
今日、お天気を気にしながら「片身頃」だけ伸子張りしました。
この小紋は「引きとってぇ」とまとめていただいたもののうちの一枚。
そんなに古いものではないと思います。昭和40年代かなぁ。
でも保存が悪かったのでしょうね。
色あせ、シミ、汚れと、三拍子揃った(揃わんでもぇぇねんちゅーの)モノ。
使えるだろうかと、横目で見ながら置きっぱなしてハヤ何年(いつもどおり)。
で、今日はこれをどーにかならないか考えようと、とりあえず解いてみました。
まずはこんな感じ。端の元の色と真ん中の褪せ加減、わかりますでしょうか。
赤丸の中は特に濃いシミ、これが全体にわたっています。

ちょっと全体を見てもこんな感じ。これは身頃ですから、おくみの「褄先」なんか
「はい、ここが褄です」と主張しているくらいの色変わりでした。

これはどうにもならないかなーと思いながら、ふと気がつきました。
これはローケツ染めです。ということは「裏は…」、へっへっへきれいでした。
こんなに違うー。なんかふわっと浮いているところはシワです。

とりあえず洗いました。色落ちはほとんどナシ。但し水は茶色くなりました。
やっぱり汚れてましたねぇ。でも、幸いなことにいわゆる穴とかヒケとかはないのですよ。
これならなんとか別のものに使えそうです。
さて「ローケツ」ですが…すみません、私はほとんどわかりません。
とりあえず、一番単純なのは、白い布に溶かしたロウで模様を描き、
乾いたらちょっと手でヒビを入れる…
そのあと染料液につけて、しっかり染まったらロウを落とす。
ロウがしっかりしみこんでいるところは白く残り、ヒビ割れたところは、
そこから染料がしみこんで、ひび割れもようになる…です。
染屋さんのロウケツ染めは、こりゃもうotyukun様に伺うのが早いのですが、
とにかくこれだけではなく、色をつけたところを更にロウ伏せして別の色で染めるとか
そりゃいろいろな手法を使っていろんな色をかけていくわけです。
このロウケツ染めの特徴は、当然「ロウ」の作用で、裏と表で柄が違うということ。
いえ、全然違うのではなく、ロウのしみ具合で裏表が微妙にかわるんですね。
こちらは、母からもう20年くらい前に譲られた「道行」、
母が40代の初めのものだと思いますから、すでに40年以上ですね。
朱が勝って結構赤いんですが、縞が細いので着るとジミめ…というおもしろい道行です。

実はこれ、母がロウケツの感じを見て「裏向きに仕立てて」と、
最初から裏を使って仕立てたものです。なんでと聞いたら「表ジミだから」…。
ためしにちょっと解いて見ました。
あんまりはっきりわからないんですけれど…解いた中側の縞の一本ずつの中、
なんとなく茶色のような黒っぽい細かいもようがありますね。
ロウケツのヒビではいった細かい柄だと思います。
こんな小さい部分だとあまりよくわからないのですが、ここを広げて中を見ると、
全体にこの細かい茶色っぽいのが散っているわけで、悪く言うと「濁ってくすんだ感じ」。
このとき母がもう少し年をとっていたら、それでいいと思ったでしょうし、
道行ではなく着物として着るなら、そのままだったと思います。
道行きや羽織は少しハデにしますから、母は濁りのない裏の縞を選んだわけで…。
「年とったら今度こそ表返して、元の柄にしたらまたしばらく着られる」と、
そんなことを言ってましたが、そのまま私のところにきたわけで…。
いまや私が表返して作り直すようですわ。
普通の染めの小紋は、染め方や柄にもよりますが「裏」はどうやっても「裏」で、
紬や銘仙のように、傷んだら裏返して…がなかなかできません。
裏まで通って染まっていても、やっぱり「裏っぽく」見えてしまう…。
でも、ロウケツはけっこうそれができちゃうんですね。
但し…があります。
まずこちら、乾きましたので、表と裏の具合を見てください。
矢印の先が縫い跡の茶色い汚れ部分、裏からは見えませんね。

で、裏返して変わるということ、矢印のところ、薄い色で柄が染まっていますね。
それと右側の広範囲に白い細い線が、柄として入っています。
これが裏は柄がなくなるわけです。


