ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ただいまーのあとは…

2008-09-29 18:42:37 | 着物・古布
写真は全く関係なくてすみません。栗をいただいたんです。
以前お花をもらったときの駕籠に入れてみました。秋ですねぇ。

さて本題…着物での外出から帰ってきたら…、
帯や着物はいきなりしまわずにしばらくつるしておく、
これはもう皆さんご存知のことですね。
母はこの「しばらくつるす」ことを「さぼす」と言います。
方言なのかもしれませんが「ちゃんとさぼしとき」といわれてました。
なんとなく「干す」でもなく「扇風機の風をあてる」ほどでもなく、
自然に任せて湿気をとばすという雰囲気のうまい言葉だと思ってます。
この「さぼし」の間に汚れの点検ですね。

まぁここへ来てくださる皆様はすでに着物となじんでおられるかたばかり、
風を通すの、しみや汚れの点検のといろいろなことはもう「言わずもがな」
でしょうから、今日はちょっと「おまけ」的お話を…。

いよいよタンスにしまうとき…、実は意外とやってないこと、
たとう紙の点検です。黄色くなったたとう紙は×です。
古いたとう紙によっては、のりの部分からカビがでることがあります。
またお店の名前の印字が、下の和紙に移っているようなものはやめましょう。
たとう紙はそんなにすぐ傷むものではありませんが、
衣替えのときは、たとう紙も調べてください。
いらなくなったたとう紙、捨てないでくださいね。
たとう紙は上質の和紙でできています。
たとえばいいところを四角に切って貼り合わせる、このときは、
同じ和紙を細く切って、それに糊をつけその上につきあわせて乗せる方法です。
できれば二枚合わせならなおいいです。丈夫ですからミシンでも縫えます。
そういうもので小さい「衣装敷き」を作るわけです。
縫い物や解き物をするときとか、和小物の整理をするときとか、
半衿をつけるときとか…半畳くらいのものがあると便利なんですよ。
扱う小物の汚れ埃防止にもなりますし、糸くずや針がおちても、
無地の和紙だと良く見えます。糸くずなどの掃除もラクです。

今の時代は、着物は特別のものになってしまいましたから、
保存というと「着物の保存」と、構えてしまいます。
またそれぞれの「着物ライフ」によっても違います。
例えば、毎日着物、時々着物、休日着物、なんかあったとき着物…、
それぞれに着る着物の素材や種類、回数が違いますね。
洋装になれた暮らしでは、洋服については無意識のうちにその服によって
手入れや収納をやっています。あんまり困ることありませんね。
着物も同じように考えればいいわけです。
しょっちゅう着る着物なら、本来はたとう紙も要らないですね。
ただ、古い着物は染料が移る場合もありますから、
着る頻度の少ないものは着物の間に一枚何かいれたほうがいい…、
そういうときは、たとう紙のあの周りの部分のうち、
しまうときに先にかぶせるほう、つまり幅のせまいほうですね。
あれだけ残してふたになるほうをカットしてしまいます。
これに着物を載せてその状態で重ねていくと、
たとう紙もそんなにかさばりませんし、重ねた下のほうの着物を出すとき、
たとう紙の横の部分をつかむと出しやすいです。

また、着物は本来長いままを二つ折りでしまう、つまり和ダンスの盆の長さ、
これでしまうのが一番なんですが、普段着物や木綿の着物などは、
もっと小さく畳んで収納する場合が多いのではないでしょうか。
これもまたその人の収納してある場所や収納用具によって違いますが、
気になるのは「シワ」ですね。細かいシワはもちろんですが、
着物にとっては余分な折線もシワと同じです。

まず着物は収納にも優れていて、縫ったところを折りたたみ線とすることで、
平らに余分なシワなくしまえるようにできています。
またひろげて着るとき、着物に対して縦の折線と、衿の後ろのV線は、
ズボンの前の線と同じで「ついていていいもの、当たり前のもの」です。
対して、着物にとっての「横の折線」はないほうがいいもの、です。
着る前にしばらくハンガーにかけておくとか、そういうことで、
横線は消えることもあります。つまり着物自身の重みで伸びるんですね。
でも取りきれない場合もありますから、そのときはアイロンです。
この余分な横折線をできるだけつけないようにするのに、
最近は「着物枕」なんてものが売られています。
たいへん便利なものなのですが、数買うとなるとねぇ…。
訪問着用などはともかく、普段着用は自分で作りましょう。

