ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ではこの着物…

2008-11-11 23:39:39 | 着物・古布
まずはこの小紋「ちょっと前」の小紋です。
最近の小紋は、柄の小さい、文字通り「小」紋が主流。
たまに大柄があると、洋風の大きな花だったりする現代的なタイプ。
古典的な柄でこういう大柄は、あまり見かけないような気がします。
ハヤリでないといえばそれまでですが、こんな感じのレトロ・モダンも、
着方によっては、パッと目立ちますね。

ではまたしても長ーい前置きを…。今日は特に長いです。
面倒なかた、飛ばしてください。

着物のジミハデは、ほんとに一口ではいえないところですが、
かつては全体に今よりハデな感じ、でした。
17~8歳までの娘さんは思い切り、そう…今で言うと子供ようなハデさ、
そして20代から40代半ばくらいまでは、帯や八掛、小物をかえれば、
同じ着物を繰り回してきられるような感じ。
つまり見た目のジミハデはあっても、応用できる色柄が主流だったわけです。
そして50を過ぎたヒトには、一気に老け柄が用意されていたわけで?

実際私が子供のころ、まわりにいたオバサマたちは、ほんとにジミ作りでした。
今考えてみると、あのオバサマたちは当時40代後半とか50代前半とか
そのくらいのはずなんですが、白髪アタマのおばーちゃんと、
十把一からげで「おばーさん」だと思ってました。
ややこしい言い方ですが、単純に言いますと、昔の着物をだしてきて、
「これいくつくらいまで着られると思う?」と聞いたとき、
今の人なら「せいぜい30代まんなかくらい」という色柄を、
昔なら「40代そこそまでかな」というであろうと…そんな感じですね。
おまけに今のように袖丈が一律同じではありませんでしたから、
20代なら長く、また自分の背丈や体型から長短を好みで決めてました。
当時は自分で袖丈の直し位はカンタンにしましたから、
そのあたりも自由自在だったんですね。
正直なところ、今の若い方が、ジミ目な着物を着ていると、
あれで袖が60センチくらいあったらジミ・コーデでも、
すごく映えるだろうな、と思ってみています。

というわけで…黒っぽい着物、さてどこまで化けられるでしょうか?
その前に、色柄について、もう少し説明しておきましょうね。
この着物は、写真を拡大してから気がついたのですが「染め直し」のようです。
元の色はわかりませんが藍をかけて、黒をかけたようです。
ふしぎですね。パッと見ただけではわからないのに、写真を見ると、
はっきり「七宝」の元柄が透けるんです。カメラってこわーい。

柄は糸巻き、糸巻きの中はおめでたいものいろいろ。
宝尽くしや亀甲を宝で埋めたりとか、束ねのし、扇子、そのほかに御所車や紋。
また、写真で色目をだすのに苦労したのですが、全体に使われている色が
朱や黄でも、少しくすんでいます。だから「赤い」という感じがしません。
写真ではわからないのですが、一つ一つの糸巻きは、
細い金線で輪郭がとってあります。ハデというより豪華な感じ。

 
  

          
この着物は地色も黒で落ち着いてますし、例えばお正月とか、
少しおめでたい系の日なんかに、いいんじゃないかと思います。
八掛はちょっとくすみのある「朱」です。

まずは白系のちょっと豪奢な帯で「お正月、初詣設定」でいってみましょう。
これ実は大切にしている「締められない帯」ですので、
うしろははさんであるだけ、白いのが見えているのはご愛嬌ということで…。
帯揚げ帯締めは、この組み合わせでは八掛にあわせてオーソドックスに朱。
こうして組み合わせてみると、柄は大きいけど色目が落ち着いているので、
20代のお嬢さんには、ちょっと背伸びした感じ…に見えますね。


               


      
ちなみに同じ着物で、帯揚げ帯締めを大人のお正月イメージにすると…

 
          


次はもう少し普段っぽい感じで朱系の帯を。
帯の色がきついので、帯揚げ帯締めは優しい色にしてみました。
雰囲気のかわいらしい人なら、けっこう年齢幅広がりますね。


          


次は少し落ち着いて、しつかり良妻賢母やってる感じ…。
実家へ里帰りといきますか。今日はお絵かきしていないんですが、
このくらいだと八掛も芥子か、もう少しいってれば明るい抹茶くらいですね。
帯締めは着物の柄の大きい分、大人っぽくピリッと黒です。
このくらいの年代、一番しっくり来る感じですね。
すみません半衿テキトーです。


