年 2 月 16 日
https://cloud.google.com/free/docs/aws-azure-gcp-service-comparison?hl=ja
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Googleから見た他のクラウド
Googleによる分析でGoogleサービスを切り口にしているため、Googleよりの可能性はある。
各社のサービスを同じ切り口で列挙している。サービスの種類と数の比較サイト。
全般的にGoogleのサービスより他社のサービスの方が数が多いことが読み取れる。
GCP AWS Azure
アプリのモダナイゼーション 13 14 13
エンタープライズ 4 5 5
コンテナ 5 7 4
コンピューティング 12 12 12
サーバーレス 19 15 17
…
数が多ければ良いというものではないが、種類においてGCPは特に優位性は見られない。
Google Cloud Platform の特長
https://cloud.google.com/free/docs/what-makes-google-cloud-platform-different?hl=ja
には、GCPと他社の違いの総論として以下の項目を挙げている
①Google レベルのセキュリティ
②秒単位での課金
③ビッグデータ
④グローバルなネットワーク
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Azure・AWS・GCPの違いは?最低限知っておきたい特徴を解説(株ジード)
https://www.zead.co.jp/column/features/
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料金体系やオンプレミスとの連携のよさ悪さという観点で色分けをしている。
総括的に見ると以下の特徴を挙げている
①Azure: サービス数265(AWSを越え最大)
連携SaaS= Office365
長期利用契約での割引用意(エンプラ向き)
オンプレでシェア多い Windows, SQL Server と高い親和性(エンプラ向き)
オンプレミス連携機能多くハイブリッド構成前提を想定(エンプラ向き)
②AWS : サービス数205(だが独自のもの多くオンプレ知見が活きない)
基本従量課金なので大規模でコスト発散しやすい
長期割引はあり
Oracleに関する優遇あり
③GCP :サービス数165
連携SaaS= Gmail、Googleマップ、Googleドライブ」など
短期利用想定で作られており、長期利用でコスト発散
長期割引無し
Oracle利用不可(移行プランはあるが…互換性の課題は出るだろう)
初めから現在オンプレのエンプラをターゲットしたAzure
オンプレエンプラも視野に入れたAWS
オンプレエンプラも気になり始めたGCP
◆観点を絞った比較
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AWS、Azure、GCP を徹底比較 3大クラウドのネットワーク新常識(NttCom)
2019年 6月 日経Network 掲載記事
https://www.ntt.com/content/dam/nttcom/hq/jp/business/lp/connectsol/pdf/0724_cloud_r5.pdf
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NTTComらしく、オンプレ~メガクラウド連携のハイブリッド基盤作成を前提に、オンプレ~クラウド(VPC)
間NWを比較(以下2種類の接続方式について比較)している。
かなり細かく記載されている。
①インターネットVPN利用時の各メガ側の VPN GW
②閉域接続(専用線)における各メガの接続構成と構成機器
②-1 物理接続型 メガへの直接接続
②-2 論理接続型 接続パートナ経由接続
また、
③クラウド(VPC)~パブリッククラウドサービス間接続を閉域で行う方式
④オンプレ→クラウドへのオフラインデータ搬送
についての記載もある。
各社、おおむね、同様な機能を提供しているが、価格付けが異なり、使い方によって安価/高額に
なる可能性があることがわかる。
他のサイトでも「GCPは短期利用を、大容量通信顧客(プロバイダ、SaaS)をターゲット」とまとめているが
オンプレ~クラウド通信経路でも同じ傾向が見られる。
その他興味深いのは、オンプレから閉域接続できるのはクラウドの仮想プライベートクラウド(VPC)まで
でありそこから各社のパブリッククラウドサービスへの接続には結局Internetが必要になるということ。