こんな感じで、細かい部分が見えなくなったり薄いところがでなかったりするから、
色あせ部分以外にも色が濃くなったように見えるわけです。
ロウケツのものは、一度裏から見てみると、まったく違うカオが見えるもの、
それを生かして、織りの着物のように裏換えして使う楽しみもあるということです。
もちろん「裏みたけど、ありゃりゃ」ってのもあると思っていてください。
こんなのを探すのも楽しいですね。
この小紋は「引きとってぇ」とまとめていただいたもののうちの一枚。
そんなに古いものではないと思います。昭和40年代かなぁ。
でも保存が悪かったのでしょうね。
色あせ、シミ、汚れと、三拍子揃った(揃わんでもぇぇねんちゅーの)モノ。
使えるだろうかと、横目で見ながら置きっぱなしてハヤ何年(いつもどおり)。
で、今日はこれをどーにかならないか考えようと、とりあえず解いてみました。
まずはこんな感じ。端の元の色と真ん中の褪せ加減、わかりますでしょうか。
赤丸の中は特に濃いシミ、これが全体にわたっています。

ちょっと全体を見てもこんな感じ。これは身頃ですから、おくみの「褄先」なんか
「はい、ここが褄です」と主張しているくらいの色変わりでした。

これはどうにもならないかなーと思いながら、ふと気がつきました。
これはローケツ染めです。ということは「裏は…」、へっへっへきれいでした。
こんなに違うー。なんかふわっと浮いているところはシワです。

とりあえず洗いました。色落ちはほとんどナシ。但し水は茶色くなりました。
やっぱり汚れてましたねぇ。でも、幸いなことにいわゆる穴とかヒケとかはないのですよ。
これならなんとか別のものに使えそうです。
さて「ローケツ」ですが…すみません、私はほとんどわかりません。
とりあえず、一番単純なのは、白い布に溶かしたロウで模様を描き、
乾いたらちょっと手でヒビを入れる…
そのあと染料液につけて、しっかり染まったらロウを落とす。
ロウがしっかりしみこんでいるところは白く残り、ヒビ割れたところは、
そこから染料がしみこんで、ひび割れもようになる…です。
染屋さんのロウケツ染めは、こりゃもうotyukun様に伺うのが早いのですが、
とにかくこれだけではなく、色をつけたところを更にロウ伏せして別の色で染めるとか
そりゃいろいろな手法を使っていろんな色をかけていくわけです。
このロウケツ染めの特徴は、当然「ロウ」の作用で、裏と表で柄が違うということ。
いえ、全然違うのではなく、ロウのしみ具合で裏表が微妙にかわるんですね。
こちらは、母からもう20年くらい前に譲られた「道行」、
母が40代の初めのものだと思いますから、すでに40年以上ですね。
朱が勝って結構赤いんですが、縞が細いので着るとジミめ…というおもしろい道行です。

実はこれ、母がロウケツの感じを見て「裏向きに仕立てて」と、
最初から裏を使って仕立てたものです。なんでと聞いたら「表ジミだから」…。
ためしにちょっと解いて見ました。
あんまりはっきりわからないんですけれど…解いた中側の縞の一本ずつの中、
なんとなく茶色のような黒っぽい細かいもようがありますね。
ロウケツのヒビではいった細かい柄だと思います。

こんな小さい部分だとあまりよくわからないのですが、ここを広げて中を見ると、
全体にこの細かい茶色っぽいのが散っているわけで、悪く言うと「濁ってくすんだ感じ」。
このとき母がもう少し年をとっていたら、それでいいと思ったでしょうし、
道行ではなく着物として着るなら、そのままだったと思います。
道行きや羽織は少しハデにしますから、母は濁りのない裏の縞を選んだわけで…。
「年とったら今度こそ表返して、元の柄にしたらまたしばらく着られる」と、
そんなことを言ってましたが、そのまま私のところにきたわけで…。
いまや私が表返して作り直すようですわ。
普通の染めの小紋は、染め方や柄にもよりますが「裏」はどうやっても「裏」で、
紬や銘仙のように、傷んだら裏返して…がなかなかできません。
裏まで通って染まっていても、やっぱり「裏っぽく」見えてしまう…。
でも、ロウケツはけっこうそれができちゃうんですね。
但し…があります。
まずこちら、乾きましたので、表と裏の具合を見てください。
矢印の先が縫い跡の茶色い汚れ部分、裏からは見えませんね。


で、裏返して変わるということ、矢印のところ、薄い色で柄が染まっていますね。
それと右側の広範囲に白い細い線が、柄として入っています。
これが裏は柄がなくなるわけです。


