
たくさん着物をお持ちの方はともかく、少しずつ楽しみに揃えているような場合は、
「白い着物」は憧れではありますが、ちょっと躊躇する場合が多いかと思います。
もちろん「白地」という意味ではなく「全体に白っぽい」「ごく明るい」…という意味です。
そういう着物は、まず汚れやすい、汚れた場合目立つ…。
それから、白っぽい着物はなんとなく寒々しい感じで、秋から冬は着づらい…。
でも、お正月あけたとたんに「春待つ光の色」として、見た目にも春めかしい…になるんですけどね。
えぇぇ私があまり白っぽい着物を手にしないのは…印象として似合わないといいますか、
小さいのに白を着ると、きれいな広がりよりは、ただのボンヤリデブデブになるからです。
これは個人の持ち味とか、イメージとかですので、いかんともしがたいわけで…。
それでも嫌いなわけではありませんし、組み合わせるものによっては、明るい色眼、白っぽい着物は、
若く見えたり、軽やかに見えたりしていいものです。
さて、さんざん前置きいたしまして、やっと着物のお話。トップ写真の白っぽい着物は、
着物としてもあまり年齢を問いませんし、こんなのも一枚あってもいいし、
羽織にすると、ちょっとあったかいめの日でも、重苦しくならないかなとか…。
商品説明は「紬」、ところがどうにも紬に見えないんです。
以前、和布で作ったアロハシャツで、表地では鮮やか過ぎるので、わざと裏返して使って、
そのかすれ感とか、ぼんやり感をうまく使っているものがありました。
これ、ひょっとして紬じゃなくて、小紋の反物を裏返しにしたのかな…なんて思うくらい。
でも、出品者さんは、何もわからない方ではなさそうですし…。
どんな紬なんだろう…と楽しみに待っていました。
はい、やっぱり織りの着物でした。裏表、差がありません。
それにしても不思議な織り方…といいますが、私こんなの初めて見たんですけど…。
どアップです。普通、柄の部分になる糸は、たとえば紺ならそこだけ緯糸を続けて入れるわけですが、
これは一段入れるごとに白糸をいれ、経糸も白糸です。
四角い升目の中だけが紺になるわけで、全体で見ると、色糸の量がうんと少なく見えるわけですね。
簡単に言うと、紺色のタイルを縦横揃えてきちんと並べると、全体は紺になりますが、
周囲に白い縁取りのある紺のタイルを並べると、白い縁がくっついて網目のようになり、
その中に小さい四角い紺があるように見える…ですね。
だから全体に白が多くなり、ぼけーーっと白くて、実はどんな柄なのよです。
眼を凝らしてもよく見えなくて、イラッとします。
ちょっと引くと見えます。菱のかさねですね。わかりやすいように、少し暗くして濃くだしてみました。
ほんとにこの色だったらかわいらしい着物になっちゃいますね。
派手なのか地味なのかわかりづらいですが、八掛の色からすると、たぶん40代で着ていたかと…。
とてもいい色がついています。20~30代なら、朱色系をつければばっちりですね。
ただねぇ、とってもお安かった(野口さんをほんの数枚)理由は…こちらです。
もともと胴裏は白ではなく薄茶色なのですが、それにしても、地よりしみのほうが広い?
仮に一応洗ってあります…だったとしても、これはこのまま着る気がしません。
胴裏も袖の中も全部こんな感じです。表地にしみがないのがほんとにフシギ…。
いずれにしても裏はお取替えですので、解いてしまいます。
こんな色柄の着物は初めてなのですが、60を越えたらなんとなく
明るい色や、少し赤のはいったものに眼が行くようになりました。
母が言っていました。若いうちは何色を着ても「若さ」が後押ししてくれる。
年をとったら後押しがない分、自分が一歩前に出てきれいな色にちかづかなきゃいけない。
年をとっても、モノトーンもカラフルもパステルカラーも一歩ひいてはだめだ…と。
母は着物は地味系統が好きでしたが、洋装は、ほんとに制限なく「好きだ」と思う色柄を着てました。
3年前でしたか、転んで怪我をしたというので飛んでいったら、迷彩柄のベスト着てまして、
「自衛隊の演習で転んだんかいな」と言ったら「アマゾン探検くらいゆうて…」でした。
しかも、以前同じものを息子にくれまして「おばーちゃんとお揃いやで」といってたヤツ。
孫とおソロの迷彩ベスト…84歳…妙に似合ってた…。
私も紬系は地味好みですが、少しきれいな色を合わせたいとか、小紋はいろんな色がいいなとか、
このごろそんなことを思っています。
ちょっと冒険色かもしれませんが、着物で着てみようかなとも思っています。
お顔写りいいとおもいます。お似合いです
まぁこんなお時間に…って、
読んでる私もですが…。
八掛をグレー系にしたらどうかなと思ったんですが…。
似合いますかしら、こういうの自信なかったんでうれしいです。
裏地のしみって、そのままにしておくと他の着物に移るって人もいるし、カビじゃない黄変なら大丈夫って言う人も、黄変もなぜだかわからないけど移るっていう人もいて、悩んでしまいます。
感じの着物ですから帯次第で年齢幅の
広がる着物ですね。
今の胴裏は加工技術で黄変やシミがほとんど
出ないと思いますが、この胴裏は見事ですね。
カビは移ったり広がったりします。
黄変や置きジミは、うつるというより、
それが出るということは、長く虫干しなど
メンテをせずに入れっぱなしということですから、
一つ出てたら、ほかも…の可能性が高いです。
もともとの糊の成分などの変質ですから、
カビ菌のようにうつるということはないと思います。
ただ、それが出ている古い着物をメンテせずに
ほかの着物と重ねてしまうということは、
汚れ物の上におくようなものですから、
ほこりや湿気はうつってしまいますよね。
好きだなーという色柄ではないのですが、
こんなのもおもしろいかな、と思って。
まぁ表がきれいな分、裏みてびっくりしました。
色がきれいだったら「柄」かと思いますよ。
ここまで出てるのもすごいです。
ある意味「拍手!」?
やわらかい色も似合うといっていただいて、
ありがとうございます。
ひとさまにはいろいろ言うくせに、
自分の中で、守りの姿勢に入ってる部分って
ありますよね。
好きじゃない色みたいなものもありますが、
私の場合は、母への反抗ってのもあったかもです。
女の子なので、ピンクだクリームだと着せたがって…
それがトラウマだったかも?
この紬を解きながら、なんかやさしい色だなぁと、
ほっこりしています。
ちょっと先になると思いますが、着ようと思います。
ありがとうございました。
(八掛がなんともオシャレ!)
私など、変わった織りだとは全く気がつきませんでした。
超拡大していただいて、おおお!と・・・
こんな風になっているから霞んだように白っぽく見えるんですね。
面白いです!
ところで、胴裏の黄変。
どうも、60年代中ごろからの着物にこういう黄変をよく見かけるような気がします。
特に、大島(横双)と白地に大きく派手で面白い抽象花柄の若向け付け下げ。
多分、糊落としをしっかりしていない結果なんじゃないかと思うんですけど、どうでしょう?
付け下げの方など、色柄が面白いのに勿体無い!というのがゴロゴロあるんですよねぇ。
私と同じ意見の方がいらっしゃいましたね。
こういう優しげな色目、似合いますって。
おべんちゃらで申し上げたのではありませんのよ