          


さて、でははキュッと締まる「黒」はどうでしょう。
これがフシギなんですよ。まず柄の華やかな黒地。
若いかた向きに、小物は濃い朱できものと帯の黒を分けました。


          


もうひとつ渋い黒。こちらは境界線は芥子です。


          


もう一度並べましょうね。






今回はバタバタと着せ付けましたので、こまかいところは手抜きです。
色柄のとりあわせということで見ていただきたいのですが、
今回は「同じ色でも柄が違うと」というのがありますね。
使った帯はハデなほうがこちら、裏も目がヘンになりそうな鮮やかな朱です。


    


ジミなのはこちら、


    


どちらも塩瀬の染め帯で、扇子のほうは金糸の刺繍があります。
扇子が私、「花鳥風月」が母のもの、両方とも40年前の帯で、
残念ながら締められません、塩瀬の黒はどうしてもヤケまして、
部分的に「ようかん色」になりつつあります。もったいなーい。

黒という色はフシギな色ですね。着物のほうで見ても、
柄が大きいから若い子向きかと思うと、そうでもない…。
帯も同じ黒地でも柄によって、全体の印象がかわる…。
柄の大きい、今風じゃない小紋でも、こんなふうに楽しめる。

益々わからなくなってください。
着物一枚、帯一本、全て人との出会いと同じです。
どんな相手かなーと悩んで、なかよくなれるよう、お付き合いしてください。
いかがだったでしょうか。

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8 コメント

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Unknown (陽花)
2008-11-12 00:06:06
自分が着るのだったら、3番、5番かなぁと
ついつい自分の好みで見てしまっていました。
これだけ大きな柄は実際には着た事がないの
ですが、帯と小物の色柄で随分変わりますね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-12 00:13:20
陽花様
着るなら私も同じですね。
元々紬がすきなので、
小紋そのものに苦手意識があります。
陽花様がいつも小紋の着物を
さらりときこなしていらっしゃるので、
毎度「メモメモ」なんですよー。
返信する
2番も可愛い (茶ノ葉)
2008-11-12 01:07:00
陽花さまの真似をして、自分で着るなら・・・と考えてみましたら、2番3番でした。
帯の朱赤って、使い方を間違うと野暮ったい印象でしたが、こういう配色は素敵ですね。

ところで、この小紋の地色は鉄紺色かと思っていました。
実物はかなり黒に近いのでしょうか?
やはりwebの色は難しいですね・・・
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-12 01:27:15
茶の葉様
朱という色はハデにみせるためか
なじませるためかで、あわせる色も変わりますね。
この小紋、一応「黒地」なのですが、
染め直しで、どうやら藍下のようです。
元の色がわからないのですが、
まっ黒に染めるのは、お金のかけ方の違いで、変わるんですよね。
藍下なので、調整のとき元の藍の色が
でるのかもしれません。
返信する
おはようございます^^ (えみこ)
2008-11-12 09:57:26
自分も青みがかった黒…紺色がもっと濃い感じに見ていました。
黒のうえに、小紋に苦手意識があるので
う~ん^^;これはなやましいですね。
組合わせがうまくいっても着こなせる自信がいまひとつです。
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Unknown (とんぼ)
2008-11-12 13:08:00
えみこ様
明るいところでじーっくり見ると、
濃紺に見えなくもないのですが、
やっぱり黒地なんですよ。
フシギな色です。
私も実は小紋はなれないんです。
これも自分が着るならもーっと
悩むところですね。
返信する
Unknown (ゆん)
2008-11-13 17:35:30
こんばんは~
 わ・私、ひょっとしたら4番が好みなんじゃないでしょうかこれが一番似合うと思うんです

 それと、くすんだ桃色の帯を結んでもいいかな・と思ったりもして…。小物はやっぱりやさしい緑系かなァ…。

 洋服だと絶対選ばない色なんですが、こんな着物の時なら、やさしい色でも、着られそうかな・・・という気になりました。う~ん、ますますわからない。自分の好みってなんだろう?
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-14 19:27:54
ゆん様
若いしねぇいいと思いますよー。
くすんだ桃色、それもアリですね。
洋服と切り離せ、というんじゃないんですが、
おっしゃるとおり、着物だと
洋服じゃゼッタイやらないのも、アリだと、
そういうことなんですね。
顔写りとか、雰囲気とか、洋服とは
違うものが見えてきますからね。
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