こんな感じで、細かい部分が見えなくなったり薄いところがでなかったりするから、
色あせ部分以外にも色が濃くなったように見えるわけです。
ロウケツのものは、一度裏から見てみると、まったく違うカオが見えるもの、
それを生かして、織りの着物のように裏換えして使う楽しみもあるということです。
もちろん「裏みたけど、ありゃりゃ」ってのもあると思っていてください。
こんなのを探すのも楽しいですね。
ローケツ染め、いいですね。
3,40年前ごろですか?ずいぶん流行ったようで、今でもネットオークションなどで、よく見かけますね。職人さんの手仕事感みたいのが好きで、何枚か手に入れたりもしています。今は、こういうものがあまり作られてはいないようですが。
ところで、以前の記事に書かれているかもしれませんが、こうして洗われる時には、どんなふうにされるんでしょうか?洗い張りやさんでは、たわしのようなものでこすっているような写真を見たことがありますが、とんぼさんはどうされていますか?
ローケツは職人さんにも予想がつかない
効果があるそうで、おもしろいですよね。
洗うときの道具ですが、
私の場合は「ものによりけり」なんです。
錦紗の薄くなったものや、危ないものは、
手洗い、つまり手でそっとなでるか、
たたんで押し洗いです。
このちりめんは、まだまだいけましたので
ブラシ洗いですが、そのブラシは
靴の艶出し用のブラシだったりします。
毛の柔らかいもの。化繊などは丈夫ですから
普通の爪ブラシみたいなのです。
これで合っているのかどうかはわからないのですが、
母は専用のブラシみたいなのを
持っていた気がします。なんかタワシみたいな
楕円形のものだったような。
染めた記憶があります。
道行は、正規の表側が本当に地味だった
のですね。
裏表二度楽しめるなんてローケツ染め
いいですね。
洗い張りをお願いするほどではなし…という解き物があって、自分で洗ってみようかな、と思っているのです。多分縮まないと思われる生地なので。時間を見て、やってみようと思います。いつになるか…
少し前に呉服屋さんで、ローケツ染めの反物を購入し、湯通しをお願いしたのですが(紬地でしたので)お母様の道行きと同様、片面に、ムラがありまして、「これはもともとのムラですから、湯通しで汚してしまったわけではないですよ」と、注釈付きで戻ってきました。とんぼさんもよく書かれていますが、ローケツ染めは、そういうものだということを知らない人が増えて、クレーム対象になってしまっているのでしょうね。ますます手仕事が廃れてしまいそうです。
行っていればえらい事になっていたかも。
ローケツは臈纈、最も古い時代からの染技法です。
蝋が防染の役割をするのですが、蝋の厚さで防染力が変ります。
薄いと上から染める染液が生地に浸透するので被りのグラデーションが筆遣いで表現出来るのです。
つまり、汚れた様に見えるのが基本的に表です。
ワザと裏染めする事もあるので一概に言えませんが。
上にあるかすれた様な作品はサンバと言う鹿の「しけ刷毛」を使って蝋を描き上げたものです。
ローケツは油絵の様な仕上がりに出来る唯一の染め技法で、染の楽しさは一番。
京都にはまだ残ってはいますが、消滅に近づきつつある技法です。
着物を洋服のコートにリメイクする注文をうけたことがあります。解いてみたら縫い代の焼けがものすごくてはっきりツートンみたいになってました。
が、裏は焼けが目立たず、染めの柄も、伝統工芸の立派な手書きの着物でございす候の表地の
裏は適度に角が取れて丸くなったおじいちゃんみたいにそれはそれでいい感じだったので
思い切って裏で仕立てたことがあります。
よいものは二度も三度もおいしいんだな、と思いました。
私もやりました。
担任が家庭科の教師だったので、
卒業文集の表紙をこれで染めようと、
女子生徒だけで、クラスの人数分、
せっせと染めた記憶があります。
結構おもしろかったような…。
ロウケツはほんとに表情があって
面白いですね、二度おいしい「グリコ」みたい?
たとえば江戸小紋などのホンモノの染めは、
人間のやることなので、柄のつながり目が
わずかに染料がたまって濃かったり、
反物の耳が染料で染まっていたり…。
それを「不良品」という人もいるそうです。
「手染めだからこうなるのだ」という
説明がいる…のだそうで、
なんだか寂しい現象ですね。
紬なら、基本手洗いで、水で、手早く…で、
だいたい大丈夫だと思いますが…。
水を通った絹は手触りいいですよ。
詳しく教えていただいて、ありがとうございます!
この柄は、やり方としては単純に見えるのですが、
同じ調子で過不足なく、一反染めるのは、
大変だろうなぁと思いました。
染め上がったばかりのときは、
もっと鮮やかできれいだったでしょうねぇ。
絶対になくなってほしくない技術です。
がんばってください。
裏も使えるって、面白いですよね。
またどちらも表情が違って、そう
角の取れたおじいちゃん…楽しいですね。
ロウケツの古着は、解いて裏を見るべし!?