外側にするのは生地の薄い胴裏がベストです。
そのほか八掛、或いはじゅばん地など「白」いものならかまいません。
古着を解いたときの古い胴裏などは、まず洗ってください。
自然の黄ばみはいいですが、シミのついたものはどんなに洗ってもやめましょう。
売られている着物枕はほとんどが外も中も「ポリエステル」です。
ポリ素材は虫がつかなくていいですから、それでもかまいません、お好みで。
中に入れるのは、市販のものはポリ綿です。
でも作るとなると、いちいち一本ずつ綿入れは面倒…そこで詰めるのではなく、
布を巻くことにします。もし胴裏や八掛などの古いものがあるのなら、
それを切って丸めればいいわけです。なければ晒しでもなんでも…。
ただし、どんな布でも色は白、必ず全部洗ってください。
特に晒しの新しいものなどは必ず洗って糊気を落としてください。
なにを使うにしても、漂白剤とか柔軟剤はナシです。

まず「中に入れる芯になるもの」は厚くても薄くてもかまいませんが、
バトンのように太くならないよーに。こんな感じ。


   


白いと見えにくいので、色の濃い紬用八掛の残りでやってます。
反幅で長さ40センチくらいのものを半分に折って、
裁ち目のほうからくるくるとまきました。待ち針でとめてありますが、
実際のときは、チャッチャと作ればこれもいりません。
そんなに厳密に作るものではないのですが、
気になるようなら、ザクザクッと抑え程度に真ん中あたり縫いとめてください。


   

     
次に胴裏、使いこんで薄くてヤワヤワってのが理想です。
半幅分にしてください、長さは60~70センチ。
これに芯をのせます。そして布の「耳でないほう」からくるくると巻いて、


      
   


両端をひと結びします。これで出来上がり。


   


結び目は反幅の外ですから、着物にでこぼこのあとはつきません。
こんな感じ。


   
   

これのいいところは、まず縫ったり詰めたりの手間がかからないこと、
そして、いつでも結びを解けば全部洗えるということです。
訪問着のような、高価なものではないけれど横折線はついてほしくない、
そんなときにはこれをお試しください。
ちなみに「胴裏」の古いもの、ヤフオクで八掛などと一緒にたまに出ます。
いずれウチでもヤフオクにだそうかなーと思っています。

あんまり太いと、今度はそこばっかり盛り上がりますから、
そのへんは加減してくださいね。

洋服洋装については、収納便利グッズとかそういうものの紹介も多いですし、
私たちも割りと悩むことなくあれこれやってます。
例えばバッグは型崩れしないように詰め物をして…とか、
ブーツをまっすぐたてておくものや脱臭剤を使うとか…。
和モノも同じように考えればいいわけで、
たとえば草履をしまうとき、いいものは箱に入れてしまうと思いますが、
箱の底に割り箸を横に2~3本、その上に草履のせるだけで通気がよくなります。
焼き海苔などを買うと入ってくる除湿剤を入れておくなども。
普段履きは普通に下駄箱に入れると思いますが、
草履の箱のふたに同じように割り箸を横向きに何本か置いて、
その上に草履を乗せておくことも湿気予防になります。
なにしろ草履というのは、靴のように一枚で足を包み込む構造ではありませんし、
底は平らですから、ベタッと下についていますからね。
草履だけでなく靴のためにも、お天気良くて湿度の低い日には、
ゲタ箱全開で風を通すことも「暮らしの知恵」ですね。

とまぁ、たいした知恵ではありませんが、書いてみました。
着物の収納や手入れについて「これ面倒」とか「困るのよねぇ」
という思いは、アイデアの元です。
せっかくの着物をめんどくさいものにしないように、知恵を絞りましょ。




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9 コメント

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Unknown (陽花)
2008-09-29 20:47:51
着物枕を入れて畳んでおくと横線が
入るのを防げますよね。
そう思いながら、着物枕を入れず引き出し
ぎゅうぎゅうに着物を入れていますから
一番下の着物はペッタンコになってしまい
ます。今のところは時々上下を入れ替えたり
着る何日か前には吊り下げる事でしのいで
いる状態です。
返信する
竿干しでしょうか? (こいけ)
2008-09-30 09:50:07
いつも楽しく拝見しています。
とんぼさん、本当にいろいろご存じで、なおかつ手先も器用でいらっしゃいますね。
着物枕も手作りですか。すばらしい。

私もぎりぎり二つ折りの整理箪笥の引き出しにギューギューに詰め込んでいます。
畳紙のおかげで変な皺はつかずに済んでいますが、かわいそうですよね。
衣裳ケースのウール、木綿、化繊、襦袢は袖の大きさで折り返したり、三つ折りにしたりでもっとかわいそうなことになりつつありますが、枕の手作り…。無理です私。

ところで、さぼしという言葉、うちでも母が使います。
竿干しだと聞きましたが、どうでしょう。
返信する
なるほど~ (てまりばな)
2008-09-30 09:55:27
本当にとんぼさんのブログは勉強になります!

私は畳紙をやめて
風呂敷にしたのですが、
普段着は風呂敷にも入れず
そのまま引き出しです(笑)。
下のものを引き出すとき
ちょっと困ります(汗)。

整理をしたときに
なんだかもったいなくて畳紙を捨てられず
物入れにしまったのですが、
衣装敷きを作れるとは!!


