ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

捻袋とカマ柄について・・・

2006-06-20 22:16:21 | 着物・古布

写真は本日のタイトルと、まったく関係のないものですみません。
新着の羽裏です。これは緞子、すずめの柄は羽裏には多いのですが、
こんなにたくさん群れているのはあまりありません。
まぁそれがめずらしいかな・・と、それだけのことでして・・。

さて、本日は、昨日の記事の中、「捻袋」のことについて
「どうなってるのかな?」と言うご質問がありましたのと、もうひとつ、
これは「金魚柄」の浴衣の記事で「カマ柄とは?」というご質問がありました。
友人からもメールがきましたので、コメント欄でお返事も書いたのですが、
一応こちらにも書こうと思います。
まずは「捻袋」から・・・。

この「捻袋」と言うのは、パッチワークなどでも使われる手法で、
理屈さえわかれば、カンタンなものです。
要は「袋にするのにちょっとかわった縫い方をする」というだけです。
まず、これは布一枚でも10枚でもできる・・ということ、
もちろん、使う布幅や長さによって、出来上がるものの形は変わります。
昨日の「古本」にあった「半衿2本で帯揚げを作った」というのは、
つまり半衿の幅と長さのものを2本で帯揚げになるものができると言うことです。
ただ、あの本の絵は柄の書き方がイマイチ曖昧ではないかと思います。
実際に半衿二枚で作ってませんので、はっきりしたことはわかりませんが・・・。
では説明です。布だとわかりにくいので、紙を使いました。
一番上の赤いのが、一枚をねじったものです。
これですぐにおわかりになると思います。
つまり、一枚の細長いものを折ってぐるぐるとまわるようにするのです。





2番目は、向きを変えて2色です。3番目は3色。
こうして数をふやすこともできますし、最初に曲げる角度を鋭角にしたり
鈍角にしたり、布幅を細くする太くする、使う色数を調節する、
そういったことで、袋が大きくも小さくもなるわけです。
上の三つは、だいたい直角ぐらいで曲げています。

原理はお分かりになりましたか?ちょっとパズルみたいですけど
わかれば「なぁんだ」・・ですね。
それでは縫い方ですが、まず使う布を全部並べてつないでしまいます。
つまり一種類ならそれ一枚、何種類かつなぐなら、
全部並べてつないで縞模様の一枚の長い布にしてしまいます。
それを上のようにねじっていくわけです。
下の写真をご覧ください、これは一枚ですが、縞模様でも同じです。
それを上のように筒状にして「縫った」と仮定したところです。
実際にはセロテープでつけてありますが、どうなっているかはお分かりですね。





途中に黒い丸が描いてあります。あの○印のところを
ずーっと縫い合わせていくわけです。では広げてみましょう。




黒い○は半分ずつ布の向こう側とこちら側につきました。
つまり一枚の布の向こうの「辺」とこちらの「辺」を廻しながら縫い合わせてゆく
ということで、ずーーっと長ーーく、ただひたすら縫い合わせると、
出来上がりが、捻った袋になる・・と言うわけです。
パッチワークでは、張合いのいい色を隣り合わせて作ります。
この「袋」はバイアスになるので、モノをいれると伸びますから、
バッグや巾着などにするときは、必ず中袋をしっかり作り、
中側のところどころをとめたほうが仕上がりがきれいです。
昨日の帯揚げは、その「伸び」が帯揚げとして使いやすい・・
と言うことだと思います。中が袋ですから「帯枕」も入ります。

この「捻袋」わずかな角度の違いで、袋の大きさなどが微妙に変わりますから、
作る場合は、紙などでしっかりサイズをはかり、まわっていく角度を
きっちり決めてやってください。上と下がまっすぐにはなりませんので
帯揚げのような「紐」のものとして使うときはそのままでもいいのですが、
袋などの場合は平らにすることで、布の「裁ち落とし」がでることを
考慮にいれて、寸法を測ってください。


次に「カマ柄」についてです。
カマ柄というのは、反幅に1個の大きな柄がポンと置かれているもの、です。
もう一度「金魚柄」をお目にかけますね。
上に半分見えているのは、ちょうど向かい合わせるようにさかさまに
左右が少しずれて同じ柄が置かれています。