この問題を解決するため、各社VPC~同社のパブリッククラウドサービス間の閉域接続を別途提供している。
色々面倒であることがわかる。
以下抜粋
インターネットVPN接続でつなぐ構成
クラウド上には、ユーザー企業ごとに仮想ゲートウエイが作成される
AWS&GCP のVPNトンネル数で課金
Azure 仮想ゲートウエイ作成後の経過時間で課金(VPN接続数無関係)
通信料金 AWS、Azureが安くGCPは高め
VPN接続時のトンネル数を減らす仕組み
AWS:トランジットゲートウェイ
Azure:バーチャルWAN
GCP :標準装備
閉域網接続(物理接続)
ユーザがルーターを接続ロケーションに持込、クラウド事業者のルータに光ファイバ接続
AWS: Direct Connect(専用接続) 最大10 Gbps 接続拠点=東京、大阪
Azure:なし(論理接続型のみ提供)
GCP: Dedicated Interconnect 最大100Gbps(β版) 接続拠点=東京、大阪
閉域網接続(論理接続)
ユーザはクラウドへ直接ではなく、接続パートナが持込んだルータに接続
ユーザ拠点~専用線~接続パートナ拠点~閉域網~クラウド
AWS: Direct Connect(ホスト型接続) 50Mbps~最大10Gbps
Azure:ExpressRoute(standard、premium) 50Mbps~最大10Gbps
GCP: Partner Interconnect 50Mbps~最大10Gbps
オフラインデータ転送
DISKを持込んだり、貸出DISKでデータを送る
AWS: DISK容量で課金 50TB/80TB
Azure:DISK数で課金 顧客自身のDISK利用可能
GCP: DISK容量で課金 100TB/480TB
オンプレからの接続時のセキュリティは各社とも送信元IPアドレス制御程度
パブリッククラウドサービスへの閉域接続
AWS: VPCエンドポイントサービス
Azure:vNetエンドポイント
GCP: Private Google Access
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AWS・Azure・GCPの「IoT」を徹底比較 なぜAzureが先駆者のAWSを追い越せたのか(ビジネス+IT)
https://www.sbbit.jp/article/cont1/84940
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他のサイトとは少し異なる切り口「IoT」での利用。の観点での比較
総括的に見ると以下の特徴を挙げている
①Azure: IoTを注力分野と位置づけ、エンプラでの活用、BI連携などが強み
②AWS : IoTを注力分野と位置づけ、産業特化型ソリューションのAll in One提供目指す
③GCP : IoTは注力分野とみなしておらず、特化型ソリューションもない
以下、抜粋
IoT Analytics調査 IoT特化パブリッククラウドサービス
→大手プロバイダ3社(AWS、Microsoft Azure、GCP)が80%以上の市場シェア
◆Azureの特徴
・IoTに関してはIoT HuB を中心に、各種サービスを組み合わせる方式を取る。
・IoTは注力対象(167の事例を掲載)
・その他の特徴
・Azureの色づけ
ビジネスインテリジェンスツール(Power BI)統合
業界特化型ソリューション(Cloud for Retail Cloud for Manufacturingなど)
エンタープライズサポート注力
・IoTに特化クラウドサービス8種
◆AWSの特徴
・一般的なITの需要の全方位的な拡充が従来の特徴だったが、特定業界・業種への
特化型ソリューションへ注力をシフトさせつつある。
・そのなかでもIoTは注力対象とされている
・IoTに関してはIoT Core を中心に、各種サービスを組み合わせる方式を取る。
・その他特徴
①膨大な量のパブリッククラウドサービス(2022年2月時点で計227種)
②IoTに特化クラウドサービス13種
③IoT周辺の支援・関連サービス
ロボティクス特化サービス AWS IoT RoboRunner
接続ソフトウェア AWS IoT ExpressLink
プライベートセルラーNW AWS Private 5G
◆GCPの特長
・IoT関連サービスはIoT Core の1つしかない。
・IoTは注力対象とみなされてはいない
・IoTに関してはIoT Core を中心に、各種サービスを組み合わせる方式を取る。
ただし、AWS, Azure のようなIoT特化サービスがあるわけではなく、
一般的なGCPサービス群との組み合わせとなる。
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