それから着物枕、
どうにかして作れないかと考えていたところでした。
縫ったり詰めたりしなくていいなんて最高!(笑)
夫のいらなくなったスーツの裏地が使えそうです♪
ありがとうございました!


ところでとんぼ先生に質問!
私はいつも帯締めの房を
小さく切ったチラシの紙で包んで
セロテープでとめているのですが、
やっぱり和紙とかの方がいいのでしょうか。
前に半紙でやろうとしたら
うまくテープがとまらなくて。
房カバーなんてものも売られていますよね。
とんぼさんはどうやって管理されていますか?
ぜひご教授ください!!

返信する
便利です (otyukun)
2008-09-30 17:24:45
着物枕は割と安く売っていますが、着物の枚数が多い人には高額なってしまうので良いアイディアだと思います。
枚数の多い人なら余りの胴裏も自然に余ってくるはず。
工房でも仕立替えの注文が良く来ますが古い着物の胴裏で黄変とシミの無い物は皆無です。
着物枕にするには化繊を使うしか仕方が無いのかも。
それと着物枕を付けて収納した畳紙の片方だけが膨らんでしまい、重ねて置くには交互にするしか方法がないのでしょうか。
畳紙の大きさは大体一緒ですから、嵩が高くなってしまう事の解決法はないものですかね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-09-30 19:50:09
陽花様
私もぎゅうぎゅうになってきています。
衣裳部屋、なんてのを持って、
和ダンスをずらりと並べる、
なーんて暮らしがしてみたいものですー。


こいけ様
いずこも同じ…なんですねぇ。
じゅばんなんか「詰め込み」ですー。
おっしゃるとおり、元は「竿干し」です。
私の母は京都の片田舎なので、
そこだけの言葉かなーと思っていました。
こちらで言っても通じないことが多いので、
なんか嬉しいですー。


てまりばな様
些細な知恵ですが、
お役に立てたらうれしいです。
帯締めの房は、ほんとに厄介ですね。
私は昔、チラシは印刷によって色が移る、と
母に言われて、ずーっと半紙を使ってました。
あの学校でお習字する安いヤツです。
あれだとテープ止まりますよ。
和紙系は繊維が長すぎて、
セロテープがとまりにくいでしょ。
そういう時はテープもぐるりと
ひとまわりさせて、テープの上にテープを
貼る形にするととまります。
私、実はそれが面倒で、礼装用以外は
なるべく房でないものを買うように
ずっとしてきたんです。
最近陽花様に房のをくんでいただいているので
こちらはもっぱら房カバーです。
私はやってませんが、友人はアルミホイルって
言ってましたよ。中に半紙を切ったものを
入れて重ねるのだそうです。10センチくらい丈の長いものを帯締めにまきつけるようにして
房のさきだけひねるんですと。
やってみたことはありませんので、
効果のほどはわからないのですが…。



otyukun様
古着にもよりけりなのでしょうか、
我が家の古着には、まだそのまま使える胴裏もあります。あたらしいのでしょうね。

いい着物はたとう紙に包みますが、
そうでもない程度のものは、
上に書いた「たとうのふた部分」を切って
重ねています。たとう紙って交互に重ねると
あけて中を調べるのに方向があって面倒です。
それもあってふたを切ってしまったんですが、
けっこう便利です。
着物枕の出っ張り解消は、もう「交互」しか
ありませんでしょうねぇ。
私のタンス、一棹だけ横幅が少し広いんです。
それでたとうを右寄せ、次は左寄せって
それで少しは解消していますが、
ほかのタンスはだめですね。


返信する
ありがとうございました! (てまりばな)
2008-09-30 20:00:34
とんぼ先生、
早速ありがとうございました!
ちょっと気にはなっていたのですが、
やっぱりチラシって色が移るのですね。
やめます・・・(汗)。

アルミホイルを使うというのは
初めて聞きました!
やってみます!!

房カバー、やっぱり便利なのですね。
高いものだけでも入れるようにしようかしら。

それにしても
帯締めを組んでいただいているなんて
すごいですね!!

ありがとうございました!!
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-09-30 20:46:54
てまりばな様
陽花様は個人で組んでくださるので、
色や組み方の指定も、できる限り
注文に応じてくださいますし、割安ですよ。
左側ブックマークの上のほう
「手ぐみひも 陽花」がショップ、
その上が古人ブログです。
返信する
さぼす (うんちく)
2008-09-30 22:16:51
家の母親が使ってました。「さぼす」。
東京生まれ、所帯を持って北海道、東京に戻る。父親は富山県出身。夫は(つまり僕の父)は新潟生まれ。さて、どこの方言だかわかりません。
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Unknown (とんぼ)
2008-10-01 16:16:26
うんちく様
なるほど…そうしてみると、
方言ではなく単に「昔の言葉」ですかねぇ。
とてもうまい表現だと思います。
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