ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

おなじみの「昔の羽裏」です。

2006-02-16 12:54:58 | 着物・古布

本日入手の羽織の裏です。
この羽織、状態もいいし、自分で着ちゃおうかな・・などとまたしても
「シゴト」そっちのけで・・これでいーんだろーか・・いいわけないやん!

気を取り直しまして・・浮世絵「広重」です。右は「雷門」、左は「佃島」
雷門の絵の正式な題は「浅草金龍山」、あれっ今の雷門と違う字が・・、
はい、江戸時代には「雷門」ではなく「しん橋」と書いてありました。
実はこの門、何回も焼失しているんですね。
明和4年(1767)の大火で消失し、その後30年近く再建されませんでした。
理由はいろいろですが、大火のあと飢饉が起きたり浅間山が噴火したり、と
人心を脅かすことが続き、当時は民衆の「それは神仏を大事にしないからだ」
というのもりっぱな意見・理由として通ったわけで、ついに再建されたわけです。
その時期の「お金持ち」が提灯を寄進したんですね。
「しん橋」はそのとき書かれた字です。
さてそのあとは・・明和の大火から約100年後の慶応元年にまたまた焼失、
次に再建されたのはなんと100年近くあとの昭和35年です。
松下電器の創始者、松下幸之助氏寄進で、今の雷門ができ、
提灯の字も「雷門」になりました。その後一度新しいものに取替えられていますが
あれ、700キロもあるんだそうです。真下に立つのはちとコワイ?!

左の絵は「佃島」、正式題は「永代橋佃島」
名前でもわかるように元は「島」、というより実際は
隅田川河口にできた中洲ですね。そこに人が住み着いたわけですが、
この最初に住み着いた人たちについては、ひとつの話しとして、
家康が江戸幕府を開いた折に、「本能寺の変で世話になった摂津・・
といいますから今の大阪ですね、そこの村人を呼んで住まわせたのが最初」
というのが残っています。その後、この村人たちが幕府から「漁業権」を
与えられ、大阪住吉神社から「分霊」された「住吉神社」を鎮守として、
漁業を生業とする村としての形を整えていったわけです。
今でも佃島には、古くからの祭礼行事などが残り、江戸情緒を残す街並みです。
元は島でしたから「渡し」があったわけですが、その後橋がかかり埋め立ても
どんどん進んで、いまや「佃島」というのは島ではなくなっています。
でも「佃煮」はおいしい・・?

さて佃島を初めとして、東京湾内、つまりお江戸に面した海でとれるものは
当然、江戸の台所をまかなう大切な資源だったわけで、
江戸前、という言葉が今も残ります。「獣」を食べなかった日本人にとっては
「魚」は大切な「タンパク源」、昔の人は「たんぱく質」だの「脂肪」だの、
そんなことは知らなかったでしょうが、とにかく食べると力の元になる・・
それはわかっていたわけで、毎日の生活に魚は欠かせなかったわけです。
また、江戸は「ファースト・フード」の町でもありました。
地方から出できて働くものも多く、また独身男性が多かったそうで
すぐに食べられるものは、便利だったわけです。
江戸前の新鮮な材料を使った「そば」「すし」「てんぷら」は
「ファースト・フード」のベスト・スリー??まぁ細かく申しますと、
すしは最初からああいうすしではなかったりしますけれど、ニーズに合わせて
さまざまに形や作り方を変えて、江戸前の料理は今に至るわけですね。
その材料となるものは・・・で、本日2枚目の羽裏は「おさかなと海の幸」



パッと見て魚の名前、わかりますか?すみませーん、私ダメですー。
サバとかアジとかキンメとかなんてのはわかるんですけど・・。
絵のせいにしちゃぁいけませんけど、わかったのはエビとサザエだけ・・。
コレでも主婦か?でもちゃんと魚はおろせますよー、お刺身もできまーす。
大根もカツラ剥きしまして・・あっそーじゃなくて。
で、またまた「字」です。





なんと水茎麗しい・・って読めないんだってば!
例によっての「拾い読み」しかできません。
蜆子様、いずれ古文書のプロのかたに、解読お願いされるときは、
ついでにこれも・・!?

