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ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

振袖の販売がそろそろ…

2008-11-04 14:59:32 | 着物・古布
振袖の写真がなくて、またまた使いまわしです。
総絞りの振袖、ダメージナシ、着てみたかったなーゼッタイ似合わないけど。

今振袖がメインで着られるのは「成人式」ですから、
今年の成人式が終ったときから、当然来年の商戦は始まってるわけで…。
それでもヒトというものは、何かとのんびり、ましてお金のかかることですから、
そろそろ決めなきゃ…というかたも多いのでしょう。

さて、実は呉服屋さんのブログで、こちらを見つけまして、
ずっと振袖を拝見させていただきました。

…実は言葉を捜すのに苦労しました。
もちろん「なんだこれは」と全面否定するつもりはありません。
今の時代、今の若い感覚、今の呉服業界の状況…、
さまざま思えば、コレもまたアリ、そして個人的にも「かわいいなー」と
そんなふうに思うものもありました。
ましてやこれは、美人で背も高いモデルさんが着て、
カタログ用に撮った写真です。スタイリストさんもついて、
すみずみにいたるまで、気合を入れたことでしょう。
でも、普通のお嬢さんがこれをそのまましたら…と思うとねぇ。
まずは髪型ですが、結局こういう風な傾向になるのでしょう。
なんと言ったらいいんでしょうねぇ、洋風のこういう髪型は、
もっとほかでも楽しめるでしょう。
でも和の香りのする髪型は、着物を着たときだけの楽しみで、
しかも、同じ着物でも紬やウールで「簪も高々と…」は、ちと合わない。
つまり、振袖のように華やかな着物を着たときだけ楽しめる
和風の髪型や髪飾り…というものがあるわけです。
それを楽しまないというテはないと思うんですよねぇ。もったいない。

それと着物は全身を包むもの、おまけに振袖は大きな袖があります。
着物と帯だけで十分華やかなのですから、
小物はほんとにシンプルな脇役でいいんじゃないかと…。
その脇役でさえ振袖用は普段用より派手なのですから、
着物や帯をよく引き立て、自らも美しく映える…それがレースだったりすると、
なんだか「しゃしゃりでてる感じ」がするんです。落ち着きませんねぇ。
衿元やうなじは着物の着姿の大切なポイント。
レースで飾って目をひくのではなく、見える素肌でスッキリとした衿元、
初々しいうなじだけで、十分美しいと思いますが…若さの特権でもありますよ。
つまり…ゴチャゴチャと飾り立てんでも、華やかな着物と帯と、
それを引き立てるシンプルな小物をふつーに使うだけで、
十分美しく、初々しく華やか、なのが振袖ってもののいいところだ、と
まぁそんなふうに感じたわけです。

着物の柄については、私はそりゃもー「古典柄」が好きです。
だからと言って「バラ満載」も全部が全部きらいじゃありません。
これの似合う人が着たら、ほんとにあでやかだろうなぁと思うものもあります。


こちらは、左が昭和24年の、例によって「主婦と生活」の付録の記事写真。
右は29年のもの、大胆な振袖ですよね。今着てもとてもステキだと思います。
ただ、これが発表された頃は、普段着はケンメイに洋風を追いかけていますが、
こういったものはまだ古典柄が中心の時代です。
当時のお若いかたはこれを見て「モダン!ステキ!私こういうの着たい」といい、
親御さんは「よしなさい、そんな外国のカーテンみたいな柄!」なんて、
やっていたんじゃないでしょうか。(右側、有馬稲子さんですよー)


     


こちらはもう少しあとの着物、振袖ではありませんが、
お若い方の着物です。モダンではあっても、さて一般受けはしたのでしょうか。


          


同じように、今見て「こんなのどうして振袖にするの?」というような柄も、
30年50年経ったら「オールド・モダン」として、
もてはやされるかもしれませんねぇ。現代に銘仙のポップさが受けるように。
ただねぇ…この本のころのものは、まだまだ「日本人の日本人による…」が、
割と多いです。でも現代のものは、糸の生産国から、染めも織りも、
刺繍も箔も…化学染料、外国製作、のものも多いのです。
どこがどう違うといわれても、専門的なこまかいことはわかりませんが、
呉服屋さんに言わせれば「昔の着物のように持ちませんよ」です。
工賃のやすいところで大量に作られて日本に運ばれる…。
振袖はお金のかかることですし、昔のように「お母さんの着た振袖を娘が」
という「伝え方」が薄れている今、その人が自分の人生のなかだけで、
一世一代のオシャレ、として着て、後はオシマイ…ならば、
それでもいいのかなと思います。