こんなふうに、左右どちらかに寄ったり、真ん中だったりしますが、
柄はひとつだけです。こういう柄を「カマ柄」といいます。
さて、ご質問は「なぜカマ柄と言うのか」と言うものだったのですが、
実は私の知っていることが正解かどうかという確証はないのです。
たぶんこういうことだと思う・・・ということですので、ご勘弁ください。

最初に・・・皆様はジャガード織というものをご存知だと思います。
西陣の帯なども今はこの織機を使って織られているわけですが、
フランスで作られた機械で、えー機械の細かいことは専門家ではありませんので
お許しください。とりあえず、この機械は、それまで二人がかりで経糸と緯糸を
動かして柄をだしていたものを、「紋紙」という「柄どおりの穴」のあいたものを
機械に読み取らせることであっというまに織り上げることができる・・という
スグレものでした。そのかわり職人が何人も失業しましたが・・・。
このジャガード織機を使って「この金魚柄が横に五つ並ぶ布」を織るとします。
経糸には金魚柄が横に五つ並ぶのに必要な本数の糸が張られます。
このときの「金魚柄が一つ入る分の経糸」を1ユニット、といいます。
五つ入れるときは5ユニットの経糸が張られるわけです。
この「ユニット」を「釜」と呼ぶのだそうです。つまり「ひとカマ、ふたカマ」
という具合ですね。これは京都の職人さんの中での言葉らしいです。
ご承知のように、着物の反物はジャガード織機で織るわけではありませんが、
この「1ユニットがひとカマ」と言う言葉が、反幅にひともよう、と言う意味に
使われ、大きな柄が1個だけ置かれたものを「カマ柄」と言うようになった・・
のではないかと思うのです。

というわけで、捻袋とカマ柄の説明でした。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2006-06-21 00:11:11
とんぼ様



なるほど!そういう風にするのですか。

今、説明を見ながら細い布を折って

ちくちくと縫ってみたら出来ました。

「捻袋」の作り方わかって嬉しいです。

ありがとうございました。
Unknown (百福)
2006-06-21 02:05:13
琳派の屏風みたいですね。雁みたいです。こんなもの羽裏にするなんて、なんて洒落者。



カマ柄のこと。以前みた伊勢型の小紋で、大きな大きな菊が反物の幅にふたつ入っている柄のがあって、先生が「ふたかまだね」といったのを思い出しました。な~るほど、そういうことだったのですか。ほんとためになります。ありがとうございました。

あ、 (Fujipi)
2006-06-21 08:35:40
なるほど。自分でも紙でやってみてわかりました これで中に枕をいれれば、帯枕ですね。この「捻袋」は、かなり自由度が高いですね。自分の好きな太さに調節できて、布の活用度がです。

 

 色とりどりの紙の模型も綺麗でわかりやすいです。本当にありがとうございました。



 カマ柄という言葉は初めて知りました。使う場面があったら「これはカマ柄だね。」なんて通ぶってみたいです
Unknown (とんぼ)
2006-06-21 13:04:53
陽花様

さっそく試し縫いをなさるとこなど、

やはりすばやい・・・私は紙と格闘してました。



百福様

この羽裏は状態がいいので、販売予定です。

右下、見づらいんですが「漢詩」が入ってるんです。

えーと、読めませーん!



Fujipi様

捻袋の手法、活用してください。

カマ柄と言う言葉はほんとに聞かなくなりました。

お話の中で使っていくことで、

昔の知識や模様のことなど、伝わっていくと

いいと思います。ただし、まちがってもテイネイに

「お」はつけないでください。

話題がかわっちゃいます。















Unknown (百福)
2006-06-21 23:47:52
とんぼさま、開店お待ちしておりま~す♪

いの一番に呼んでくださいませ(笑)。



Unknown (とんぼ)
2006-06-22 08:33:09
百福様

開店記念セール期間中の特典は・・!

なんぞといろいろ考えております。

および致しますですよぉ~~!!

よろしくお願いいたしまーす。

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