というわけで、またおもしろ羽裏が集まっています。
いい加減「布」で販売しないで「作品」にしなきゃいけないんですが、
お尻が重いんですよ、ワタシ・・。そのうち・・・ねっ。






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14 コメント

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字は解読できませんが、 (ぶりねぇ)
2006-02-16 22:11:08
お魚たちは、上の右から、わかさぎ、めばる、赤貝、さざえ

下の右から、甘鯛、鮎、芝えび、車えび

でしょうか。 違っていたら、ごめんなさい。

返信する
わぉっ! (とんぼ)
2006-02-16 22:23:23
ぶりねぇ様



やっぱり「メバル」ですよね。じゃないかなーとは思ったのですが、なんかボディが貧弱のような気がして・・ヤセメバル?それと、私もドジですね、本文を書いたせいで「江戸前」というのがアタマにあったので、海のものばかり考えてまして「このアユのようなのはなんだろう・・」。アユだってば・・。
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Unknown (蜆子)
2006-02-16 22:28:03
おいしそうな羽裏、

羽裏ってパレスですか?

表には無理でしょうね。

ところで字の読み下し、別にメールだしました。もしかしてお手伝いできるかもと思いまして・・・
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永代橋 ()
2006-02-16 22:41:58
私 永代橋の下で拾われた子 という事になっています。

小さい時によく言われました。
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ありがとうございます。 (とんぼ)
2006-02-16 22:45:52
蜆子様



今メールをあけて、こちらに参りました。後ほど(深夜になりますが)メールさせていただきます。

羽裏ですが、おっしゃるとおりパレスだと思います。写真では、少しコントラストをつけるのに明るくしたので地色が白くなっていますが、実際には「灰緑」に近いです。オークションで見ているときは、それが「古さ」に見えたのですが、そうではありませんでした。それでも最近というようなものではありませんが・・。
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おんなじだー (とんぼ)
2006-02-16 23:09:07
恵様



橋はちがうものの、よく言われましたよ。「おまえは橋の下でひろてんでぇ」って。あれって親のイジメ?いまどきは「橋の下」って言ってもコンクリートでかためられちゃって、いるのはあざらしのタマちゃん?もう死語なんでしょうかねぇ。
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今は ()
2006-02-16 23:30:38
今は川も埋め立てられて橋も高架になったりと風情が無くなりました。

今は 「コンビニの前に捨てられていた」 ですかね~



これからの着物柄などは、高架やパソコン、電化製品の模様も出てくるのかしら?

ちょっと楽しい。
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ありましたよー (とんぼ)
2006-02-17 00:04:04
恵様



ゆかたでしたけどね「ケータイ」柄・・・。うなりましたね。妙に可愛かったのが、ちとこわかったです。

コンビニか、なるほど・・・。潮見千佳さんという人のマンガで「キージャック」というのがあります。主人公は「コインロッカー」に捨てられた「捨て子」。いっとき赤ちゃんをコインロッカーに捨てる事件ってありましたね。マンガではまだ赤ん坊の主人公が、ロッカーのなかでひたすら外にいるはずの母を思って「能力」を目覚めさせる・・。それが、どんなカギでもあけてしまうという能力で、大金をとってなんでも盗み出すというストーリー。ワルなんだけど、実は優しい・・なんてお話しですが、「おまえはね、新宿のコインロッカーに捨てられてて」なんて、冗談にもなりませんね。最近は、育てている途中で虐待で死なせてしまう。「橋の下で拾った」なんていう親でも、育てることはきちんとしてくれましたね。こういう話が懐かしいって、実はしあわせなことなんですね。
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とどきませ~ん (とんぼ)
2006-02-17 01:22:11
蜆子様



メール、2回送らせていただいたのですが、不着になってしまいます。何かセキュリティでガードされちゃっているのでしょうか。メルアドはちゃんとコピペしたんですが。
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羽裏って (陽花)
2006-02-17 10:10:12
とんぼ先生

昔の羽織の裏って本当に凝ってますね。

いつもながらのボケとツッコミを交えての

先生の説明、歴史にうとい私ですが楽しく

勉強させていただいてます。

今でもこの様な柄の羽裏って売っているん

ですか。
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