着物が生きていく場所も状態も、昔とは変わってしまった今、
成人式のイベント衣装として着る、それがひとつの着方になっているとしたら、
その選び方や着方、そのあとのことも「そういうひとつの形」になるのでしょう。
でも、本当に着物が好き、着物を着ていきたい、と思う着方なら、
まずは「着物は長く伝えられるもの、長く着られるもの」というところから、
自分の振袖のゆくすえも踏まえて…選んでほしいものと思います。


こちらは私が手持ちの「古着の留袖」で、作ってみたいと思っている
昔の花嫁振袖のリフォーム羽織。ちょっとシャレてるでしょう。


    
 

私の持っている古い留袖は袖に柄がありませんし、
前の柄もジミですから、けっこういけるんじゃないかと思っています。
例えばこんなの…。


        


こちらはすでに解いてあるものです。


   


昔どこかの花嫁さんが着てお嫁入りし、袖を切って留袖になり、
息子や娘や姪っ子甥っ子…何度もその門出を祝したのかもしれません。
もう一度、今度はちっと太目のおばさんが、粋に着たいじゃないのさ、と
縞の着物や、江戸小紋なんかにちょいと羽織ることを、
この着物さんたちは許してくれるでしょうか。


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13 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (陽花)
2008-11-04 21:39:07
最近の流行なんでしょうけど、私はレースや
ふりふりを衿や帯に付けるのはあまり好きでは
ありませんね。
色柄は本当に個人の好みで、似合わないって事もありますが、斬新な柄、モダンな柄よりは
親子代々譲れる古典柄が流行廃りがなく一番好きです。
返信する
Unknown (kikurin)
2008-11-04 21:42:10
私もとんぼさんとまったくの同意見です。呉服屋さんのチラシなど見ると、たいてい振袖がメインに紹介されていますが、あのフリフリはあまり好きになれません。もちろん私の個人的な好みなので逆にああいうのが着てみたい!と思う方を否定する気もありません。実際、私の義理の妹(33歳)はパールやフリルのいっぱいついた、柄もハデハデな着物が着たいそうです(苦笑)着物は着たいけど、訪問着や小紋は色も地味だし、柄も寂しくてあまり好みではないそうな。
あの日本独特の、地味というか滋味あふれるなんともいえない色合いが私は好きなんだけどな~。

トップ画面にある、総絞りのお着物もとても素敵ですよね。絞りって大好きなんです!
ここで、とんぼさんに質問。
実は、とある方からある事情で総鹿の子絞りの反物をゆずっていただいたのです。それはそれはとても素敵な着尺で、すぐにお仕立てに出したのですが、お店の方に「これは結婚式にも着ていけますよ」と言われたのですが・・・。
ということは、礼装向き=格が高いということ?この年になると結婚式に招待される機会もそうはないので、着物は、普段着・街着として楽しみたい私には、ちょっと扱いに困っているところなのです。今思えば、羽織やコートに仕立てるという手もあったのですが・・・。
もしかしたらものすごい初歩的な質問かもしれません。でも着物の格については、いまいちよく分からないところがあるので。
ちなみに、一面に鹿の子絞りがほどこされているだけで、柄はありません。

長々とすみませんでした。アドバイスいただけるととてもうれしいです。
返信する
Unknown (ゆん)
2008-11-04 22:33:40
こんばんは~

 好きスキ好き好きです!最後の一枚!!

 えっと、すみません「全面否定」したくなります。浴衣みたいな振袖。
 実は、先日見かけた七五三の着物にもびっくりしていました。ものすごく薄っぺらなんです。生地も色柄も…。「え?これが七つの祝着?」って確かめたくなるほど、すべてに力がない着物ばかりでした。
 日本の絹の量感は特別だし、色柄にも、出過ぎない迫力がありますね。
 バラが物凄く受けてるようですけど、ベルばらよりも蔓バラが好きです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-04 22:42:32
陽花様
なんだかしつこいし、私の年だと
どうしても「色物」の世界のイメージですね。
古典柄って、何年何十年経ってみても、
全然飽きがきませんよね。
それが歴史があるってことだと思うんです。
成人式でも、古典柄のお嬢さんのほうが、
なんだか落ち着いているように
見えてしまうのは…こりゃひいき?


kikurin様
よいものをいただきましたね。
まず「柄」としてはもようがないということ、
それですと「小紋」扱いになります。
実は絞りの着物というのは、人によっても
いうことが違ったりするんですよ。
本職さえ言うことが違ったりしますから…。
私の知っている限りでは…になりますけれど
結婚式にも着られる、というのは、
色無地感覚ということなのかもしれませんが、
紋がはいっていないと、相手によっては
失礼になります。だいたい結婚式に
総絞りというのは、既婚者の場合は
身内の披露宴でなくても着ませんね。
堂々と許されるのは、写真のような振袖。
絞りでも訪問着のように、
絞りで柄が入っている…ならいいですが。
格が高いと思われるのは、たぶん、
たいへん手のかかるものだ、という印象が
あるからだと思うのですが…。お値段関係なく
どこまでいっても小紋、ただし、一色で
柄がないわけですから、色無地風に、
帯によっては格調高い雰囲気で着られる、
ということではないかと思います。
シャレ袋など合わせて、街着として着ても
モンダイないと思いますよ。

返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-04 22:47:04
ゆん様
コメント入れ違いました、すみません。
最後の鶴さん、いいでしょう?
長年あたためているんですよー、
卵ならかえっちゃってる…?!

古典のよさ、絹のよさ、そういう本物を、
子供のころから経験させてあげて、と
思うのですけれど、汚れるから、
どうせ一回しか着ないから…なんでしょうね。
洋服だと、子供でもブランドもの着せたり
たっかい靴はかせたりするんですけどねぇ。
「もったいない」の向きが違うきがします。
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Unknown (kikurin)
2008-11-05 08:03:43
お返事ありがとうございました!とても参考になりました。
たしかに振袖以外で、絞りの着物を結婚式で見かけたことはありませんね~。
ちょうど、合いそうな袋帯もありますし、これから普段のお出かけにどんどん着ようと思います♪
ありがとうございました。
返信する
Unknown (ゆん)
2008-11-05 10:20:19
おはようございます!

 何度もすみません。

夕べ、書きもらしたのですが、あの・ドラムカンのような着付け、どうにかならないんでしょうか!モデルさんの小さい顔が埋まって見えます(笑)
 何か、下に鎧のようなものを着せてあるのですか?一切のしわが寄らなくなるまで…
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-05 10:37:02
ゆん様
あっはっは、ドラム缶ですか。なるほどね。
まぁ和服の基本は寸胴ですから、
あの前側ピッタリ、ドラム缶は、
ぶあつーい補正のタマモノでしょう。
それと、あの手の写真で活躍するのは、
「洗濯ばさみ」と聞いてます。
あらゆるシワは、けなげな洗濯ばさみさんの
必死の活躍で消されるのだそーです。
彼女たちは、実はあのまま
おでかけなどできないのですねー。
返信する
Unknown (みとん)
2008-11-05 17:25:07
リンク先、拝見しました。
見事な振袖たちですね(嫌味です(笑))

抜いた衿のあの滑らかな曲線美がレースで乱されるのは
やはり悲しいものがありますね。
柄行きも何と言うか、帯も着物もお互いを殺しあっているかのような
ゴチャついた感じがして落ち着かないです。
静と動のバランスが取れていないというか、
華やかと言うより、落ち着きがない印象を受けました。
本当にこの振袖で成人式を迎える人がいるのかしら?
と疑いたくなってしまいます。
和の正装とは言えないものが多いですよね。
派手な恰好がしたいだけなら、もっと別な機会でお願いしますと言いたいです。

話は変わって、質問があるのですが。
留袖を羽織りに仕立て直すとのことですが、
かなり長めの羽織に仕立てないと、
柄が活かせないのではないでしょうか?
どうすれば裾にある柄を、あのように上方に持ってこれるのでしょう?
とても気になります。
ぜひ、教えてください。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-11-05 17:41:42
みとん様
ただひたすら『にぎやか・華やか』な
振袖ですよねー。古典柄に慣れた目には、
よその国の人たちのようです。
太陽の下、サンバのリズムで成人式っ?!

実は、胸あたりでついでいます。
これについては、今日のブログで
書こうと思っておりましたので、
またご覧ください。
あの羽織の写真の一番上の羽織
前から写してある写真ですね、
よく見るとわかるのですが、
胸の辺りで、模様のテッペンが、一直線に
なっていますでしょ、あそこで継いでます。
つまり背中あたりは、前におりてきてると
いうわけですね。
昔の人はこんなこともしていたわけで…。

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